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No.8422の一覧
[0] 百年戦争史・シャルルマーニュ伝[サザエ](2009/07/20 01:47)
[1] プロローグ[サザエ](2009/06/07 03:41)
[2] 師匠[サザエ](2009/06/07 03:42)
[3] 王族[サザエ](2009/10/25 20:47)
[4] 外伝1.シャルル危機一髪[サザエ](2009/05/04 21:06)
[5] 追放[サザエ](2009/06/07 03:43)
[6] ブルゴーニュの陰謀[サザエ](2009/06/07 03:43)
[7] 初めての諸々[サザエ](2009/06/07 03:44)
[8] 説得[サザエ](2009/06/07 03:45)
[9] 大都市ミラノ[サザエ](2009/06/07 03:46)
[10] 出会い、そして内政①[サザエ](2009/06/07 11:44)
[11] 蠢き始めた獅子[サザエ](2009/06/07 04:07)
[12] 外伝2. 母の思い[サザエ](2009/06/07 04:12)
[13] シャルルの軍[サザエ](2009/10/25 20:48)
[14] 内政②通信革命と傭兵の集い[サザエ](2009/06/21 22:40)
[15] イングランド政変[サザエ](2009/06/13 21:56)
[16] 交渉準備[サザエ](2009/06/28 12:58)
[17] 会談・大貴族ブルゴーニュ公[サザエ](2009/10/25 20:48)
[18] 祭りの後の地団駄[サザエ](2009/07/13 02:24)
[19] ギヨーム恋愛教室[サザエ](2009/07/06 14:55)
[20] 少年リッシュモン・英雄の原点[サザエ](2009/07/19 03:49)
[21] 婚約と社交会[サザエ](2009/07/20 01:39)
[22] 外伝3.薔薇の少女イザベラ[サザエ](2009/07/20 01:47)
[23] 外伝4.その頃イタリア・カルマニョーラ[サザエ](2009/10/13 00:22)
[24] ミラノ帰還~リッシュモン編~[サザエ](2009/09/06 21:44)
[25] ミラノ帰還~ガレアッツォ・イザベラ編~[サザエ](2009/11/25 04:21)
[26] フィレンツェの事情・戦争の開幕[サザエ](2009/11/25 04:21)
[27] ボローニャ攻略戦[サザエ](2009/09/26 03:23)
[28] 戦後処理[サザエ](2009/10/09 16:51)
[29] フィレンツェ戦前夜[サザエ](2009/10/13 00:22)
[30] 急転する世界[サザエ](2009/11/25 04:22)
[31] 事変後の世界[サザエ](2009/10/19 09:32)
[32] 謀・その大家と初心者[サザエ](2009/10/25 20:46)
[33] 外伝5.軍師~謀・その陰と陽~[サザエ](2009/11/07 22:19)
[34] 大乱の幕開け[サザエ](2009/11/07 22:18)
[35] 皇帝廃位[サザエ](2009/11/19 14:07)
[36] シャティヨンの戦い[サザエ](2009/11/25 11:12)
[37] 外伝6.屍が蘇った日[サザエ](2009/11/30 21:36)
[38] 戦火の後に[サザエ](2009/12/25 17:37)
[39] ブルグント王国復興の宴[サザエ](2009/12/11 18:57)
[40] 塗り換わった勢力図[サザエ](2009/12/16 18:39)
[41] 同盟締結[サザエ](2009/12/22 00:05)
[42] 外伝7.最期の望み[サザエ](2009/12/25 17:40)
[43] 黒い年末[サザエ](2010/05/30 17:44)
[44] 外伝8.エンファントの日常[サザエ](2010/01/12 18:12)
[45] 派閥の贄[サザエ](2010/01/24 00:18)
[46] 嵐の前[サザエ](2010/01/31 21:20)
[47] 陽炎の軍[サザエ](2010/02/15 22:04)
[48] 揺れる王国(加筆)[サザエ](2010/05/30 17:45)
[49] 闇夜の開戦[サザエ](2010/05/30 17:49)
[50] 決戦前夜[サザエ](2010/07/11 05:01)
[51] 決戦は遥か[サザエ](2010/08/28 19:43)
[52] 雛は歩き出す[サザエ](2010/11/19 17:57)
[53] 騎士の道[サザエ](2010/12/09 21:40)
[54] 作中登場人物・史実バージョン[サザエ](2009/09/26 03:27)
[55] 年表(暫定版)[サザエ](2010/02/17 18:17)
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[8422] 派閥の贄
Name: サザエ◆d857c520 ID:14833451 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/01/24 00:18
旧エッセル伯領の要塞化は順調に進んでいた。
世の中何が幸いするか分からない。
今回の領内整備で、オレはその事をつくづく感じさせられた。
人としてはともかく、領主としてのエッセル伯は無能と断ぜざるを得ない。
少し前まで、この地にあったのはもう何年も人が通っていないのではないかという荒れた街道と好き放題に生えた木々だった。
明らかに整備を怠っていた痕跡の数々。
武人肌のエッセル伯は、馬のための牧草地や騎士の鍛錬場の充実にばかりかまけ、領地の整備に頭が回っていなかったに違いない。
彼の領地の惨状は、はっきりとした形で残されたエッセル伯の無能の証拠であった。
通常であったならば、目の前に横たわった大仕事にオレも眩暈を覚えたことだろう。
だが、こと防衛のことを考えれば手付かずの自然と舗装の剥がれた道は願ったり叶ったりの代物であった。
これならば敵の行軍速度は落ち、その進路も限定される。
防衛計画を立て、アウグスブルクの襲来に備えることをエッセル伯の怠慢が容易な作業にしてくれたのだ。
そこで、オレは領内の視察と防衛態勢の整備をフリッツとガッタメラータに任せ、自身は以前から考えていた計画を実行に移すことにした。
帝国領周辺を活動拠点としている傭兵隊長の発掘。
つまり、新たな戦力の獲得に動くことにしたのだ。
このタイミングでオレが戦力の拡大に踏み切ったのには大きな理由がある。
それは敵に備えてのことではない。
味方を威圧し、掌握するためであった。
現在、オレはドイツ貴族と教皇派のイタリア貴族を纏め上げ、自分の派閥を作り上げようとしている。
ジョヴァンニを推すミラノ貴族に対抗するためだ。
そして、派閥の形成に成功すればそれは十分可能であろうと予測された。
しかし、だからといって単に派閥を作ればいいというものではない。
事はそう簡単ではないのだ。
派閥の領軸となる上で何よりも重要なことがある。
それはオレが彼等に担ぎ上げられる存在となってはならない、ということだ。
利用される分には構わない。
だが、取り込まれてはならないのだ。
ガレアッツォのように、確かな力で以って彼等の上に君臨しなくてはならない。
そうしなければ例え政争に勝ったとしても禍根を残す。
勝利の結果が王権の縮小では元も子もないのだ。
派閥の主導権、それはオレが握る必要があった。
そして、それを解決する方策がオレ個人に雇われた経験豊富な傭兵を手に入れることなのだ。
要するに指揮官を補充しようというのである。
というのも、オレの軍は上層部に不安要素が多いのだ。
ガッタメラータは雇い主がガレアッツォなのであまり自由に動かすことは出来ない。
内乱でガレアッツォが静観を決め込めば、戦力外となってしまう。
モルト老の方も年齢的な問題があった。
かなりの老齢である以上、いつまでも頼りにするわけにはいかない。
いざという時に倒れる、という可能性も考えられる。
そういった理由で、新たな戦力の確保は今後の政争のために不可欠な作業であった。






