【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第101話。 寿春的日常?柴桑に到着した高順、いや、馬騰と孫策の会談は無事終了。形だけとはいえ対等の同盟を結んだ両者は、寿春へと向かい入城。孫家の武将は、孫策と並んで入場してくる馬騰と西涼騎馬隊を一目見ようと集まり、その威容を見て「さすが西涼の英雄」と誉めそやしていた。逆に「領地も兵も失った敗者が我が主と同格など」と苦虫を噛み潰したような表情をする者もいる。ちなみに、馬騰に気を取られてばかりで高順を気にかけている者はほとんど居ない。居るとしたら、孫家の主要な武将、個人的に仲の良い魯粛・太史慈、そして彼らの帰りを心待ちにしている臧覇くらいなものであった。孫策・周喩・黄蓋・馬騰一行は城へ向かい、色々な話をする、ということで高順一党と別れての行動となった。そうなると、高順らは途端に暇になる。ぼーっとしていても仕方ないし・・・と、高順は久方ぶりに将兵に休暇を与えることにした。兵の殆どは南中でずっと戦の緊張感の中で暮らしていたし、それにはあまり関わっていない趙雲・楽進も留守役でストレス(?)も溜まっている。少しくらいは問題ないだろ、と判断した高順は「今日に限っては刻限を超えて遊んでもいいよ」と伝達して、趙雲ら主要武将にも「少ないけどお小遣いねー」と手当てを渡す。手当てを貰って「ヒャッハー酒盛りだー!」と嬉しそうな趙雲は、嫌がる周倉と楽進を引っ張って酒処に走って行ったし、他の人々も思い思いに動き始めた。それらを見送ってから「さて、俺はどうしようかな」と高順は考える。(臧覇ちゃんは・・・孫家の末姫の親衛隊だから遊べないだろうし、太史慈も魯粛も忙しいだろうからなぁ。もしかしたら城に行って馬騰殿のことで説明受けてるかもしれない)・・・あれ、俺が一番暇人?よくよく考えたら自分が一番何もすることが無いのか・・・と言う事に気付き、その場でがっくりと項垂れる高順であった。どうしたもんかなぁ・・・虹黒の野駆けでもするかな? いや、その前にまず腹ごしらえ・・・うーん。兜を脱いで考え事をしながら、虹黒と共に街をぶらつく高順だが、考え事をしすぎていたのか。行き違いの人の肩に「どんっ」とぶつかってしまった。ぶつかった人は「あやっ!?」と悲鳴を上げて、その場で顔からずっこける。考え事をしていたからか高順は反応が遅れてしまい、少ししてから「あ・・・だ、大丈夫ですか?」とその人・・・少女だが、手を差し伸べた。「だ、大丈夫です・・・あややっ、眼鏡がー・・・」差し伸べられた手を掴んで、この少女は立ち上がる。「直すか買いなおさないと・・・でも、お金・・・どうしよう・・・あやや・・・」と、眼鏡にヒビが入ってしまったようで、泣きそうな顔だ。悪い事をしちゃったな、とその顔を見つめる高順だが、その表情には僅かに驚愕が浮かんだ。この少女の顔には見覚えがある。何故、この場所にこいつがいる。何故「諸葛亮」がここにいる? と。「あ、あの。私の顔、どうかしましちゃひゃ!?」「え? あ、いや・・・」だが、その女性の顔をじっと見て、直ぐに高順は「いや、違う」と思い直した。諸葛亮より10センチか20センチかは判らないが背が高いし、髪も長い。何より、胸がそこそこにある。諸葛亮であればこの先何年かかってもたどり着けない境地といえる。巨乳とはいえないが、普通より少し大きめで、服装もあのエプロンドレスではないしベレー帽もかぶっていない。腰からロバの顔のアクセサリーを付けてそこは趣味が悪いなぁ・・・と思う。顔立ちも、諸葛亮を大人っぽくしたらこんな風になるであろう、と思えるほど似ている。