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No.10424の一覧
[0] 【ネタ】第97管理外世界は恐ろしい所一度はおいで(リリなのクロス)[いそはち](2009/07/19 22:37)
[1] 第一回終焉の銀河編 前編(×第三次SRWα)[いそはち](2010/04/29 01:40)
[2] 第一回終焉の銀河編 中編 間幕[いそはち](2010/04/29 01:53)
[3] 第一回終焉の銀河編 後編1[いそはち](2010/05/05 23:04)
[4] 第一回終焉の銀河編 後編2[いそはち](2010/05/05 23:15)
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[10424] 第一回終焉の銀河編 中編 間幕
Name: いそはち◆69bb7263 ID:61cb70b4 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/29 01:53
【次元航行艦アースラ  第124管理世界衛星軌道宙域】







「以上がこの世界第97管理外世界に置けるここ数年の情勢になっております……ホント冗談見たいな世界ですよねぇ……あ、あはは」


 エイミィ・リミエッタは報告書を読み上げた後乾いた笑いを声に乗せ、何とか取り繕おうと笑顔を浮かべようとしたがその試みは失敗を喫し、表情はどこかぎこちない。
 
 時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンは椅子に座ったまま口をだらしなく開け、痴呆の様に天井を虚ろな表情で見上げていた。同じく当艦の艦長でもあり、クロノ執務官の母でもある
リンディ・ハラオウン提督も机に突っ伏したまま動かない、時々ピクピク動いているのが何故か哀愁を誘う。

 ハラオウン親子はエイミィより今現在から過去に遡る事数年の地球に起こった出来事に対しての報告を受けていた。
 地球に起こった事変、パルマー戦役、イージス計画、封印戦争、そして現在全銀河を巻き込んだ戦乱。あまりな荒唐無稽さに脳が現実逃避を開始したとしても仕方がないだろう。

 97管理外世界地球、アースラクルー達は身をもってこの世界の異常性を感じた、流石に人類補完計画に巻き込まれて自分の形を失った者達も居るのだから当然の事だろう。

 そこでクルー一同は地球の調査つまり現在の地球圏の現状、人型機動兵器の情報、コロニー等の各勢力等を調べ上げアースラの会議室で各員が調べた事を報告ているのだが。
 初っぱなエイミィの報告により……宇宙人の存在を確認(クロノ茶を吹く)それも多数、続いて時間移動(リンディ机に頭を打ち付ける)、力業の極致とも言って良いイージス計画
(ハラオウン親子、最初に表記した状態になる)Etc.Etcいくら海の精鋭ハラオウン提督といっても脳の許容量を軽くオーバーしていた。


「宜しいでしょうか?」


 そこで新たに各勢力の調査をしていたクルーが立ち上がる、リンディ提督が許可を与えるとクルーの一人(最近娘が反抗期)は何か悟りきった表情でなぜかやけくそ気味に
報告を開始する。


「ハラオウン提督、ハラオウン執務官、こちらが現在97管理外世界に残っている勢力と、我々時空管理局の戦力差を大まかに纏めてみたものです。
なお予め言っておきますが各勢力の情報は我々が拾える部分だけ、つまり機密に関するような兵装に関しては入っておりません。
つまり現実はこれから読み上げる数字より厳しいものになります……気を確り持ってくださいね」


 ゴクリ、何故か会議室は凪いだ海の様に喧噪がピタリと止む。


「我々時空管理局の全戦力を10としますと、ゼ・バルマリディ帝国250、バッフクラン350、STMC宇宙怪獣800、地球連邦及び周辺組織は最低170、
余りにもブラックボックスや機密の多い機体、正直理論が全く分からない兵器やエネルギーが多すぎて最高値は計測不能です」


「質量兵器調査担当官であります!その件に関してこちらから補足させていただきます、97管理外世界で建造された兵器、得に特機やスーパーロボットと呼ばれる機体に関しての報告でありますが、方向性がバラバラ、装甲、動力、マシンインターフェイス総てに置いて共通項が見当たりません、得に勇気や野生が原動力とかもう私の理解の範囲外です!さらに!さらにですよ!」


