志願したら、他の志願兵たちが集まっている区画に案内するといわれ、広い城の中を兵士さんについて歩く。
志願した時、受付の兵士の反応は、微妙だった。
じろじろと見られ、特にフィーノに視線が行くと顔を若干歪ませて凝視。
年若い女二人、優男一人、おまけに十歳の子供。確かに、兵士の反応も納得がいく。気分がいいものではないが。
本当に志願するのか、戦えるのかと何度も念を押され、そのたびに胸を張って大丈夫だと答える。クレシェッドに関してはちょっと胸を張れないところがあるのだが。
いや、クレシェッドとちゃんとした訓練をしていないのである、実は。たまに様子を見に来るくらいで、時間が取れなかったのだ。
クレシェッドには時間をとってそれなりに訓練したいと言ったのだが、神官の仕事から手を離せなかったらしい。
ダーマ上層部も考えてほしいもんである。これからともに戦う仲間。死線をくぐりぬけていかないといけないのだから、もっと融通をきかせられなかったのか。
ちょっと連携の訓練などはしたが、クレシェッドはさほど攻撃力のある方ではないので、基本は回復役である。普段は前に出たり攻撃呪文を使ったりせず、魔力を温存し、いざという時に回復する。それがクレシェッドの役目となった。
できればベホマを使えればよかったのだが、あいにくクレシェッドはベホマを使えない。これから訓練である。
それにしても先程の兵士の反応からして、イシスの、少なくとも下っ端は『勇者』がどんな人物なのかを認識していないようである。志願する時に名前をかいたのだが、無反応だった。アリアハンは国として『勇者』を発表しているのだから、国の上層部はその辺知っていそうなものだが。
名前だけでは判断できないだろうが、年齢と性別などから、知っていたら「もしかして」と思うだろう。
ワザと知らぬふりをしているという可能性もあるが、そうする必要性があるとは思えないので、多分知らないんだろう。
いや、知っていても「勇者? 何それ美味しいの?」という考え方なら、おかしくはないかもしれないが。
ちょっと歩いたところで、
「ここが志願兵の待機場所だ。だが、常にここにいる必要はない。街の外の宿に泊まってもいい。必要な時には招集をかける」
と、とある扉の前で説明する兵士。
たぶん、ここで泊ろうと思ったら基本雑魚寝だ。誰とも知らん奴が大勢いる中でそれはイヤすぎる。宿に泊まろう。
兵士の話だと、外の宿に泊まる場合、先程の受付で渡された紙を見せれば、タダで宿に泊まれるという。
ちなみに、給金は平時で一人一日一万ゴールド。戦いが起きれば、その戦果によって褒美を決めるとのこと。
兵士は言う事を言うと、とっとと行ってしまった。
『中から結構な数の気配を感じるな』
シグルドの言う通り、中からは多くの気配を感じるが、ほとんどその辺の素人と変わらないような気配から、かなりの手練らしき気配まで、様々。が、そう言った手練は本当に少数だ。
「さっさと入ろうぜ」
フィーノの言葉に、アタシの手が動く。
扉を開けるとそこには。
むさ苦しい世界が広がっていた。
いたるところにマッチョの男男! むさっ苦しい! 本当に! ちょっと入るのためらうぞ。
「姉さん、どうしたの?」
「いや、ちょっと異次元に入るのをためらうというか」
「いいから入れって」
フィーノに後ろから押され、渋々入る。
「これは、ある意味壮観ですね」
フルプレートの戦士、筋肉モリモリな武闘家、ちょっと歳のいった魔法使い風な男、スキンヘッドの見た目に凄みのある男、いっそチンピラと言った方がいいような男、実に様々。
そして女が見える範囲にはいない。無論、子供もいない。
クレシェッドが感心したような、ちょっと呆れたような声を出したのもうなずける。これはなかなかの視覚的インパクトである。
中に入った途端、突き刺さるいくつもの視線。非常に居心地が悪い。
「おいおい、こんなところに女が来てるぜ!」
