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No.8338の一覧
[0] 異世界ですが血塗れて冒険デス (σ゚∀゚)σエークセレント 3-06 投稿[アハト・アハト](2019/04/15 13:26)
[1] 【序章】   ――幼き日々――     (序章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/04/02 09:56)
[2] 0-01 輪廻転生に異世界って含まれると初めて知った今日この頃[アハト・アハト](2011/01/16 23:39)
[3] 0-02 見栄と恐怖のシーソー[アハト・アハト](2010/11/23 11:24)
[4] 0-03 自業自得さー[アハト・アハト](2010/11/23 11:25)
[5] 0-04 家庭って素晴らしい[アハト・アハト](2010/11/23 11:25)
[6] 0-05 社会見学?[アハト・アハト](2010/11/23 11:26)
[7] 0-06 現実はチョイと厳しい[アハト・アハト](2010/11/23 11:27)
[8] 0-07 予備動作、その名はマッタリ[アハト・アハト](2010/11/23 11:28)
[9] 0-08 只今、準備中[アハト・アハト](2010/11/23 11:28)
[10] 0-09 往きの道[アハト・アハト](2010/11/23 11:29)
[11] 0-10 わるきゅーれS’[アハト・アハト](2010/11/23 11:30)
[12] 0-11 ハヂメテの~[アハト・アハト](2010/11/23 11:31)
[13] 0-12 バトルがフィーバー[アハト・アハト](2010/11/23 11:31)
[14] 0-13 ビクターですが、ゴブリンは強敵です。(σ゚∀゚)σエークセレント[アハト・アハト](2010/11/23 11:32)
[15] 0-14 男には意地ってものがあるんです[アハト・アハト](2010/11/23 11:32)
[16] 0-15 流石にコレは予想外[アハト・アハト](2010/11/23 11:33)
[17] 0-16 調子に乗ってます[アハト・アハト](2010/11/23 11:34)
[18] 0-17 オニゴロシ[アハトアハト](2010/11/23 11:34)
[19] 0-18 先ずはひと段落[アハトアハト](2010/11/23 11:35)
[20] 【第一章】   ――旅立ちへの日々――     (第1章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/06/23 23:18)
[21] 1-01 行き成りですが、買収されますた[アハト・アハト](2011/02/01 06:59)
[22] 1-02 契約書には、冷静に、そして内容を良く読んでからサインをしましょう[アハト・アハト](2011/04/02 19:03)
[23] 1-03 鍛冶屋は男のロマンです。きっと……[アハト・アハト](2011/07/07 22:30)
[24] 1-04 なんでさ?[アハト・アハト](2010/09/21 13:04)
[25] 1-05 両手に華(気分[アハト・アハト](2010/10/04 10:27)
[26] 1-06 お兄ちゃんは(自主規制)症[アハト・アハト](2011/01/17 00:06)
[27] 1-07 水も滴れ男ども(俺を除いて[アハト・アハト](2011/04/03 08:42)
[28] 1-08 漸く登場、かも?[アハト・アハト](2011/01/16 23:47)
[29] 1-09 力なき速度、それは無力[アハト・アハト](2011/03/20 01:48)
[30] 1-10 アーメン ハレルヤ ピーナッツバター[アハト・アハト](2011/07/07 22:29)
[31] 1-11 使徒は脳筋[アハト・アハト](2011/04/02 09:44)
[32] 1-12 攪拌。撹乱では無いのだよ撹乱では![アハト・アハト](2011/05/13 00:47)
[33] 1-13 晴れ、時々魔法[アハト・アハト](2011/05/27 21:26)
[34] 1-14 酒は飲んでも飲まれるな!(手遅れ[アハト・アハト](2011/06/17 22:38)
[35] 1-15 気分はぜろじーらぶ[アハト・アハト](2011/06/17 22:38)
[36] 1-16 壮行会は大荒れです(主に俺にとって[アハト・アハト](2011/06/23 23:24)
[37] 1-17 淑女戦争 私はいかにして悩むのを止め、アルコールに逃げるに到ったか[アハト・アハト](2011/07/22 19:31)
[38] 1-18 旅立ち[アハト・アハト](2011/07/23 00:02)
[39] 【第二章】   ――七転八倒的わらしべ長者――     (第二章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2016/02/19 00:07)
