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No.4424の一覧
[0] ダンジョン、探索しよう![山川走流](2009/06/21 12:18)
[1] その2[山川走流](2009/02/08 06:52)
[2] その3[山川走流](2009/02/08 06:54)
[3] その4[山川走流](2009/02/08 06:55)
[4] その5[山川走流](2009/02/08 07:36)
[5] その6[山川走流](2009/06/21 11:42)
[6] その7[山川走流](2009/06/21 11:45)
[7] その8[山川走流](2009/06/21 11:50)
[8] その9[山川走流](2009/06/21 11:55)
[9] その10[山川走流](2009/06/21 12:19)
[10] その11[山川走流](2009/06/21 11:59)
[11] その12[山川走流](2009/06/21 12:03)
[12] その13[山川走流](2009/06/21 12:04)
[13] その14[山川走流](2009/06/21 12:20)
[14] その15[山川走流](2009/06/21 12:10)
[15] その16[山川走流](2009/06/21 12:12)
[16] その17[山川走流](2009/06/21 12:13)
[17] その18[山川走流](2009/06/21 12:14)
[18] その19[山川走流](2009/06/21 12:17)
[19] その20[山川走流](2009/08/24 00:13)
[20] その21[山川走流](2009/08/24 00:48)
[21] その22[山川走流](2009/12/06 21:53)
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[4424] その21
Name: 山川走流◆f1f61d82 ID:957db490 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/08/24 00:48
 修貴が、地下十三階のテレポーターより帰還した頃合は既に日が落ちた時間だった。

 この新しい防具の性能は今までとは世界が違った。物理防御力は比べるまでもなく、魔法防御力も圧倒的だった。初級魔法で攻撃された程度では、意識せずとも防いでしまうだろう。流石はドラゴン。流石は古代種といったところだ。

 だが、不満も残った。色合いだ。ダークレッドのこのレザージャケットはダンジョンでは目立つ。敵と相対したときは苦にならないが、遠距離において視覚が発達したモンスターでは発見される可能性が高い。如何に気配を消そうとも、視覚的に発見されてはご破算だ。

 対抗策としては、現在取っている講義の一つであるステレス、ハイド系統の魔法がある。だが、もっと簡単なのは色を変えることだ。

 このことについては一回、この防具の製作者に相談すべきだ。今、その本人がダンジョンに行っている以上何時になるかはわからない。


「ま、"君と僕との出会い"に潜っている限りは困らないか」


 修貴は更衣室に歩きながら呟く。

 このレベルのダンジョンならば問題にはならない。最下層のジャイアントに挑むときに、もしかしたら問題が発生するかもしれないが、ジャイアントは感覚が鋭い存在ではない。あわてる事ではない。

 更衣室でレザージャケットを脱ぎ、制服に着替える。消耗した道具を確認し、レザージャケットを鞄に入れる。

 刀の手入れを行うかと思案したところで、腹が空いてきたことに気が付いた。時間は丁度夕食時だ。学食以外のどこかで晩飯を食べることを決める。刀の手入れはその後でも遅くはない。今は最低限の手入れだけでいいだろう。

 簡易な繕いのみを行うと、刀を鞘に収める。そして、鞄を背負い修貴は更衣室から出た。

 学園内に生徒は余り残っていないようだ。演習場では訓練している者もいるがもはや少ない。

 校門から学園を出ると、修貴は銭湯に出かけることを思いついた。そうすると必然的に銭湯の近くの店がいいだろう。部屋に戻るのが遅くなるなと、と小さく苦笑する。

 すぐに思いつく食堂はヴァンパイアの開いた食堂──月光だ。何とも闇夜神の眷属らしい店名である食堂は値段も質も上質だ。

 目的地が定まれば、あとは交通手段をどうするかだ。路面列車に揺られて行くのもありだが、距離を考えれば徒歩で行けないこともない。しかし、歩いていくかは悩むべき距離でもある。まして、先ほどまでダンジョンに潜っていたのだ。疲れはある。

