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No.43110の一覧
[0] ディス・パーダ ー因果応報の戒律ー[のんど](2024/04/16 01:34)
[1] 帝国争乱編 第1話 あの日、みたもの[のんど](2022/09/17 23:26)
[2] 第二話 世界は未知領域[のんど](2022/09/17 23:26)
[3] 第三話 理に触れざる手[のんど](2022/10/12 21:34)
[4] 第四話 決断と日々[のんど](2022/06/27 21:12)
[5] 襲撃[のんど](2022/07/04 22:12)
[6] 残酷な灯り[のんど](2022/07/12 01:48)
[7] 偽りの追跡者[のんど](2022/07/12 18:21)
[8] 侵攻の兆し[のんど](2022/07/19 19:49)
[9] ヌレイ[のんど](2022/07/19 23:04)
[10] 部隊との会合[のんど](2022/07/25 20:58)
[11] 補給ルート[のんど](2022/07/26 22:04)
[12] 真祖のなれ果『ネクローシス』[のんど](2022/08/03 05:34)
[13] なれ果『ネクローシス』②[のんど](2022/08/16 21:26)
[14] 休憩[のんど](2022/08/22 22:41)
[15] レジオン帝国『ブリュッケン』[のんど](2022/09/12 20:07)
[16] アルフォール&セドリック[のんど](2023/12/11 04:43)
[17] 諸刃の力[のんど](2023/02/20 13:00)
[18] いにしえの呪縛[のんど](2023/02/20 15:10)
[19] 瀟洒なカフェテリア[のんど](2023/05/01 20:14)
[20] 目に映る偽りの安寧[のんとみれにあ](2023/11/28 18:10)
[21] 一人の考古学者として[のんとみれにあ](2023/11/28 18:16)
[23] セラフィール『人類史上世界最強のディスパーダ』[のんとみれにあ](2023/11/28 18:19)
[24] 第23話 独立機動部隊総会議[のんど](2023/11/29 18:16)
[25] 中尉の決断[のんど](2023/12/02 20:16)
[26] 特異。[のんど](2023/12/12 06:20)
[27] ツァイトベルンの麓[のんとみれにあ](2024/04/15 22:20)
[28] ツァイトベルン時計台[のんとみれにあ](2024/04/16 01:33)
[29] ツァイトベルン時計台③[のんど](2020/04/17 16:15)
[30] ツァイトベルン時計台④[のんど](2020/04/17 16:16)
[31] 真実の裏側[のんど](2020/04/17 16:17)
[32] 新たなる目的[のんど](2020/04/17 16:17)
[33] 帝国へ向かう白色の戦士[のんど](2020/04/22 21:20)
[34] 帝国へ向かう灰色の悪魔[のんど](2020/05/17 17:59)
[35] 悪魔に何を抱くか[のんど](2020/05/19 15:48)
[36] 第35話 再会の時を望んで[のんど](2020/06/12 22:11)
[37] 第36話 枢機士評議会①[のんど](2020/06/22 19:18)
[38] 第37話 枢機士評議会②[のんど](2020/06/28 23:33)
[39] 第38話 枢機士評議会③[のんど](2020/06/29 16:56)
[40] 特異性[のんとみれにあ](2023/11/28 18:13)
[41] 不死性[のんど](2021/07/13 00:57)
[42] 第41話 不死性②[のんど](2021/07/25 00:17)
[43] 第42話 力の自覚①[のんど](2021/10/02 13:20)
[44] 第43話 力の自覚②[のんど](2021/10/02 13:21)
[45] 第44話 力の自覚③[のんど](2021/10/02 13:21)
[46] 第45話 力の自覚④[のんど](2021/10/02 13:22)
[47] 第46話 力の自覚⑤[のんど](2021/10/02 13:22)
[48] 第47話 力の自覚⑥[のんど](2021/10/02 13:23)
[49] 第48話 力の自覚⑦[のんど](2021/10/02 13:23)
[50] 第49話 力の自覚⑧[のんど](2021/10/02 13:24)
[51] 第50話 力の自覚⑨[のんど](2021/10/02 13:24)
[52] 第51話 世界に愛され歪まれる少女[のんど](2021/10/02 13:25)
[53] 第52話 アンバラル第三共和国軍・セクター3[のんど](2021/10/05 20:48)
[54] 第53話 セラフ財団の謀反・クロナの失脚[のんど](2021/10/05 20:49)
[55] 第54話 アンビュランス要塞撃滅作戦・第一段階[のんど](2021/10/05 20:49)
[56] 第55話 アンビュランス要塞撃滅作戦・第二段階『総攻撃』及び第三段階『残党掃討作戦』[のんど](2021/10/05 20:50)
[57] 第56話 黒滅の四騎士『アーマネス・ネクロウルカン』[のんど](2022/07/31 00:02)
[58] 第57話 第9人外終局[のんど](2021/10/05 20:51)
[59] 第58話 第三共和国軍、襲来。[のんど](2021/10/05 20:51)
[60] 第59話 デュナミス評議会[のんど](2021/10/05 20:51)
[61] 第60話 【第一部・帝国争乱編完】決戦、ネクロウルカン[のんど](2022/07/01 21:14)
[62] 第61話 アステロイド領域編・祝福されしエンプレセス達  人外の楽園[のんど](2021/11/08 13:28)
[63] 第62話 人外の楽園②[のんど](2021/11/08 13:28)
[64] 第63話 人外の楽園③[のんど](2021/11/23 02:47)
[65] 第64話 サイード・ボルトア【負の謀略】[のんど](2022/07/31 20:55)
[66] 第65話 新生[のんど](2022/06/21 23:18)
[67] 第66話 民間用南部戦線仕様第301装甲列車[のんど](2021/12/20 00:34)
[68] 番外 ややこしい名称の軽く設定整理等[のんど](2021/12/21 01:00)
[69] 第67話 バスキア戦線[のんど](2022/01/04 02:57)
[70] 第68話 野蛮で、それでいて優しい生き物[のんど](2022/01/10 23:57)
[71] 第69話 君は神を信じるの?[のんど](2022/01/27 20:02)
[72] 第70話 第5前哨基地[のんど](2022/02/01 19:35)
[73] 第71話 ブリーフィング[のんど](2022/02/14 22:36)
[74] 第72話共和国南部統合方面軍統括指揮官ガルガン・エスタール大将[のんど](2022/02/15 21:56)
[75] 第73話 ロサ・カリオサス暗殺用私設特殊部隊[のんど](2022/06/21 11:15)
[76] 第74話 つかのまの飲み[のんど](2022/03/30 01:07)
[77] 第75話 エイヴンズサーヴァント[のんど](2022/04/06 01:58)
[78] 第76話 マギの瞳[のんど](2022/05/11 16:53)
[80] 第77話 消失する遺物の力[のんど](2022/05/11 16:52)
[81] 第78話 新皇帝エクイラ[のんど](2022/07/07 18:42)
[82] 新皇帝エクイラ②[のんど](2022/07/07 18:42)
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[43110] 第四話 決断と日々
Name: のんど◆2901f8c9 ID:668bcde0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2022/06/27 21:12
 ―――少佐はレイシスと呼ばれる存在についてレオに口を開く。

