娘を負ぶった農婦だが、時が経つに息は乱れ、もつれよろめく足取りも重くなっていた。
「お前の母は疲れているようだ。親を思うのなら、立って歩きなさい」
湿った土の上を行く二人の娘は、しばしば足を止めて遅れがちな農婦を待っていたが、ついに女剣士が立ち止まると、母親の背中にいる娘に向かって言い放った。
「……この子は具合がよくないんですよ」
十に近い子供の体重はやはり負担に違いなく、農婦が荒い息をつきながら呻くように呟いたが、おぶられた娘が親の耳元で低く囁きかける。
「母ちゃん……おろして」
「でも、お前。身体の具合、良くないだろう」
心配するような母親の声にはいたわりが色濃く滲んでいるも、娘は言葉を繰り返した。
「いい、自分で歩くよ」
しかし、降ろした途端、身体の何処かしらが痛むのだろう。少女は顔を歪める。歩きながらも辛そうにしている娘を、農婦は付き添いながら心配そうに見やっていた。
黒髪の女剣士も何か気になったようで、少女が傍に来るまで佇んで待っていた。
「ん……少し見せなさい」
少女を呼び寄せると、女剣士は指先で少しずつ身体に触れていく。
肩に触れられた少女が、痛んだのかぶるぶると身体を震わせた。
「痛いのか?痺れる?それとも熱く感じるかね?」
痛みの種類を訊ねながら、女剣士は少女に服を脱ぐように命じた。
困惑している農婦の前で娘の服を脱がせると、その肩が熱を持って腫れあがっていた。
「肩が外れているな」
黒髪の女剣士の見立てにエルフ娘も同意して肯いた。
「脱臼だね」
しばし、不安そうな眼差しで見上げてくる少女の顔を眺めてから、女剣士が深く肯いた。
「エリス。この子を抑えて置いてくれ」
エルフが言われた通りに少女を抱きしめる。不安そうながらも、少女は抵抗しなかった。
「な、なにをする気で!」
狼狽する母親を、冷静な眼差しで見やって淡々とした口調で告げる。
「肩が外れている。今、治しておかねば、一生涯不具となるぞ?」
息を呑んだ農婦が顔を青ざめて沈黙したのを治療の同意と受け取ったのか、それから少女の方を見つめる。
「直すと痛むが如何する?」
少女は沈黙を保ったまま、強く肯いた。
「咥えていろ」
ハンカチを差し出すと噛んだのを見てから、力強い手で少女の肘と肩を掴んで位置を慎重に見定める。
それから、一気に嵌め込んだ。少女は、ハンカチを強く噛み締めた。
身体を軽く震わせて、零れた涙がポロポロと頬を伝って地面に落ちる。
「よし」
女剣士が放した途端、農民の少女は右腕を抑えて地面に蹲った。
「ニーナ!」
駆け寄った農婦に抱きしめられながら、少女が立ち上がる。
「よく頑張ったな。偉いぞ」
「えへへ」
女剣士に撫でられて褒められたのが嬉しいのか、笑みを浮かべる少女。
エルフ娘が薬草で手早く鎮痛と炎症を抑える軟膏を作り、湿布にして布の包帯で巻きつけていく。
「お金なんて払えませんよ!」
「金はいらないよ」
エルフ娘が薬師と知って、農婦は懐の巾着を押さえながら叫ぶように治療代の件を切り出したが、
只だと告げられると、異種族の美貌の娘を胡散臭そうに眺めてから渋々と肯いた。
同じ人族の貴族と異種族の薬師に対して農婦の態度が変わるのも分からないでもない。
分からないでもないが、此処まであからさまだとエルフ娘としても余り面白くない。
