見上げたのは大きな満月だった。 白い光を放ち、静かに輝く夜の女王。 父があそこへ仕事で行くと聞いたのは3年前。中学に上がる少し前だったろうか。 子供のような人。 それが亡くなった母が笑いながらよく言っていた台詞で、周囲の人達が語る父の印象で有り、高山美月も否定できない父のイメージだった。 研究に没頭すれば、食事はとらないし、ほとんど寝ているのかさえ判らない不定期な生活を送る。 見た目にちょっとだけ気を使えばそれなりに見られる顔なのに、家にいるときは無精髭と目の下にくまがデフォルト。あまり格好良くは無い。 親子の会話の中でも今自分がやっている研究だと、幼い美月には難解な宇宙工学論や建築論を交えて熱く語る。 挙げ句の果てには、いくら長年の夢で理論を実証する機会だからといって、たった1人の家族で有り1人残すことになる娘になんの相談も無く、月行きを即断で決めてしまう。 少し前までは内向的であまり我が儘が言わなかった当時の美月でさえ、親としてはどうかとは多少は思わくも無かったほどだ。 しかしそれら父の悪いところも全部含めて、美月は父が好きだった。 とにかく父の語る話は全てが夢のようでワクワクさせてくれる。 何時か人はあの月に大きな工場を作り、そこで作られた宇宙船と共にこの太陽系へ広がっていく。 お隣の火星や先の木星。さらにはその先まで。 そこでは、まだ見たことの無い景色や現象が自分達を歓迎している。 世界は驚きと新発見で満ちている。 太陽系を飛び出した地球人は、何時かは宇宙人にすら出会えるだろう。 講義や講演会で語る内容は非常に高度で有りながら、その根底に流れるのは、いつまで経っても変わらない宇宙に憧れる少年の夢。 その語りや夢をかき立てられる斬新な発想から、一部のマニアやら研究者には圧倒的な支持を受けて、若きカリスマとして慕われる宇宙建築工学者。 それが美月にとって自慢の父高山清吾だった。「…………っ……ん」 瞼越しにも伝わるまぶしい明かりを感じて美月は目を覚ます。 日が差し込んできたベット脇の小窓を見てみれば、何時もはしっかりと閉めていた遮光カーテンの一部が開いて、そこからだんだんと昇るのが早くなる6月の太陽が顔を覗かせていた。 枕元に置かれた誕生日プレゼントの純白の眠り猫を模した目覚まし時計に目をやれば、いつもの起床時間より1時間も早かった。「あ……そうか昨日そのまま寝ちゃったのか」 なんでカーテンが開いていたのだろうと半分眠っていた脳で考えた美月は、端と思い出す。 一昨日に脳内ナノシステムを投入した影響か、軽い頭痛を覚えてどうにも眠れずにいた。 本を読む気にもなれず、カーテンを開けた美月は、最近では当たり前になって目新しさも無くなったがオーロラに覆われた夜空の彼方でたたずんでいた月を何気なく見ていたのだが、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。 今では少し懐かしくなった父の夢をみたのは、月を見ていた所為か、それとも脳内ナノシステム構築の副作用で、人によっては記憶の一部がフィードバックされるという説明があったがそれが原因だろうか。 父の夢を見たのは久しぶりだ。 もう会えなくなってしまったのが今でも悲しい、だがそれでも夢も会えたことは少し嬉しい。「せっかく早起きしたし、麻紀ちゃんの朝ご飯も作ってあげますか」 目尻から涙が流れていたことに気づいた美月は手でぬぐい取ると、気分を変えようと伸びをしながら起き上がった。 麻紀のことだ。どうせ昨夜も夜更かしをして起きられずに、今日も朝ご飯も食べずに家を出てくる羽目になるだろう。 登校時間までに作れるレシピを頭の中で考えながら、美月はこれまたやたらと可愛らしい猫がプリントされたパジャマを脱ぎ始める。 高校にもなってこの柄は少し子供っぽいかなとは思うが、使っていないと時計と一緒にプレゼントしてくれた麻紀がいじけるので、仕方なく使っている……ということにしているお気に入りだ。 