森に轟音が鳴り響いた。
この時代には存在しない、少なくともヨーロッパでは未だ実用化されていない。
それは、つい先日までそう思い込んでいた筈の音だった。


「これが砲というものです」


オレの盲を取り払った男、ヤン・ジシュカは振り返りながら言った。
記憶にある物とは違い、それは無骨で余りに大きく兵器として未だ洗練されていない。
だが、それは現実としてジシュカの傍らで煙を上げている。
大砲。
それはその原形であった。


「私はこれをあるルートから手に入れました。以来、ひっそりと隠し持ち、危急の時のみ使用しております。
 その効果は御覧の通り。
 岩をも穿つという、イスラームから伝え聞いたままのその威力。
 御満足頂ける土産でしたかな?」


特徴的な隻眼を笑みの形に崩してジショカは笑んだ。
オレの隣りでは護衛の兵が耳を押さえて悶絶している。
片方に至っては、尻餅をついて腰を抜かしていた。
砲撃の音は質量を伴っていると錯覚する程すさまじかった。


「ほう、豪胆でいらっしゃる」


知識としてその音の凄さを知っていたことが幸いし、オレは護衛の二人に比べ平然としていられた。
驚きはあるものの、それは大砲が存在することへのものだ。
そんなオレの様子を見て、ジシュカは感嘆の声をあげた。