「君が要塞で会った『レイシスの子』とやらと意味深な事を言い残したその人物についてだが、おそらく我々が認知している人物と同一のものだろうと考える」

「はぁ、あれは......幻じゃなかったか」

レオは愕然且つ疲弊とした様子で体の力を抜き、上体を脱力させ前傾させると、その後手を額に当てる。

「まぁそういうことになるかな、そのような存在をご存知の通り覚醒者と呼んでいる。それは一般的な呼び名だが、我々の業界ではそれをディスパーダと呼称している。もう少し詳しく言えば、それらは何らかのきっかけ、もしくは先天的に未知数の粒子である『ヘラクロリアム』を司る者達だ」

「―――前から噂に聞いていたとは言え、未だに信じられないな……あれが、とても人間に操れる力とは思えない......」

「貴殿の言う通り、たしかに人の身にとっては余りにも強大すぎる力だ。まぁだが、そこまで卑屈に考えることもない」

そういうと少佐は足を組み直す。

「なぜだ……?人の身ではとても敵わないような存在がこの世に実際に存在しているんだぞ?」

「まぁ考えてもみろ。そのような奴らが古来から跋扈していたとして、何故今になってもお前たちの間では噂レベルの存在でしかないのかをな」

少佐のその言葉に、レオはハッとさせられる。

(たしかにそうだ......。そんな超常の力を操る連中が昔から存在していたのだとしたら、今頃普通の人類は滅ぼされていてもおかしくないはずだ。いや、そもそも今こうして俺達が武器に頼って戦っていること自体おかしい……)