 どうするかと考えながら歩いていくと丁度、列車が駅に近づいてくるのが見えた。

 いいタイミングだ。ならば、乗っていくと決断し、小銭を用意すると路面の駅に入る。修貴のほかには誰もいない。周りを見渡しても、路面列車に乗る人物はいないようだった。

 走行してくる列車は外部から見ても混雑しているようには見えない。この様子ならば座れるだろう。

 ごとごとと、揺られてやってきた列車は駅で停車し、その入り口を開ける。テンポよく列車に乗り込み、小銭を払うと車内を見回す。乗っているのは十人に満たない。ゆったりとした空間が広がっている。込んでいるときは立っている事さえきついが、空いていればこの程度だ。

 修貴はジャケットの入った鞄と刀が人に当たらないように気をつけながら、席を探し座った。

 列車はドアを閉め、速度上げつつ前進していく。

 驀進しだした列車に揺られていると、すぐに目的の駅に辿り着いた。窓の外には巨大な銭湯、蝶々の湯が見える。様々な地方の文化の坩堝と呼べる土地に皇国の文化が溶け込んでいるのを実感させられる瞬間だ。それにしても、列車は便利だ。歩けば距離があるはずだが、こうして低料金の乗り物があればすぐに辿り着く。故郷にはこんな便利なものはなかった。

 列車から降りると大通りを抜け、蝶々の湯が見えなくなる路地に入ると、目的地であるこぢんまりとした食堂に修貴は荷物を持って入店した。

 店内には七人の先客がいた。その全てが顔に覚えがある常連客だ。

 一人席のカウンターに腰掛け、声を掛ける。


「すいませーん」

「あいあい。お、修貴君。いつもの?」

「いつもので」


 にこやかな店主は、血のイメージが付きまとうヴァンパイでありながら、赤髪を三角巾で纏め、エンプロンをしている。その姿は好青年にしか見えない。そして、人見知りをする修貴でさえ話せるほど人辺りも良い。常連客には楽しげに話しかけている。

 だからこそ、笑顔と共にヴァンパイアと聞かされたときは非常に驚いた。


「はい、お水」

「ありがとうございます」

「そういえば、前来たとき強そうな女の子連れていたよね」

「え、はい」

「彼女、どのくらい強いの?」


 興味深々といったように訊いて来る辺りはヴァンパイアらしいといえばらしいのだろう。


「すごく、強いですよ」

「すごくか」

「すごくです」

「具体的には?」

「ヴァナヘイムとか最前線に挑むくらいには」

「それはすごい。エースだね。で、修貴君との関係は?」

「えーと」


 修貴は少し、口ごもる。堂々と恋人ですというのは少し気恥ずかしい。しかし、恋人は恋人だ。それははっきりとさせておくと良いはずだ。

 口を開け、喉を震わせ答えようとしたところで、声が挿まれる。


「会計を頼む」

「あ、はいはい。エトガーさん、今いきますねー。じゃ、修貴君、料理ちょっとまってね」


 どうやら、答えそびれたようだった。










ダンジョン、探索しよう!
その21









 ヴィクターはカリムの愛剣であるバスタードソードの状態にため息を溢した。魔力伝導のミスリルが完全に焼け切れている。壊れきっていないと思っていたが、どうやら違ったようだ。いったいどのようにしたら、このようなことになるのかと問いかけたい。ミスリルは、オリハルコンやヒヒイロカネといった最高級の素材にこそ及ばないが、高級素材だ。

 古代種のドラゴンさえ一刀両断にするような威力の魔法剣の恐ろしさが窺える。


「あーあーあ。読み間違え召したねぇ。ばらして見たら、こんなことになっているなんて」


 既に魔法使いの杖としての機能も壊れている。魔法剣の効率化の働きも死んでいる。これでは切れ味の良いただの剣だ。

 このバスタードソードの図面に破損場所の印を付けていく。


「どうしましょうかねぇ。ゲンさん、ヒヒイロカネのこういう加工出来ますか?」

「あン? 見せてみろ」


 図面と、実物を比べながら考え込む。


「まぁ、出来るな。それよりよう、この刀身もイカレてンぞ。魔力でひでぇことになってンな」

「ええ!? そうですか? ちょっと魔力計を取ってきます」


 取ってきた魔力計で刀身の状況を調べると、ヴィクターは首を振った。


「これも取り替え、あれも取り替えじゃあ、もう作り直しですねぇ。このクラスのバスタードソードが魔法剣一発で駄目になるとは。いままでは、全力でミョルニルを撃ってなかったということですか」