また、緊張すると所々で台詞を噛むのは似ているが、口癖が「はわわ」ではなく「あやや」だ。この諸葛亮によく似た少女、高順には一人だけ心当たりがあった。諸葛亮に良く似た少女も、高順の顔をじぃ~~~っと見ている。目の性が悪いのか、高順を見つめる目つきが悪くなっている。呂蒙さんも同じように目つき悪いよな、とか思い出す高順。そして、何かに気付いたかのように「・・・えぇーーー!!?」と少女は大声を上げた。「え、何叫んでるの!? ここ往来で人の行き来激しいのにっ・・・」別に不埒な事をしたわけではないのだが、人通りの多い場所で大声を出されると妙に不安になってしまう。「あ、あの! ましゃか、貴方はしょの、ここ、高順しゃまでは!?」「いや、噛み過ぎ・・・じゃない。俺は確かに高順だけど、そんな大声で言わないで欲s「やっぱり!」やましい事など無いのだが天下の往来で自分の名前を大声で呼ばれるのも余り気分の良いものではない。不愉快ではないのだが、やはり落ち着かないのだ。「陥陣営・死を運ぶ黒い風・孕ませ屋・黒髑髏・いやあの鎧は怖すぎでしょ? 美人侍らせ過ぎ不幸になれ・・・など、数多の称号を持つ高順様に話しかけていただけるなんて・・・あれ、どうかなさいましたか!?」「|||orz」中二病っぽかったり、孕ませだの不幸になれだの酷い称号が混じっていることに絶望する高順であった。とりあえず、何とか立ち直った高順は判っていて少女の名を聞いてみた。「で、えーと。貴方はどちら様でしょう?」少女は緊張しつつも応える。「わ、私は姓は諸葛、名は瑾。字は子瑜でふ!」「あ、やっぱり。」「あやっ!? 私のことをご存知なんですか!?」「ああ・・・いや、諸葛瑾さん、妹が一人いるでしょ? その人に た い へ ん お世話になってね(ギリギリギリギリ」「え、何をやったんですか、あの子・・・」思い切り歯を噛み締める高順の表情を見て、恐怖で固まる諸葛瑾であった。「あ。いや、すまん。諸葛瑾さんを怖がらせるつもりは無かったんだ。・・・その眼鏡、弁償するよ」「え? あ、あやや! そんな恐れ多い!」「いやいや、壊れたのは俺の責任だし、今は暇だからねぇ。じゃ、行こうか」「え、えええ・・・」困っている諸葛瑾の背中を押して、歩き始める高順であった。「ぉぉぉ・・・よく見えます~~~・・・」「そうか、それは良かった。」新調した眼鏡をかけて、周りを見渡す諸葛瑾。今までの物は度があっていなかったのか、あまり視力矯正になっていなかったらしい。「あの、ありがとうございました! 高順様にお会いできただけでも光栄なのに、ここまd(ぐぅぅぅぅぅ・・・)・・・あ、あやややややっ!!?」盛大に腹の音が鳴って、諸葛瑾は赤面する。ん、もう夕飯時だなぁ、と高順は呟き「おいでおいでー」と諸葛瑾を引っ張っていく。「あや!? どこ、何処へ!」「飯処。一人で食べるの寂しいし、一緒においでー」「あやややや!?」~~~飯処~~~何でも、諸葛瑾が高順を知ったきっかけというのは寿春攻防戦が終わった後、炊き出しをしていた所を見たからだと言う。最初こそへんちくりんな鎧で周りを威圧しているように見えていたのだが、自分から集まってきた人々に食料を渡し、分け隔てなく接する姿を見たのだとか。それからも警邏やら何やらをしている姿を見かけたりして、顔を覚えた、という話だった。そんな感じで高順を知っていた諸葛瑾は、高順の向かいに座ってはふはふ言いながら美味しそうにご飯を食べている。見た所、生活は窮乏しているらしい。服もボロボロというか所々ほつれていたりする。不思議に思った高順は、悪いかな、と思いつつも聞いてみることにした。「あの、諸葛瑾さん?」「むぐっ・・・んむ。な、なんでしょう?」