太陽フレアの異常活発化に伴う巨大太陽風が地球圏を襲い、既存衛星システムが壊滅し通信、航空、航行システムに被害をもたらした地球全土に渡る大規模災害。 通称【サンクエイク】事件から早10ヶ月。 その残滓は今も地球全土でオーロラが観測される異常状態を伴い、時折吹き荒れる太陽風が衛星の打ち上げを強固に拒み、艦船や航空機の通常運航を妨げている。 大気により減少され地上では人体に影響が無い程度には軽減されているとは言え、日本上空にすらもオーロラを発生させる太陽風による電磁波は、今も猛威を振るっている。 地上においては既存の通信網も影響が顕著で、不安定な回線は情報伝達の欠落や遅延化を引き起こしている。 宇宙においては航行、航空システムなどGPSシステムの基盤となる衛星網が壊滅したことで引き起こされた経済混乱と停滞による社会不安は、国家間の相互不信を生んであわや戦争という自体にまで発展しかけていた。 アメリカのとあるベンチャー企業が新たなる通信技術をフリー特許で公開し、各国の企業連合体による通信情報網の立て直しが行われていなければ、実際に第三次世界大戦が起きていただろうという専門家の分析もあるほどの大惨事が起きた日は、美月にとっても特別な日だ。 痴漢に遭っていたところを助けてくれた親友である西ヶ丘麻紀と出会った日で有り、分厚い大気によって護られていた地球と違い、太陽風の直撃を受け全職員の生存が絶望視されるルナプラントに勤務していた父を失った日でもあった。 親友を得て、父を失った日。 美月はこの日を一生忘れないだろう。『これは陰謀です。そうで無ければあの混乱状態からこんなに手早く通信網を復旧させる手を打てるわけが……規模被害をもたらす太陽風をあらかじめ予測し……・ージ粒子通信なんて……・クボックス化された怪しげな新規通信システムも……』『本日は関東一円は……・無い青空の広がる……なると予想されます。所によっては昼間よりオーロ……が予想されますので、脇見運転や電波障害にお気を付け……』『地球を助けに来た宇宙人の……て考えてみてもください。宇宙では……害が出ている電磁波が、地球……万分の一以下になるなんてありえな……』『規制条例の施行から……昨今の世界的状況から……撤廃や……・条件の見直しが考えられて……今期国会……』 麻紀との待ち合わせ時間からは、既に30分が過ぎている。 駅の待合室のベンチで待ちぼうけを食らう美月だが、大体三日に一度は寝坊して送れてくる麻紀の行動パターンには慣れた物で、連絡する気すらない。 どうせ寝坊は予測して、登校時間には十分な余裕を持っている。 ただあまり甘やかすと癖になるので、そろそろ怒るターンにするべきだろうか。 昨年までの美月だったら友達とは言え誰かを注意するなんて考えられなかったが、父を失ったことで精神的に自立した事や、目を離すと何をしでかすか判らない麻紀のおかげで、だいぶ精神的には強くなったと思う。 ただ先月は麻紀を少し叱りすぎて、本気で落ちこませ泣かせてしまったので、ちょっとは手加減してあげるべきだろうかと、ぼんやりと考えていた。 使い込んで細かな傷が目立つ端末モニターで、電波障害によってノイズが混じる情報バラエティ番組や今朝の気象情報を適当にザッピングして確認していると、 『電磁障害を完全無視。粒子ネットへの接続端末ならブロードエルファスの……』 ゲージ粒子相互干渉情報伝達機構。 電磁波による影響を受けず、高速で大容量の情報伝達を可能とする新規格無線通信機能。 通称粒子通信用に、新規発売されたVRネット接続端末の広告情報が目にとまる。 この端末も、もう古くなってきたからそろそろ買い換え時期だろう。 美月が今使っているモニター端末は、旧式の無線機能を使った父のお下がりだ。 父の形見のような物だし、愛着が無くなったわけでは無いが、今の電波状況では使いにくいことこの上ない。 