「簡単な話だ、遍く全てのディスパータ達が悪者とは限らないということだ。古来より正と負、両極の均衡がお互いで相殺し合うように保たれてきた」

「つまり、奴と対なる存在がいて、それに俺たちはずっと守られてきたってことか?」

「まぁ、概ねそんな感じだ」

レオはそれを聞くと、再び頭を抱える。

「そうか、それもまた信じ難い話しだが......」

レオが言葉に詰まっていると、少佐は話を切りだす。

「そこでだが、君に頼みがある。我が共和国軍独立機動部隊・レイシア隊に入隊してほしい。君のようなディスパータとの交戦経験を持つ傭兵は貴重だ。私はそういう人人材を積極的に採用している」

少佐に部隊への勧誘の話が突如持ち出される。

「おぉ、こりゃまた随分唐突な」


 ―――少佐は俺を都合のいい手ゴマか何かにしようとしているのか、目的は分からない。分からないが、自分の中の失われていた戦闘意欲的好奇心が再び叫んでいるのも事実としてある。
何故だが分からないが、少佐にその勧誘の話を持ち出された瞬間、俺の体はあのレイシス。奴との再戦を望みはじめていた。
結局どこまでいっても俺は生まれながらの戦闘民族なのだろう。

過去にレオが居た辺境の孤児院、機械軍の斥候部隊の襲撃に為す術のなかった孤児院で、幼少だったにも関わらず、大人たちが怯え隠れる中で俺は唯一抵抗し、倉庫に居た一体の軽装機械兵を傍にあったトラックに乗り込んで咄嗟にアクセルを踏み押しつぶした。
その後すぐに、通りがかりの共和国軍が駆けつけてきて、孤児院は救われた。そこで出会った共和国軍兵士との交流を経て、その姿に憧れ。俺はいつしか共和国軍の軍人を目指しはじめた。

その為に地方傭兵組織に加入してミリタリア社のプログラムである基本傭兵訓練課程をこなし、簡単な任務を着実にこなしては実績を溜めていった。
組織の推薦でそのまま共和国軍への正式採用を経て順風満帆に共和国軍人になろうした、が。
傭兵の任務をこなしていく内に、共和国が如何に腐敗し、乱立した軍閥同士での内戦が繰り返されてるかを知っていった。
何故なら斡旋される任務の内容はいつも企業紛争や軍閥の内戦に関するものばかりだったからだ、そうして俺は共和国軍人を志す事をやめた。
この時、俺は戦線から離れた内地のセクターに異動して安寧の日々を過ごすことも出来た。だが、そうはしなかった。
青年期を傭兵稼業で過ごしてきた弊害か、日々の安全な日常が退屈で仕方がなかった。自分の考えた戦術や会得した体術が有効に作用するか、そんなことばかり考えてろくな娯楽すら知らない体になってしまっていた。

 金の有り余る生活は俺には合わず、所詮自分は泥沼な戦場に己の存在価値を見出してきたどうしようもない人種、そうせざるをえなかった人間。
俺にとって戦いのない日常など、それこそが非日常ですらある。
だから、この少佐の誘い話は願ってもない話だ。
未知の世界に踏み込み、俺はその世界を見たい。新たなる戦場を。

「―――しかし大きくでたな少佐、言っとくが生き残ったって言っても、別に奴と互角に戦ったわけでもなく奮闘したわけでもない。ただ、何の間違いか奴に生かされた。それだけだ。俺にできる事と言えば、今まで通り戦うことくらいだぞ」

「それは問題ではない、これは意志の問題だ。君からは奴と再び交えたいという意思を明確に感じられる。それに、傭兵業じゃ随分色んな作戦で戦果を上げていたようじゃないか。そんな人物が来れば我々も尚更心強いよ」

 レオにとって特に断る理由もない、ないが。レオはもう少し探ろうとする。

「それで、俺が入るとしても、メリットはなんだろうか?」

「メリット?、そうだな……」

 少佐は頭を悩ませるようにしばらく間を空けてから答えた。

確かに俺は端的に言って戦いを求め、傭兵稼業をしている。だがあくまでこれは俺の為の戦いなのであって、共和国軍のような崇高な使命をもって戦いに挑む兵士とは訳が違う。これは、兵士とは区別してもらいということを示唆した問いだ。

