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No.8338の一覧
[0] 異世界ですが血塗れて冒険デス (σ゚∀゚)σエークセレント 3-06 投稿[アハト・アハト](2019/04/15 13:26)
[1] 【序章】   ――幼き日々――     (序章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/04/02 09:56)
[2] 0-01 輪廻転生に異世界って含まれると初めて知った今日この頃[アハト・アハト](2011/01/16 23:39)
[3] 0-02 見栄と恐怖のシーソー[アハト・アハト](2010/11/23 11:24)
[4] 0-03 自業自得さー[アハト・アハト](2010/11/23 11:25)
[5] 0-04 家庭って素晴らしい[アハト・アハト](2010/11/23 11:25)
[6] 0-05 社会見学?[アハト・アハト](2010/11/23 11:26)
[7] 0-06 現実はチョイと厳しい[アハト・アハト](2010/11/23 11:27)
[8] 0-07 予備動作、その名はマッタリ[アハト・アハト](2010/11/23 11:28)
[9] 0-08 只今、準備中[アハト・アハト](2010/11/23 11:28)
[10] 0-09 往きの道[アハト・アハト](2010/11/23 11:29)
[11] 0-10 わるきゅーれS’[アハト・アハト](2010/11/23 11:30)
[12] 0-11 ハヂメテの~[アハト・アハト](2010/11/23 11:31)
[13] 0-12 バトルがフィーバー[アハト・アハト](2010/11/23 11:31)
[14] 0-13 ビクターですが、ゴブリンは強敵です。(σ゚∀゚)σエークセレント[アハト・アハト](2010/11/23 11:32)
[15] 0-14 男には意地ってものがあるんです[アハト・アハト](2010/11/23 11:32)
[16] 0-15 流石にコレは予想外[アハト・アハト](2010/11/23 11:33)
[17] 0-16 調子に乗ってます[アハト・アハト](2010/11/23 11:34)
[18] 0-17 オニゴロシ[アハトアハト](2010/11/23 11:34)
[19] 0-18 先ずはひと段落[アハトアハト](2010/11/23 11:35)
[20] 【第一章】   ――旅立ちへの日々――     (第1章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/06/23 23:18)
[21] 1-01 行き成りですが、買収されますた[アハト・アハト](2011/02/01 06:59)
[22] 1-02 契約書には、冷静に、そして内容を良く読んでからサインをしましょう[アハト・アハト](2011/04/02 19:03)
[23] 1-03 鍛冶屋は男のロマンです。きっと……[アハト・アハト](2011/07/07 22:30)
[24] 1-04 なんでさ?[アハト・アハト](2010/09/21 13:04)
[25] 1-05 両手に華(気分[アハト・アハト](2010/10/04 10:27)
[26] 1-06 お兄ちゃんは(自主規制)症[アハト・アハト](2011/01/17 00:06)
[27] 1-07 水も滴れ男ども(俺を除いて[アハト・アハト](2011/04/03 08:42)
[28] 1-08 漸く登場、かも?[アハト・アハト](2011/01/16 23:47)
[29] 1-09 力なき速度、それは無力[アハト・アハト](2011/03/20 01:48)
[30] 1-10 アーメン ハレルヤ ピーナッツバター[アハト・アハト](2011/07/07 22:29)
[31] 1-11 使徒は脳筋[アハト・アハト](2011/04/02 09:44)
[32] 1-12 攪拌。撹乱では無いのだよ撹乱では![アハト・アハト](2011/05/13 00:47)
[33] 1-13 晴れ、時々魔法[アハト・アハト](2011/05/27 21:26)
[34] 1-14 酒は飲んでも飲まれるな!(手遅れ[アハト・アハト](2011/06/17 22:38)
[35] 1-15 気分はぜろじーらぶ[アハト・アハト](2011/06/17 22:38)
[36] 1-16 壮行会は大荒れです(主に俺にとって[アハト・アハト](2011/06/23 23:24)
[37] 1-17 淑女戦争 私はいかにして悩むのを止め、アルコールに逃げるに到ったか[アハト・アハト](2011/07/22 19:31)
[38] 1-18 旅立ち[アハト・アハト](2011/07/23 00:02)
[39] 【第二章】   ――七転八倒的わらしべ長者――     (第二章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2016/02/19 00:07)
[40] 2-01 平穏な旅がしたいのですが、避けようとすれば相手から来る。それがトラブル Orz[アハト・アハト](2011/07/28 00:29)