 質量兵器担当官はヒートアップして三体の人型兵器の画像を空中に投影させる。


「この制止画は先日の巨大な女性の人型と戦闘行為を行っていた部隊『αナンバーズ』に所属している機体でありまして。先日の記録映像から注出したものですがこの三体の機体、右の映し出されていますのが『真ゲッター』中央が『イデオン』左が『ライディーン』とういう機体なのらしいのですが……先日の戦闘を分析した結果、この三体のエネルギー係数が無限を指しました……この様な理由から地球連邦の総戦力が推し量れません!どうすれば良いでしょうか?提督、私もういっぱいいっぱいなんですが、精神的に」


 ここ数日いろんな事が有りすぎて精神的に追い詰められていたクルーは余りにも弱り切っていた。なぜならこの世界の今は数が減っているが過去現在含めて存在もしくは存在した過半数に及ぶ勢力が時空管理局よりも人員、軍事力などを大幅に上回る。

 特別な資質を必要としない機動兵器のパイロットとリンカーコアを持たないと主戦力たり得ない魔導師、それぞれの主な兵員動員の難易度にとてつもない開きがある。その上たとえSSSランクの魔導師だとしても、特機やスーパーロボットに対抗できるか?と聞かれれば「無理(笑)」と言うしかない、星を砕き、次元を切り裂き、因果律すら操るような機体まで居ては魔導師ではとても太刀打ち出来ない。いくら魔導師とはいえ人間である、プロトデビルン程のポテンシャルは無い、いくらなんでも無理であろう。

 時空管理局に高度な質量兵器を持つ世界と対した時のマニュアルは有る事は有るのだが、自分達を歯牙にもかけない力(軍事力)を持った世界に対するマニュアルなど無かった。これは何処かで自分達が質量兵器を棄て魔導を選んだ事に絶対的な自信を持っており、魔導技術に勝る科学技術など無いと根拠の無い確信を持っていた為だと思われる。

 力の種類に優劣など有りはしないし力は力でしか無いというのに。このような自分達の常識をことごとく打ち砕くこの世界そのものにクルー一同心底まいっていた。


「なぜPT事件の時に僕達はこの世界の異常性に気が付かなかったんだ……」


「うんとねクロノ君、あの時期は封印戦争の最終段階で殆どの勢力の軍事行動は成り潜めるか、水面下に潜っちゃってたから」


「それに私達時空管理局は事、管理外世界に対して認識が甘いって証拠ね……この世界出身のグレアム提督に宇宙人や人型の機動兵器の事を聞いたのだけど全く知らないって仰ってね、提督も驚いていたわ。この世界出身の提督ですらこうですもの、改めなければいけないわね」


 クロノ、エイミィ、リンディは落ち着きを取り戻す様にお茶を啜りながら話を交わすが、何時も通りのあま~いお茶に何の文句も出ないクロノ、エイミィが相当テンパっているの事が推察出来る。

 ギル・グレアム提督、第97管理外世界出身の魔導師であるが、当然ながらバルマー戦役、イージス計画の事は知っていた、しかし既に何十年と管理世界で過ごして来たためどっぷりと魔法世界の流儀に染まっていた。

 対闇の書の切り札であるデバイス、デュランダル制作のための資金繰りや、デバイスマスター探し、隠蔽工作等に忙しく、魔導兵器を搭載していない兵器など大した事はなかろうと半ばスルーしていた、これは地球在住当時の地球の技術力レベルを知っていた事もギル・グレアムにとっては不幸だったろう、恐るべき短期間で技術を発展させる事など普通は想像出来ない。

 しかしグレアムが真剣にバルマー戦役に付いて調べていれば、また変わった歴史をたどっていたかもしれない、バルマー戦役当時活躍した風の魔装機神サイバスターの必殺技、
(アカッシックレコードつまり世界の根源そのものからその存在を消去する)アカシク・バスター等、闇の書を完全に封印ないし破壊する力が地球及びその敵対勢力にはゴロゴロしていたのだ、何とも皮肉な話である。




 会議室も一段落付き、クルー一同もやや落ち着きを取り戻す、流石は海のエリート達である。本調子には程遠いが。そこに新たな人員が会議室に入室してきた。


「先日の戦いの後、地球上から上がってきたαナンバーズ周辺にばら撒いて置いたサーチャーから送られて来た映像の編集が終了しましたので、此方にお持ちしました」


「ご苦労様です」


「いえ、お気遣い無く。ですがサーチャーが戦闘の余波に捲き込まれ次々に破壊されて行ったので、場面がコロコロ変わりますがご了承下さい」


 そう言ってクルーは編集した映像を会議室の投影モニターに設置する、やがて室内が暗くなり映像が映し出された。

 始めに映し出されたのは大きな大きな宇宙に浮かぶ建造物ゲートと呼称される物である、その全面に展開している部隊は100メートルを超える巨大な機体が大多数を占めるバッフ・クラン軍、それに対するはエクセリオン級数十艦とαナンバーズ、機体の大きさの差など物ともせずバルキリー編隊を筆頭にαナンバーズは突撃していく。

