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No.4424の一覧
[0] ダンジョン、探索しよう![山川走流](2009/06/21 12:18)
[1] その2[山川走流](2009/02/08 06:52)
[2] その3[山川走流](2009/02/08 06:54)
[3] その4[山川走流](2009/02/08 06:55)
[4] その5[山川走流](2009/02/08 07:36)
[5] その6[山川走流](2009/06/21 11:42)
[6] その7[山川走流](2009/06/21 11:45)
[7] その8[山川走流](2009/06/21 11:50)
[8] その9[山川走流](2009/06/21 11:55)
[9] その10[山川走流](2009/06/21 12:19)
[10] その11[山川走流](2009/06/21 11:59)
[11] その12[山川走流](2009/06/21 12:03)
[12] その13[山川走流](2009/06/21 12:04)
[13] その14[山川走流](2009/06/21 12:20)
[14] その15[山川走流](2009/06/21 12:10)
[15] その16[山川走流](2009/06/21 12:12)
[16] その17[山川走流](2009/06/21 12:13)
[17] その18[山川走流](2009/06/21 12:14)
[18] その19[山川走流](2009/06/21 12:17)
[19] その20[山川走流](2009/08/24 00:13)
[20] その21[山川走流](2009/08/24 00:48)
[21] その22[山川走流](2009/12/06 21:53)
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[4424] その18
Name: 山川走流◆f1f61d82 ID:957db490 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/21 12:14
 ヴィクターの研究室に向かう傍ら、ニヤニヤと視線を送ってくるオルトを尻目にカリムはピッタリと修貴の横に並び、修貴と共にヴィクターとどのようにドラゴンの素材を用いて武器を作るかを話し合っていた。


「刀を作るなら、牙を用いて作ろうと思うのですよ。その辺りはどうかな、修貴クン。ぼくのお勧めとしては、アレだけの魔力を身体に蓄えたドラゴンを使うならば、魔力を発現し易い部位を加工し、魔力伝導用の金属を混ぜてみれば魔法使いのエンチャントなしで魔力の篭った武器を作れるから、それだねぇ」

「あの、それは、その」


 修貴の余所余所しい声にヴィクターは気を悪くすることもなく、言葉を返す。


「何ですか?」

「その場合、切れ味はどうなるのでしょうか?」


 修貴の質問にカリムは頷くと、言葉を継いだ。


「修貴は武器の攻撃力を硬度や、魔力よりも鋭さに重きを置いてるからね。ま、古代種のドラゴンを用いれば切れ味以外の要素は最高位だってのは目に見えてるけどね」

「切れ味ですか。その辺りは加工法しだいです。そうですね、その修貴クンが持っている刀。ぼかぁ作った物ですね? ハードダイトを用いたときにどれだけ鋭く出来るか試作した物です。ドラゴンの牙をしっかりとは確認していませんが、少なくとも、それよりはより切れ味を良く加工できますよ。そうですねぇ、爪も確認したんですが、あれは切り裂くよりも、腕力で捻りつぶすのを効率よくするための物のようだったので、牙の方が良いと判断したんですよねぇ」


 ですがね、とヴィクターは説明を加える。牙も、竜の顎の力を用いていることが前提なため、一概には言えない。

 その話を聞きながら、修貴はちらりとカリムを見る。彼女は悩むように修貴の刀について会話をしている。先ほど、まさかの告白を受けた相手とは思えない。しかし、今までと距離感が違った。少なくとも修貴はそう感じた。

 近い。カリムがこんなにも近くにいる。

 告白された後ということもあり、変に意識してしまう自分自身に修貴は苦笑する。

 苦笑いをしながらダークエルフの魔女が目に映った。三角帽子に、ローブを着た魔女。浮世離れした、修貴が幼い頃読み憧れた冒険譚に出てきても何も違和感がない。その魔女、ルナリアは三角帽子を深く被り、目元を隠している。