「来るとこ間違ってんじゃねえのか? 女は大人しくウエイトレスでもやってな!」
「何だこのガキ? 何しに来たんでちゅか?」
「ママのおっぱいでも大人しく吸ってな!」
「ここは女子供の来るところじゃねえんだ! その可愛い顔に傷つけたくなかったら帰んな!」
そして大爆笑の渦。
アタシはため息をついた。志願兵って、結構レベル低いのな。
『気にすることはないぞマスター。こ奴らは相手の実力もロクに見切れん阿呆ばかりだ』
同感である。こんなことでいちいち目くじら立ててられない。
アリアハン大陸を一人で回っていた時、女の一人旅ということで、結構あなどられる場面があったが、全部無視してきた。いちいち相手にするのはアホらしいし、相手が調子に乗るだけである。
が、短気な奴がこちらにはいたのである。
「んだとてめえら! あんまり舐めてっと燃やすぞ!」
フィーノである。全身から怒気をみなぎらせ、今にも術を放ちそうだ。
ロマリアでは国王直属の部隊にいたため、かなり上の立場だっただろうし、フィーノを侮るような奴もいなかっただろう。だが、ここではそんなもの意味はない。
まあ、フィーノの人生経験不足である。
アタシはやれやれ、と顔を振る。そんなアタシをよそに、クレシェッドが「フィーノ君! なんて事を!」とフィーノを叱りながらも、守るように肩に手を添える。妹がフィーノと爆笑していた連中を交互に見ながら「どうしよう」と呟いているが、
「おいおい、ガキがあんまり舐めたこと言うもんじゃないぜ?」
フィーノの言葉が癇に障ったか、一人が前に出てきた。結構大柄な男で、腰にはカトラスを下げている。見た目かなりガラが悪く、そしてはっきり言って雑魚である。
妹が「すいませんでした!」と頭を下げているが、
「あんな口きいといて、それで済むと思ってんのかよ? ちょっとお仕置きが必要だなあ」
男は妹にとり合わず、フィーノに迫る。クレシェッドがフィーノを守るために前に出ようとするのをフィーノ自身が止め、
「子供にちょっと何か言われたくらいで目くじら立てるなんて、器の小さい男だねえ」
アタシが鼻で笑いながら言った言葉に、男が立ち止り、ぎろりとこちらを睨んで来た。
『やれやれ、あんな低レベルな者の相手をせねばならんとは』
シグルドがグチるが、仲間に危害を加えようとするなら止めねばなるまい。それはシグルドも分かっているはず。
「おい! オレの相手だ、邪魔すんな!」
「アタシは気にしないから」
「オレは気にするんだよ!」
フィーノは自分の獲物を取られて気分が一気に悪くなったようだ。だが、
「こんなところで術使わないでよ。色々面倒じゃん」
この言葉を聞いて黙った。さすがに、この大勢がひしめく中で術を使うのは危険だと気付いたらしい。
特に気を使ってやる必要もないとは思うが、戦力を減らしたとか、城の中で争ったとか、色々文句を言われるのはごめんである。
「てめえら! 人を無視しやがって!」
「なに? まだいたの?」
相手にされていないと分かったのか、男は見る見るうちに顔を赤くし、
「っけんなあ!」
腰のカトラスを抜いた。こいつもずいぶん短気である。
クレシェッドが「アデルさん! ケンカを売るような真似はやめてください!」とか言ってるが、ケンカを売ってるわけじゃない。無視してるだけである。こいつに、ケンカを売るだけの価値があるわけがない。
『ふん、相手の技量も分からぬ上、いとも簡単に武器を抜き放つか。随分と安い武器のようだ。持ち主がこれでは、武具も浮かばれぬ』
「ちょっと何か言われたぐらいで斬りかかろうとする? あんたの方が子供じゃないの?」
「うるせえ!」
「それにいいわけ? ここ、お城の中なんだけど? 騒ぎ起こして、兵士さんに怒られても知らないよ」
さすがにこの言葉は効いたらしく、男がぴたりと動きを止めた。
「なら、外に出ようぜ!」
誰かがそう言うや、次々に賛同の声が上がる。中には賛同せず、我関せずの奴もいるが。