「砲というものを実感してもらうため、わざと前知識も注意も与えなかったのですが。
 そうして泰然としておられるということは以前どこかで御覧になられたのですかな?」

「いや、初見だ」

「では、さすが王家に連なるお方と賞賛するとしましょう」


ジシュカの都合のいい勘違いをオレは敢えて正そうとはしなかった。
肝が太いというのは美点だ。
そう思ってくれるのならばそれに越したことはない。
ジシュカが唇を吊り上げ送った拍手をオレはポーカーフェイスで受け流した。
このヤン・ジシュカという男は、歴戦の傭兵という言葉を形にしたような男である。
年齢は三十半ば程。
長い戦場暮らしにも関らず、彼からはその過酷さからくる疲弊は感じられない。
むしろ張りのあるしなやかな身体つきを維持していた。
一目見て只者ではない、と感じさせる体躯である。
引き締まった顔付きは厳しさと怜悧さを兼ね備え、目を惹く隻眼が不気味に光る。
特徴的なその隻眼が彼に独特の風格を与えていた。
あらゆる荒事を経験してきた老人と血気盛んな武人の光を瞳に同居させている。
その光がジシュカという男の在り方を語っていた。
彼は元々ボヘミアの没落貴族であったという。
そのような身の上の例に漏れず、ジシュカは傭兵となり自分の腕だけで道を切り拓き地位と名声をその手にした。
各国の宮廷にも名を轟かせる、正しく一流の戦闘家である。
そんな彼がオレの招きに応じてくれたのは、正に天上の幸運と呼べる奇跡であった。
胸中の喜びを押し隠し、オレはジシュカという人物を把握することにした。


「しかし砲は未だ実用段階にないと思っていたのだがな・・・・・・」


最初に口にしたのは、そんな当然の疑問であった。
戦場で使われても効果を発揮しない。
せいぜい守備側が使う程度で、それも威力に期待してではなく音で威嚇することを目的としてのもの。
それがオレが考えるこの時代の大砲であった。
だが、今目の前にあるこれは違う。
この大砲は明らかに野戦で使用可能な段階に達した『兵器』だった。
貴族の道楽の段階というオレの認識は大きな誤りであったらしい。
ジシュカはオレの問いに当然である、と頷いた。


「軍事機密です。そうそう表に出るわけが無い」


確かに無闇やたらと漏洩するようでは機密とはいえない。


「そんな重要な兵器を私に提供していいのか?」


オレがそう問うとジシュカはニヤリと笑い、飄々とこうのたまった。


「この砲、直に高く売れなくなってしまうでしょうから。せいぜい今が潮時と判断したまでです」


ジシュカは人を喰ったような、それでいてどこか小気味いい笑顔で続ける。


「私の故郷、ボヘミアは早くからこの砲という兵器に着目し、研究してきました。
その甲斐あって他国に先んじ、こうして実用化まで漕ぎ着けた訳ですが・・・・・・。
 世の中というのはそう何もかも旨くいくものではなかったのですよ」


遠回しに示された事実にオレは腕を組んで唸った。


「先を見据えていたのはボヘミアの者だけではなかったというわけか」

「その通り。そして、それが私が殿下の招きに応じた理由なのです」


ジシュカは謎かけをしている。
当ててみろ、と言っているのだ。
大砲を実践段階まで開発している地域。
そこはどうやらオレと関係があるらしい。
これまでの遣り取りから分かるように、ジシュカは相当な食わせ者だ。
相手を煙に巻きつつ、尻尾は必ず見せて興味を絶やさせない。
彼は交渉上手で自分を売り込む術に長けていた。
ならば答えはオレと利害が衝突する相手なのだろう。
ポーランドではない。
彼の国がその技術を持っているなら、先の戦で使用していた。
ポーランドにとって対帝国戦はそれ程の一大勝負だった。
もし秘密兵器があったのなら、それを投入した筈だ。
それに答えがポーランドだった場合、売り込む相手として選ぶのはオレではなくガレアッツォだろう。
だから、ポーランドではない。
大砲を開発できる程の財力があり、それを周辺国から隠すだけの諜報能力を持っている者。
それでいてオレと敵対している、あるいはその可能性が高い者。


「・・・・・・ブルゴーニュ公国、か」


オレの呟きにジシュカは口笛を吹いて答えた。


「正解です」


そう言ったジシュカの目はこれからのオレの反応を予測し、面白がっている。
オレは彼の思惑通り動転した。
予想だにしない情報を得て一瞬我を忘れ、それを恥じて慌てて平静を取り繕う。
その一部始終をジシュカは黙して見守っていた。
あるいは観察していたのかもしてない。
危急の際、人の真価は問われる。
貴重な情報というカードを切ることで、ジシュカはオレの器を測ったのだろう。


「ブルゴーニュ公が既に砲を実用化していることは事実なのか?」


オレの確認にジシュカは自信を持って頷いた。


「若かりし頃、各地を転戦していた折にこの眼で見ましたからな。これ程信用の置ける情報源は御座いますまい。
 ひどく原始的でありましたが、あれは紛れも無く砲でした。
 あれから10数年。今ではより進歩していることでしょう」


なるほど、それは何よりも確かな情報源だ。
ジシュカが真実を話しているのならばという仮定の話ではある。
だが、信憑性は低くはない。
少なくとも、べらべらと機密情報紛いの内容を喋られるよりは信用できた。