「此方の建造物はゲートと呼ばれる建造物で、全くの謎の建造物であり空間と空間を繋げる機構を持っているとされているようです。なお地球側のこの青い戦艦は全長七キロの巨大艦であり、数千艦が配備されているらしいです」

 その報告に誰かが息を呑む、映像は進む。

 MS、PT、特機、スーパーロボットが呆れるくらいの数を揃えたバッフ・クランに対して臆する事無く吶喊し正に撫で切りと言った感じで切り進んで行く。

 次々に味方の戦艦である、エクセリオン級の発射していくレーザーの射出口が背後に迫るのもお構いなしに敵に向かって少数の機体が突き進む、とんでも無い度胸と操縦技術である。

 場面が切り替わりコンバトラーVとゴーショーグンが艦上で背中合わせに見事な連携を見せながら周囲の敵を蹴散らしていく、しかし数に物をいわせたバッフ・クラン軍が二体を円状に包囲するが、艦上方より全方位に射出したイデオンによる549門16000発のミサイル全段弾発射、もちろんグレンキャノンもだ!それによって、艦上に取り付いた敵は次々に爆散していく。

 ダイターン3のダイターンジャベリン、テムジンの正確な射撃、ガイキングはがっぷり四つに組み合い、ゲッタードラゴンのサマーソルトキックがそれぞれバッフ・クランの主力兵器ガンガ・ルブの体勢を崩し一直線に配置すると鋼鉄ジーグが小さい体を物ともせず、両腕に装着されたジェットドリルによって次々に文字通り粉砕して行く。

 映像を見ているアースラクルーは知らぬ事だがバッフ・クランに一番警戒されているのはイデオンである、よって多数のガンガ・ルブが取り付きイデオンを落とそうとするが、両腕に展開された光の剣、イデオンソードにて一掃されてしまう。

 質量兵器調査官のクルーがこの光の剣のエネルギー係数が無限であると証言すると、室内が騒然となるがその驚愕も冷めぬまま場面はさらに進行していく。

 此処で映像の状況が一変する、αナンバーズとバッフ・クランの戦いにSTMC宇宙怪獣が乱入してきたのだ。
 
 次々と宇宙怪獣・兵隊(全長10M程)がαナンバーズ、バッフ・クラン見境なしに取り付き戦いは乱戦の兆しを見せる、だがここで対宇宙怪獣のスペシャリスト、ガンバスターのスーパーイナズマキックが炸裂、まるで宇宙を縦に切り裂く様に多数の敵勢力を宇宙の藻屑と化していく、これで一気にαナンバーズ側に情勢が傾いた。
 
 ここで場面は大型の宇宙怪獣、高速型(全長三キロ程)上に場面を移す、ダイモスは勢いと体重が十分に乗った飛び回し蹴りを炸裂させ、ガイキングは自身のパワーに任せ強引にねじ伏せていく、正に技と力によって二体は宇宙怪獣・兵隊を粉砕した。

 場面が再び切り替わりエクセリオン級目掛けて宇宙怪獣、上陸艇(全長500M程)が突撃してくる、円錐状な形を利用してエクセリオン級の胴体を抉り取ろうと言うのだろう。

しかしその動きを察知したαナンバーズは直ぐに反応する。まずは艦に取り付いた邪魔な兵隊を次々に落とし、ストライクガンダムを筆頭に何機かの機体が上陸艇に取り付きバーニアを目一杯吹かして、進路を強引に変更させる事に成功する。

 進路が変わり、エクセリオン級の表面装甲をはぎ取る様に突き進む上陸艇をエヴァンゲリオン初号機が受け止め、多数の敵を捲き込みながら艦上を滑っていく、そこで満を持して待ち構えていた、ジェネシック・ガオガイガーのヘルアンド・ヘブンにより真正面からすり潰されてしまう。