「さっきから思ってたんですけど、貴方って生活苦しかったりします?」「あや・・・うう。恥ずかしながら。」俯いて恥ずかしそうにする諸葛瑾。「・・・仕官してないのですか? 貴方、諸葛亮同様に仕事師だと思うのですが。」「ううう・・・それがですねえ。上手く行かなくて」「上手くいかない?」「はぅ・・・私は都で遊学していたんですが、生まれ故郷の瑯耶が戦乱に巻き込まれて、親族を失って。そこで、妹と荊州に移って来たんです。そこで水鏡老師の経営する水鏡女学院で再度修行を・・・」話を聞くと、姉妹で入学してそこで研鑽を積んでいたそうだ。資金は親の残した遺産が幾許か残っていてそれを使ってなんとか食いつないでいたらしい。「そこで、一足先に卒院できた私は、働き口を求め江東の孫堅様にお仕えしようと・・・でも」「戦で逝ってしまわれていた、と。」「はい。ならば孫策様に、と思っていたらその矢先に袁術との戦いに発展、私は寿春にいたものですから何とか生き残ろうと」ああ、そうか・・・と高順は納得した。その頃に自分が孫策の元で働くことになったのだ。寿春攻防戦でそれどころじゃなかったのだろう。生き残ることに必死だった訳だ。「戦が終わって、ようやく落ち着いたわけですけど・・・よくよく考えたら、私って孫家の方々への伝手が何も無くて。伝手が無いと、今の時勢じゃどうしようも」あうぅぅ・・・と嘆く諸葛瑾。「荊州でなら伝手があっても、新興勢力の孫家には伝手がなかった訳か。」「恥ずかしながら・・・妹は、劉備と言うお人に仕えて要職を務めているらしいのですけど、姉の私がこの体たらく。」まず伝手があるかどうか確認するべきだったと思うのだが・・・この辺のボケっぷりは、成程確かに諸葛亮に似ている。まあ、それも無理ないかな? と高順は思い直した。劉備の場合、新興勢力だったが、あそこはとにかく人手が足りない。だからこそ伝手など関係なく仕官できたのである。それは今も変わっていないだろう。孫家も同じ新興勢力だが、人材で言えばよほど劉備より恵まれている。孫堅時代なら楽に仕官できたかもしれないが、周喩やら陸遜やら呂蒙やら、割と初期からでも有能な人材が多かった。袁術を倒したことで更に人材は補強されているし、勢力強化から来る噂やら何やらで人は勝手に集まってくるし、孫策から招いた人物もいる。困っていないと言うわけではないが、恵まれた陣容になりつつあるのだ。そうなると、名声も伝手もない諸葛瑾では士官の口が無い。そうなると・・・「うーん。遊学って事は、学問を修めていたって事だよね。」「はい。左氏春秋などを諳んじるくらいは。ただ、私は戦術の才能が無いのか・・・上手く応用するというのが苦手なんです。妹と盤上遊技(囲碁)をやっても、勝った事ないですし。裏方くらいしか出来る仕事は無いと思うんです」孫堅の生きていた時代なら確実に重宝されていただろうに、と思うのだが、この辺りの性格も正史寄りか、と高順は唸った。しかし、それはあまり問題でないように思える。臨機応変が出来ないと素直に白状し、自分の得手不得手をきっちりと自覚している。表で華々しく戦う武官ではなく、裏方としてそれを支える文官。こういう人が、武官が何らの心配せず全力で戦える状況を作り出し、平和になっていく時代を牽引するのだろう。今の孫家に足りない人材だな、と思う。いや・・・むしろ、孫策・孫権、といったほうが良いのか。高順は目を閉じ、じっと考えた。「・・・? あの、高順様?」呼びかける諸葛瑾の声にも応えず、考え、考え抜いて、高順は決断した。登城するのは本気で嫌だけど・・・面倒、見るとするか。後日、高順は諸葛瑾を孫策・・・というより、むしろ孫権に諸葛瑾を推挙した。