たぶん、こんな連中に関わりたくないのだろう。アタシだってこんな連中とは関わりたくない。どうやら、良識のある連中も、巻き込まれることを嫌ってか、助けてくれる気はなさそうだ。
助けてくれる必要もないが。
「外か、そりゃいい。余計な邪魔も入らねえだろうしな!」
カトラスを軽く振りながら、こちらを睨みつけて来る男。その目は、「まさか逃げやしないだろうな?」と言っている。
ここでこの喧嘩を買わなかったら、のちのち面白くないことになりそうだ。勝っても面白くないことになりそうだが、ようは実力の差を見せつけて、二度と突っかかって来る気にならないようにすればいいのである。
「姉さん、ケンカはダメだよ!」
良識ある妹は止めて来るが、今回は聞けない。アタシは首を横に振って答える。それに、妹が「そんな……!」と声を詰まらせた。
妹としては、無用な争いと言うか、荒事は避けたいのだろう。怖いとかそういうのではなく、アタシと相手の男を気遣っての事だと思う。
優しいのは美徳だと思う。妹にはこのままその優しさを維持してほしいものである。こういうことはアタシの領分だ。
「アデルさん! こんなことは無意味ですよ!」
「いんや、そうでもないよ」
後々突っかかって来るバカを減らせる。それに、舐められたままというのは正直癇に障る。
「話は決まったな! 外に行くぞ!」
男はそう言うや、部屋の外に出て、「ついて来い!」と言い放ってきた。アタシは無言でついていく。
妹が「やめようよ、今からでも遅くないよ」と言ってくるが、それを首を横に振ることで答え、クレシェッドが何やらマーテルに祈りをささげており、フィーノは「面白いことになったな!」と小声で言ってきて、それが聞こえたらしい妹とクレシェッドにしかられる。
『面白くはないが、こういう時に遠慮はいるまい。叩きのめしてやれ』
もとよりそのつもりである。
その他大勢も後ろからついてきて、好き放題言っている。中には賭け事を始めている者もおり、「全員があいつじゃ賭けにならねえよ!」とゲラゲラ大笑い。
通りかかった兵士が、こちらを見て露骨に顔をゆがめた。城の兵士としては、城の中でこんな騒ぎをする人種とともに戦いたくはないだろう。城の中にいる事も嫌なはずだ。だが、地理の関係上、モンスターとしょっちゅう争いがおこるので、国の兵士だけでは足りないのだ。ある程度は目をつむるしかない。
と言うか、アタシ達もあのチンピラ連中と同じように見られているんだろうか? 見えてるんだろうなあ。
ちょっぴりへこみつつ、城の外へ。
大勢の志願兵たちが出てきたことで兵士が反応し、「何かあったのか?」と仏頂面で聞いてくる。それに男が「なあに、ちょっとリフレッシュするんですよ」と言い、他のギャラリーたちもそれに賛同する。
兵士は「厄介事を起こすなよ」と言い捨て、仕事に戻った。
そしてやって来たのは、町のはずれ、一歩外に出たら何もない砂漠というところ。
「ここなら思いっきり暴れられるだろ?」
「そうだね」
男の言葉に、アタシは挑発的な笑みを浮かべて返す。
『砂に足を取られないようにしろ』
それは十分承知の上。砂浜でモンスター相手に戦ったこともある。砂浜の砂は草原とはまた違い、下手をすると足を取られ、動けなくなる。水の中に膝まで浸かった状態で戦ったこともある。あれと似たようなものだと思う。
男はカトラスを抜き放つと、そのまま斬りかかって来た。アタシから見て左から、剣を大きく振り上げて袈裟がけに斬ろうとしてくる。
遅い。アタシは体を剣に合わせて水平にずらして難なくかわした。大上段からの攻撃をあっさりよけられ、男はバランスを崩しよろめく。
「いいなりご挨拶だね」
開始の合図も特に決めていなかったし、アタシは別にかまわないのだが。本当の殺し合いの場でいちいち開始の合図なんぞ待っていることなどないし。
だが、あの攻撃は本気で殺す気だったとしか思えない。まさかこいつら、気に入らない相手今までも殺してるんじゃないだろうな?
