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No.43498の一覧
[0] ウィスパー[パブロンの乾](2020/03/16 05:57)
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[43498] ウィスパー
Name: パブロンの乾◆e9bd7a34 ID:84954ba9
Date: 2020/03/16 05:57




「‥‥‥おとうさん」

「ひいっ!! ひっっ!!!」

「‥‥‥どうしたの?」

「‥‥‥い、いや‥‥‥」

「‥‥‥?」

いつからから、俺はこの子に「お父さん」と呼ばれるようになった。

俺が彼女の父親というわけではなく、ただのあだ名である。

だが、彼女は背徳的な声質をしていた。

いつからか、俺はこの子に「お父さん」と呼ばれる事を心待ちにしていた。

「‥‥‥おとうさん」

「い゛ひ゛っっ!!」





「はぁ、なんでこんなに魅力的なんだろうか‥‥‥」

「古くから‥‥‥」

「‥‥‥誰だ、お前は!?」

「‥‥‥私は、「王の耳」と呼ばれる者だ」

「「王の耳」!?」

「そう、この世界の声フェチの覇者だ」

「ひえ、そんなのいるのか‥‥‥」

「うん、いるんだ」

「‥‥‥あのさ、王の耳」

「王くんでいい」

「王くん、どうして彼女の声が魅力的だか、わかるかい?」

「そりゃおめぇ、彼女に恋してるからだよ」

「‥‥‥え?」

「おめぇ、彼女にいかれちまってやがるぜ」

「‥‥‥いや、俺そんなにあの子のことまだ好きじゃない筈なんだが‥‥‥」

「いや、もうお前のうずまき管はあの子の色に染まっちまったんだ‥‥‥」

「そんな‥‥‥」

「もう告白するしかねぇな」

「‥‥‥」

「そんな深く考えることかね? この世は告白しなければ付き合えない、それだけだ。単純なことじゃねぇか」

「‥‥‥たしかに、彼女の事が好きかもしれない、しかし‥‥‥」

「あのな、お前のそれ、齢20でしていい思考じゃないんだわ‥‥‥」

王くんは、急にどこかを指を指した。

「‥‥‥えっ!?」

「‥‥‥ほら、連れてきてやったぜ」

「‥‥‥おとうさん」

「んじゃめなぁぁぁあああんあんあんあん」

「ほら、もっとしっかりしやがれ!!」

「‥‥‥ああ!!」

「‥‥‥」

「‥‥‥あかねちゃん、ぼくと‥‥‥」

「‥‥‥私、彼氏いるんですよ」

「嘘!?」

「‥‥‥」





「うっうう‥‥‥」

俺は泣いた。

「‥‥‥泣くなよ」

「だって、おれ、おれ、えっええええええ‥‥‥」

「‥‥‥どうされました?」

「‥‥‥!!!」

泣く俺に声をかけてきた彼女‥‥‥。

俺は、直感的にこの子の事を好きになる事がわかった!

「?‥‥‥どうされました?」

特筆すべきは、耳たぶ!!

なんてチャーミングな耳たぶなんだ!!

「あの‥‥‥」

「ああ、ぷにぷにしたい」




「はぁ、なんであんなに魅力的なんだろう‥‥‥」

「古くから‥‥‥」

「誰だ貴様は!!」

「俺か?? 俺は、「王の耳」と呼ばれる男!」

「「王の耳」!?」

「そう、俺はこの世の耳フェチの覇者だ」

「ひぇ、そんなのもいるのか」

「うん、いるんだ」

「あのさ、王の耳‥‥‥」

「王くんでいい」

「王くん、なぜあの子の耳たぶはあんなに白いんだろう‥‥‥」

「そりゃおまえ、あの子に惚れてるからだよ」

「‥‥‥えっ」

「あの子に耳掃除してもらいたいって、お前の中耳炎がうずいてるぜ!?」

「ほんとだ‥‥‥!! 汁が垂れてきている!!」

「さぁ、告白するんだ!!」

「で、でも‥‥‥」

「でもも耳クソもない!!」

「わ、わかったよ‥‥‥」





「‥‥‥なに、こんなとこに呼び出して‥‥‥」

「あ、あの、あかねちゃん、ぼくと‥‥‥」

「行け、告白するんだあああああああああああ!!!!!!!!!」

「顔がちょっと無理」

「え」





「‥‥‥」

俺は、もう何もする気も起きなかった。

ほっといたら、消えてしまいそうだった。

いっそ、消えたかった。

「ふんふふーん♪」

でも、この、香り‥‥‥。

この香りは何だ!!???




「どうしてあんなフローラルなんだろう‥‥‥」

「俺を呼んだか?」

「き、きみは‥‥‥?」

「俺は「王の鼻」さ」

「王の鼻!?」

「ああ、アケメネス四天王で一番強いとされる男よ」

「すげぇ、最強だ!! 俺と一緒に彼女と告白してくれませんか?」

「一人で行くがいい!!」




「あの‥‥‥」

「‥‥‥あ、あなたはさっきの‥‥‥!」

「‥‥‥あかねちゃん」

「‥‥‥なに」

「‥‥あかねちゃん‥‥‥僕と付き合って下さい!!」

「‥‥‥」

「‥‥‥駄目かな」

「いいえ!! あなたみたいな男を家で飼い殺しにするのがタイプなの!!」

「!!」

「結婚して!!!」

「はい!!!」

つづく


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