[40] 2-01 平穏な旅がしたいのですが、避けようとすれば相手から来る。それがトラブル Orz[アハト・アハト](2011/07/28 00:29)
[41] 2-02 狼は ゴブリンよりも 強かった(節語無し[アハト・アハト](2011/08/01 00:57)
[43] 2-03 牧歌的なのはここまでだ[アハト・アハト](2011/11/06 17:41)
[45] 2-04 <聖女>様、マジパネェっす![アハト・アハト](2011/11/04 10:55)
[47] 2-05 会議は踊らず、ただ進む(ウダウダやっている暇は無い![アハト・アハト](2011/11/06 17:46)
[48] 2-06 教育的指導は鉄拳で[アハト・アハト](2011/11/09 11:11)
[50] 2-07 スキスキ騎兵![アハト・アハト](2013/04/21 08:46)
[51] 2-08 激戦! 騎兵対戦獣騎兵[アハト・アハト](2013/05/03 18:38)
[52] 2-09 コレナンテエロゲ?[アハト・アハト](2013/06/09 12:35)
[53] 2-10 エクソダスするかい?[アハト・アハト](2014/12/01 10:34)
[54] 2-11 一心不乱にエクソダス[アハト・アハト](2014/12/16 23:31)
[55] 2-12 スマッシュ[アハト・アハト](2014/12/25 23:48)
[56] 2-13 戦闘だけが戦の全てじゃありません[アハト・アハト](2015/12/05 19:25)
[57] 2-14 ズバっと解決!(※物理的に[アハト・アハト](2015/12/12 10:31)
[58] 2-15 チョッとしたイベント発生[アハト・アハト](2015/12/30 15:32)
[59] 2-16 公都への道 (※到着するとは言って無い[アハト・アハト](2016/02/18 23:49)
[60] 2-17 責任とか色々?[アハト・アハト](2016/04/04 23:53)
[61] 2-18 虐めってムネキュン?[アハト・アハト](2016/06/15 07:56)
[62] 2-19 戦争は、事前準備が超重要![アハト・アハト](2016/06/27 23:58)
[63] 2-20 公都ルッェルン防衛戦 - 序[アハト・アハト](2016/06/27 23:30)
[64] 2-21 公都ルッェルン防衛戦 - 破/1[アハト・アハト](2016/08/16 22:32)
[65] 2-22 公都ルッェルン防衛戦 - 破/2[アハト・アハト](2016/11/20 22:08)
[66] 2-23 公都ルッェルン防衛戦 - 破/3[アハト・アハト](2016/12/23 13:59)
[67] 2-24 公都ルッェルン防衛戦 - 急/1[アハト・アハト](2017/02/04 09:15)
[68] 2-25 公都ルッェルン防衛戦 - 急/2[アハト・アハト](2017/08/20 20:54)
[69] 2-26 終戦(戦闘が終わったけど戦が終わったとは言って無い[アハト・アハト](2018/04/25 13:44)
[70] 【第三章】   ――殴り愛は神の愛への第一歩――     (第三章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2018/10/27 21:54)
[71] 3-01 蒼い砂漠[アハト・アハト](2018/05/06 10:36)
[72] 3-02 旅は道ずれ世は情け。それが可愛い娘さんだともう最高![アハト・アハト](2018/10/17 10:15)
[73] 3-03 美少女と美人が増えました! やったね!![アハト・アハト](2018/10/27 21:57)
[74] 3-04 平穏が続くと言ったな、ありゃぁ嘘だ。[アハト・アハト](2018/11/18 21:05)
[75] 3-05 血塗れ(ガチ[アハト・アハト](2019/04/15 13:29)
[77] ――New―― 3-06 修羅場(※ Level.1[アハト・アハト](2019/04/15 13:24)
[78] 【外伝】                 (登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/11/30 23:39)
[81] 1-1  ジゼット・ブラロー ―― 大学生活時、同世代から見た観察記[アハト・アハト](2011/11/30 23:38)
[82] 1-2  ノウラ ―― メイド長ノウラの一日 ~ビクターかんさつにっき~[アハト・アハト](2013/02/22 23:09)
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[8338] 0-11 ハヂメテの~
Name: アハト・アハト◆404ca424 ID:2f92984a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/23 11:31
 