[41] 2-02 狼は ゴブリンよりも 強かった(節語無し[アハト・アハト](2011/08/01 00:57)
[43] 2-03 牧歌的なのはここまでだ[アハト・アハト](2011/11/06 17:41)
[45] 2-04 <聖女>様、マジパネェっす![アハト・アハト](2011/11/04 10:55)
[47] 2-05 会議は踊らず、ただ進む(ウダウダやっている暇は無い![アハト・アハト](2011/11/06 17:46)
[48] 2-06 教育的指導は鉄拳で[アハト・アハト](2011/11/09 11:11)
[50] 2-07 スキスキ騎兵![アハト・アハト](2013/04/21 08:46)
[51] 2-08 激戦! 騎兵対戦獣騎兵[アハト・アハト](2013/05/03 18:38)
[52] 2-09 コレナンテエロゲ?[アハト・アハト](2013/06/09 12:35)
[53] 2-10 エクソダスするかい?[アハト・アハト](2014/12/01 10:34)
[54] 2-11 一心不乱にエクソダス[アハト・アハト](2014/12/16 23:31)
[55] 2-12 スマッシュ[アハト・アハト](2014/12/25 23:48)
[56] 2-13 戦闘だけが戦の全てじゃありません[アハト・アハト](2015/12/05 19:25)
[57] 2-14 ズバっと解決!(※物理的に[アハト・アハト](2015/12/12 10:31)
[58] 2-15 チョッとしたイベント発生[アハト・アハト](2015/12/30 15:32)
[59] 2-16 公都への道 (※到着するとは言って無い[アハト・アハト](2016/02/18 23:49)
[60] 2-17 責任とか色々?[アハト・アハト](2016/04/04 23:53)
[61] 2-18 虐めってムネキュン?[アハト・アハト](2016/06/15 07:56)
[62] 2-19 戦争は、事前準備が超重要![アハト・アハト](2016/06/27 23:58)
[63] 2-20 公都ルッェルン防衛戦 - 序[アハト・アハト](2016/06/27 23:30)
[64] 2-21 公都ルッェルン防衛戦 - 破/1[アハト・アハト](2016/08/16 22:32)
[65] 2-22 公都ルッェルン防衛戦 - 破/2[アハト・アハト](2016/11/20 22:08)
[66] 2-23 公都ルッェルン防衛戦 - 破/3[アハト・アハト](2016/12/23 13:59)
[67] 2-24 公都ルッェルン防衛戦 - 急/1[アハト・アハト](2017/02/04 09:15)
[68] 2-25 公都ルッェルン防衛戦 - 急/2[アハト・アハト](2017/08/20 20:54)
[69] 2-26 終戦(戦闘が終わったけど戦が終わったとは言って無い[アハト・アハト](2018/04/25 13:44)
[70] 【第三章】   ――殴り愛は神の愛への第一歩――     (第三章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2018/10/27 21:54)
[71] 3-01 蒼い砂漠[アハト・アハト](2018/05/06 10:36)
[72] 3-02 旅は道ずれ世は情け。それが可愛い娘さんだともう最高![アハト・アハト](2018/10/17 10:15)
[73] 3-03 美少女と美人が増えました! やったね!![アハト・アハト](2018/10/27 21:57)
[74] 3-04 平穏が続くと言ったな、ありゃぁ嘘だ。[アハト・アハト](2018/11/18 21:05)
[75] 3-05 血塗れ(ガチ[アハト・アハト](2019/04/15 13:29)
[77] ――New―― 3-06 修羅場(※ Level.1[アハト・アハト](2019/04/15 13:24)
[78] 【外伝】                 (登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/11/30 23:39)
[81] 1-1  ジゼット・ブラロー ―― 大学生活時、同世代から見た観察記[アハト・アハト](2011/11/30 23:38)
[82] 1-2  ノウラ ―― メイド長ノウラの一日 ~ビクターかんさつにっき~[アハト・アハト](2013/02/22 23:09)
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[8338] 2-26 終戦(戦闘が終わったけど戦が終わったとは言って無い
Name: アハト・アハト◆404ca424 ID:e3510fd3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2018/04/25 13:44
+
 取りあえず自然鎮火するまでしっかりと焼いた。
 時々は油も放り込んでキッチリ焼いた。
 翌日深夜まで燃えた。
 丸っと一日燃えた。
 お蔭で皆殺しに成功。
 万を超えた<黒>は、その尽くが市街と共に灰燼へと帰した。
 ざまーみろ。