 めまぐるしく動く圧巻の機動性、圧倒的な破壊力。アースラクルー呑まれていた、αナンバーズと言うこの銀河最強の部隊に。

 だが心底彼らに畏怖を抱くのは続く映像であった。ゲート周辺の敵を一掃したのかゲートに突入するエクセリオン級の艦上に次々とαナンバーズの機体が降り立って行く。

そしてゲート内に突入、ゲート内に侵入した為か著しく画像が乱れ始めるが、その先に見た絶望の光景への彼らの感想が色あせる事は無かった。
 
 そこに現れたのは宇宙怪獣であった、圧倒的な数の宇宙怪獣であった。あらゆる種類の宇宙怪獣がこれでもかと空間を埋め尽くす、ぱっと見だけでも億は下らない、そのあまりな光景にアースラクルーは心底恐怖を抱いた……しかしαナンバーズは一機も欠ける事なく突撃して行ったのだ何の躊躇も無く、何億と蠢く宇宙怪獣のただ中を。


……そこで映像が乱れ途切れた。


「躊躇も無く飛び込むのか!?あれに!!彼らは負けるなんて事を微塵も考えて無いのか!なんて連中だ……」


「イカれている!!勝てる訳無いじゃないか!?あんな化け物に!あんな数に!!」

 
 なんという心の強さなのだろうとクロノは思う、振り向く事なく、涙を見せる事なく、明日を取り戻す為か、鋼の救世主(メシア)達は迷いもせずに絶望的と言ってもいい数の宇宙怪獣群に突撃していった。クロノはその背中に多大な畏怖と僅かながらの憧憬を抱いた。しかし他のクルー達は畏怖しか感じなかった、なぜあの様な絶望的な状態で戦えるのかが理解出来なかった上に次元世界には根強い質量兵器への拒否感が有るからだ。


「恐ろしいわね……」


 対してリンディはそれを超える畏怖を覚える、この世界の地球人類は戦いという事に関して他の追従を許さない。この世界の地球人の最も恐れるべき所は、強力な質量兵器も、ましてや魔力などではなくその順応性と応用力と貪欲性だ。

 EOTと呼ばれる異星の技術が有ったとはいえ高々数年でそのテクノロジーを理解し応用し、全ての原理が分かって居ないテクノロジーですら取り敢えず使える用にしてしまう、更にはあれもこれもと取り敢えず使える物は何でも使うという姿勢、そして今では銀河でも有数の列強と成っている。

 更にリンディはまだ知らぬ事だが、地球人類にはニュータイプ、サイコドライバーを筆頭にした念動力者、極めつけはエヴォリューダー等の決して戦いの為に生まれた存在では無いのに、余りにも戦闘に特化した能力者が数多く先天的、後天的に関わらず生まれている。BF団の十傑集の様な人間も存在している事を追記しておくが……

 完全に余談だが高町なのはの父、兄、姉は相当な人外レベルの達人である。
 永全不動八門とは日本宮内庁直属の裏組織で昔から裏社会で仕事をしていたがこの世界の裏の人間は相当人間離れしている、自然とそれに対する人間もそれ相応の力を持つ事になり、永全不動八門一派で在った御神、不破は近年、BF団の十傑集とドンパチやっていた事も有る位である。

(この世界の人類が次元航行艦を手に入れたら、一年以内に実用化してくるでしょうね……)

 リンディは己の想像に全身を震わせた。

「なお現在地球、及び地球圏に置いてどこからともなく、隕石群が召喚?もしくは空間転移等の方法を使って降り注いでいます、何故か調査をしても何処から飛ばされている

のかは座標が特定出来ませんでした……原因は不明です。よって第97管理外世界には近づかない方が賢明でしょう」

 自分達の持つ技術や能力がことごとく通用しないこの世界にクルー一同はそろって溜息を吐いた。




 暫くの間クルー一同は動揺から抜け出せなかったが、30分もすればどうにか心身に折り合いを付けそれぞれ着席する。今回話合う議題は今後この世界とどう付き合って行くのかの結論を出すためなのである。