 母親様たちが出撃する。
 敵は200を超えるゴブリン、それにオークやらが一緒に居ると言う。

 現代風ってか陸上自衛隊風に言うとアレだ、中隊戦闘団ってな感じか。
 200のゴブリンが普通科って名前の歩兵で、オークが戦車と云うか破城鎚みたいなものか。
 否、違うか。

 本で見た限りアレだ、オークはゴブリン風情に操られる様な甘っちょろい化け物では無い。
 強欲を司る邪神の従順な僕にして、略奪の権化なのだ。
 <黒>の軍を観察したモノの本では、ゴブリンの略奪部隊はオークに統率されていると云う。
 そんな化け物が、人間よりもやや弱い様なゴブリンに指図されている筈が無い。

 逆か。
 オークは督戦しているのかもしれない。
 鉄製のメガホンを手に、「1人は剣を、1人は盾を。剣を持った奴が倒れたら、盾の人間はそれを拾って前進しろ!!」と叫んでるのかもしれない。
 うん。
 ある意味で、メッチャ似合ってる。

 てゆうか、それなんてレニングラードってな感じである。
 そーなるとアレだ、<黒の軍>とゆーよりも<赤軍>って方が通りが良いと思える。
 酷い話がだまぁ良い。
 熊になったりする世の中だし、そもそもとして俺は、兜に“Kill Red”って書き込もうって類の人間だから問題は無い。
 無いのだ。
 てゆーか、喜んでイメージ変えちゃる。
 殺しちゃる。

 懐かしの日々よ。
 何度、北海道で苦杯を飲んだ事か。
 スチームローラーテラ怖ス、だ。
 名寄の第3普通科連隊を基幹に、TKを編入した完全編成の連隊戦闘団――3th Rctが名寄を叩き出されて凹られた恨みは忘れず、だ。
 うん、特科の配置が悪かったってのも否定はしなが。

 うん、何ぞ余裕あるな、俺。
 手が体が震えない。
 馬鹿な事を考えていられる。

 この数km先では殺し殺されるキリングフィールドであるのに、だ。

 笑ってしまう。
 笑いが浮かんでくる。
 我が母親様達の安心感って、戦場に於ける戦車的なものかもしれない。
 圧倒的な火力と絶対的な防御力を持っているのだ。
 強ち間違っては居ない。