「……感謝を求めている訳ではないけど、子供に何かしてやろうと言う人間に対してその態度はあんまりではないかな?」
我慢できずに窘めるが、農婦は半エルフが何故怒ったのか分からない様子で、戸惑った様子できょとんとしていた。
「あ……ありがとう。お姉さん」
手当てし終わった娘が、深々と頭を下げて丁寧に礼を言ってきたのが救いだろうか。
「そう怒るな。君の腕はわたしが知っている。気にするな」
女剣士も取り成すように話し掛けて来たので、エルフ娘は深々と溜息を洩らして、もう気にしてないよと肯いた。森を離れて人族の世界である平野を旅していれば、異種族の旅人に対する不審や偏見の目で見られる経験も珍しくない。
以前は気にならなかった農婦の猜疑の眼差しが、酷く勘に触った事にエルフ娘自身が驚いていた。
常に一緒の女剣士から対等の友人に扱われているうち、こらえ性が低くなってしまったのだろうか。
少女の気丈な態度が気に入ったらしい女剣士は、その後も何くれとなく子犬のように懐いてくる農民の子供を励まし、見守りながら歩いていたが、農婦に無下に扱われたエルフ娘は、己の心の動きに戸惑い、少し釈然としないまま「……解せぬ」「……何ゆえ」ぶつぶつと呟きながら、後ろをついていった。
河辺の小村落には、領主がいなかった。
元々は、近在の郷士が村の領主として渡し場を所有し、艀の料金を取り立てていたが、十数年前に疫病で一族が絶えてからは、艀の渡し場は村の共有物として管理されている。
近隣の農夫や流れ者、羊飼いや豚飼い、巡礼に放浪者が艀の主たる利用者であって、半日歩いた南には橋梁もあり、他にも数箇所に渡って目敏い土地者が渡し場を設けていることから、渡河賃はそれほど高いものではなかった。
布や塩、食べ物が通貨として物々交換に大いに利用される時代と土地であるから、精々が鉛銭の一、二枚。或いは一握りの燕麦やライ麦、雑穀、僅かな野菜に干し果実一つなどで事足りる。
河の流れや天候不順で度々、不通となる艀であるが、それでも小さな村落に落とされる利用料は、村人たちを幾らかは潤わせていた。
三年続きの不作にも関らず、辺境の他の村に比べれば、子供の姿は随分と目立っている。
晴天の蒼い空の下、街道沿いの野原で村の子らが歓声を上げて遊び耽っていた。
多少は年嵩の子も見かけられたが、十に成るや成らぬやの幼い子供が多い。近隣の農園や農民の子供たちも混じっている。オークが出没している時期、しかし、村に面している北の野原ならば大人の目も届き易く、子供にとっても絶好の遊び場であった。
花を摘んでいる少女がいれば、野原の隅にある繁みの傍らでは男の子たちが追いかけっこに興じたり、棒切れでちゃんばら遊びに没頭していた。
もう少し年を重ねれば、子供でも労働力と見做されて、大人に混じって日々の仕事が少しずつ増えていく。仕事も少ない冬の時期。子供たちにとって今が人生で一番楽しい頃合であろう。
岩に天辺に立った少年が剣に見立てた棒切れを掲げて見得を切っていた。
「おいらこそ辺境の勇士『強者』ベーリオウル!シレディアの黒騎士、此処であったが百年目!姫を返してもらうぞ!」
小さな子が少年を見上げて文句をつける。
「あんちゃん!また、ベーリオウルかよ!おいらも偶にはベーリオウルやりたい!