それに適用可能年齢に達した事で許可が下りた美月の頭では、今現在ナノマシーンによる脳内ナノシステムが構築中。 そして今日は入学した工業高校で、外部講師を招いた簡易講習が行われた後、初の完全フルダイブ授業が行われることになっている。 この機会に接続端末を粒子通信用最新型に買い換えるのも有りだろう。 理論等のソフト系ならともかく、こういうハード系のことなら麻紀の方が詳しい。 遅刻したバツに今日は学校帰りに下見に付き合ってもらおうか。 そんな事を考えていると、 「ふふふっ! 待たせたわねマイフレンド! っていうか許して! 今日は寝坊じゃ無くてママと喧嘩してたから!」 謝る気があるのか今ひとつ判らない謝罪と共に階段を一気に飛び降りて待ち合わせ相手の西ヶ丘麻紀がようやく姿を現した。 いつになくハイテンションな麻紀は、モノクルの奥でぐるぐると目を回しながらトレードマークの黒マントを翻して意味の無い高笑いをしている。 明らかにアレな格好と行動を行う微少女に対して、周囲の大半の乗客や駅員には特に反応は無い。 美月達が入学してからこの路線を使うようになって、すっかりお馴染みとなった朝の名物キャラ。今更麻紀のこの程度の奇行で驚く者はいないのだろう。「また喧嘩したの……原因は?」 どうせ麻紀が100%悪いのだろうと思いつつも、一応原因を尋ねる。 西ヶ丘家は親子仲は悪いわけでは無いが、何せ娘がこれだ。 どれだけ叱られようがお仕置きされようが、悪い意味でへこたれず懲りない麻紀に母親も苦労しているようだ。 麻紀の母親に初めて会ったときなど、娘にまともな友達が出来たと心の底から喜ばれた。 今では麻紀の母親である沙紀には、実の娘より美月の方が信頼されている始末で、無駄遣いの多い麻紀のお小遣い管理権も付随したお目付役を任されているほどだ。 「ふっ! 知れたこと! 今日は待ちに待った初フルダイブの日。そこであたしは考えた! 素晴らしきVR世界を余すこと無く我が親友が堪能するためにも、私の最高傑作Schwarze Morgendämmerung zweiを美月専用に作り上げようと。悪の居城に侵入して宝箱から」「沙紀さんの部屋からお金を持ち出そうとして見つかったと……よく逃げられたね麻紀ちゃん」 回りくどい麻紀の説明の途中で、後の展開が予想付いた美月はため息混じりに結論を弾き出す。 丁度良いタイミングでVR接続機器を選んでくれるのは良いが、それがそのセンスを疑いたくなる黒マント型端末だったり、その為に親のお金に手を出そうとしたり、相変わらず最悪な選択肢ばかり選ぶ、そのお嬢様然とした見かけと裏腹の残念さだ。 「……殺されるかと思った。っていうか帰ったら投げ殺される」 よほど怖かったのか顔を青ざめさせた麻紀の足を見ると、ガクガクと震えていた。 おそらく駅まで全力疾走で逃げて来たのだろう。 泣きそうになるくらい怖かったなら、少しは後の事を考えて行動してほしい。 万が一上手くお金を盗み出したとしても、現金が減っていれば気づくだろうし、美月に黒マントを贈った段階でその制作資金源を問い詰められて、最終的にはどうやっても沙紀に知られる事になるのだから、最初からやらなければいいのに。 「今日はウチに泊めてあげるから、後で一緒に謝ろ」 ただ麻紀の場合、美月に対する純粋な好意が暴走した結果。 仲裁くらいは入ってやろうと美月は打開案を提案する。 一晩経てば沙紀の怒りも多少は収まるだろう。 結局投げられることは変わらないだろうが、謝った後でなら多少は手加減してもらえることだろう。 「さすがあたしの心の友! 何時か絶対美月専用作るからね! まってて!」「いらないから」 先ほどまで泣きそうになっていた麻紀が今度は喜色満面の笑顔になり、大げさなほどの身振りで美月に抱きついてきた。 麻紀のアクションが極端なのは慣れているし、美月の運動神経では麻紀のハグからは逃れられないのは、よく判っていたので諦めて麻紀の任せるままにする。 