「ビクター?」


 ノウラがこっちを見てくる。
 多分、心配しているのだろう。
 俺も緊張しているのだと。

 だが現実は逆だ。
 緊張しなさ過ぎなのだ。
 だから、その頭を優しく撫でてやる。


「大丈夫さ、きっとね」




 とゆー訳でゴブリンは怖くない。
 怖くないが、問題はある。

 別働隊、だ。

 略奪目的の部隊なのだ、敵は。
 であれば周辺への略奪か、或いは警戒の部隊が出ていてもおかしくは無い。
 ならば警戒をしておくに越した事は無い。

 ならばすべき事は1つ。
 擬装だ。




「という訳で、馬車を隠したいんですが?」


 ブッチャケて報告とゆーか、申告する俺。
 相手は無論、マルティナだ。

 帰ってきたのは、深い深いため息だった。
 なんでさ。


「ビクター坊、ホント、真面目と云うかなんかなー」


 子供っぽくないとブツブツと言われる。
 どーせ近づいてきても私の一撃で即昇天、片道街道到着地冥府で鎧袖一触だってのにとか、更に物騒な事もチラホラと。

 まぁ不真面目と言うなかれ。
 マルティナさんが強いのは事実だが、それ以上にアレだ、この時代は一般的に“擬装”と云う行為に価値を見出していないのだ。
 否。
 概念が無いとも言える。
 人間相手の戦争がトンと無く、<黒>との生存戦争は、ブッチャケ、力押し基本だからだ。
 正に人海戦術、人の海。
 此方も、数を揃えて正面から撃破ってのが普通な訳だ。
 いやまぁ、色々と戦術とか戦略とかはあるっぽいが、それでも平成な御世の現代程では無い。
 そもそもとして交戦距離の短さがあり、そして重要な事は情報通信手段が限定されている事だ。

 交戦距離は仕方が無い。
 投射射出型の魔法による遠隔戦闘手段はあっても、その大多数は数10m程度の射程。
 一般的な上級魔法でも、極一部が100mとかの程度なのだ。
 他に一般的な投射武器として弓や弩弓なんかもあるが、同じ程度の射程しかない。

 そして通信手段。
 一応は魔法による情報伝達手段と云うものも存在してはいるのだが、コレ、基本的に大規模な準備を必要としており、それを常用と言うか野戦にて仕様するには、色々問題があるシステムなのだ。
 術を掛ける当人と、術を増幅する要員。
 しかも、繋ぎっぱなしでは術者も消耗する。
 その為、代替人員を用意する必要が出て来る。
 術者当人もだが。増幅者にも、だ。
 そんな訳で、大規模な軍団司令部と国軍総司令部の間で連絡をする事は可能でも、軍団司令部と各級部隊を繋ぐ事は不可能となっている。
 当然だろう。
 一般的な部隊編成の最小単位の100人隊に魔法通信手段を保有させようとすると、その2乃至3割が通信要員になってしまうのだ。
 戦術指揮官は基本的に目の届く範囲しか掌握できないのだ。
 コレではどうにもならない。
 何もRMAによるデジタル化師団や基幹連隊指揮システム、果ては共同交戦能力みたいなモノを求めている訳では無いが、にしてもコレはあんまりであるってな状況である。
 そこ等辺、流石はファンタジー。

 尤も、別にこれは、ファンタジーだからと云うだけな訳では無い。
 ファンタジーな要素を持たない元の世界でも、中世に於いてはンナもんである。
 とゆーか、グランダルメが世界最強っと叫んでいた頃の軍服がメッチャ派手な理由の1つには、兵が何処に居るのかを判りやすくするってのが在ったってな話だ。

 だからだ。
 この世界に於いて擬装と云う概念が乏しいのは。
 敵から見えづらいが、味方からも見えづらい。
 指揮官からも見えづらい。
 そんな部隊を求める指揮官は居ないのだ。

 そして兵士の側も見えづらいのは嬉しくない。
 当たり前だ。
 戦功を挙げても、擬装なんかで誰が誰だか判らなければ、目端の効いた奴に功を取られてしまう。
 それは嬉しくない。
 堪らない。
 だから、そんな格好を好んでする様な兵士は居ない。

 冒険者と言われる様な人間は別だが、此方は此方で、擬装――目立たない格好をしていては腕を疑われる面があるのだ。
 良い格好の1つも用意出来ない。
 故に、冒険者もそれなりの格好をするのだ。


 んな訳で、擬装なんて概念を有しているのは猟師くらいなものなのだ。
 <黒>との戦争は、有史以来と言うか4桁近く続いているのに、戦術のは進歩していないのだ。
 対<黒>以外に、<白>の陣営で戦争をする必要も無い程に、世界は豊かなのかもしれない。
 食卓の彩りを考えれば、それが理由かもしれない。
 或いは、この世界の人類、主要5族であるヒューマンは、エルフは、ドワーフは、ホビットは、ノームは戦争に向いていないのかもしれない。
 まぁ元の世界の人類が、同族同士でも血で血を洗う争いを繰り広げた戦争民族なのだ。
 一緒にするのは迷惑なのかもしれない。

