今から少し前。
海軍はとある船を襲撃し拿捕した。
拿捕された船は海賊船ではかったが、
海賊行為と同等または、それ以上の悪魔的所行を成すための船だという。
乗組員の激しい抵抗もあり、拿捕した船の乗組員三十三名が死亡。
そして生き残った一名を捕縛した。
だが罪人は海軍の牢獄から脱獄する。
罪人の捕縛を担当した将校の手引きだった。
海軍基地は一時騒然となり、
再度捕縛を試みるも将校の妨害により失敗。
罪人は海へと海軍の船を奪い逃走した。
第七話 「血筋」
最近、ロビンがいつにもまして真剣に分厚い本をを読んでいるなと思ったら、
なんと博士号の試験を受けるらしい。
わずか八歳での博士号試験と言うことで図書館内はどこか浮ついたような空気だ。
母さんはもちろんクローバーや図書館の職員の人達もロビンを応援している。
もちろんオレも応援する。
八歳での博士号試験への挑戦はどう考えても異例だろう。
ロビン本人に聞いてみても記念受験とかではなくて、
試験に受かる気満々だった。
オレはロビンが凄い事は知っていたが、
今一その凄さの意味が解っていなかった。
なので母さんにロビンについて聞いてみたところ、その凄さを思い知った。
ロビンが受けようとしている博士号の試験は
考古学者と正式に名乗るためのものらしく。
受かれば母さん達と机を並べて研究が出来るレベルだそうだ。
オハラでの優秀な研究員である母さんですらも
合格したのは二度目で十八の時だったらしい。
母さんはロビンなら間違いなく合格出来るとも言っていた。
ロビン………すげぇ。
そうだとすれば最近のロビンの勉強に対する打ち込みようにも頷ける。
夜になっても時々、図書館に向かって勉強をしに行くくらいだ。
母さんも最近帰りが遅いとこを見ると、
図書館に残ってロビンの勉強でも見てるんだろう。
ロビンも母さんも頑張ってる事だし、
オレも訓練に気合いでもいれようかね………。
天才
ロビンのことを言い表すのにこれほど的確な言葉もないだろう。
母に似て幼くして優秀な学者の素質を秘めている聡明な子供。
だが、それ故に、
同じ禁忌に強く心引かれたのかもしれない。
ロビンには知りたいことがあった。
考古学について学ぶ内に見えてきた、
百年にも及ぶ空白の歴史。
でも何故か、コレを調べる事は世界の法で禁止されているらしい。
図書館の職員に聞いてもクローバーはもちろん、
力になってくれると思っていたシルファーにまで調べることを禁止された。
だか、ロビンには納得出来ない。
ロビンは知ってしまったのだ。
夜遅くに図書館の職員達が地下の隠し部屋で
自分が禁止された研究をしていたのだ。
そのなかには、クローバーにシルファーの姿もあった。
なぜ自分だけ仲間外れにされるのか………
ロビンは空白の百年が調べられないのは自分が考古学者じゃないからだと考えた。
そして、博士号の試験は行われる。
ロビンはそこで誰もが認める天才ぶりを発揮し
満点合格での博士号突破を果たした。
脱獄した囚人は舵を切る。
船首の向かう先は西の海オハラ。
考古学の聖地として有名な土地。
罪人の心中には様々な思いが渦巻く。
その中で最も強いのは六年前に故郷へと置いてきた愛しい娘のことだ。
今更母親と呼ばれる資格なんて在るはずもなかった。
親しい友人へと預けた愛娘。
例え、もう二度と会うことが無くても
……ただ、元気でいてほしいと願った。
罪人は故郷へと向かう。
故郷には危険が迫っていた。
政府は尻尾を掴んだのだ。
それをやすやすと離すわけがない。
罪人を乗せた船は最大速度で海を渡る。
あとがき
今回は少し短いと思います、すいません。
次から本編突入です。
気合を入れてがんばります。
感想版に書き込みをして下さった方々
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誤字の方修正いたしましたありがとうございます。