ここまでやっていても周りの人達は、何時もの日常風景として気にもとめていないのは喜んで良いのか悲しんで良いのか判らないと思いつつ、麻紀が今日は輪に掛けて情緒不安定な事に美月はようやく気づく。 何時もおかしいから気づくのが遅れたというのは麻紀に失礼だろうか。「……麻紀ちゃんひょっとして今日寝てない?」 この躁鬱の入れ替わりが激しいナチュラルハイな感じは徹夜明けの父がよく見せていた物に似ている。「フルダイブできると思ったら興奮して眠れなかった」 馬鹿なのか。素直なのか。よほど楽しみだったのだろう。 自分が男だったら見惚れるだろうキラキラした目で笑顔を浮かべる麻紀に、美月はもう一度ため息をはき出す。 せっかく朝ご飯を作ってきてあげたが、これは昼ご飯までお預けだ。「駅に着いたら起こしてあげる。もし座れなくてもあたしに抱きついて良いから電車の中で寝なさい」「任せて大丈夫! あたしの情ね」「寝なさい……怒るよ」「はい」 父を失った寂しさを忘れるような賑やかな日々。 これが今の美月を取り巻く日常だった。「失礼します。お久しぶりです羽室先輩」 ノックの後に技術科準備室の扉が開き1人の青年が姿を現す。 戸室工業高校技術科教師羽室頼道の大学時代の後輩で有り、今はVRソフト企業に勤務する三崎伸太だ。「おぅ悪いな伸太。忙しいところにわざわざ。助かった」 久しぶりに会った後輩は、大学時代と相変わらず平凡が服を着て歩いているような、どこにでもいる若手サラリーマンといった雰囲気だ。 もっとも平凡なのはその見た目だけ。 中身は敵対者には悪辣かつ相当質の悪い罠師であり、身内から見れば頼りになる人間だと知っている羽室は、相当忙しいはずなのに今回の頼みを快く引き受けてくれた後輩へと頭を下げ礼を述べる。「先輩の頼みは断らず。それがウチのサークルの伝統でしょ。後で一杯奢って貰えばそれでオッケですよ」 快活な笑顔を浮かべた三崎は、大学時代を思い出す気安さで返してくる。 在籍時代に共に、ゲーム同好会から変化作り上げた上岡工業大学ゲームサークル通称KUGCを発展させた仲である同士は、良い意味で遠慮の無い性格は変わっていないようだ。 「判った判った。だが教師の安月給に期待するなよ。飛ぶ鳥を落とす勢いのお前の所ほどは貰ってないんだからよ」 新型通信システム粒子通信技術を引っさげ情報網を失いかけ混乱に陥った世界へと、大規模な攻勢を掛け業界の表舞台に躍り出たアメリカ発のベンチャーVR企業ディケライア社。 干渉を嫌う社の方針で株式公開などをせずシェアは微々たる物だが、粒子通信が世界のスタンダードへと日に日に駆け上がっている今ではその影響は世界レベルと言い表してもっても誇張は無い。 そのディケライア社に三崎が深く関わっているのは、関係者の間ではよく知られた話だ。 「あー先輩。よく誤解されるんですけど、俺あっちはあまり関わってませんよ。事件の影響でオープンが遅れているPCO関連でいろいろやってますけど、あくまで所属ホワイトソフトウェアの下っ端GMなんで……今月の給料なんて手取り19万ですよ。ほら」 だが三崎は頬を掻いて否定し、その証拠とばかりに電子明細を呈示して見せた。 どうやら同じように給料や所属を聞かれまくっているようで、その対応は慣れた物だ。「お前いろいろやってるんだろ。それでよく耐えられるな。っていうかまだGMなのか?」 三崎の活躍は羽室の耳にも届いてくるくらいに多岐にわたり、目覚ましい成果も上げているとは聞いていた。 粒子通信のフリー特許化、敷設を協力に進める企業連合体形成。 それらの世界的な動きにすら三崎が関わっているはずなのに、なんで未だにその安月給で一介のゲームマスターなんぞを続けているんだと、羽室は驚く。「まぁGMが好きなのもあるんですけど、うちの会社は上がガチの化け物揃いなんで俺なんぞまだまだですよ。