さすがにそれはないと思うが。そんなことしたら雇っている国が放っておかないと思うし。それとも、志願兵同士の争いに関しては放っておいてるのだろうか? 見たところ志願兵は大部分がチンピラっぽい。そんな連中の事にいちいち関与していられないとか。
そうでない事を祈りたい。
ギャラリーが攻撃をよけられた男に対し、ヤジを飛ばす。
男はよけられたことに腹を立てたか、顔を怒りに染めながら、もう一度剣を構える。
実はよけた瞬間、攻撃しようと思えばできたのだが、あえてしなかった。しばらく遊んでやるつもりだ。
油断は敗北のもとと言われるかもしれないが、別に油断しているわけじゃない。相手と自分の力量を冷静に判断したうえでのことだ。
『やれやれ、イノシシだな』
イノシシの方がまだましだと思うが。相手が自分の敵う相手かどうか、しっかりと本能でかぎわけるだろうから。
「デクスター! そんなお嬢ちゃん相手に何やってやがる! さっさとやっちまえ!」
ギャラリーの一人がそう言うや、他の連中もそうだそうだとはやし立てる。それに触発されてか、男はまた特攻してきた。
基本、大振りで、技も何もない太刀筋。その辺のモンスターには通じるかもしれないが、あいにくアタシには通じない。ひょいひょいとよけまくる。
ひたすらよけ続けて、こちらが攻撃する隙はいくらでもあるがそれもわざとせずに、ひたすら相手に攻撃させ続ける。
それがどれだけ続いたか、男は肩で息をしており、アタシは涼しい顔。最小限の動きでよけているため疲れないし、それなりに鍛えてあるから体力にも自信はある。一方男には無駄な動きが多くて、そりゃあすぐに疲れて当然、といったところ。
ギャラリーは静まり、代わりにフィーノが、声をかけて来る。
「いつまで遊んでんだ! いい加減終わらせろよ! もう飽きたぜ!」
飽きたのはアタシも同じ。
『さて、フィーノ殿の要望に応えるとするか?』
シグルドもいい加減飽きていたらしい。早く終わらせろと言ってくる。
ま、こんな雑魚、シグルドを抜くまでもない。
「何でこんなことになるのー……」
妹が力ない声で、肩を落としている。そこにクレシェッドが、
「結構好戦的だったんですね、あなたのお姉さんは」
「いいじゃねえか、面白いんだしよ」
「ちっとも面白くないよ!」「面白くありません!」
妹とクレシェッドからのダブル突っ込みに、フィーノはただケラケラ笑うばかり。
ちなみに一連のやり取りの間、男は突っ込んでこず、ただこちらを睨みつけている。体力の回復でもしてるんだろう。
「へっ、どうした? 仕掛けてこねえのか?」
「肩で息しながらじゃしまらないよねえ」
アタシのバカにした口調にぶち切れた男が、咆哮しながら剣を振り上げた。
その瞬間、アタシは男の目の前に移動、剣を握った手を蹴り上げ、剣を遠くへ蹴り飛ばす。手をけられた男は苦痛に顔をゆがめ、その顔面にさらに先程の蹴りの勢いを殺さず一撃。ほんのちょっぴり男が浮き、さらにジャンプし男の左肩にかかと落とし。ぼぎぃ! と鈍い、肩の砕ける音がした。悲鳴を上げる男。男の背後に着地し、今度は男の右腕に回し蹴りを入れようとして、
「ストップです! これ以上は意味がない!」
クレシェッドが、アタシの肩に手を置いて制止した。
倒れて来る男をよける。男が砂に倒れ込むや、クレシェッドは回復魔法をかけ始めた。
「姉さん、やりすぎだよ!」
「そうでもないよ」
見るも無残な姿にして、ここにいる連中が、二度と余計なちょっかいをかけないようにするつもりだったのだから。最初にむごたらしく叩きのめしておけば、自分もああなるのではないかという心理が働くもんである。
「おまえ、つくづく甘ちゃんだよな。そんなんで旅なんてやっていけると思ってんのかよ?」
呆れた口調のフィーノに、妹が絶句する。
「で、でもこれはひどいよ!」
「最初に突っかかって来たのはこいつ。殺す勢いで斬りかかって来たのもこいつ」