「いいだろう。信じるとしよう」


オレがそう言うと、ジシュカは眉を僅かにあげて笑みを深くした。


「そんな簡単に私の言葉を信じてもいいのですかな?」


初対面であるのに、ジシュカは皮肉気にそう付け加えた。
意地の悪いジシュカの言葉に、オレは即答する。


「構わん。少なくとも今、私の目の前に実用化された砲がある。
 それは事実だ。
 そして、一先ずはそれでいい。
 ブルゴーニュ公の件は枝葉に過ぎん。
 確かに重大な情報ではあるが、それは私の頭の隅に留めて置けばよいだけのことだ」


そこで言葉を切ると、今度はオレがジシュカにニヤリと笑いかけた。


「真に重要なこと、それは貴殿が砲という兵器を携え私の下へ訪れてくれたというその一事だ。
 砲は予定外のことで、謂わばおまけ。
 ブルゴーニュ公の件と同様、今回に限っては枝葉だ。
 私が求めたのは優秀な武人であり、指揮官である貴殿なのだからな」


大砲はジシュカの手土産であり餌だ。
余りに魅力的な贈り物に惑わされ、贈り主を置き去りにして物にかまけるようでは愛想を尽かされて当然だろう。
それと同じで、大砲という『物』に目を奪われジシュカという『人』を見ないようであればジシュカはオレに見切りを付けるつもりだったに違いない。
本義を忘れ、あらぬ方向に逸れる者には如何なる事業も達成できない。
人を顧みない君主の先に待つのはいつだって破滅だ。
ジシュカは大砲を使って、オレのそういった資質を測ったのだ。


「ようこそ、ヤン・ジシュカ。
 隻眼の英雄、その勇猛さと智謀で知られた稀代の戦士よ。
 私は貴殿の訪れを心から嬉しく思う」


真偽は問わない。
武人ジシュカがオレの下へ来た、それだけでいい。
そんなオレの答えを聞いたジシュカがどう思ったのか、それは分からない。
ただ彼は頭を掻いて苦笑すると、オレにこう言った。


「私は使いづらいですぜ」


ややぶっきらぼうで伝法な口調。
これがジシュカの素なのだろう。
オレとジシュカは互いに固い握手を結んで契約を結んだ。



歴史に数多くの分岐点があるとしたら、この瞬間がそうであった。
ヤン・ジシュカ。
彼の存在なくして百年戦争におけるシャルル・ヴァロワの活躍はあり得なかった。
彼の存在があったからシャルルはフランスへ赴くことが出来たのだ。
後にジシュカは東方防衛の要となり、十数年の長きに渡ってポーランドの蠢動を挫き彼の大国を苦しめることとなる。
更に彼の死後も、その薫陶を受けた弟子達の存在の御蔭でシャルルは後方を気にすることなく戦うことが出来た。
この日、シャルルは彼の治世を支え続けることとなる不世出の名将と出会ったのだ。













ジシュカとガッタメラータの邂逅はその日の夜の内に行われた。
お互い腕に覚えのある強者同士、とはいえ格という点ではジシュカの方が上である。
ガッタメラータもシャティヨンの戦いで一躍その名を轟かせたものの、やはり重ねた年月は覆しがたくその名声はジシュカに一歩及ばない。
ジシュカとはそれ程の人物だった。


「隻眼のジシュカ!?」

「貴殿は・・・・・・、シャティヨンの英雄か」


片や驚愕、片や歓喜。
初対面における二人の感情は異なったものだったが、互いに興味を抱いたという点では一致していた。


「まさか、殿下が招いたのがあんただったとはな・・・・・・」

「おかしいかね?」

「おかしくはないさ。
 ただあんたの活動範囲を考えればハンガリーやポーランドに雇われていそうだと思っただけだ。
 それに、幼少の殿下が雇うにはあんたはでか過ぎる」


何故シャルルに。
ガッタメラータが抱いたのはそんな疑問だった。
ジシュカならばヨガイラもガレアッツォも好条件で雇い入れるだろう。
確かにシャルルはボローニャ攻略とその統治という大きな功績を上げたが、所詮それはお膳立てられたものだ。
自力で功を成したとはいい難い。
率直に言って、シャルルは未だジシュカを雇える器ではなかった。
それにも関らずジシュカは今ここにいる。
ガッタメラータの不審は当然のものだった。


「まぁ、それはおいおい話すさ。取り敢えず外で飲まないか?」


ジシュカはガッタメラータの問いを流すと、酒の席へと誘った。
ジシュカもまた、この若き英雄に以前から興味を抱いていたのだ。
二人は一先ず話しを打ち切ると、舞台を夜の街へと移した。