この世界の孫権が後年ボケるかどうか知らないが、そうなったらそれを押し留める為の布石にもなる。孫権は呂蒙や陸遜らにあれこれと教えを受けているが、この両者もまだまだ忙しく中々時間を割いてもらえない。二人が悪いわけはで無いのだが、やはり少しばかりの不満が孫権にはあったようだ。謁見の席で諸葛瑾を一目で気に入った孫権だが、彼女の事を「できる」と即見抜いたようだ。高順が孫策ではなく自分に推挙した、という事も併せて大喜びであった。また、高順は諸葛瑾の友人でもあり、同じく働き口を探していた張承を同時に推挙。こちらは武官としての才能があり、これもまた孫権は喜んでいる。推挙された二人は延々恐縮し、高順にも孫権にもお礼を言い続けていた。甘寧は甘寧で最初は不満だったようだが、これから後、自分に無い才能を孫権の為に最大限に発揮しようとする諸葛瑾らの姿と努力を見て、次第に打ち解けて言ったようだ。これから数十年後、諸葛瑾らは高位へ昇るのだが「私が今この地位にあるのは孫権様の、ここに居られるのは高順様のおかげです」と幾度も思い返すように言い続けていたとか。話を戻すと、孫策が今すぐどうにかなるかは不明なものの、もし不測の事態(正史における暗殺)が起これば、孫家譜代の武将、そこに加えて呂蒙・周泰等は問題ないだろう。だから、と言うわけではないが、既に登用されていた歩騭(ほしつ)と厳畯(げんしゅん)を孫権付きに出来ないか、と孫策に持ちかけている。その理由はそれほど大したことはない。疑問に思っていた事でもあったのだが、孫権付きの武将は甘寧だけ、というのが少し不安だった。甘寧に不安があるわけではなく、次期孫家の後継者に付いている文武の官が少なすぎることを気にかけていただけだ。孫権に心服し、懸命に使える武将が少ないというのは威信の問題である。暗殺が起こるかどうかは判らないが、それが現実に起こると他の新参武将が孫権を見放してしまいかねない可能性がある。そうなる前に有能な武将を、孫権への忠義第一の臣とするべきでは・・・と、それとなく言ってみたのである。この辺は周喩や陸遜、孫策本人も危惧していたことだが、誰を付けるべきか、ということでも悩んでいたらしい。当然、高順を快く思わない連中(前回言及された孫暠ら反孫策派)が「一家臣の分際で偉そうに」と言い出すのだが、高順はこれに「こんな解りきった事、お前らが最初に言ってしかるべきだろう。主君には言わないの俺に対してはグダグダ抜かすのか!」と言い返す。いつも傍近くいる家臣のお前らが最初に言うべき事じゃねーか! と怒鳴りさえした。孫策は「落ち着きなさいよ、高順。あんたの言ってることは全面的に正しいけどさ。」と宥めて高順も引き下がったが、怒り心頭だったらしい。そのまま踵を返して退室してしまった。孫策はこれには怒らず「困ったわねぇ・・・彼を軽んじたら馬騰殿に何と言われるか」と苦笑、周喩を呼んで歩騭と厳畯の人となり・能力を問うている。周喩曰く「歩騭は軍政に通じ優秀だが経験が足りない。厳畯は軍事は苦手だが政に明るい。蜀攻略を担う孫権殿につけるなら・・・良い経験となり孫権殿の力にもなるだろう」という事だった。しかし、と周喩は意外そうだ。「高順がそこまで気にかけているとはな。孫権殿も高順を気に入っているようだし・・・蜀攻略で組ませるというのも上手く行くやもしれん。」「そりゃ、蜀攻略の上司の下に有力な武将がいるかどうか、っていうのは気にかけるでしょうよ。」一考の余地はあるかもねー、と孫策は考えてみることにした。これと同時期、北荊州をほぼ手中にした劉備は、南荊州の劉琮と小競り合いを繰り返している。この戦いは張飛・華雄・陳到・龐統を前面に押し出して戦っている劉備側の方が優勢である。