 これにて一件落着。
 めでたしめでたしで終わらないのはこれが物語では無く現実だから。
 残念。
 実に残念。
 現実と言う奴は地味に面倒くさい。
 <黒>の死体処理から始まって戦死者の埋葬、家を失った人たちの仮設住居の作成、食料その他の手配etcetc。
 終わってからやる事が山盛り。

 戦争はやってる時よりも、終わった後が本番ってのは至言だ。
 いっそ、旅立つ(ランナウェイ)でも出来るんなら楽だけどそれは出来ない。
 人として。
 義理人情浪花節。
 何でも良いけど、人間として出来ない選択肢だ。
 特に、重体で死の淵にある怪我人を見捨てて先に行くっていうのは嫌だ。
 簡易ベットや地面に直に敷いた毛布なりの上でウンウンと呻ってる怪我人を見て見捨てられる奴は人間じゃない。
 神に託された旅の最中とは言え、取りあえずは、重体の人を命に別状の無い所までは癒してから旅立ちたいってなもので。











異世界ですが血塗れて冒険デス (σ゚∀゚)σエークセレント
2-26
終戦(戦闘が終わったけど戦が終わったとは言って無い











 医療分野で働くミリエレナとエミリオ。
 俺も技術が無い訳じゃ無いけど、戦場での応急処置系なので今の状況じゃ役立たず。
 一番の得意技は戦闘系だけど、今の状況じゃ意味が無い。
 <黒>の再襲撃に備える為に義勇軍と正規軍での戦力の再編成ってのもあるから全くの無意味とは言わないけど、ソッチは正規な軍が中心でやるべきなので俺には余り関係は無い。
 関係しろと言われかけど、余所者が今後に関わる部分にタッチするのは宜しくないと説明したら納得してもらえた。

 という訳で、俺は復興支援にと思ってたら止められた。
 いい加減に休め、と。
 というか上の人間が休んでないと、下も適当に休めないと怒られた● ● ● ●
 うん、予想外。
 俺が上の立場かよとは思わないでもないけど、まぁ、大婆様にまで止められては仕方が無い。
 なので喰っちゃ寝 ―― とはならない。
 前世な日本人の悲しい性、仕事を見つめてしまうのだ。

 書状書き。
 感状書き。

 ヴァーリア妃さんに交渉して、その名代として義勇隊隊員への感謝状書きだ。
 俺みたいな餓鬼に率いられて死地へ飛び込んだんだ、栄耀栄華は無くともせめて名誉への配慮程度はしてやりたい訳で。
 ヴァーリア妃殿下印に、俺のヒースクリフ男爵家印に、準騎士位印まで打った羊皮紙の感謝状だ。
 価値があるかと聞かれれば微妙と答えるこの感謝状。
 でも何か凄い事を下っぽく見えるのがミソ。
 名誉ってのは、感謝状ってのはスゲェと思わせたら勝ちだから、気にしない。
 いやまぁ、ヘイルにせよストークにせよ他の面々にせよ、その献身には1点の曇りも無いけどね。

 とも角、昼は腱鞘炎になりそうな勢いで書く。
 で、夜になればヴァーリア姫さんやらクラインやらの相談に乗った。
 雑談、気分転換とかそんな話し相手さ。
 意外な所では、ライマーさんの愚痴を聞いたりもした。
 何というかヴァーリア姫さんが実権を握ったらライマーさん、脂っ気が抜けたような感じで普通の人になった。
 割と話してて面白い人に。
 現公王サマの配下で公都に残ったので、まぁ、色々と天下を見ていたのかもしれない。
 短い奴を。
 で、その野望がポッキリと折れたから、こうなったのかもしれない。
 とも角。
 行政の実権を握って差配しているってか、してたた人なので、色々と面白い事を聞けるのだ。

 後、ヘレーネとも。
 変な誤解、いやまぁ、誤解と言うよりも実相だな。
 政治的な意味でも事実が知られないように要注意ではあったので、出来れば距離を取るべきなのだけど、急な断交と言うのも勘繰られるだろうから、頻度は適当な感じで。

 そんな1週間。
 ドタバタしていた。
 だけど多分、充実していた1週間。
 その上で安堵する日々だった1週間。
 流石にアレだけ切った張ったが連続すると、少し疲れたと思えた。
 少しだけね。
 そして、ルッェル公国の公王サマはまだ帰ってこない。



「助かっているわ」


 ソファに背を預けて行儀悪くしながらチョッと言わずに含む笑いをしているヴァーリア姫さん。
 色々と準備があるからね、色々(● ●)と言う。
 発言内容は、色で言えば真っ黒だ。
 顔にも影が見える。
 部屋が暗いから、暖炉しか光源が無いからという訳じゃ無い。
 食後、睡眠前にと少しだけ酒を嗜みながらのお喋りは、割とざっくりとした気楽な時間だ。