シャルルの部下が通う酒場は決まっている。
ツォウツォウの宿。
シャルルが資金を提供した商人によって展開されている酒場だ。
格が九等級に分かれており、格は大貴族とそれに連なる者専用の高級店から娼館も兼ねた大衆酒場までとバラエティーに富んでいる。
豊富なカクテルという物珍しさを最初の突破口とし、ステイタスで優越感を巧みに煽る。
そうした経営が当たり、今では多くの貴族が利用するようになったこの酒場はシャルルの重要な資金源であった。
とはいえ、その事実を知る者は極少数で限られている。
オーナーがシャルルであることはひた隠しにされているからだ。
貴族の代表格である王族が商売に手を出していると知れれば外聞が悪い。
そういった理由でシャルルは酒場の経営を信頼できる者に任せ、稼ぎを密かに受け取ることに終始しているのだった。
では、何故ここをシャルルの部下達が率先して利用するかというと、その理由は単純である。
彼等は札を持っているのだ
札の価値は単純明快、飲み代無料。
幾ら飲もうとも代金はシャルルに請求される、という一種の慰労であった。
尤も、酒を出しているのもシャルルなので本当は詐欺に近いのだが。
その事実は知られていないためにシャルルは傭兵達から太っ腹な大将と絶大な支持を集めていた。


「結ばれし縁に乾杯」

「乾杯」


ジシュカは気障な科白と共に杯を合わせると一息に呷った。


「いい酒だ」

「他人からの奢りだ。酒の良し悪し抜きにしても美味いさ」

「違いない」


ガッタメラータの冗談にジシュカも笑みを浮かべ同意する。
荒くれ者が集う酒場で二人の間にだけ穏やかな空気が流れていた。


「私がシャルル殿下の下へ来た理由、だったな」


先に話を切り出したのはジシュカだった。
静かに杯を傾けながら彼は語る。


「ガッタメラータ。シャティヨンの英雄よ。
 功を上げ、名を成した者は最後に何を求めると思う?」


ガッタメラータは暫時考え込んで、自信なさ気に答えた。


「更なる栄華か?」


ガッタメラータ。
彼の人生は端的にいって一つの目標に向けて突き進む、それだけに尽きた。
若かりし頃にモルト老という壁にぶつかり、彼はひたすらその背中を追ってきた。
次へ、次へ。
更に、更に強く。
現在得た名声はそうして突き進んできた結果に過ぎない。
そんなガッタメラータの出した答えには、彼のそんな人生が表れていた。
しかし、それはジシュカの出した答えとは異なっていたようだ。
ジシュカはゆっくり首を振って否定した。


「名声なんてのは所詮飾り。
 ある程度名を成したら君にもそれが分かる。
 一度分かってしまえばもうお終いだ。それ以上の名声を獲得しても得られるのは虚しさだけとなってしまう。
 天に昇るような誇らしさ。
 それを感じることができるのは最初の頃だけだ」


ジシュカはそこで言葉を切ると、ゆっくりと酒を飲んだ。
顔には静けさが、無が張り付いている。
彼は淡々と胸の内をガッタメラータに語った。


「人が最終的に辿り着くのは絶望だ。
 結局、人は人でしかない。矮小な、ちっぽけな存在に過ぎない。
 年を重ねると人は嫌でもそれに気付かされる。
 隻眼のジシュカ、戦場の悪鬼。
 そう呼ばれ恐れられても、それは今だけであるということをだ。
 孫の代にでもなればジシュカの名も過去の人。
 その息子の頃には私は忘れ去られた唯人だ。
 だから人は、その人生の最後に大いなる何かを求める。
 永遠を、神の愛を、人間を越えた何かを、だ」


ジシュカの口調は次第に熱を帯びてきていた。
何かを求め、そして喘いだ彼の情熱がそこにそのまま現れているようだった。


「不幸なことに私には神との縁はなかった。
 それも当然であろう。
 戦場を渡り歩き、多数の命を奪った私に神の御手が差し延べられる筈がない。
 私には神の御為に働くという選択はなかった。
 ならば、どうする?
 どうすれば大いなるものを手に出来る?」


ジシュカの求めたもの、それは永遠だった。
永遠、不滅であること。
それを求めるのは人の性である。
中世以前、北欧のヴァイキング達は勇猛な戦士のみが神々の園へ迎えられると信じた。
そこでは戦士は永遠に戦い酒を飲んで歌い合うことが出来る、そう信じた。
古の時代、中国の始皇帝は不老不死の法を求め、部下に大陸中を探させた。
遥か海を越え、至高の王は永遠を求めた。
ジシュカもまた、何らかの形でその永遠を手にしようとしたのだ。


「私は人々の記憶に永遠を求めた。
 伝説となり、語り継がれる。
 次々と書き加えられていく歴史という書物の中で、埋没することなく燦然と輝き続ける。
 世代を超えて人々の記憶に残り続ける。
 何故かは分からぬが、私はそうなりたいと思ったのだ。
 だが、王でもない一介の武将がそれを成すのは困難を極める。条件があるのだ」


ガッタメラータはその条件を考えた。
その答えは彼の原点にあった。
幼き頃、昔語りに目を輝かせた少年の頃。
戦士を志した原初の思い、それは伝説に語られる英雄への憧憬だった。


