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No.10476の一覧
[0] ファンタジー世界で剣とか作ってます。[流星](2009/07/26 11:47)
[1] 原付とイノシシと母親[流星](2009/07/22 10:06)
[2] 冒険者とアンデッド[流星](2009/07/22 10:25)
[3] ジジイとネクロマンサー[流星](2009/07/26 11:54)
[4] 妹と魔法[流星](2009/07/26 11:58)
[5] 店番とエルフ[流星](2009/07/26 16:32)
[6] 盗品と母様[流星](2009/07/26 16:07)
[7] エルフと師匠[流星](2009/08/02 11:45)
[8] 米と異世界[流星](2009/08/08 10:01)
[9] 番外編  リーラの一日[流星](2009/08/08 12:06)
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[10476] 原付とイノシシと母親
Name: 流星◆805304cf ID:7d0258d3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/07/22 10:06
それはバイトをしている時のことだった。
俺はいつものように二時に起きて新聞配達の仕事に出かけ、
いつものように新聞にチラシを挟み込み、いつものように愛用の原付に新聞を百部ほど積み込み、いつものように配達に出発する。
此処までは少なくともいつも通りだった。

午前五時に俺は原付にまたがって細い砂利道を走っている。
この砂利道は細いくせに片側が斜面になっておりガードレールも無いため、非常に危険な道でゆっくりと徐行運転しなければいけない。

本当はこのような危険な道をと通りたくはないところだけどこの道を使うかどうかで仕事が終わる時間が大きく変わるのだ。
それに配達時間が遅れるとお客さんから苦情の電話を受けることになる。
だからこの道を通ることにしている。
それに雪の日に斜面からすべり落ちて五メートルぐらい転がったけど無傷だったし!

まぁ、そんなことより俺にとっては昨日買ったけどまだ読んでないライトノベルのほうが重要だ。

「今回もビリビリ娘の出番なさそうだよなぁ」

ため息をつきながらつぶやく。
昨日買ったライトノベルはやたらと多い登場人物のせいで自分の好きなキャラの出番が全然無い。
しかも今回はイギリス編なので、自分の好きな電撃を使う少女の出番は全く期待できない。大体あの作品世界観広げすぎだし、作者一人じゃ終わらせられないだろ。
シェアワールドとかして欲しいよなぁ。
そうすりゃ出番が増えるのに。
正直オリジナルストーリーの漫画だけでは物足りない。
ヒロイン二、三人間引きしてもいいんじゃないか?

どこぞの魔法先生は人気で出番決めているからそれほど不満はないんだけど。
この作品に関しては是非とも何とかして欲しい。
そんなとりとめもないことを考えている時だった。

ドンッ

突然原付に乗っている俺に衝撃が走る。
斜面の反対側から俺に何かがぶつかった!?

「はぁっ!!?」

俺は原付から斜面のほうに投げ出される。
俺にぶつかって来たのはイノシシ!

「えええぇえ!?何でイノシシだよ!」

訳が分からない!
斜面を転がり落ちながら俺はふごふご言っているイノシシに疑問の声を上げる。
五メートル転がり落ちてようやく止まる。
止まると同時に斜面の上を見上げる。
俺の目に入ったのは俺と同じように転がり落ちるマイ原付と舞う新聞。
迫りくる俺の原付。
やばいと思った時にはもうすでに手遅れ。
立ち上がることさえ出来ない。
原付は俺の顔面にヒットする。

グシャッ!

何だか嫌な感じの音がした。









眼を覚ました場所は全く知らない場所だった。
………知らない天井だ。
ごめん、嘘です。
天井がありません。
青空が広がっている。

どうやら俺は誰かに抱きかかえられているようだ。
運んでくれている人の顔を見ると女の人。
髪は肩ぐらいまでで頬などは痩せていて幸薄そうだが、綺麗な人という表現が似合いそうな美人。
見たところ救急隊員の人では無いみたいだ。

誰なんだろう?
大学院にはこんな知り合いいなかったと思うし、事故現場を見つけてくれた人かな?

ふと気づく、この人でかくねぇ?
俺の身体の数倍ぐらいの体格をしているような気がする。
まぁ気のせいだろう、ちょっと頭が混乱しているのか。
まずは意識が戻ったことを知らせるべきだろう。

「おぎゃーおぎゃー」

なんだ?声がきちんと出ない。
のどを痛めるような事故ではなかったはずだが。
いくら声を出そうとしても赤ん坊のような意味のない音しか出ない。

「坊や、ごめんね。もうすぐ着くから」

女の人が俺?に向かってそう言った。
俺は自分の腕を見る。
全身を確認する。
深呼吸をする。
あれ?俺、赤ん坊じゃねぇ?
一体どういうことだ。
俺は夢でも見ているのか?

いや、五感に伝わるイメージが夢ではないことを教えてくれる。
ならばこれはどういうことだ?
「転生」そのような言葉が俺の頭に浮かんだ。
あぁ、俺死んだのか。

割とあっさり俺はそれを受け入れることが出来た。
死ぬ瞬間を見ることが出来たからだろう。

俺ってイノシシに殺されたのか。
何だろう、凄く恥ずかしい気がする。
現代日本でイノシシに殺される人っているのかな。
ニュースに出るかもしれない。
初めて出演するテレビがこれかぁ、きついなぁ。

それに家にあるエロゲー処分してねぇよ。
一人暮らしだからって、オタク趣味にしている部屋がまずいよ。
隠れオタクをしていたのに、部屋を見られたらばればれだ。
妹あたりには罵られてそうだ。

もう死んだから関係ないはずなのに、前世のことばかり気になるなぁ。
この母親?が日本語を話しているから此処は日本なんだろうし機会があれば実家を確認することにするか。

そんなことを考えているうちに、母親の目的地に着いたようだ。
何故か地面に降ろされる。
地べたに赤ん坊を置くのはどうかと思う。

「ごめんね坊や。ごめんね坊や…」

母親は泣きながらしきりに謝ってくる。
そりゃあ地面に降ろされるのはどうかと思うけど、そこまで気にするなよ。
ふと目的地の建物を見る。
教会。
あれっ、これってもしかして。

「ごめんね坊や。強く生きてね…」

ちょっ、えぇっ!
俺、捨てられるの!?
生まれ変わっていきなりなんだよそれ。
ありえないだろそれ!
母親は俺を置いて立ち去ろうとしていた。

「おぎゃー!!!おぎゃー!!!おぎゃー!!!」

俺は必死に泣き叫ぶ。
いきなりなんだよそれ、子供捨てんなよ!

「ごめんね」

そう言って、女の人は走り去って行った。
ピューッと風が吹き、砂ぼこりを巻き上げた。





あとがき
この主人公の死に方ですが、実体験を複数組み合わせて決めました。
以前バイトで新聞配達をしていたのですが、作中で出てきたような道を毎日通っていました。
雪の日に転がり落ちたのも実体験です。
イノシシについては、私と同じように新聞奨学生をしていた人が仕事をしているときに追いかけられたことがあるそうです。

一応今回の話は、プロローグということで短めでした。
現時点では、ファンタジー要素がありませんが次回からはある予定です。
なるべく定期的に更新できるようにがんばりたいと思います。


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