 話す内容は前述の通り、気楽いとは言い難いものだけど。


「軍の再編、家臣団の掌握と民心の安定 ―― 支持の確立。やる事は一杯だわ」


 流し目で見られる。
 手伝えと凄い目力で言われる。
 だけどね、無理なモノは無理なのよ。
 恐らく後1週間程度でミリエレナ達の医療活動は目処がつく。
 この場に留まるのは1週間だけなのだ。
 であるからには、最後まで手伝えもしない事に手を出すのは御無礼様というものだろう。
 故に、応援だけさせて頂きます。


「つれないわね。卿であれば、それこそヘレーネの、義弟に受け入れても良いのだけど?」


 入り婿になれ、とな。
 いやまぁ、種まきの責任ってのを感じてない訳ではないが、中々に難しい。
 言葉を濁してたら、何なら私も付けるなんて言いおった。
 うん。
 ヘレーネもだがヴァーリア姫さんだって魅力的な女性ではある。
 あるけど、酔ってますね、かなりってのが正直な感想。
 目元が赤い。
 馬乳酒の、それも蒸留した奴だ。
 美味しいけどアルコール度数がマジヤヴァイ逸品だ。

 俺はペロペロと舐める様に飲んでいたのだが、ヴァーリア姫さん、皿に注いでパカパカと飲んでれば、それは酔いも回るというもので。


「有難いというか勿体ない言葉ですけど神託に王命まで負う身なんで、勘弁して下さい」


「つれないわね」


「星の巡りが悪かったって事で」


 神族は上って星となった。
 らしい。
 なので星の巡りってのは、要するに神の御導き(インシャアッラー)って事だ。





 そして更に1週間後、そろそろ旅立ちかもと思ってた所でやってきた。
 帰って来た。
 公王サマが、だ。

 旅埃以外は綺麗な格好した奴が、王城の入り口で口上を上げた。


「偉大なる公王陛下の帰還である!!」


 はいはい偉大偉大偉大。
 公王サマ直率の部隊、ほぼ、損失無しってスゴイねー
 何をやって偉大なの? と素で白けた風に思ってしまうのは仕方が無い。
 曰く、公王サマの守った砦に攻め寄せて来たのは万を超えると言うけれど、集団の数としては5か6個のグループだって言うのだ。
 ゲルハルド記念な大学で学んだ<黒>の集団統率を考えると、大軍勢なんて言える1個のグループ兵数は100010000な訳で。
 で、言うたら悪いが彼らが上を見て7万もの<黒>に勝てるとは思えない。
 そもそも助攻っぽいし。
 となると、上を見ても7000な訳で。
 それをほぼ同数な正規軍&現役兵で打ち破った、と。

 白けると言うか、死ねよと言うか。


「………」


 まぁ、俺以外でも集まった連中は白けた顔をしている。
 ダヨネー

 というか、イラっとした感情が見える。
 ダヨネー

 ま、良いけどね。
 諸々、処理● ●は決まってるし。





 翌日の昼頃、公王サマは帰還した。
 好奇心で公都入り口の大門上から見てたら、入るまでは装飾過多っぽい鎧と相まって威風堂々というか自信満々であったけど、門を抜けたら間抜け面になったのが判った。
 うん、街が丸っと焼け野原だ。
 驚くのも当然か。


「…! ……!? ………!!」


 流石に大門の上から声は聞こえないと言うか、内容は判らないでど怒鳴っているのだけは判った。
 御付き人相手に鞭をビュンビュンと振り回している。
 癇癪を起こしたっぽい。


「迎えというか歓待がされてないので怒ってるみたいですな」


 物見高いというか、仕事のネタ収集に本気なバルトゥールさんが、言う。
 聞こえたんかい。
 スゴイな。


「耳、良いですね」


「吟遊詩人なんて、耳と声が良くないと仕事が出来ないんですよ」


「あー」


 集めて伝えるから、か。
 実に納得。


「しかし、この街の状態を見て歓待が無いって言えるのは凄いな」


「知りません? 当代公王ウルリヒ陛下は誇り高い● ● ● ●と有名ですから」


誇り高い● ● ● ●、ね」


 顔を合わせる。
 うん。
 実に良く分る。
 肩をすくめられた。
 軽く天を仰いだ。


「ヴァーリア姫殿下が決心● ●するのも当然か」


「今までは大過無かったんですけどね」


 癇癪持ちな所もあったけど、暴君では無かったと言う。
 ある程度、暴言は言うけどギリギリで愛嬌の範疇だったと言う。
 平時の王であれば及第点だったのだろう。
 多分。