「カカカ、魔女殿や狼小僧もそうだが嬢ちゃんも大概化物だな」


 厳つい顔を歪ませ、厳は笑った。そして、加えるよう言う。


「まあ、折角、古代竜の素材があるンだからよう、良い物を造ろうじゃねぇか」

「楽しそうですねぇ」

「そりゃ前回、おめぇさんたちが古代竜を手にしてきたときに呼ばれなかったからな」

「あの時は、アトラス院のパーティとして出向きましたからねぇ。マジックアイテムの作成用に一部何とか残すのが限界でしたよ」


 あの時のことは自らに責任はないと、ヴィクターは暗に言った。

 そりゃそうだと、厳も頷く。しかし、加える様に首を振る。


「俺ンとこにゃ、何一つ流れてこねぇンだよなぁ」

「アキームのオラジュワン王国に売却でしたからねぇ。あの国、年中バーバリアンと戦争していますから」

「アキームつったら、タイムリーなことによう。勇者アレクサンドルが、この街に来るって話だぜ」

「噂でしょう。まあ、妖精郷が発見されたことを考えれば、おかしくはないですがねぇ。とはいえ、アキーム地方一帯の魔族に睨みを効かせいてる勇者が動くかは微妙な気がしますがねぇ」


 厳はヴィクターに同意するように頷く。魔族と一括りに語ってしまっているが、人間に敵対的な魔族は現在、少なくもないが多くはいない。ヴァンパイなどは人間の社会に溶け込んでしまっている。敵対的な存在として名を馳せるのが、魔族バーバリアンと、冥神アデスの眷属リッチの中の一体である不死王ウルなどだ。

 不死王ウルは他のリッチの力を借りる事なく、己が配下のスケルトンやアンデットの軍勢を率いて、幾度も魔道王とその配下たる四導師の軍勢と矛を交えていた。現在は、現魔道王ルインの手によってその身を十二に分割され、眠りについている。

 それは置いておきと、厳がバスタードソードを持ち上げる。よく手入れされ、使い込まれた剣だが、完全に機能を喪失したその姿は、鍛治師として感受するものがあった。

 カリム程の力を持つ戦士ならば、今回のように古代竜などの強大な存在と戦をする機会が必然的に増える。合わせて、破壊的な一撃を放つ機がやって来る。それを照らし合わせれば、高級素材のミスリルとはいえ、この剣は繊細な造りだった。魔法使いの杖としての機能を併せ持たせたのが原因だ。


「図面でもそうだが、坊や。お前さんはよう、細工を施しすぎやないか? だから、こうして耐えられりゃしない」

「それが理由で耐久力が落ちていると言われれば、そうなんですがねぇ。この位しなければ、カリムの力量に合う剣は打てないですよ」


 厳はバスタードソードの魔力伝導部を確認し、剣を置くと、図面に一本の線を引く。


「ここは、こうでいい。緋緋色金でしっかり支えりゃ、問題はねぇ。ついでに、この鍔の辺りに竜の魔力炉の加工したもンでもつけときゃ大丈夫だろ」

「そうすると、大掛かりなものになりそうですねぇ。いはやは、なら図面を引きなおしてみましょうか。厳さんはその間に、刀の方をよろしくお願いしますよ」

「任せとけ。ああそうだ。ついでに、一回、刀の依頼主に会っておきてぇな」

「依頼主はカリムです」

「あン? ああ、そうか。そうだったな。刀の持ち主になる小僧っ子に会うにゃ、どうしたらいい?」

「カリムに頼んでください」


 厳はヴィクターの言葉にそうだわな、と返答し、席を立ちつとカリムを探しに行った。




*   *




「ンで、カリムの嬢ちゃん。呼んでくれねぇか?」

「──そうだね。本人に会ってみるって言うのは大事かな」

「そりゃそうとも。どの流れを汲む剣術かも確認しておきてぇからな」

「それに関しては、確か、基礎は天道一心流だ。本人は原型が残ってないって言っていたけど」


 そうか、と厳は相槌を打つ。

 話を聞く限りでは、正面からの戦いを是とする皇国三大流派の流れとは合わないのだろう。どのような太刀筋なのか俄然興味がわく。対人、対魔のどちらよりも、ダンジョンで戦うことを想定した剣というのは皇国にはない剣術だ。