守りは劉備・諸葛亮・関羽だが、これらは曹操の北方への備えである。南荊州の主力として、張飛らに対抗しうる武将が文聘(ぶんぺい)と、力不足の感はあるものの劉表の甥である劉磐(りゅうばん)くらいしかいないのも理由である。しかし、ここで劉琮は「劉備に負けて荊州を失うくらいなら」と曹操の元へと密使を送り「劉備を追い出してください。その条件として荊州は貴方に降伏します。」といっそ曹操に全てを委ねる策に出たのである。さて、こうなると困るのは劉備、そして意外にも曹操である。劉備は二正面作戦を行う戦力が無いから、という理由だが、曹操の場合はもう少しだけ時間が欲しいという事情だ。先の馬騰戦での傷が癒えたとは言いがたいし、何より夏侯淵が「南征に行くのならば自分も連れて行って欲しい」という手紙を以前から送ってきている。というのも、西涼を制した西羌との小競り合いで、幾度と無く勝利した成果があって小康状態、やる気満々で赴任したのに早くもやる事が少なくなっている。夏侯淵の気持ちも判らないではないが、曹操も彼女の武勇に期待しての人事だ。と思ったら期待以上のことをやってくれて折角の配置が微妙に意味の無い状態となってしまっていたからだ。舌の根が乾かぬうちに、ではないがそう簡単に交代と言うわけにも行かない。交代を認めたとして後任に誰が就くのか? という問題もある。小康状態なだけで、どう状況が動くかなど判った物ではない。それに、後1人軍師が欲しい、という要請もあった。軍師として夏侯淵を支えるのは張既だが、彼の能力に不満があるわけではなく、むしろ有能であると夏侯淵も絶賛していた。が、作戦立案や純粋な戦術能力は少し不足しているらしい。政治能力や調整能力は素晴らしいだけに、そこが残念だ、とも。その不足を補える人物はいないものか、という相談である。程昱、郭嘉、荀彧など補うどころではない能力を持った人々はいるが、彼女たちは都の仕事が忙しく、役割を変われる者など居ない。何より程昱、郭嘉は南征に連れて行くし、荀彧は留守役として守りを固めてもらうのが常だ。秋蘭の代わりに西羌に当てる武将、張既の不足を補える軍師、ねぇ・・・心当たりが無いでもないけど、と曹操は悩んでいた。執務室で「どうしたものかしらね・・・」と考える曹操。そんな時、運が良いのか悪いのか。「おーい、華琳ー。入るぞー・・・」と、書簡やら木簡やらを大量に載せたお盆を持った公孫賛が入室してきた。「ぐぬぬぬっ・・・おも、重いぃ・・・」「・・・また、えらい量になってるわね。何よこれ?」曹操の机の上に盆を「どずっ!」と置いた公孫賛はその場で溜息を尽きつつ崩れ落ちた。「ぜはー、ぜはー・・・お前の大好きな春蘭のおかげでなぁ・・・なんでこんな間違いが多いんだ、あいつは?」「・・・ああ。そういう事。道理でこの頃字が綺麗になったなぁ、とか間違いが少なくなったなと思ってたのだけど。貴方だったのね?」「あーそうだ。秋蘭がいないせいで全~~~部! 私に回って来るんだよ! 「白蓮ーーー・・・」って泣きついて来るんだ、堪ったもんじゃないぞ、ホント・・・」「とりあえず、座りなさいよ?」「あー・・・」曹操が座っている机の傍にある椅子にどっかりと座る公孫賛は、もう嫌・・・とばかりに再度溜息をついた。夏侯惇は、はっきり言って書類仕事が大の苦手である。だが、将軍職としてそういった仕事をしない訳にはいかない。その為、妹の夏侯淵があれこれと手伝ったりしていたのだが、今はその夏侯淵がいない。となると、夏侯惇としては頼れる人が公孫賛意外にいない、という事だ。夏侯惇と仲の良い典韋も同じく書類仕事が苦手なので、全てのお鉢が公孫賛へと回ってくる。