「公王サマの事、良く知ってますね」


「噂を集めるのも仕事ですからね」


「お見事」


 吟遊詩人が情報屋マスコミを兼ねると言うのは良く分る。
 噂話からの人物評ではあるだろうけど、眼下に見える情景から察するに、実像からそうそう離れて無さそうだ。
 いやはや。


「そろそろ戻りますか」


「はい」


 ヴァーリア姫さんからは、歓迎委員会への参加が要請されているからね。





「ヴァーリア! これはどういう事か!!!」


 ガタイが良い割に神経質そうな声を張り上げる公王サマ。
 場所は謁見の間。
 王座に座るヴァーリア姫さん。
 そして隷下のヴァーリア“鉄槌”戦士団の面々。
 当然ながらも武装済み。
 クラインも、手勢を連れている・
 後、俺やヘイルといった義勇隊でも腕利きが集まっている。
 実戦を経てイイ面構えになった面々が、非友好的に睨んでいる。
 仕方ないよね。
 公王サマの采配ミスで公都炎上というか、陥落の手前まで逝ったんだから、仕方が無い。

 謁見の間に入ると同時に扉を閉められ、退路を失った公王サマ、それでも引き連れていた近衛に護られながらもヴァーリア姫さんを睨む。
 親の仇の様に。
 敵の様に。
 いやまぁ、敵だけど。
 でも、数で劣勢なのに怯えてない辺り、肝は太いね。


「謀反をする気かっ!!」


「仕方がありません、兄上。貴方に国を任せてはおれないのですから」


 酷薄な顔で笑う。
 玉座に座ったまま笑うその姿、中々の悪女っぷりである。


「狂ったかっ! 我らが歴史と誇りある公都を灰にした上でふざけた事を抜かすなっ!! 城1つも護れぬ者が王足りうる筈がなかろうっ!!!」


 怒鳴り、それから自信満々にクライン他、俺たちに胸を張る。
 如何に己が有能であったかを。
 北の砦での戦いを勇壮に言う。


「俺は敵に勝ち、砦を護り、兵を損なわずに帰って来たのだ。クライン! 貴様、色香に迷わされたか。ゲーベルの忠誠をもってヴァーリアを捕え、帰順せよ」


 数で押すのが基本の<黒>相手に、同数で勝って自慢とかナイワー
 マジ、ナイワー
 一触即発なんだけど、何だろう、白ける気分って。


「陛下……」


 ライマーさんが嘆息する様に、その名を呼ぶ。
 つか、疲れた顔をしている。


「ライマー、貴様もだ。何故逆賊に与するかっ! 耄碌したかっ!! 俺が、俺こそが正統なる王であるぞっ!!!」


 怒鳴ってから、周りを見る。


「我が奥を捕えたか、忠臣のデッセルの者たちもか! 心ある者を捕え、人倫を忘れて獣へと堕ちたか。我が妹ながらも見下げ果てた奴め!!」


「っ!」


 コッチ側の人間がキレそうになってる。
 アドレナリンのにおいが出る。
 においなんて無いけどねっ! 判るのよ。
 空気で判るのよ。
 公王サマ側も抜き剣しよとなる。

 とは言え此処で斬りかかっては気分的には良くても、負けっぽくなる。
 それはチト、悔しい。
 なので駄槍コングナーの石突きで床を叩く。
 柏手と同じだ。
 快音をもって怒りを祓う。

 衆目が集まった。
 圧力がある。
 負けぬがな。


「慌てるな」


 笑う。
 笑ってやる。

 ヴァーリア姫さん、肩の力を抜く様に息を吐く。


「北壁で遊ばれていた兄上では現実は判りませんよ。王位を譲っていただく」


「馬鹿げた事を。力をもって王位を求めても、我が手勢で粉砕してくれる」


 覇気はある。
 けど、此方とて無策では無い。
 今の様に公王サマと側近を手勢から分断したし、残った側の指揮官クラスにも前後不覚になる薬入りの酒をふるまってる。
 ヤル気満々で準備をしていたのだ。
 手抜かりもある筈がない。


「兄上、貴方はお甘い」


「貴様っ!?」


 と、公王サマが怒鳴り声を上げようとするのを制する様に、その一番近い所に居た白染めな甲冑を着込んだ男が一歩前に出た。
 壮年。
 顔に自信が見て取れる。
 戦士として脂の乗り切った頃合いっぽい、戦士だ。
 一番の腹心といった所かな。
 俺の相手● ●かな。