 平和な世界なのだろう。
 だが俺は、そんな戦争民族出身の身であり、この世界の流儀に、そうそう迎合する訳にはいかない。
 だって、掛けられているのは俺の命だからだ。


 俺の命を、そして可愛い妹とノウラの命の為に。
 あとまぁマルティナさんに関しては、ナニが来ても自力で何とか出来そうだが、まぁ、その命の為に。
 俺は引かぬ、そして媚びる。

 具体的には、マルティナのボヤキをスルーし、そして子供らしく、おねだりするのだ。
 ビバ☆子供ボデーに大人オツム。


「駄目、ですかね?」


 上目遣いもオマケする。
 子煩悩なってか、子供が基本大好きなマルティナさん、コレでコロリと落ちた。
 俺の自尊心ってか、羞恥心が諸々で切なくなるが、まぁ我慢する。
 我慢するサー。



 まぁ諸々あって、頑張って擬装する事にしました。
 具体的には馬車にロープをグルグル巻きにし、そこに草なんかを挿す。
 まぁ隊を自称するけど、英訳するとどの道フォースで軍な所風に、である。

 とゆう訳で、ロープを取り出す。


「おにいさま、何をされるんですか?」


 振り返れば妹。
 まぁ緊張の色は無い――訳では無いが、まぁ少ない。
 規格外としか言いようの無い母親様を、それこそ生まれたときから間近で見てきたのだ。
 ある意味で信頼があるのだ。
 200程度のゴブゴブに、遅れを取るなどあり得ない、との。


「いや、擬装をしようと思ってね」


「擬装、ですか?」


「ああ。万が一、コッチに敵が来たときに備えてな」


 街道から脇の林へと入った場所に、馬車は止められている。
 下生えもあって、丸見えっと云う訳では無いが、馬車は黒塗りなのだ。
 気を付けていれば直ぐに気付かれるだろう。

 だからこその、擬装なのだ。


「カムフラージュってどういうのか判りませんが、外から見えなければ良いのですよね?」


 魔法使いとイコールで、軍師って見る風があるが、まぁある意味で無茶だよなとか思う俺。
 だって魔法の勉強と研究で連中は手一杯ですよってなモノである。

 まぁそもそもとして我が妹、まだ10を超えていないのだ。
 子供なのだ。
 ああ、可愛いなぁ。
 そんな子供なのに、頑張っているんだから。


「ならおにいさま、私の魔法がありますわ」


 ぱーどぅん? もしかしてアレですか、不可視化の幻術ですか。
 確か初心者用よりはレベルの高い魔法だったと思うんですが、我が妹よ。
 とゆーか、幻術系の魔法って持続時間が短かったと思うんですがね。


「そうでもないのです。誰でも出来る簡単な応用で、魔法の持続時間は延ばせるのです」


 優に4倍には伸ばせるのだと言う。
 凄いものだ。

 具体的に云えば、結界支とゆーのを使うんだそーな。
 よーわからん。
 魔法使いが魔法を発動するときに必要とする発動体――事前に魔法の詠唱を9割実施して封入しておく事で、必要な時最後のフレーズを唱えて、即発動させる事が可能な道具の、応用だそうな。
 魔法自体はD&Dっポイが、その発動体に関しては訳が判らぬ。
 魔法を準発動状態で止めとけるって言うが、理解の外。
 ドラクエチックなMP式でも無ければ、似たようなWiz式とも違う、ナンとも複雑なシステムだ。
 理解出来ん。