「独立機動部隊レイシア隊は、軍とは別個の独立した私の為の部隊だ。私設部隊だから規則は緩いし、福利厚生も特段手厚いぞ。あとは......食料に困らず、寝床もあって。崩れ切った生活リズムを正すことができる。武器弾薬には困らないし、うむ、悪い話ではないだろう」

 なんとも魅力的なお誘いだ、俺が無知な人間でなければあっさり鵜呑みにしていた事だろう。はたまた、地方の人間だと馬鹿にでもされているのか。これは、聞いたところではただの国家公務員の待遇だ。

「いや......」

「ん、不満なのか?」

 不満ではないが現状のその話に乗ることのメリットと言えば、然程ない。なぜなら提示した例の殆どは既に自前で謳歌している事だ。

「それは、メリットとは呼べないでしょ」

少佐は唖然とした顔をする。

「ん。いや、問題ない。どうせろくな生活をしていないんだろう。なに、深く考えることもあるまい。新たな新生活をスタートさせると思えば、な?どうせなら充実した戦場ライフを送りたいのだろう?孤独な生活はやめて、我らと共に歩もう」

 偏見まみれの言葉を羅列し、そういって少佐は今までの落ち着いた表情からは想像のつかないような笑顔で手を差し伸べた。
となりのミーティア中尉も「さぁ」と言わんばかりに見つめてくる。

(ハニートラップにもで会っているかのようだ)

 家族の顔もろくに覚えていないし、仲間意識など要らないと思っていた。
だが、三ヶ月にも及ぶ無職期間を経て、久しぶりに組織の一員として共に歩んでみたいとも思った。
少しは俺の人生にも華が咲くなら、乗ってみるのも悪くないかもしれない。安易な考えだ、だが複雑に考えるような人生でもない。これでいい、どうせ碌な人生などでは鼻からないのだから。

「まぁそうだな......俺でいいのなら、その話に乗りますよ」

 そう言って、彼女の手を取った。

「交渉成立だ」
 
レイシア少佐は俺の手を軽く握り優しく離すと、振り返って歩き出す。

 そして。

「―――あぁ、そうだ」

「ん、なんだ?」

少佐は少女早々の眩しい笑顔でこちらに顔を向かせる。

「君の膨大な報酬金、喜んで我が部隊の資金として活用させてもらおう」

 一回立ち止まった彼女はそう言ってまた振り返って歩き出した。
 見たことのないような笑顔で。

「もしかして、俺って金目当て……?」

レオはそう言うと、ミーティア中尉が慌てて取り繕うとする。

「そ、そんなことないですよ!あなたの実績や経歴をちゃんと考査して我が部隊に迎え入れたんです!お金目当てなんてととととんでもない!!」

 ミーティア中尉は必死の形相でそう答える。

 その後、レオはこの施設に泊まることとなった。
ミーティア中尉に部屋を案内されると、そこは思っていたよりも快適な空間が広がっていた。
ダブルベッドに、小さめの個人用冷蔵庫に最新機種のホログラムTVまであった。このホログラムTV、元は軍用の作戦指令室にでも置かれていたような代物であったが、それが最近になって民間にも流れ出てきた目新しい技術だ。
網膜投影型の仕組みであり、専用のコンタクトを取り付けて実際の景色と連動した立体感のある映像を楽しむことが出来る。
軍事的な場面では、高級将官のような人物達がリスク無き現地偵察の手段としてや、兵士たちの仮想実地訓練等で使われた。

「まるでそこら辺のホテルの一室だな」

レオがそう言うと、ミーティア中尉は安心したような顔で胸に手を当てる。

「気に入っていただけたようでなによりです!では早速、業務の方明日からよろしくお願いしますねレオさん!では失礼します!」

「あっ、ああ。ではまた明日......」

 彼女はそう言うと、さっさと部屋を出て行っていった。
 
 聞きたいことはまだあったが......まぁそれはいい。
今日はいろいろ突飛な事があって流石に疲れた。早めに寝て明日の業務とやらに備えるとしよう。

レオはそんなことを考えながら、ベットに横たわった。



―――レイシア隊の隠家を周囲する謎の部隊の姿があった。

「―――作戦指令室より各隊通達。当該施設に標的の存在を観測手が確認、作戦をフェーズ2へシフト、また正面入り口は施錠されている。ブリーチングを行われたし」

「―――了解。待機中突入部隊は作戦行動を開始、施設にブリーチングで速やかに突入する」

「―――後方支援部隊、配置完了。ガンシップ待機中、次の指示を待つ」


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