いつもおいらが黒騎士じゃないかよ!」
「俺はお前のあんちゃんじゃない。ベーリオウルだ!黒騎士、覚悟しろい!」
雄叫びを上げて岩から飛び降りた少年だが、時宜を見計らった年下の子供の狙いすました一撃に脛を打たれて地面にひっくり返った。
「いってえ!ベーリオウルをやっつけてどうするんだよ!大人しくやられろよ!」
転がりながら涙目で怒る少年に、年下の子供が文句を言う。
「あんちゃん、偶にはベーリオウルとかアテムをやらせてよ!黒騎士はもうやだよ!」
「五月蝿えな!文句言ってるとお前、人食い鬼のグーゾの役にするぞ!」
野原の隅の方で言い争っている少年たちに、幼い少女が歩み寄ってきた。
「お兄ちゃんたち、危ないよう。あんまり村から離れたらオークや人食い鬼が出るって」
鼻水を垂らしながら、こまっしゃくれた口調で男の子たちに注意する。
「へん、人食い鬼なんぞおいらが退治してやるぜ」
年嵩の少年が棒を掲げて強がった途端、背後に生い茂った繁みが、がさりと揺れた。
子供たちが文字通りに飛び上がると、再び、目の前の繁みが揺れた。
少年少女が後退りしながら、背の高い繁みを注視する。
「ま、まさか、オークが……」
「……人食い鬼かも」
息を呑んで目を瞠った子供たちの目の前で、年嵩の少年が進み出て棒切れを構えた。
「……ッきやがれ!おいらが返り討ちに……」
言った瞬間に、繁みを掻き分けて血塗れの女がぬっと姿を見せた。
おっかない父親よりも遥かに上背ある威圧感漂う長身、手には陽光を受けて煌めく長剣。
黄玉色の鋭い瞳で視線で一瞥されると、少年のなけなしの勇気も吹っ飛んだ。
「きゃああ!おかあちゃあん!」
少年が女の子みたいな悲鳴を上げて棒を放り投げると、残りの子も恐怖に叫んで村へと駆け出した。
「でたあぁ!」
「人食い鬼だ!」
「お、おいらを置いてくなぁ!」
腰を抜かしていた年長の少年が慌てて起き上がり、転がりつつ村へと走り去っていく背中を眺めて、億劫そうに女剣士が重いため息を洩らした。
「……糞餓鬼め」
女剣士に引き続いて、半エルフと娘を背負った農婦も繁みを掻き分けて姿を現した。
女剣士は徒労感に襲われているのか、どこか疲れた表情で舌打ちする。
「……黒騎士を勝手に悪役にしおって」
どうやら人食い鬼に間違われたことは如何でもいいらしい。
愚痴るような口調を耳にして、エルフ娘は苦笑と共に面白そうに友人を見やった。
「あ、そっちに怒ってるんだ。アリアは東国……シレディア人だものね」
不明瞭な唸り声で面白がっているエルフに応じると、女剣士は己の姿を見下ろして眉を顰める。
「……さて、どうするかな。返り血を浴びた姿で此の侭、村に入るのは流石に不味かろうな」
子供たちに泣き叫ばれた血塗れ姿を村人が見たら、少し騒ぎになるかもしれない。
呟いてから直ぐに結論を出したのだろう、女剣士は川辺に向かって歩き出した。
「先に河原に行こう。顔だけでも洗っておきたい」
ずっと沈黙していた農婦の背中でおぶさっている子供がどこか痛むのか。
小さく呻いて身を捩っている。
農婦は何か言いたげにしていたが、結局は黙って二人の娘の後を付いて歩き始めた。
南方の吟遊詩人の間では主に悪役、敵役として高い人気を誇っているシレディアの黒騎士だが、女剣士はシレディア出身で在るから、郷土の軍事的英雄を悪役にされるのは、子供の遊びとは言え気分は良くないに違いない。
「ここら辺は辺境でも南方に近いから、王国寄りなのかも」
南王国の吟遊詩人や噂が出回れば、おのずと物の見方もそちら寄りとなるだろう。
推測しつつ呟いたエルフ娘が、首を傾げて友人の顔を覗き込んだ。
「やっぱり尊敬しているの?黒騎士」