「偉大なる王の下で未曾有の大戦に参加すること・・・・・・か」


ガッタメラータが呟くように出した答えにジシュカは頷く。


「その通り。
 大戦だけでは駄目だ。偉大な王だけでも不足している。
 その二つが揃って初めて、大戦は伝説となり人々の口に語り継がれる」

「その大戦が起きる、そう考えてんのか?」

「起こるさ。起こらぬわけがない。
 ブルグントとポーランドという二大国。
 そして、餌である神聖ローマの残骸。
 これだけの条件が揃って大乱が起きぬなど考えられぬ」


そう断言したジシュカはガッタメラータの目を見て更なる衝撃を口にした。


「そして、勝つのはポーランドだ」


今度はガッタメラータも首肯しかねた。
戦う前から敗北を考えるなど彼の流儀に反する。
ガッタメラータはジシュカの言葉を一笑に臥した。


「戦ってのは始めるまで分からねぇもんだぜ」


ガッタメラータの反論。
それをジシュカは切って捨てる。


「個々の戦いの勝敗は始めるまで分からない。
 それは同意しよう。
 だが、より大きな視点で戦を見ると、多くの場合に於いて戦というものは始まったとき既に勝負が付いているものだ。
 蟻では象に勝てない、ということさ。
 東欧で戦ってきた私は彼の国の戦力をこの国の誰よりも深く把握している。
 残念ながらブルグントとポーランドでは自力が違うよ」


ジシュカは謳うようにブルグントの敗北を予言する。
軽薄とも取れる彼の態度にガッタメラータは噛み付いた。


「なら、なんで殿下に付いたんだ。あんたの予想では負ける国によ」


ガッタメラータの問い。
それに対するジシュカの答えは微笑だった。
頬を僅かに歪め、百戦錬磨の傭兵のみに許される凄みと共にジシュカは言う。


「勿論、私ならばその勝敗を覆せると考えているからさ」


ジシュカの余りに自信に満ちた発言に、さしものガッタメラータも呆気に取られた。


「それに、劣勢の側に付いた方が戦は面白いだろう?
 勝ち目が薄い分、報酬もでかいしな」


そう茶目っ気たっぷりに言ってジシュカは話を締め括った。
彼の様子からは、どこまでが本気の言葉なのか窺い知ることは出来ない。
本当に自分ならば戦いの趨勢を覆せると思っているのかどうかすら、ガッタメラータには読み取れなかった。
煙に巻かれ、僅かな苛立ちを感じる。
それを杯を呷ることでガッタメラータは飲み込んだ。
隻眼のジシュカ。
彼の底はどこまでも深く、その真意は誰にも見通せなかった。













侵攻は突然行われた。
少なくとも、敵の主観においてはそうだっただろう。
電光石火の奇襲。
そしてそこから一気に戦略目標まで突き進み、一息にこれを攻め落とす。
初戦の勝利で以って有利な状況を作り出し、それを維持することで目的を完遂する。
古来より行われてきた戦の常道の一つである。
極めて有効な戦法ではあるが、当然大きな弱点が存在した。
それは、作戦が一つでも躓けばその時点で予定が狂ってしまうことだ。
加えて奇襲には、読まれてしまえば終わりという欠点が存在する。
そういった事を考慮すれば、例え寡兵であろうとアウグスブルクの侵攻を防ぎ切ることはそう難しくない。


「悪いが私の目的の贄となってもらおう」


オレは遥か地平の果てから近付いて来ているであろうアウグスブルクの軍勢を幻視しながら笑みを浮かべた。
敵兵は概算で約9000。
一方の我が軍はせいぜい1500である。
しかし、鍛えに鍛えたエンファント500を含む精兵揃いだ。
しかも指揮官はガッタメラータ、ヤン・ジシュカ、モルト老という一騎当千の強者のみを擁している。
勝算は十二分にあった。


「よし、腕木通信で国王陛下に伝令を送れ!
 『アウグスブルク侵攻。我等これより迎撃す』
 通信兵、復唱せよ」

「はっ!! 『アウグスブルク侵攻。我等これより迎撃す』」


これでおよそ数時間後にはミラノへ情報が伝わるだろう。
そうすればあとは段取り通りだ。
フランチェスコ・バルバヴァーラがオレの救援を主張し、ドイツ貴族がそれに同調。
シャルル派の存在を周囲に見せ付ける。
更に、ここエッセル伯領にも異変を察した近隣諸侯達が続々と馳せ参じてくることとなっている。
オレ達はその間持ち堪えさえすればいい。
勿論、手柄のことを考えればそれだけでは不足している。
この日に備えて折角準備をしてきたのだ。
可能ならば撃退までしてしまいたい。
敵は餌にかかった愚かな獲物なのだ。
釣り上げた側としては腕によりをかけて料理するのが筋というものだろう。