「陛下、事、此処に至っては言葉は無意味で御座いましょう」


 戦で頭がのぼせた奴は、叩きのめして正気に戻らすのが一番であると言う。
 正論ではある。
 問題は、その前提条件が間違えているってだけで。


「ゲオルギウスよ、任せて良いか」


 名を呼んだから判った。
 ゲオルギウス・ガッツェン、公王サマの筆頭騎士だ。
 国で一番の戦士だと言う。
 悪くは無い。
 取りあえず、ヘイルやクライン辺りよりは強そうだ。
 オーガー級? な威がある。
 逆に言うと、オーガー級程度● ●でしかない。
 この国って、平和だったんだよね。
 つくづくそう思う。
 羨ましい。


「お任せ下さい。我が力は陛下の威武! 愚か者どもに正道を教育してやりましょうぞ」


 と、ゲオルギウスが腰に佩いていた剣を抜いて掲げた。
 何というか芝居がかっている。
 ん、あの剣。
 刀身の長さは普通だが、幅が広い。
 普通の対<黒>アンチ・ミディアン幅広剣ブロードソードより更に倍くらいの幅が広い。
 奇形な大剣だ。
 ピカピカしてて傷が無い。
 もしかして、前線に出てないのか。
 どうでも良いけど。


「ビクター」


 名前が呼ばれる。
 先生、お願いしますと来たもんだ。
 どーれ。

 前に出る。
 ゲオルギウスと対峙する。
 睨み合い。


「何者か! いや、まて、その槍っ!?」


 謁見の間って天井が高いので槍を立てて動くのにも不自由が無いのが有難い。


「王家の宝槍、コングナーを何故、貴様が持つ! 下郎め!!」


 誰何するよりも先に、下郎と決めつけるのは酷いと思います。


「貴様がヴァーリアを操っているのかっ!!」


 熱い風評被害、ありがとうございます。
 情夫と呼ばれないだけマシか? 多分。
 きっと。


「預かってるだけさ」


 回す。
 回して構える。


「おのれ、フザケおってぇぇぇっ!」


「ゲオルギウスよ、任せる。槍を国を取り返せっ!!」


「御意っ!!!」


 大剣を振り回すデモンストレーション。
 おーおー 血圧高めだ。
 なら、本気で相手をしてやる。


「ヘイル!」


「おっ、おぉ!?」


 槍を放り渡す。
 落とさずにキャッチ出来た模様。


「4番 5番! 開放!!」


 双のショートソード、ペネトレーターとカーチャンソード。
 とっておきだ。
 掴む。
 構える。
 嗤う。


「我が威に臆したかっ!」


 馬鹿こけ。


「本気で相手してやろうってだけだ」


 後、武器を言い訳になんざさせないってな。


「我がアシュカーングレートソードをそんな小剣で止めるだと、舐めおってぇっ!!」


 突っ込んでくる。
 だから● ● ●、踏み込む。
 迫ってくる両手持ちの大剣グレートソード、誰かの悲鳴。
 だが、片手持ちの小剣ショートソードが勝てぬと誰が言った?


「KiiiiiExtu!!」


 左手に持った分厚い刀身を持つペネトレーターを叩きつける。

 重鉄音

 左腕がビキビキっと啼く。
 笑ってしまう。
 止まる。
 武器の重さも体重差も、力で潰す。


「っ!?」


 馬鹿め、アッチの方がよろめいてやがる。
 だが、退かなかったのは褒めてやる。
 足を止めての撃ちあい。
 上手い。

 2合。
 3合。
 4合。

 両のショートソード、手数2倍の攻撃を捌きやがる。
 グレートソードの刀身に柄にと、得物のデカさを上手く扱って来る。
 そこはベテランの妙技か。
 バケモノパークス・アレイノートに比べると重さは無いが、小技がある。