「やってもやっても終わらねええええっ」状態なのだ。「私の仕事だけじゃなくて春蘭とかの仕事まで回ってくる・・・休む暇が、なぃぃ・・・」「断ればいいじゃないの。」「捨てられた子犬とか子猫のような目で見つめて来るんだぞ?」「・・・・・・・・・。」遠くを見つめる公孫賛。夏侯惇がそんな目をするのを想像した曹操は「確かに、断れないかもね・・・」と、遠い所を見つめるのであった。書簡を見ながらも、曹操は悩んでいた。荊州が小さな被害で手に入ることを思えば、やはり兵を出すべきで、しかし夏侯淵の希望を聞いてやらないわけにも行かない。静かに腕を撫している、というのは夏侯淵の望むところではないし、この辺りは姉に良く似ている。苦楽を共にした功臣であり、此度の南征の最後の目的は孫家となる。西涼以上の華々しい会戦となるだろう。彼女の代わりになるような武将など、そうはいない。いや、目の前にいるのだが。夏侯惇が公孫賛に頼りっぱなし、というのは良くないし・・・少し引き離してみるか。それに、だ。公孫賛は攻撃戦闘を得意としつつも防衛戦も得意と言う、他にはない汎用性がある。最初に送り込むべきだったのかも、と反省しつつも曹操は話を切り出した。「ねえ、白蓮。」「ん? 何だよ?」「この地獄から解放されたい?」「ぜひお願いします!」即答に「ぷっ」と噴出しつつ、曹操は言い続けた。「北平の政務を今見ているのは沮授だったわね?」「そうだけど・・・おい、引き抜きは止めてくれよ」「違うわよ。その沮授以外に官吏はいる? いるとして、沮授無しでどれくらいの割合で北平の治世を維持できそう?」「沮授以外だと関靖かな。沮授無しだと・・・んー。」ちょっと迷ってから、公孫賛は6か7割くらいか。と応える。沮授と比べられては関靖が可哀想な気もするが、関靖が無能なわけではない。「6か7ね、そう悪くないわ。あと、高覧と張郃以外の武将はいるのよね? もし付近で賊が横行していたら討伐できる?」曹操は高覧・張郃の実力を高く評価している。さすがに韓遂相手では分が悪すぎた(夏侯惇ですら正攻法では勝てなかった)が、規格外の存在以外であれば彼らに勝てるような武将は多くない。公孫賛も北方の烏丸相手に共に戦い抜いた家臣たちのことを思い浮かべ、指を折りながら数える。「質問が多いなぁ。ええと、武将ならそこそこいるぞ。親族の越と範。単経、田楷、鄒丹。この中だと田楷が一番優れてるな。賊討伐くらいなら楽にこなせる連中だけど・・・なんだよ、やっぱ引き抜くつもりなのか!?」「しないって言ってるでしょう。・・・ふん、これなら大丈夫ね。・・・白蓮!」「ひゅいっ!? な、何だよ、急に大声出して」「貴方と張郃・高覧。そして北平の沮授を呼び寄せなさい。貴方達には長安に赴任してもらうわ。代行として秋蘭の代わりに頑張ってね? あ、拒否権など無いわ。沮授がここに来るまでに準備をしなさい」「え?」・・・。こんな事情で、長安の太守は早くも交代、公孫賛が代行として赴任することになってしまった。なんでこんな事になるのかなぁ・・・と泣きそうな公孫賛であったが、拒否権の無い命令であればどうにもしようがない。沮授が来るまで待ち、素直に長安に向かって夏侯淵からの引継ぎなどを終え、そして別れ際に少しだけ二人きりで話せる時間があった。自分のわがままで長安に赴任させられた公孫賛に、夏侯淵は「すまん」と謝罪して、更に「お前なら大丈夫だ」と激励を受けた。「別に怒ってはないけどさ。私なんかで大丈夫なのかなぁ」「当然だ。華琳様はな、白馬義従を率いて烏丸との戦いで活躍したお前をきっちり評価してるんだぞ?」「でもさぁ、私って周りに比べて秀でた所が無いし・・・不安だ・・・」両手の人差し指をツンツンと合わせていじける公孫賛。