 そして、そのルージュを引いたように赤い唇はニヤリ笑みを形作っていた。魔女の目線と思わしき部位は修貴とカリムを捕らえている。


「さて、刀については素材を確かめたらまた意見が変わるかもしれませんねぇ。カリムのバスタードソードをどうしますか? ミスリルが焼き切れかけてますよ」

「ミョルニルを全力で使用したからね」


 カリムは修貴と視線を合わせ華のある笑みを浮かべる。

 修貴の脳裏に思い返される雷の魔法剣。ドラゴンを吹き飛ばす威力を持ったそれは、ミスリルを主体で作られていたバスタードソードを破壊していた。


「ヒヒイロカネを使っての修復になるのかな? 折角だから、ドラゴンの素材で代行してみるのも良さそうだけど」

「そうですねぇ。刀と同じく魔力の伝達にヒヒイロカネを用いて、生きているミスリル部分をそのままに、刃をドラゴンの牙か、爪で作ると良いかも知れません」


 まあ、素材をじっくりと確かめてからですけどね、とヴィクターは夢見心地に言った。

 カリムはそのヴィクターにやれやれと首を振る。流石は研究が恋人な男だ。カリムの感性では測りきれない。いったい今の会話のどこにあのような表情を浮かべる余地があったのか。カリムにはわからなかった。


「あと、僕や修貴に鱗や皮を使って防具も作りたいんだけど。ルナリア、どうかな?」


 ルナリアは、三角帽子を上げる事なく、唇を動かした。質問の瞬間、更に笑みが深くなったことに修貴は気が付いたが、そのことに触れないようにする。触れば薮蛇になる気がした。あの口元はそういう口元だ。カリムもそれに気づいているため、口にはしない。


「あのエンシャントドラゴンは武具にするよりも、防具の方が向いている。アレだけ魔力を溜め込んでいるのだ、上質の防具となるだろう。カリム、お前も作り変えるのか?」

「折角だからね。この黒竜のレザージャケットも悪くないけど、もうそろそろ時期だと思って」

「なるほど。二人分か、古代種としては大きくはないが、通常のドラゴンと比べれば比ではない巨体を考えれば素材は足りるか」


 うん、とカリムは頷く。


「して、カリム。デザインはどうする? お前は今のジャケットのを流用するとして、少年はどうする?」

「お、俺ですか?」

「要望はあるのか?」

「重層な鎧より、動きやすく、軽いものが、いいです」


 修貴の戦いは、丁寧な動き。滑らかな行動が優先になる。ある程度の衝撃を吸収でき、魔力に耐性のある軽いものが理想だ。ドラゴンの鱗をふんだんに用いた強力な鎧は遠慮したい。

 修貴の言葉にカリムはだったらと喜色を浮かべ、案を出す。


「だったら、僕と同じはどうかな?」


 その言葉に、修貴はカリムを上から下まで確認した。肩を並べ、戦っているときもスムーズな戦闘をしていたカリムを思い出す。素早い行動の阻害になっている要素はなかった。慣れもあるのだろうが、悪くない。男女の差異で多少変わるだろうが、思い浮かべたレザージャケットは悪くなかった。


「そうだな。いいかもしれない。デザインなんて俺にはわからないから」

「よし。じゃあ、それが僕からのプレゼントにしよう」


 その発言に、会話に参加していなかったオルトが噴出し、笑い出した。


「ちょ、おま──。付き合いだして、すぐにプレゼントって、おい。しかも、ペアルックって、おいおい」


 それはお似合いなことで、くくく、とオルトは笑う。

 修貴はその言葉に気づいたようにカリムを見た。カリムは迷惑そうにオルトを睨む。更に修貴はルナリアを確認する。魔女の三角帽子は上がっていた。その表情は愉快そうに笑っている。

 その意味を考え、修貴は赤面した。










ダンジョン、探索しよう!
その18









 ヴィクターとオルトがランドグリーズの亡骸を確認している空間はヴィクターに与えられた研究室だ。外部からの見ために対し空間拡張の魔法によって明らかに大きいホールとなっていたが、そのドラゴンの屍はホールギリギリのサイズながら横たえられている。オルトはそれを感心しながら、観察していた。

 半身をぶち抜いた傷跡はカリムの魔法剣だとすぐにわかる。古代種のドラゴンでさえこの様である一撃にオルトは魔法剣の威力がまた上がったことが気がついた。もしかしたら、二人っきりだったため威力が上昇したのかもしれないと考えると、どれだけカリムは坊主のことが好きなんだと小さく呟いた。

