―――共和国領中央セクター・セントラル、デュナミス評議会堂にて。
そこにはイニシエーター最高意思決定機関、デュナミス評議会のメンバーが集っていた。
「危惧すべき、事が起きた」
最初にそう言ったのはデュナミス評議会の議長、年相応の白い髭を生やしその瞳はどこか生気のない様な印象を周りに抱かせる。
「えぇ、かの力はこの世界にはまだ危険すぎますな」
議長の隣の席に座るその男、ケノゥタル・シフトはそう言った。
「エンプレセスに指定した第九の人外終局ツクヨノ=イナバが、帝国首都ブリュッケンでその力を行使した事が観測された。直ちにESM特務機関を招集する」
「ネクロウルカンについてはどうすんだじぃさん?ほっといていいのかー?対処するなら俺にやらせてほしいんだけどなぁ。始祖とやらの力を味わってみてぇな......」
そう言ったのは後ろの髪を一つに結んだ金髪の男、デイマン・ヴォーガンだ。
「許可しない、ネクロウルカンの対応は全てミナーヴァに一任する。ベルセクスを除く他の物はエンプレセスに対処する」
「んー?ベルセクスに何させんだ?」
デイマンは、全身を鎧に包み頭部の十字バイザーから放つ紅い光を放つその存在ベルセクス・ディーアナイトに視線を向ける。
「今回の戦争を枢騎士評議会と結託して引き起こし、レイシスオーダーに加担した。衛星事件やネクローシスの一見、全て奴が糸を引いていた。そのサイード・ボルトアの粛清」
「あの男は卿国に亡命しようとしている、その前に仕留めなければな」
黒いサングラスをした金髪オールバックのその男、オリバード・タノ・ハインケインはそう言う。
しばらくすると、室内に司法機関の制服を着た女性が入ってくる。
「マギよ、第九人外終局ツクヨノ=イナバの収容の特命を言い渡す」
「分かりました議長、直ちに行動を開始します」
そう言い渡されたマギは、速やかに室内から退出する。
「ではミナーヴァよ、ネクロウルカンを任せる」
「はい」
そう短く返答した女性は議長席の反対側に席を置き、白銀髪の長髪で禍々しい紅眼の瞳を持っていた。
頭にはティアラのような装飾品があり、靴は履いていない。しかし一見するとまるで一国の女王のような風貌をしているその人物はミナーヴァ・テレサテレスだ。
こうしてデュナミス評議会は行動を開始する。