 ホント、魔法は訳が判らんぜよヒャハーッ!! と云う表情をしていたら、妹に苦笑された。


「おにいさまって、魔法は本当に苦手ですわね」


 ほっといてくれ。
 てゆーか、優しいな妹よ。
 ここで、かわいそうな人を見る目でもされていた日には、再起不能だったぞ。
 割と本気で。

 魔法は判りません。
 大好きだけど。
 俺Tueeeeeしたいんです、安西先生。
 冥王☆さま、テラカコイイのです、安西先生。
 サブミッションこそ王者の~ と豪語する様な人が名乗る号に、魔法ってあるのは流石に卑怯臭いと思うんです、安西先生。
 てゆーか、おでん合体な魔法剣で地球丸ごとぶった切りってな魔法少女も、どーかなーとか思うんです。ブッチャケ、決め台詞はボンバーだし、スピンオフにしてもやり過ぎだと思うんですよ、安西先生。
 安西先生。
 安西先生。

 諦めたまえってな声はノーサンキューで、以下略チックな発想を切って捨てる。
 ポイ。

 視線を妹に合わせる。


「それはさておきヴィヴィリー、じゃぁ魔法を頼めるかい?」


「任せて下さい、おにいさま」



 馬車の四方に、鉄杭の様な結界支を差し込む。
 その頂部には回転する、マニ車みたいなモノが付いている。
 これで魔力を循環させて、魔法の持続時間を延長させるのだと云う。

 意味は判らぬが、兎も角凄い。


「四方を基とし、生まれよ不可視の繭――インヴィジビリティ・コクーン」


 その効果範囲に居るせいだろう。
 何かが変わった風には、俺には知覚出来ない。
 そもそもとして、魔法への親和性が低いのが俺だ。
 判らないだけなのかもしれない。

 良いなぁ、魔法ってのは。


「これで大丈夫ですわ、おにいさま」


「ご苦労様」


 慰労の気持ちを込めて、肩を叩く。
 本当は頭を撫でてやりたいが、ゴッついガントレットを填めているので我慢した。



 さて、擬装された我が馬車。
 魔法でって辺りが微妙に不安だが、まぁ魔法だから大丈夫でしょ。
 妹曰くで、内側からは見えるが、外からは見えない話だ。
 まぁ信用する。

 後は緊急救援要請用の信号弾を確認する。
 ブッチャケ、只の花火っぽいモノだが、在るのと無いのとでは大違いとなる。
 成るのだ。


 とゆう訳で準備する。
 穴を掘って、垂直に筒を埋める。
 正に打ち上げ花火式である。

 最強の白兵戦兵装、先を磨いて尖らせたシャベルの背で筒先を叩いて、固定する。


「~♪」


 無駄ではあっても、まぁ暇つぶしってな感じである。

 だがそれは、この瞬間までであった。


「おにいさま!」


 切羽詰った妹の言葉。
 振り返る。


「っ!」


 視界に飛び込んできたのは、赤黒い何かだった。











異世界ですが血塗れて冒険デス (σ゚∀゚)σエークセレント
0-11
ハヂメテの~











 ソレは、尖っていた。
 ソレは、錆にまみれていた。

 ソレは、黒い染みと錆びがこびり付いて斑模様となったショートソードだった。

 真っ直ぐに突き出された切っ先が、止まっている様に見えた。
 俺の心臓が、触れもせぬのに強く熱く鼓動をしているのを感じた。


「ぅっ!」


 命の鼓動に突き動かされる様に回避、緊急回避をする。
 それは、本能によってだ。

 右に避ける事も左に避ける事も出来ない。
 出来るのは、ただしゃがむだけ。

 真下にでは無い。
 後ろへ、だ。

 ブリッジをする様に、否、後ろへと身を投げ出す様に。

 脚が地を離れるのは、危険であり、咄嗟に動けなくなるリスクを抱えているが、だが、ここで後ろに飛ばなければ、そのリスクを負う前に倒れてしまう。
 その事が、皮膚感覚で理解出来た。