だが、夏侯淵はそれを笑い飛ばす。「ふふっ。白蓮。そこがお前の良い所なんだ。」「へ?」「むしろ、お前のような性格の人間が上にいる方が良いのさ。考えても見ろ、姉者が同じ立場で赴任してきたら、下の立場の者はどう思う。」「・・・。うわ、すっごい不安だ・・・」「うむ。私とて同じさ。冷静でいるつもりでも、どこか熱くなりがちだからな。自分の強さを過信して深追いしかねない。そこを行くとお前は違う。華琳様は、お前の実力を評価しているから長安に送り込んできたんだ。」「そんな事無いと思うけど。秋蘭はちゃんと冷静だし、私と違って強いし、頭も良いし・・・」マイナス思考な発言に「卑屈過ぎるぞ?」と夏侯淵は苦笑する。「自分の力量を普通だと、周りに比べれば足りないと理解してその上で行動できる・・・我が陣営にはそういう手合いが余りに少ない。皆が皆優秀だからそこを過信してしまいがちだ。それにな、お前の統率力・武力は優秀な部類だ。自信を持ったほうが良い」「そうかなぁ・・・」「そうだとも・・・はは。お前はどこか高順に似ているよ。」「高順? また懐かしい名前だ・・・元気にしてるのかな、あいつ。」余りの忙しさに、忘れていた、と公孫賛は少し反省した。趙雲やあの3人娘、華雄達・・・皆元気でやってるだろうか。「さぁ。その高順を攻撃したのが私達だから、心配をする資格は無いのだが、な。自分自身が思うより断然能力が高いのに、何故か自分に自信を持てない。それでいて、人を使い、或いは使われる能力がある。・・・おかしなものだよ」私のわがままに付き合ってくれたお礼、いつかするからな。また酒でも呑もう。と夏侯淵は公孫賛の肩を優しく叩いて、鄴へと向かっていく。「・・・本当、わがままだよな。振り回されるこっちの身にもなれって。」そんな友人の後姿を見送り、公孫賛は一人ごちるのであった。~~~楽屋裏~~~なんで即興で思いついた話を話しにねじ込んでしまうのだろう、あいつです。(挨拶いやぁ、花粉症→一日中寒い風に当たりつつ仕事→風邪 のコンボは強敵でしたね・・・2日寝込んで有給無駄にするわ熱が収まらないわ・・・ムギグググなんかよく判りませんが、この話に更に別の作品が混じってカオスになる夢を見ました。あれは・・・きつかった・・・(遠さて、今回のお話。寿春的日常? ですが・・・いや、諸葛瑾さんとか出てくる予定無かったんですよ!? 気がついたら居ただけです(ぁまあ、原作でも「諸葛亮が出て何で諸葛瑾出ないんだよ」くらいは思ってますけどねえ。諸葛瑾さんで思い出しましたが、もう1人有名な諸葛姓として諸葛誕がいますね。他にも諸葛緒とか格とか喬とかいますけど・・・この中では格が一番有名か?諸葛誕は魏に仕えて頭角を現し、最終的に破滅してしまいましたけど。「蜀(諸葛亮)は其の竜を得、呉(諸葛瑾)は其の虎を得、 魏(諸葛誕)は其の狗を得た」という狗評価で割りとボロクソですが、無双6で出てきて「俺得じゃああああ」と大喜びした記憶があります(諸葛誕大好きしかし、諸葛家の本流は誰にあったのでしょうね。どうも諸葛誕っぽいですけど・・・。そうなると、父祖の地である瑯耶に残った諸葛誕に一番孝徳があり、その地を離れた諸葛瑾、その兄にすら付いて行かなかった諸葛亮・・・孝徳と評価が真っ向というか真逆と言うか。面白い評価です。しかし、評価・孝徳関係無く、皆能力のある方々なのだと思います。次数埋めに「劉備が曹操に敵対した理由って何だろう?」とか訳のわからないことを書こうとしましたが寒いので止めます(何でも、本当によく判らないんだよなぁ、これ・・・さて、PSPのFF4でもやるか。やっと外伝シナリオじゃああああ(ゲーム漬