 一同を見回しリンディが立ち上がると口を開く。


「第97管理外世界に対する私達の採るべき姿勢は……不干渉です」

「……妥当な判断だと僕は思います、この世界と関わりを持つのは危険すぎる!!」

 ハラオウン親子は近年稀に見るスピード採決で地球に対し不干渉を決定し、クルー一同も同意を示した。

 当然であろう、この世界の内情が公に成ってしまえば、MS、PT等の人型機動兵器が明るみになり数々の犯罪者がこれらを手に事件を起こせばその被害は、人員、人命、被害額、その総てがうなぎ登りになる、万年人手不足の時空管理局では対処仕切れなくなってしまうだろう。

 繰り返す事になるが、一般的なPT、MS、バルキリーに搭乗するためにある程度の訓練は必要だろうが、特別な資質は何も要らない、先述したPT、MS、バルキリー等は地球では一兵器に過ぎない。金銭を積めば蛇の道は蛇、ある程度の機体は手に入れる事が出来るだろう。最も特別な資質が必要なカスタム機やワンオフ機、特機やスーパーロボット等は金銭では手に入れられないだろうが、魔導師ならば強奪は出来るかもしれない。

 つまり機動兵器の数を揃える方が魔導師の数を揃えるより現実的であり、何よりそれなりの破壊力を持つ魔導師ランクに左右されない均一化した戦力が用意出来る事が最もな脅威となる。

 そうなれば次元世界の治安はもうどうしようも無い無法地帯と化してしまうであろう。

「提督、僕はこの世界に対し干渉禁止世界指定要請を本局評議会に提出するべきだと思います」

「なっ!…………いえ、そうね妥当な考えかもしれないわね。
時空管理局開局以来初になる干渉禁止世界指定要請を私が提出する事になるなんて、思いもしなかったわ……」

 干渉禁止世界指定とは対象となる世界がただ存在するだけで、次元世界が多大な不利益に見舞われる場合に執行される指定である。この指定が施行された世界は、管理局内

部にある情報データベースより削除、始めから無かったことにされ、その世界の存在その物がSSSクラスの機密に指定されるのである。

この指定を施行する事は、対象の世界に対しての管理能力が管理局には無いとする、次元世界の平和と法を管理すると云う時空管理局の事実上の敗北を意味するので開局以来

一度もこの指定が施行される事は無かった。

(それに何より、この世界は私達が嘗て危険だと棄てた質量兵器の力によって絶望をはね除け、平和を手にしようとしている。
私達がクリーンな力と用いている魔法という力では無く。
力は力でしかなく魔法だろうが質量兵器だろうが平和を手に入れる事が出来る、この事実を建前上管理局は認める訳にはいかないでしょうね、かといって質量兵器の封印を彼

らに求めれば、この世界にとっては正に『世界を救った力』棄てる筈もないし、あまつさえ管理局という共通の敵に対して、この世界総ての勢力が嘗て無い纏まりを見せて敵対してきたら……)

「……ぞっとしないわね。
第97管理外世界、いえ禁止指定が施行されれば、第一級干渉禁止世界か……本当に恐ろしい世界ね」

 リンディ・ハラオウンの呟きは誰にも聞かれる事無く消えていった。







  【地球 日本海鳴市 八神家】



「「「……………………」」」


「ギガすげぇ!!特にこのガオガイガーってのはドリルといい、ハンマーといい、半端じゃなく格好ぇ!なぁはやて?」


「そやろ?αナンバーズは地球のヒーローやからな!……でもヴィータ、勇者王より魔神皇帝のが格好いいやろ?そうやな?」


 αナンバーズの戦闘映像『はやてちゃんスペシャル』を見ながら、はやてとヴィータは盛り上がっていた。


 他のヴォルケンリッターの面子は現実を中々受け入れられず唖然としていたが。


 地球の子供達の間でヒーロー物のフィクションや特撮物は余り受けが良くない、何故なら地球を何度も救っている本物のヒーロー集団が現実に存在しているからである。
 つまりαナンバーズは地球の子供達の間では正に文字通りヒーローなのだ、特に日本は数多くのスーパーロボットの本拠地が有り、その傾向が強い。


「え~?ガオガイガーの方がイカしてるぜ、マジンカイザーってのは何か怖ぇし」


「なんやと!?勇者王の方が遙かに強面やないかい!」


 αナンバーズの中でも日本の子供達に人気が高いスーパーロボットは日本国内で活動をしている物が多い、故に実際に目にした事がある子供も多数居る、子供達が夢中になるのも仕方のない事であろう。