 8合。
 9合。
 10合。

 撃ちあいが続く。
 良くついて来る。
 埒が明かない。

 撃つ、と見せかけて蹴る。
 腹を真正面から蹴っ飛ばして、その反動で下がる。
 着地。
 更に撥ねて距離を取る。
 追撃は ―― 来ない。


「中々のお点前で」


 息を整える。
 そこまで乱れたって訳じゃ無いが、インターバルは実に大事。


「貴様ぁ…っ、何者…かっ!!」


 アッチは息が少し上がっている。
 若くないな。

 しかし、何者と言われてもな。


「よっ、<鬼沈め>!!」


 字名を呼ぶのはバルトゥールさん。
 では右の剣を掲げて答えましょう。


「トールデェ王国従騎士、ヒースクリフ男爵家が嫡男。<鬼沈め>ビクター・ヒースクリフ」


「なる、ほど……」


「疑問は解消した?」


「ああ。では我も答えよう。ルッェル公国公王近衛筆頭騎士、<剛打剣>ゲオルギウス・ガッェン」


 剣礼。
 粗暴者なと思ってたら、違った。
 答礼。
 少しだけ、評価を上方修正。


「なっ、トールデェの!? 成り上がりのトールデェが俺を排除すると言うのか!!!」


 向こうで何ぞ斜め上方向に勘違いしている公王サマ。
 アッチは下方修正しておこう。
 うん。
 というか、我がトールデェの女王陛下やらが格下の国の、というか貧乏邦国クライアント・ステイツの事を一々に慮る筈も無いっての。
 保護者宗主国としての配慮以外、するもんか。
 自意識肥大にも程がある。

 と言うか、ウチを成り上がりとな。
 田舎モンが吹くモンだ。
 アッチは後でヴァーリア姫さんが〆るでしょ。

 剣を握り直す。
 構える。
 左の小剣ペネトレーターは触覚、前へと伸ばす。
 右の小剣カーチャンソードは本命、右肩へと背負う。

 さて、攻めるか。


「行くぞぉっ!!」


 宣言 ―― されました。
 突っ込んできやがった。

 中々の威だ。

 退く? 趣味じゃない。
 耐える? 趣味じゃない。


「Tiiiiiii!!」


 進む。
 攻めれずして何とするか。

 踏み込む。

 打ち込み ―― 出来ない。
 彼我互いの踏み込みで距離が大剣はおろか小剣ですらも近すぎてしまった。


「おぉっ!」


 刀身では無く柄ですらもなく、腕先で殴ってくる。
 上からの振り下ろし。

 受ける? 否。打ち返す。
 だが両手では無理。
 蹴りは全身に使ってるので無茶。
 なので無謀な方法、額だ。
 頭突きをかます。
 鉢金巻いているんでイテェぞおっ!!


「っ!?」


 振り下ろしな腕よりも、大地を蹴る俺の頭突きの方が強い。
 よろめいたゲオルギウス、その体躯の左わき腹を殴る。

 距離が近すぎて剣が振れない?
 なら殴れば良いじゃない!

 拳を開いて邪魔な剣を落として、拳を握り直して打ち込む。

 拳が剣に勝てぬなど、誰が言った?

 最至近距離で最短コースで打つなら、拳は最速だ。
 揺れるゲオルギウス。
 逃がさないぞ。
 右の拳の打ち込みで作れた左拳の溜め。
 左へと捩じられた体を戻す、その勢いを拳に乗せる。
 腹を。
 真正面からぶん殴る。

 鉄製の鎧? だから何。
 鉄板で衝撃を殺せるかよ。


「ぐぅっ!」


 血反吐を吐くか?
 前かがみになった。
 まだだ。
 まだだよ。
 打つ。
 右の拳が突き刺さる。
 倒れない。
 踏ん張ってる。
 やる。
 だがまだだ。
 まだまだ俺の攻撃だ。
 打つ。
 打つ。
 打つ。


「OoooooXtu!」


 止め。
 膝のバネも使って、下から上への打ち上げ。
 前かがみになって降りた顎を打つ。

 吹っ飛んでった。
 気持ちの良いアッパーで御座いました。


「2番開放」


 大剣を握ったままの右腕を踏みつける。
 呼んだ剣の切っ先を、ぶっ倒れたゲオルギウスに突きつける。


「まだやる?」


 荒い息をしながら見上げて来るゲオルギウス、目にもう力が無い。
 だが降参は言い辛そうだ。
 面子を潰しきると面倒くさいので解決策を提示する。

 大剣を手放せ、と。
 意図を理解したのだろう。
 大剣は床に落ちた。

 木の床に落ちる鉄の剣。
 その音は、意外な位に響いた。
 歓声が上がった。


「ラウーーーッ!」


「ウラーーーーッ!!」


「ウラーーーーーッ!!!」


 ロシア式、もう何でもありだね。
 突っ込む気力も出ないけど。

 床を踏み鳴らす音が凄い。
 床、抜けないよね?



