「ねぇ…嘘だと言ってよ」彼は愛らしい顔を怒りと悲しみとで歪ませる。華奢な体は震えていた。前にはぶかぶかの制服に身を包んだ少年が居心地悪そうに佇んでいた。
「大丈夫だ…ただ名前が変わっただけー」そう言って宥めようとしたが、奔流のような非難の言葉にかき消される。「そんな…そんな格好軍隊そのものじゃないか!どうしてっどうして…このっ嘘付き。」彼はそう言いながらも何処かでこの日が来るのを分かっていたのかも知れない。目の前に警察予備隊だったものがいる。それが軍隊なのは分かりきったことなのに彼は認めたくなかったのだ。取り乱す彼を前に自衛隊は言葉をどう続けたらいいかと思い入っていた。
「またあの時の夢…。」彼は、日本国憲法はそう呟ながら頬の涙を拭った。その可憐な顔もなよやかな肢体もあの時から、否生まれた時からまるで変わってはいなかった。変貌を遂げた自衛隊とは対照的に。