 多くの我流が混じっているに違いない。または、この迷宮都市特有の対ダンジョンの剣技と融合している可能性もある。


「刀はどんな風になるかな、厳さん」

「ヴィクターはちぃと面白おかしく設計してたが、俺としてはよう、もっと刀らしくしてやるつもりだ」

「刀らしく?」

「そうさ。刀は斬るもンだ。まあ、変わった機構も良いが、切れ味をしっかりとしてやらなきゃな。それはそうと、嬢ちゃんの片手半剣はひでぇ有様だな? ありゃ一体どんな規模で魔法剣を使用したンだ?」


 カリムは小さく首を傾げる。バスタードソードをヴィクターに渡した時の言葉では、魔力伝導のミスリル取り替えるだけのはずだ。


「剣が魔力で狂っちまってたぞ」

「そんなに? 全力でミョルニルを撃ったんだけど」


 全力、全力ねぇ、と言詞を舌の上で転がす。そうなると完全に剣が使い手に追いついていなかったということになる。無理やり魔法剣を使ったのかと厳が尋ねれば、カリムは首を振り、しっかりと準備してから使用したと答える。

 強力な魔法を短時間に短縮して使用した結果、杖が使い物にならなくなったという話とは違う。本当に、本人の能力に見合った剣ではなかったのだろう。


「こりゃ、ヴィクターの坊やも大変だ」

「そうかな」

「そうともよ。あの片手半剣はよう、良い剣だ。名剣って言っても良い。それが、魔法剣の使用に耐えうりませんでしたと来たらよう、更に業物を造るしかねぇ」


 カリムは苦笑しながらブロンドの髪を揺らした。

 新しい剣が手元に帰ってくるのは時間も、お金もより掛かりそうな事柄だ。そうなると当分は予備の剣を使用しなくてはならない。これもミスリル製ではあるが、今まで愛用してきたものに幾ばくか比べと劣る。ましてや、その愛剣さえ必殺の魔法剣に耐えることが出来ないとなると、予備では言わずもがなだ。

 手加減すれば問題はないのだろうが、最上級の難度を誇るダンジョンの最下層などに潜るとき、それは頂けない。いざという時の一撃の有無では心構えにも、安全にも影響が出る。剣が完成するまでは、アトラス院から斡旋される高難度の依頼は避けるべきだ。挑んで出来ないことはないだろうが、それでパーティを組む相手に面倒をかけてはいけない。


「弱ったね。そうすると、ヴァナヘイム下層とバックスの上層攻略はお預けかな」

「まあ、嬢ちゃんなら問題はねぇンだろうが、それが無難といえば無難だな」

「仕方がないね。まあ、今は新しい防具も待っているところだし、問題はないか。丁度良いから装備を一新してしまおうかな」

「おお、そうか。なら、アンブレラのババァの処にでも顔を出しておけよ。良い呪い避けが手に入ったって言ってたぜ」


 厳はこの迷宮都市に存在する高級呪具店の名を出す。

 カリムはルナリアと知り合ってから足を運ばなくなった店の名を聞くと、頷いた。魔女ルナリアが余りにも器用だったため、呪術具などを殆ど彼女の作ったものを使用していたが、彼女以外の職人が作ったものに触れるのも悪くはない。

 アンブレラならば、掘り出し物が見つかるかもしれない。


「じゃあ、修貴に今度アトラスに来るように伝えておくよ、厳さん」

「おう、任せたぜ。ああ、ちゃんと装備は持ってくるよう言っておけよ」

「わかった」


 カリムは厳に挨拶をするとその場から離れた。

 揺れるブロンドの髪を見送ると厳は、楽しくなってきたと厳つい顔に似合わぬ笑みを浮かべた。







* * *
遅くてごめんなさい。
シド星の重力から解き放たれません。
あと、ポケモンが欲しい。メガテン新作が欲しい。
しかし、時期が悪いという罠。


*****
初投稿 2009/08/24


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