「総員出撃! 予ての訓練通り敵を迎え撃つぞ」


オレは報せを受け、武装した部下にそう命じた。
いよいよオレの、オレ自身による、オレだけのための戦いが始まるのだ。






戦いというのは総じて守備側の方が有利なものだ。
天の利、地の利、人の利。
これ等が揃えば負けは無い、というが攻め込まれた側は既にこのうち地の利を持っている。
地形の知識、組み上げた防壁や砦。
守備側にはこういった頼みにする物があるからだ。
過去、如何なる城攻めであろうと相手より寡兵で行ったという事例を聞いたことはい。
逆に何倍もの敵を堅固な城塞に依って持ち堪えたという例は山ほど存在する。
地の利とは斯様に戦に影響するものなのだ。
では、それを歴戦の強者達が最大限に活用すればどうなるだろうか。
答えは一つ。

阿鼻叫喚の地獄絵図の出来上がりだ。

敵軍の構成は速さを重視したものだ。
騎馬が4500、歩兵が2500、弓兵が2000。
それに加え、攻城兵器が4基確認されている。
彼等は時間との勝負、と言わんばかりの勢いで馬を駆り立てていた。
その心中にエッセル伯領の駐屯兵に対する警戒心など存在していなかったに違いない。
高々1500。
仮に向かってきたところで何程のことやあらん。一気にすり潰し、その余勢でアウグスブルクまで落としてくれよう。
敵の指揮官はそんな心持ちでいたのではないか。
その判断を一概に誤りとは断じることは出来ない。
一理はあった。
だから指揮官に罪はないだろう。
ただ相手が悪過ぎただけなのだ。


「寡兵で大軍を蹂躙する光景ほど壮観なものはないな」


オレは目の前で繰り広げられる芸術を見ながら感嘆の溜息をもらした。
奇襲を狙った敵軍は進軍速度に気を取られ、隊列が縦に伸びている。
それを読んだモルト老が取った策は簡単だ。
天然と人工の障害物を組合せ、敵を誘導し、陥れる。
唯それだけ。
言葉にすれば僅か数秒で事足りる策で以って、モルト老達はアウグスブルク軍をズタズタにしてみせた。
用意したのは杭とジシュカが用意した大砲。
戦場は樹木が生い茂った林を抜けてすぐの所、開けた平地であった。
そこが彼等の屠殺場となった。
まず杭を並べて障害物とする。
簡素だが、効果は十分だ。
騎兵で構成された敵先陣はそれだけで進路を限定される。
最初に繰り出されたのはジシュカの大砲だった。
ジシュカの所有する中でも最も原始的な造りのそれ。
しかし、この作戦の目的にはその最も素朴な大砲でも十分だった。
車両に大砲を載せ、敵陣へと発砲しながら突き進む。
轟音を響かせながら進む台車は、まさに音響兵器であった。
馬というのは臆病な生き物だ。
訓練なしでは戦に連れて行くことなどとてもじゃないが出来ない。
たとえ訓練を施したとしても未知の恐怖に曝されれば容易く動揺する。
そう、丁度今のように。
アウグスブルク軍はこの音という広域兵器に対応することも侭ならず、馬を押さえ込むこむ作業に強制的に従事させられた。
ジシュカの狙い通りに。
そうなると次は、我がエンファント弓兵隊の出番だ。
フランスを散々に打ち負かしたイングランド長弓隊と伍する練度を誇る彼等は、目にも止まらぬ早業で次々と矢を放っていく。
馬上で立ち往生した兵士は彼等にとって動かぬ的同然だった。
重力という偉大な力を借りた矢は、驚くべき精度で以って騎士達の下へと吸い込まれていく。
徐々に、徐々に前進しながら矢を放ち命を刈り取る。
狙いは付けない。
そんな間すら惜しい。
ひたすら速く、ただ速く矢を射る。
一方的な虐殺。
アウグスブルク軍はこの攻勢に対し、有効な反撃を行えずにいた。
弓兵に対抗できるのは弓兵だけだ。
しかし、敵の弓兵は今機能停止状態にあったからだ。
前方で何が起こっているかも把握できず、弓を射ようにも4500人の人の壁が我が軍を敵弓兵の射程外に安堵してくれる。
敵軍は秒単位で戦力を落としていた。
戦局を決し、最後の幕を下ろすのは1000人の騎兵だ。
林という自然のカーテンを迂回し、後方から一直線に敵陣を貫く。
縦に伸びた隊列の後方は、未だ林を抜け切れていない。
散開して押し包むこともでず、敵軍は一方的に巨大な錐によって裂かれていった。
騎兵が打ちのめすのは心だ。
傭兵達の脳裏に『敗北』の二文字を刻み込めばそれでいい。
それだけで歩兵は数を減じ、士気はどん底にまで落ち込んでくれる。
進軍を急いだ疲労が士気の減少を後押ししてくれるのだ。
林を抜けた我が軍の騎兵は、平地に差し掛かるとさっと進路を変えて撤退した。
目的は果たした以上、敵陣に身を置く利はないからだ。
それに合わせて、オレ達も退却を開始する。
もはや敵に追撃する余力は無い。
仮に心を奮い立たせ追って来たとしても馬は潰してある。
悠々と逃げ切れることだろう。
この先には砦を建設してある。
あとはそこに立て篭もり、援軍の到来を待てばいい。
そして、その訪れはそう遅くはない。
ドイツ貴族は異変を察し、『自主的に』駆けつけてくるからだ。
計画は順調に進んでいた。
彼等の集合を待ち、出鼻を挫かれたアウグスブルクを落とせばオレの描いた絵図は完成する。
そして、その計画の成功はもう半ば確定した。
戦の行く末は実質的にこの奇襲の失敗で決したのだ。
 