 子供達の間でも派閥等が有る位で、はやてのお気に入りは魔神皇帝、マジンガー党カイザー派でありヴィータはこのまま行けば勇者党ガオガイガー派になるだろう。

 ちなみに高町なのはは、ゲッター党真ゲッター派に属している。


(((どっちも強面だろう?(でしょう?) )))

 シグナム、シャマル、ザフィーラは胸中で一斉にハモった。


 少し時を巻き戻す。


 人類補完計画に巻き込まれ、ヴォルケンリッターの四人はほうほうの体で八神家へと帰り、主で在る八神はやての無事を確認しほっと一息を付いたが、直ぐに先程の異常な

事態は何だったのかと話合った。そこに聞くとはなしに聞いていたはやてがポツリと呟く。


「なんや、けったいな感じやったからな~、宇宙人か地下勢力あたりがまた何かやらかしたんやろうか?」


「「う、宇宙人!?」」


「「ち、地下勢力!?ですか?」」


 ヴォルケンリッターはこの世界が戦争をしている事は知ってはいたものの、積極的に関わる筈も無く、どんな奴らが来ようが自分達で主で在る八神はやてを守りきれると何

一つ疑っていなかったし、海鳴は平和だったのでろくに調べてはいなかったのだ。しかし先日の巨大な人型を見てしまった彼女達は、この世界の事をもっと知る必要があると

共通の認識を持ったが、この世界はどうやら彼女達の想像の斜め上をひた走っているのだった……。


「なんや、常識やろ?みんなが闇の書から出て来るちょろっと前もバーム星人とか恐竜帝国とか暴れとったしな~」


((((常識な(のかよ?)(なんですか?)のか?))))


「なんやみんなは知らんかったんか?ならええ物があるで、今見せたるからな」


 そう言い残したはやてはPCを持ち出してくると動画を再生させる。
 αナンバーズの活躍を収めた戦闘映像は全てではないがある程度は一般にも露出している、プロパガンダや戦意向上の為の物が殆どだが、下手に誇張などされてはおらず、ぶっちゃけありのままの状態でも下手なフィクションよりもよっぽど現実離れしている結構な数の映像が出回っていた。

 はやてが持ち出した動画もその一種で、それらの中から厳選したはやてコレクションの中から更に編集した映像がPCから流れ出ていた。

 そして舞台は冒頭へと戻る、しかしそれ以降はやてとヴィータは終始αナンバーズの事で盛り上がり次々に映像を見ては歓声を上げ、はやてがうんちくを語ったりと楽しそうなのに対し、
他の面子は目まぐるしく流れていく戦闘映像の突拍子の無さに絶句したまま夜は更けていった。


 既に真夜中を越え閑静な住宅街である八神家一帯も静まりかえっている、はやてとヴィータはそろって就寝しており、残りの三人で集まって話合いを続けていた。


「かなり科学技術が発展している世界だと思っていたけど、ここまでだったなんて……」


「そうだな、人型の巨大な質量兵器が実用化され、その上その物量と戦闘力ときたら……」


「それにこの星は、これまで考えられん数の敵勢力から狙われている」


 ホンの短時間で調べられる事は高が知れているが、それでも数えるのも馬鹿らしい程の敵勢力、飛んでも兵器の数々が実在している事位は直ぐに掴む事が出来た。
 主はやてはこの様な過酷な世界でお一人で尚も笑顔を失われないとは……流石です、等とはやて第一主義を掲げ現実逃避をしたりしていたがこのままではいけないと三人は結論を出す。

「極力この世界以外で蒐集をしましょう」


「そうだな、この世界はあまりにも危険過ぎる、この世界の組織が敵に回った場合私達では守りきれんかもしれん」


「不甲斐ない話だが異論は無い、先日の折の巨大な人型、私は狼がベースな以上お前達より野生の勘という物が働く……あれはヒトが対抗出来る物ではない。
早速明日から別の世界で蒐集を再開しよう」

 ザフィーラは全てのヒトの生みの親と云われる、第二使徒リリスの本質を本能的に感じ取っており、その感覚を思い出したのか全身を震わせる。
 


 ヴォルケンリッターの出した方針は不干渉、それは奇しくも時空管理局と同じ結論であった。

















 八神家のリビングから、シグナムはふと空に浮かぶ月を眺める。



「あの月の上でも人々が生活を営み、確かアナハイムと言ったか、質量兵器が生み出されている訳か……何とも恐ろしい世界だな、この地球という世界は」


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