「……母方の祖父だからな」
一瞬だけ口篭ってから、何気なく衝撃の事実を口にした女剣士にエルフ娘が頷いた。
「ふうん、そうなんだ……ええッ!」
軽く聞き流したエルフ娘だが、少し経ってから驚きに目を瞠って素っ頓狂な声を洩らす。
シレディアの黒騎士といえば、英雄譚や戦記にさしたる興味を持たぬ者でさえ幾度かは耳にした事のある高名な人物である。
二十年ほど前に、沿岸部の港湾都市を廻って南王国(セスティナ)と東国諸侯(ネメティス)が激しく衝突したリュティスの戦役では、東国諸侯連合の誇る十二騎士の一人として大いに活躍し、南王国の戦士貴顕を幾人も討ち取っている。
最初の戦いで名のある王国騎士三人を次々と屠り、王の首を上げる一歩寸前までいった、
最後の戦いでは迫る王国軍の包囲を鮮やかに切り抜け、高らかに哄笑しながら戦場から駆け去ったなど、好んで纏った漆黒の鎧と残された数々の逸話から、紅蓮の騎士や竜槍姫などと並んで敵役として人気の高い黒騎士である。
特に王国最高の勇士の一人である聖騎士との一騎打ちは、今尚、王国の吟遊詩人たちが好んで取り上げる演目であった。
黒髪の娘は眉を顰めると、不審そうな眼差しで奇声を上げたエルフをまじまじと見つめる。
「なんだ、その反応は?わたしだって人の子だ。親もいれば、祖父母もいるぞ」
「……いや、そうではなくて」
言い淀んだ半エルフは、口元に当てていた掌を降ろして軽く肩を竦めてみせた。
「シレディアの黒騎士とか、わたしでも知ってるような人の孫なのが驚いた。
道理で、腕が立つというか。うん、なんか色々と納得がいきました」
「云っておくが、わたしが黒騎士の孫なのではない。黒騎士がわたしの祖父なのだ」
大言壮語というべきか。よく分からない女剣士の言葉に翠髪のエルフ娘が思わず吹き出した。
「なに、それ」
気宇や気概というよりは、稚気と称すべき類ではなかろうか。
意外と子供っぽい性格を見せた友人にエルフ娘がくすくすと笑い始めると、ムッとした様子で女剣士が軽く睨んできた。
「何がおかしいものかね」
「だって……でも」
しばし憮然とした表情でエルフ娘を眺めていた女剣士だが、ふいっと正面に向き直った。
今は、祖父を知る誰もが女剣士を黒騎士の孫として見ている。
何時の日か、彼女自身の武名が祖父に並ぶ日が来るのだろうか。
真っ直ぐと真剣な表情で西方山脈の黒い稜線に見入っていたかと思うと、ゆっくりと口を開いた。
「今は皆そうやって笑う。だが、いずれはそうなる。そうしてみせる」
まるで山の精霊たちに対して誓約するかのように拳を心の臓の真上に当てると、女剣士は傲然として言い切った。
「なるほどね。うん、御免なさい。笑うことでは無かった」
柔らかい微笑を浮かべたまま今度は笑い出すこともなくエルフ娘が謝ると、女剣士は謝罪を受け入れたのか、鋭い眼差しをやや柔らかくして肯いた。
少し足早になって女剣士の傍らに並ぶと、半エルフは長身の友人の横顔をじっと見上げた。
詩吟でも歌われるような高名な勇士の孫が目の前にいるのは、何か不思議な気もする。
東国でも名高い騎士の一人である祖父を越えることが、女剣士の目標なのだろうか。
それにしても……東国十二騎士か。
エルフ娘は歩きながら、疑問に小さく首を傾げた。
アリアと同じか、それ以上に強い人が十二人もいたりするのだろうか。
村の柵が見えてきたところで二人の娘は足を止める。
民家ともいえない土と木でできた粗末な小屋が数軒、点在しているだけの川辺の小村落を前にして、農婦の方に振り返った。
「村に着いたよ」
「……す、すみません」
エルフの呼びかけに震え声で囁くと、憔悴していた農婦は涙を拭った。