特に須藤の親父さんは、リルさんもおどろ……あーともかくまだまだ修行中なんで、合間を見てディケライアの方を協力してるだけです」「相変わらず貧乏くじって言うか、お人好しかお前……まぁ俺が言えた義理じゃ無いがな。VR授業の講師なんて頼んで悪いな。通信形式が粒子通信に変わって初の授業だからな。詳しい奴の1人でも紹介してくれればと思ってたんだが、お前本人が来てくれるとは思わなくてな」 「気にしないでください。粒子通信だと脳内ナノをスムーズに繋ぐ設定は旧式とだいぶ違いますからね。簡易マニュアルも持ってきたのでこれからの参考にしてください。それにVR授業の補助講師もよくやってたんで慣れたもんです」 頼み事には快諾し、面倒事にも真摯に挑む。 これは三崎の本性であり、お人好しとも言われる一面ではあるが、このお人好しはただのお人好しでは無い。「……あとここの生徒に繋ぎを付けたいのがいたので、先輩からの頼みが渡りに船だったりします。無難な手で高校に入り込めたので助かりました」 三崎の口元にもう一つの本性である黒さが滲む。 どうやら三崎個人の思わくも何かしらあるようだ。 悪巧みを隠そうともしない、この辺も相変わらずのようだと羽室は懐かしさを覚えつつも教師という立場から一応忠告する。「一応言っておくが生徒に手を出すなよ。アドレスを聞くのも禁止な。講師のナンパなんてPTAが五月蠅いからな」「親御さんの許可を取った上ですよ。第一ナンパがばれたらウチのに殺されますっての。先輩も知ってるでしょ。あいつって実は結構嫉妬深いですよ」「あぁ……そうだったな。似合わないから忘れてたがディケライア社の社長ってアリスだったな。それなら伸太が無償だろうが協力するのは当たり前だな」 羽室も旧知の人物で有り、同じゲーム内で駆け抜けたギルドメンバー。 今もっとも話題になっている企業を率いる若き女史。 どうにもゲーム時代のマスコット的な印象が強すぎて半分素で忘れていたが、ディケライアの社長がアリスである以上、三崎が協力しないわけがないと羽室はすとんと納得する。 「まぁ……惚れた弱みって奴です」 三崎伸太は、アリシティア・ディケライアの公私にわたるパートナーである。 三崎の左手の薬指に光るリングがそれを強く主張していた。 第二部スタートして、第1話にしてエピローグですが誤字でも間違いでもありませんw この後の展開を含めた次回予告はこんな感じです。 初めてのVRフルダイブを体験する女子高生コンビ高山美月と西ヶ丘麻紀の2人の前に外部講師を名乗り1人の男が現れる。 面識は無いはずだが、何故かその男が死んだ瞬間の記憶を持つ2人に対して、その男……三崎伸太は一枚のVRフォトを呈示する。 そこに映るのは、10ヶ月前に事故によって月面で死んだはずの美月の父である高山清吾の姿であった。 父の行方を尋ねる美月に対して、三崎は己が開発した新作VRMMO 【Planetreconstruction Company Online】で行われるオープニングイベントへの参加を促す。 そのイベントで入賞することが、父の行方を知る鍵になるという言葉と共に三崎は姿をけす。 VR史上最高金額の賞金1億円を賭けて行われるオープニングイベント【暗黒星雲調査計画】 父の行方を知るために、2人はゲームへの参加を決意し、教師である羽室の紹介で別ゲームで勇名を馳せ、PCOへの参加を計画していた攻略ギルドKUGCの門を叩く。 VR規制事件以来、初の国内大型新規開発にして、ついに姿を現した次世代VRMMOを待ち望んでいた数多の廃神達を相手に、初心者コンビは戦いを開始する。 そろそろVRもちゃんと書かないと看板に偽りありそうなのでこんな感じでw しばらくは主人公交代しつつも、三崎とアリスは存在感たっぷりに。 そして物語は二部エピローグからプロローグにという変則仕様です。 いろいろ放置して進んでいますがぼちぼちと行きますので、改めましてお付き合いのほどよろしくお願います。