アウグスブルクの陥落は予想以上に早かった。
堅固な城壁に囲まれているわけでもないこの都市は、先の奇襲に全てを賭けていたのだろう。
領主権を持っていることに加え、攻撃を受けた側であることから他国の横槍もなく占領はスムーズに行われた。
功績は無論、オレとドイツ諸侯のものだ。
オレは意気揚々とミラノへ赴き、ガレアッツォから褒美をもらった。


「突発的な侵攻、よくぞ耐えた。その後の働きも見事であったぞ」

「過分なる御言葉、ありがとう御座います」


畏まって頭を下げる。
四方から注がれる憎悪の視線、歯軋りせんばかりのミラノ貴族のそれが実に心地よい。


「シャルルよ。此度の功績を以って、御主にアウグスブルクを与えよう」


その言葉こそオレが望んでいたものだった。
態々危険を冒した甲斐もあったというもの。
心を喜びで満ち溢れさせ、ガレアッツォに感謝の言葉を述べようとする。
だがその直前、ガレアッツォが次の言葉を言い放った。


「ただし、御主はボローニャの総督でもある。
 それを忘れてはならぬぞ。
 最近は留守にすることも多かったことだし、暫くは彼の地の統治に専念するがよかろう。
 アウグスブルクの整備についてはラングを派遣するといい。
 ボローニャも安定した頃であるし、丁度よかろう」


その言葉でオレは氷付いた。
矢張りオレの策謀は気付かれていたようだ。
ガレアッツォの目を見ればそれが分かる。
これは独断専行に対する罰なのだろう。
オレの副官のラングは、周囲からャルル派に属していると見做されている。
しかし、実際の彼はガレアッツォの忠臣だ。
アウグスブルクの整備を完璧に行ってくれることは間違いないが、そこはオレの地盤になり切れないだろう。
ガレアッツォの強い影響下に置かれてしまうからだ。
恐らく、この処置は余りオレの力を強めないようにという意図によるもの。
牽制を兼ねてのものだ。
何せオレはある程度の財力と独自の軍を持ち、更にボローニャという要塞都市まで与えられている。
これ以上の力を得れば、クーデターを起こすことさえも可能となってしまう。
ガレアッツォはそれを警戒したのではないか。
穿った考えとは思わない。
肉親だから、などといって安心することは出来ない。
むしろ肉親だからこそ警戒を緩めない。
それは王として当然の心得なのだ。
勿論、逆の見方をすればオレがそのような中傷を受けないように配慮したとも取れる。
危機感を抱いたミラノ貴族が急進的になり、オレの排斥を叫ぶ可能性もあるからだ。
この処置は国内のバランスを保つために必要だった。
一応、アウグスブルクを得ることは出来たことだしこれで十全とすべきだろう。
そう自らを納得させ、オレは恭しく頭を下げた。


「承知致しました」


背中越しに嘲笑の気配を感じる。
確かに傍から見れば鳶に油揚げを攫われた様に映っただろう。
しかし、この戦いの戦果は目に見えるものだけではないのだ。
シャルル派旗揚げの戦、そしてその勝利こそ本当の意味でオレが狙っていたこと。
その点でいえばオレの目論見は成功しているのだ。
戦火を一つ潜り抜けたシャルル派貴族は、一先ず結束を固くした。
最早ミラノ貴族にでかい顔をさせておくつもりはない。
本格的に勢力争いをする準備は整ったのだ。
オレはガレアッツォの下を去りながらミラノ貴族の顔を睨み付けた。

―今に見ていろ。直ぐにその喜悦を消してやる。

決意を胸にオレは部屋を後にした。

 




------後書き------
更新が開いてしまい申し訳御座いません。
言い訳ですが、このままでは何スレあっても足りなそうなので一話の内容を濃く長くしようとしたのです。
一応当社比1.5倍といった感じで。
それと大砲に関して新たな資料を見てしまい、登場時期のズレが発生し・・・・・・。
今回はその軌道修正も強引に行っております。
さすがに全面的に書き直す気力はないのでこれでお許し下さい。
それでは御意見、御批判、御感想をお待ちしております。


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