「送っていただいて、申し訳も……」
頭を下げると、十歳ほどの少女も礼を言った。
「……おねえちゃんたち、ありがと」
まだ、痛むのか。
少女はふらついていたが左腕で母親の手を握ると、俯きながらも歩き出した。
冬にしては日差しが強いからか。
踏みしめる度に微かな土埃の舞う乾燥した黒土の上をゆっくりと村へと向かう農婦と少女の背中を、エルフ娘は気の毒そうに見送った。
「まだ、気が動転しているんだろうね」
「うむ」
道を歩いていて小柄な亜人と出会ってしまったのか、或いは家ごと襲われて逃げてきたのか。農婦の事情はよく知らない。
憐憫の情の入り混じった眼差しで村へ入っていく母子を眺めてから、二人の娘は河原へと歩き始めた。
河原につくと、女剣士は直ぐに顔を洗い始めた。
次いで剣を取り出して血糊を一通り拭い取り、それから服を脱いで水洗いし始める。
革製の上着は、返り血が所々へばり付いて、どす黒く変色していた。
休んで人心地ついたのも束の間、直ぐに村の方から数人の武装した大人達が駆けつけてくる。
「人食い鬼はどこじゃ!」
どうやら、逃げ去った子供達は派手に騒ぎ立てたらしい。
村人たちは、棍棒や銅製の小さな鎌、殻竿などを手にしていたが、中には冒険者風の装いをした革服の若い男女や鉄製の槌を構えたドウォーフも混じっていた。
質素な鞘に小ぶりな剣を吊るして、冒険者たちは此方の様子を険しい顔をして窺っている。
エルフ娘は慌てて友人を振り返るものの、黒髪の女剣士は我関せずと背中を見せて再び顔を洗い続けている。
「……ああ、もう」
仕方ないので、エルフ娘は殺気立っている村人を前に慌てながらも説得と弁解を始めた。
私たちは旅人です。此処何日か、顔を見せていたので覚えもあるでしょう。
賊に襲われてやっと村にたどり着いた哀れな村人を襲うつもりですか。
これは先ほど、道で亜人の賊に襲われていた農婦がいたので助けた時の返り血です。
血相を変えて飛んで来た村人たちを相手にエルフ娘が必死に釈明しているのに、女剣士は一言の弁解もなく、今度はただ四肢や武具を洗い続けていた。
しかし、不安と猜疑に満ちていた村人たちの眼差しも、見目麗しいエルフ娘に一から懇々と事情を説明されて次第に軟化していく。
若い女の二人連れ。しかも、最近は村でよく見るエルフと女剣士なので、直ぐに勘違いに気が付いたようだった。
ようやく誤解が解けた頃に、血糊の付いた革製の上着を濡らした布で磨いていた女剣士が立ち上がった。
「そう云う訳だ。怪しい者ではない。
疑うなら森の方に賊の死体がある。見てくればよかろう」
エルフの娘が少し拗ねたように軽く睨んだのは、女剣士が友人に説明を丸投げして何もしなかったからか。
村人の代表らしい年増の女が村人たちの中から進み出てきて二人をじろじろと眺めた。
「いいや、それには及ばないよ。でも、誤解されるような真似は謹んで欲しいもんだね」
どうやら不審者ではないらしいと、村人たちは安堵の色を見せて村へと引き返していく。
ドウォーフが肩を竦め、革服の若い男女が顔を見合わせる中、川辺に残っていた年増女が二人の娘に話しかけてきた。
「一緒に来てくれないかい?今、村に入ってきたそのよそ者の農婦を呼びにやったから」
旅人たちの用心深そうな眼差しに気づくと、手を振って宥めるように年増女が笑みを浮かべた。
「ああ、もう疑ってる訳じゃないよ。ただ村の近くで襲われたっていうなら、是非に詳しい話も聞かせて欲しいんだよ」
「……面倒だな」
疲れた表情で女剣士が呟いていたが、大した手間隙でもなさそうである。
村長らしい立場の年増女の家へと、二人の娘は大人しく付いていく事にした。