殺そうとした相手に対して、アタシは特に殺すほどの攻撃はしていない。はっきり言って、アタシの対応は結構優しい部類に入る。
「これくらいやんねえと、後から恨みで斬りかかられたりするぜ。モンスターとの小競り合いが起きた時、味方の方に斬りかかられるなんて御免だからな」
妹が「でも……!」と何とか反論しようとするが、それを聞かずにアタシは倒れた男のところに行き、耳元で囁いてやった。
「もしアタシやアタシの仲間になんかしたら、次はもっとぼろぼろにして殺すからね」
殺気を放ちながらの言葉に、男は「ひぃっ!」と悲鳴をあげ、
「分かった! あんたらにはもう何もしねえ! だから、これ以上は……!」
その言葉には答えず、ただ冷たい目で口元だけをうっすらと笑みの形にし、見下ろす。
「そんな、弱った者に追い打ちをかけなくても」
クレシェッドが回復魔法をかけながら、責めて来る。だが、
「悪いのはこいつでしょ? アタシは悪くないよ」
女子供のパーティーなど、舐められていいカモだと狙われる。クレシェッドは見るからに優男で、実際喧嘩は弱いのだから、抑止力にはならない。
クレシェッドも妹も、いまいち旅というものを理解していないようだ。襲いかかってくるのはモンスターだけじゃない、人間もなのだ。旅人を襲ってその荷物を奪い取ってしまう者は多くいるし、旅人が他の旅人を襲う場合もある。
世の中、結構からいのだ。
妹も来て、クレシェッドと一緒に回復魔法をかける。だが回復魔法をかけながらも、二人はこちらに非難の目を向けてきた。
フィーノが肩をすくめ、苦笑する。アタシもそれに答えて、フィーノの頭に手を置く。
ギャラリーは、男を心配してよってくる、ということはしなかった。恐怖の視線が、アタシに向けられている。どうやら、思った通り効果はあったらしい。
『妹君もクレシェッド殿も、世界はきれいなものだと思っているようだな』
世界はきれいじゃない。結構汚いものだ。
『いつか彼らも気づくのだろうな、世界の汚さに』
それは仕方がないことだ。妹とクレシェッドのこういうところはいいところだと思うが、現実を知らないというのは少々旅をする身としてはつらいものがある。
『それまで、汚れ役は引き受けるつもりか? かなりつらいと思うがな』
特につらくはない。これがアタシの役割だろう。
「あら? 面白い事やってるって聞いたのに、もう終わったの?」
その声が聞こえた途端、今までこっちに注目していたギャラリーが違う方向を向いた。
その視線の先を見てみると、そこにいるのは二人の女性。
一人は黒髪のショートカットに、動きやすさを重視した軽装、腰に短剣を吊るした女性。
もう一人は赤いポニーテール、がっしりした筋肉のついた腰の剣と片手斧を吊った女性。
「あら? あんた!」
その黒髪の女性に、アタシは見おぼえがあった。向こうもアタシの顔を見て分かったのか、笑顔で走って来た。
「知り合いか?」
赤い髪の女性が黒髪の女性に聞くが、彼女は答えず、
「久しぶりね! こんなとこで会うなんて思わなかったわ!」
それにアタシは笑顔で、
「アタシもだよ、ルーティ」
本当に、久しぶりだった。
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割と王道な展開でしょうか? そうでもない?
アデルがやりすぎ? そうかもしれませんが、彼女、かなり暴れてくれました。
一日一万Gは高いとのことでしたが、このssでは料金設定を普通のドラクエとは異なったものにしています。ロマリア編でちょろっと書いていますが、武器の値段も普通のドラクエよりずっと高いです。ランチに千五百Gとか、千二百Gとか。ちょっとした武器で数千G。それなりの武器で数万。かなりいいもので十数万。かなりの業物だと、数百万から、下手すると数千万、となっております。
ごめんなさい。