 あれか。恋する乙女に敵はないというやつなのか。

 オルトは自らの想像力に失笑してしまう。

 所々、鱗を削るような斬撃の跡があるのは、修貴が戦った名残なのだろう。鱗が削り落とされている部位には、抉るような切り傷もある。

 戦いの足跡を探るオルトの横で、ヴィクターは計器を片手に、爪と牙を比較していた。それに合わせ呪文を唱えると、その魔力を確かめる。それが終われば、オリハルコンで作られたナイフで小さく、爪と牙を削ると、自らのデスクの計測器で更に比べている。

 その横のスペースでは、カリムとルナリアが修貴の寸法を取っていた。

 肩幅を測り、腰の位置を測り、丈の長さを確認している。首に胸囲や、腰周りも測り終えるとルナリアはカリムに言葉を投げかける。


「カリム。お前も、寸法を測りなおすとしよう。前回より成長しているだろう。そのレザーは余裕を持って作った筈だが、丁度よくなっている。若いだけはあるな」

「そうだね。お願いするよ」

「ならば、あちらで測る」


 場所を変え、測るために移動するルナリアとカリム。修貴も釣られるように着いていこうとする。


「少年。着いてくるのはマナー違反だ」

「あ……」


 言われて気づく。修貴は頭を振る。どうもおかしい。


「修貴。見たいならいいけど、僕は二人きりのときがいいな」

「え!?」


 カリムの言葉に修貴が驚くと、彼女はニヤニヤと笑みを浮かべ待っててよと告げ、ルナリアと共に男性陣から見えない位置へと向かった。

 そうして、オルトが満足げに戦いの残り香を鑑賞し、ヴィクターが一通り欲しいデータだけを取り終え、寸法を測り終えた二人とルナリアは、必要な防具の機能を選んでいるところに、研究室のドアが痛打される音と共に開けられた。


「ルナリア様! ってぇ!? うわ!? ドラゴン!?」


 入ってきたのは小柄な女性だ。胸に掛けられたアミュレットが驚きに揺れる。ルナリアを真似るようなローブ着ているその女性は、ドラゴンが死体であると気が付くと、一度呼吸をする。

 自らの研究室に乱暴に入ってきた女性をヴィクターは確認すると眉を寄せる。


「何故、ぼくの研究室に魔女殿の名前を叫びながら入ってくるかねぇ、ミレリアさん」

「げ、ヴィクター!?」

「げ、って。貴女ねぇ、ここはぼかぁの研究室だよ。何を驚いてるんですか」

「何このドラゴンとか、オルトさん今日も格好いいですねとか、カリムちゃんは相変わらず綺麗で羨ましいとか、誰その子、じゃなくて。ルナリア様! 聞いてください!」


 人の言葉をスルーした挙句、妙に高いテンションにヴィクターは肩を竦めると、ルナリアを見た。

 ルナリアはミレリアに落ち着けと言うと、彼女は肩で息をし、大きく息を吸って言葉を吐き出す。


「"妖精の泉"の百階についに到達者が出たんですよ! 所属はヘルメス院らしいです! 何でも、都市外から最近やって来た魔法使いのようですよ! これで、円卓の時代について一気に開けるはずです!」


 円卓の時代の迷宮である"妖精の泉"。このダンジョンは別名、惑わしの森とも呼ばれ、マップ無しではとてもではないが足を踏み込むことが出来ないダンジョンだ。全ての階層の中央に泉が存在し、その泉に到達することで次の階に進むことができるこのダンジョンは、常に形が入れ替わる。正確には、正しい道筋以外は魔法によってランダムで場所が入れ替わるのだ。

 そして、この"妖精の泉"の攻略は九十九階で止まっていた。上の階への泉こそ発見されていたが、そこからどうしても百階には到達されていなかった。最近では九十九階までなのではという話さえ出ていた。