 1分1秒が引き伸ばされていく様な感覚。
 故に俺は、その凶器の持ち主を見た。

 ゴブリンだ。
 赤茶けた肌と、粗末な衣類を着けたゴブリンが、俺を睨んでいた。

 敵。

 どっと全身から汗が噴出したのを自覚する。

 敵。

 俺を睨んでいるその貌には憎悪と狂気、即ち暴力があった。

 敵。

 狙われているのは俺。
 俺の命。

 そこへ考えが到った時、心臓の鼓動は益々、速まった。

 思い出した。
 否。
 深く深く自覚した。
 ここは戦場なのだ、と。



 俺は甘えていた。
 甘え果てていたのだ。
 敵は、母親様達が蹴散らす、と。

 俺や妹は、そんな戦場の片隅で、戦場の空気の一片を味わうだけで終わる。
 そんな風に考えていたのだ。

 何たる短慮。
 何たる浅慮。

 俺は何処に居る。
 戦場だ。

 誰の意思で戦場に居る。
 俺のだ。

 ならば何故、俺は狙われぬなんぞと思い込んだ。
 馬鹿が馬鹿が馬鹿が。

 戦場に居るのに俺は、自分は狙われない非戦闘員。
 阿呆だ。
 阿呆の発想だ。
 現実を見ず、理屈と理想で物事を判断しようとしている阿呆だ。

 って事はアレだ。
 俺は、非武装中立ってのが世の中で通ると思っている様な、或いは無防備都市宣言を地方自治体で条例化を推進するようなスイーツなうす甘い左翼と一緒って事か。
 俺が。
 この俺が。

 否定。
 否定。
 否定。

 断固否定。
 絶対否定。

 全力全開で全否定。

 あり得ない。
 否。
 情けない。
 無様。
 クソッタレ。
 クソッタレ。
 クソッタレ。


 俺がアレと一緒。
 一緒なのか。



 それを一言で言うならば混乱。
 俺は俺に対する情けなさと恥ずかしさと、怒りで一杯一杯になった。

 ど畜生。
 だが自己批判とか反省は後だ。
 そんな精神的自慰をやっている暇は、今は無いのだから。



 背中が柔らかな草――地面へと触れる感触。


「おにいさま!」


 妹の声が聞こえる。
 俺が切られたのだと見えたのかもしれないが、其方に意識を割く余裕は無い。
 このままでは第2撃で、確実に止めを刺されてしまうだろうから。


「Aaaaaaaaaa!!」


 喉から蛮声を噴き上げて己を鼓舞。
 そして、吐き出した空気によって肺が収縮するのに合わせて、腹を曲げる。
 両の腕を地面へと叩きつけ、体幹部へ上向きの慣性を与える。
 両の脚を胸へと引き寄せるように勢いをつけ、慣性を更に加速させる。

 それらの行動が合わさって、奇術の様な体術体動挙動が出来上がる。
 一種のバク転の様な。
 その結果として、挙動が終わった時、俺は正面を向いて立っていられた。

 一歩でも間違えれば、と云う状況を超えた開放感から両足が笑いそうになっているが、それにどうこうとする様な余裕は無い。
 正面に敵が、ゴブリンが居るのだから。


「!」


 不衛生で醜悪な面構えだが、其処に驚きの色があった。
 そらそーだ。
 ゴブリンも生き物だ、感情があるのだなと理解した。
 理解したが、だが、だからどーしたと云うのだ。