「見事、ビクター」


 お褒めの言葉、ヴァーリア姫さんに剣を掲げて礼を捧げる。
 っと、それまで呆然としてた公王サマが俺に喰ってかかって来た。
 近づいては来ないけども。


「ばっ、剣の戦いを何だと心得る!? 剣は戦士の心だぞっ!!」


 聞こえませんな。
 鼻で笑う。
 戦なんて、それこそ犬畜生と罵られても勝つのが本分にて候ってな。
 確か。
 勝たなければ意味が無い。


「トールデェ人はやはり蛮族だな!! 誇り知らずめ、でなければゲオルギウスに勝てなかった卑怯者め!!!」


 切歯扼腕している。
 近衛な連中も、そうだそうだと叫んでる。
 無視するのも可愛そうなので答えてやろう。


弱者ブタの悲鳴は、心地よいな」


 煽るとも言う。
 尚、鏡を見た訳じゃ無いけど、サイッコーに悪い笑顔をしている自信はあります。





 煽ったけど、別に乱闘にはなりませんでした。
 数で負け、勢いでも負け、そもそも一番強い奴も負けていたので、罵声を上げるだけで大人しく縛につきました。
 公王サマも含めて。

 聞いた話、捕まえた後の近衛の連中に関しては状況の説明を行って頭が冷えたら開放だとの事。
 問題が無ければ。
 問題ってのはアレだ、某阿呆のゲーリン・デッセルとその一党の様な特権階級サマだとアレコレと国に被害を出すような事だ。
 身辺調査して、悪い事をしてたら捕縛して、適正な法の処罰を与えるんだそーな。

 法治ってステキである。
 後、ヴァーリア姫さんの器、大きめである。

 尚、公王サマに関しては禅譲と言う形を取るので、一応、城内で隔離される部屋に奥様と2人で入って貰い、それ以上は無しとの事。
 政治的に何かをされても困るので、不妊処置と最終解決手段● ● ● ● ● ●の準備だけはしておくとの事。
 綺麗事だけじゃない辺り、ヴァーリア姫さんは統治者向けかもしれない。


「これで一件落着かな」


「多分、大きな山場は過ぎたんだと思います」


 ベットに寝ているヘレーネが言う。
 病気という訳ではないが、妊娠の初期症状とか、そんな所で体調を崩しているっぽい。
 熱は無いらしいが。


「安寧がこの国にある事を祈る。ブラウヒア家にも」


「有難うございます」


 シーツを、お腹の辺りを見る。
 次の世代。
 命。


「初産は大変だと聞く」


「はい」


 公式にも非公式にも、俺の子供なんては言えない。
 政治的にも良くない。
 だけど、気持ちは、ある。
 ヘレーネへの情も。


「だから、プレゼントだ」


 白いサラシで巻いた小剣カーチャンソードを差し出す。


「えっ?」


「コレは持っている奴に加護を与えてくれる」


 軽量化に切れ味増進。
 そして大事なのは持ち手の体調コンディション管理能力だ。
 常に良好な状態に維持できる様にしてくれる魔法が掛けられている。
 俺の身を案じる母の愛だ。
 だからカーチャンソード。
 魔法が3つも乗せられた特別製だ。

 とは言え、体調管理面では愛の結晶タリスマン・オブ・マーリンがあるんで、そこまでの超貴重という訳じゃ無い。
 それなら子供の為にあるべきだろう。
 おまけに出産時に出血したりとかして大変な事になった時用でポーションまで複数プレゼント。
 これで、安全の筈。
 多分。


「有難うございます。ビクター様に幸運のあらん事を」


「有難う。貴方にも


 キス。
 フリーデがわざとらしくも外を見ていたので最後のご挨拶。





 旅立ち。
 ヴァーリア姫さんから始まって縁のあった人間に挨拶をする。
 ヘイルなんて泣いてた。
 最初の時には突っかかって来たのに、可愛いモノだ。

 カポカポっと馬車が行く。
 クルトさん達の商隊とも別れて進む道。
 のんびりと馬車は進む。
 やっぱりドンキーのドンは良いね。
 癒し系だ。
 さようならロット。
 お前は良い馬過ぎた。
 軍馬オブ軍馬だ。
 思わず感状を出す程の馬だけど俺には過ぎた馬だったので、誰かと共に幸せになってください(懇願


「平和って良いな」


「頑張った甲斐、ありましたね」


「全くだ。エミリオも活躍は聞いているぞ」


「感状、貰ってませんけど?」


「アレはここの人間用さ。だが八面六臂の大活躍はその通りだな。後で書いてやるよ<鉄壁>殿?」


 戦闘に治癒にと大車輪で働いた功労者だ。
 字名が付く位に。


「<東方武侠>には劣ると思いますよ?」


「言うね」


 カララっと笑い合う。
 っとと、唇に指を当てシーッる。
 お互いに。
 頷いて後ろを見る。
 夕べまで治癒魔法を使いまくってたミリエレナが寝ている。


「静かに行こうか」


「はい」


 見上げた空はどこまでも蒼い。


「良い天気だ」







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