「あそこの百階か。噂の妖精郷はあったのか?」


 円卓の時代の資料から、妖精郷があるのではと推測されていたため、百階への挑戦者が絶えなかったこのダンジョンの真実を確かめるようにルナリアは問う。


「あったみたいです、妖精郷。正確にはまだ、ヘルメス院から発表はまだされていませんけど、確実みたいです」

「ほう。噂倒れではなかったか。円卓の聖剣を求めている者は多い。目の色が変わるだろうな」

「そうですね。聖剣を法神ヘレネスと共に鍛えた妖精の女王が住んでいるって話ですからね。でも、いるんでしょうかね?」

「さて、わからぬよ。しかし、そうするとアトラスもクロノスも動かねばならないだろうな」

「私は、ヘルメス院の発表しだい行くつもりなんですが、ルナリア様はどうしますか?」


 ミレリアの言葉にルナリアは思案すると、ヴィクターを始めに見た。


「……ぼかぁ、これから忙しいのでパスしますよぉ。興味深くはありますが、まずは目先のものから」

「うん。あんたには聞いてない」


 ルナリアは、次にオルトに視線を移す。


「俺様は興味ねぇな。あそこは正直歯ごたえがねぇ。けど、まあ。ミレリアちゃんが頼むってなら同行するぜ。可愛い子の頼みは断れねぇからな」

「じゃあ、オルトさん。ぜひお願いします!」


 そして、カリムと目線を合わせる。


「僕は、どうしようか。愛剣を解体するからね。予備だと魔法剣を存分に使えない。どうしよっか、修貴?」

「え、俺? いや、よくわからないんだが。クライドとか食いつきそうな話なんだけど……」


 円卓の時代を妙に詳しかった友人を思い出す。性格が悪いあの男は間違いなくこの話に食いつくはずだ。普段から学園外のダンジョンは円卓の時代の物以外興味がないと公言している男だ。

 "妖精の泉"の攻略が長くに渡り止まっていたことを考えれば、ついに攻略されたことには興味を覚える。しかし、そのダンジョンその物には興味を特に持っているわけではない。また、それに挑むにしても防具が心もとなかった。


「そっか。なら、僕は遠慮しておくよ」

「残念。カリムちゃんは駄目か。と、そっちの少年は修貴君だね。覚えた! カリムちゃんと良い雰囲気の子って認識でいい、カリムちゃん?」

「惜しい。つい先ほどから恋人だ」

「え!? 本当に!? 恋人!? いいなぁ。私も欲しいなぁって、つい先ほど!?」

「うん。さっき告白したんだ」


 ミレリアはわお、と驚くとルナリアを見た。


「私は行こう。妖精の女王には興味がある」

「ルナリア様、ありがとうございます!」


 言うが早い、ミレリアは二人分の確認を取ると戦車のように走り、カリムにおめでとうと言って研究室から出て行った。その際に強く開け閉めされたドアが哀愁を漂わせていた。


「ぼくの研究室のドアが壊れるの、いつもミレリアさんの所為なんですよねぇ」

「ホーエンハイム。それはミレリアに請求書を送っておけ。さて、私は早速二人の防具の製作に取り掛かろう。"妖精の泉"に行くまでに作ってしまいたい」


 修貴はその言葉にいくらなんでも無理だろうと思った。発表と準備期間を考えれば、行くまでに長くて一週間だ。一週間で一着でさえ大変であると思われるのに、二着を下手をすれば数日しかない期間で作ると魔女は言ったのだ。

 だが、修貴はその三角帽子を見ていると作れても不思議ではない気がした。何せ、魔女だ。

 神話の時代の冒険譚に出てきても違和感を覚えない魔女なのだ。







* * *
マンションにやっと帰ってきたと思ったら、ネットが死んでました。丸二日以上ネットが出来ないと、健康的な生活になるという事実を知りました。
とりあえず、俺はインターネット中毒なのだと再度自覚をしました。
それと、そろそろ話の方向性を修正したいです。さっさとダンジョンに挑ませたい。

*****
kyasu◆cc473341さんのご指摘のとおり、ペアルックが正解です。
アベックはカップルとかそういう意味でした。てか、そんな言葉死語だよ、俺。
*****
初投稿 2009/03/17
修正 2009/03/17
修正 2009/04/24
修正 2009/06/21


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