 ゴブ助は俺の命が欲しい。
 俺は死にたくない。

 意見は一致しない。
 しなければ、後は実力行使のみ。

 ゴブリンは振りぬいた剣を胸元へ引き寄せようとする。
 今度こそ必殺の一撃を放とうというのだろう。

 なんたって俺は、子供だ。
 ゴブリンと同じくらいの体格なのだ。
 外見から見て、そんなに脅威には見えないのだろう。

 だが、そんなに好き勝手されて堪るかっての。

 だが腰に佩いた剣を抜くのは無理だ。
 抜くような1手間の間に一撃を喰らうだろう。
 小柄なゴブリンだが、その速度はそれなりに速いのだ。
 ではどうするか。

 避けるのはジリ貧だ。
 反転攻勢の期待が持てぬ状況での持久なぞ無意味だ。

 逃げるのは危険だ。
 背中を見せればバッサリだし、前をみたまま下るのでは速度が遅いので直ぐに追いつかれる。


 ならばどうするのか。
 決まっている、攻撃だ。
 見敵必戦、“Catch and kill”だ“Go for Broke”だ。


 先ずは踏み込み。
 左足を前へ。
 それに合わせて、左腕を引く。
 全力で。
 正拳を放った後の様な動き。
 それに肩を上半身を巻き込ませる。
 背筋背骨に一本の鉄芯があるような左巻きの動き。
 この挙動によって生まれた右半身を前に出す慣性、それに拳を乗せる。
 前へ。

 狙うのはゴブリンの体幹、体の中心だ。
 だが、胸では無い。
 背中だ。
 腕が伸びきったとき、胸を貫通して背中を撃つとの動きだ。
 それは「   」であった頃、友人の空手家に聞き、修練した一撃だった。
 この身、ビクターと成って後、それ程に練習した動きでは無かったが、それでも出来た。
 再現出来ていた。

 故に、俺の拳は一撃必殺となる。


 血反吐を吐いてぶっ飛ぶゴブリン。
 ああ、そうか。
 俺の筋力って下手な大人以上だったのを思い出す。
 チラ見した右の拳、ガントレットには赤いものが付いていた。

 テラ力あり過ぎの俺。
 この点はチートだ俺様。

 そして同時に、俺は始めて殺した。
 人を、亜人を、ゴブリンを。

 生きているとは思えない、断末魔の震えをしているのが見える。
 命を奪ったのだ。


「Aaaaaaaaaaaaaa!!」


 自分の内側から何かが沸きあがってくるのを感じた。
 それは嘔気、それは歓声、それは蛮声。
 様々な感情が混在した声だった。

 俺はゴブリンを馬鹿にしていた。
 下に見ていた。

 母親様と相対し儚く消し飛ばされるのを知っていて、理解していて、理解していなかった。
 コレが命。
 コレが殺すと云う事。

 コレが、この世界の現実。


 グチャグチャに感じられる物事。
 それをスッと解消したのはマルティナさんだった。

 先ずは鈍痛。
 頭への鈍い一撃に、振り返ったらゴッツイ棍棒を構えたマルティナさんだった。
 馬車の上に居た筈なのに、いつの間にか隣に来て、俺の頭に一撃をくれていたのだ。

 表情が硬いのは、敵の奇襲を許した事への苛立ちなのかもしれない。
 だがまぁ仕方が無い。
 一緒に馬車の上で見張りをしていたノウラは、ブッチャケ素人で、後はチコッと訓練されている俺は下で妹と色々としていたのだ。
 たった1人で見張りをしていたのだ。
 奇襲を許したのも、まぁ仕方が無い。


「ぼさっとしてるんじゃないよ、ビクター坊。敵はまだ多いよ」


 見れば、馬車の周りにゴブリンが集まってきていた。
 後ろには割と立派な鎧を着込んだオークの姿も見える。
 オニョレ、指揮官持ちか。

 人間以下の思考力しか持たないゴブリンだが、オークなんかの指揮官が居れば話は別になる。
 戦術ってものを行使する様になる。
 しかも、オークには魔法を使うのも居る。
 それでバレタのかもしれない。

 なんにせよ、確かに惚けている余裕なんぞ無い。


「怖ければ馬車に戻りな」


 心配気に見上げてくる妹に、ニィっと笑ってショートソードを抜く。
 魔法を帯びたその剣は、陽光を反射し輝いた。


「大丈夫です」


 そうさ、俺は俺の意思でココに来た。
 居るのだ。

 なら、選択肢なんざ無い。







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