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No.27922の一覧
[0] フェリアの大冒険(現実→異世界TS物)[貧乏狸](2012/01/12 01:21)
[1] 1話 幼女は迷子[貧乏狸](2011/05/22 04:49)
[2] 2話 幼女の旅立ち[貧乏狸](2011/05/24 05:38)
[3] 2.5話 モガ君の独白[貧乏狸](2011/05/24 05:30)
[4] 3話 幼女と神話[貧乏狸](2011/06/04 11:03)
[5] 4話 幼女とトリップ[貧乏狸](2011/06/21 20:53)
[6] 5話 幼女と平行世界[貧乏狸](2011/07/21 21:51)
[7] 6話 幼女とDQNトラック[貧乏狸](2011/08/18 21:42)
[8] 7話 幼女とサファリパーク[貧乏狸](2012/01/12 01:24)
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[27922] 7話 幼女とサファリパーク
Name: 貧乏狸◆b6468db1 ID:b558551f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/01/12 01:24



フェリアがDQNトラックを引き連れて世界を渡る数刻ほど前に、エタロリ大陸のとある大国は建国以来初めてといえる国家存亡の危機に直面していた。
今まで数多くの戦争や内乱などで国土が荒れたことはあれど、それは国という生き物にトドメを刺すものではなかった。
戦乙女ロリフェリアがこの世を去り、人々の欲望や思想が魔物からの抑圧から解き放たれ、連合国家から枝分かれしたこの国フィルタ帝国。
過去に近隣に存在していた中小の国家を攻め滅ぼし吸収した膨大な土地と、海沿いに面した都市郡。

他国に比べ民も富み、人口もこの世界においては随一を誇る。
いや、誇っていた。
そう、五ヶ月前までは・・・。

すべての始まりはこの世界では比較的よく起きる出来事。
フィルタ帝国の南西に位置する人口200人にも満たない小さな村が、『首の長い魔物』の群れに襲撃されて滅んだというのだ。
その情報は奇跡的に生き延びた村の若者が、息も絶え絶えになりながらも王都の門を守る衛兵に伝えられた。

っが、しかしその情報は帝国の上層部に届くことは無かった。
何故なら魔物の襲撃などこの世界ではたびたび起こることである。
重要な拠点でもない寒村一つに、討伐の為に軍を派遣することはまず無いだろう。
仮に軍を派遣したところで相手は本能の赴くままに行動する魔物である。

村に軍が到着した頃には、魔物によって散々に荒らされた死体と壊れかけの家屋くらいしか残ってはいないのだから。
大体にして遠征には金がかかるものであるし、何より国に齎される益がまったく無いのだ。
であるから、その若者から魔物襲撃の報を受けた衛兵は「可哀想に・・・」くらいしか思わなかったのだ。

もしそれを我らが中山さんが聞こうものなら「職務怠慢だろ!しっかり上司に報告しろよ」と一喝したことだろうが、生憎とここは日本ではなく異世界。
そんなよく起こる事を一々上役に報告して小言をもらうぐらいなら・・・が慣例と化してしまっているのである。

過去の大戦以降、魔物の襲撃はあるものの人類同士の戦争に比べれば被害は本当に微々たるもの。
そして今は他国と交戦状態になっていない平時であり、気が抜けていたのが仇となった。
もしも他国と交戦中であったのならば、魔物の出現にもより過敏になっていたことだろう。
軍と軍が激突している最中に後方から魔物が出現し、退路や補給路を絶たれるといったことが過去にあったのだ。

再び魔物襲撃の報が王都に届いたのは四日後の昼下がりだった。
場所は王都から夜通し歩いて二日かかる中規模の町に、突如として現れた『首の長い魔物』の大群が町を飲み込み、さらに東にある町の方角に走り去っていったと逃げ延びてきた50人ほどの町人が証言した。

それからというもの似たような村人や町人が立て続けに王都に避難してきており、ここにきてやっと衛兵は上司に報告を入れたのだが「既に滅びた村の事などどうしようというのだ?」と鼻で笑われ一蹴されてしまう。
この頃になると増える避難民に悪化する治安とフィルタ帝国の衛兵詰め所はピリピリしており、それどころではなかったのだ。

もし、もしも、IFの話になるがあの時、あの若者の言葉を重く受け止めていれば・・・未来はガラリと色を変え、また違った枝分かれした世界があったのかもしれないが過ぎた刻は二度と戻すことはできない。






「お前もそうだったのか・・・」

王都にある六番街、通称六番は貧困層が集う所謂スラム街。
その一角の路地裏で二人の少年が肩を寄せ合い、夜露に濡れた地面の上で夜の寒さを凌ぎながらボソボソと語り合っている。

「あぁ、その時に姉ちゃんや親父やお袋が囮になって俺を逃がしてくれて・・・。他の村の生き残りと一緒に王都まで逃げてきたんだが、食料が無くて一人、又一人と倒れていって」

ガリガリに痩せた少年、アベルが涙ぐみながら、己に起きた今までの経緯を前歯の欠けた少年、メロデに話していく。
この二人の少年の出会いはアベルが果物屋からリゴンの実を盗み、果物屋の店主の禿げ親父に捕まり殴られているところをメロデが助けたのがきっかけで知り合うこととなる。

禿げ親父の後頭部をメロデが棒切れで強打、親父が悶絶しているところをアベルの手を取り逃走したのだ。
もちろんその際にリゴンの実が入った麻袋を掻っ攫うのも忘れずに。

「それでお金も無いし、腹が減ってもう駄目だってなった時にあの果物屋のリゴンの実が目について・・・」

アベル少年の独白はそれ以上続かず、嗚咽のみがシンと静まり帰った夜空に吸い込まれていく。
泣き続けるアベルを何とか宥め様と、同じ境遇にあるにも拘らずに麻袋の中からリゴンの実を一つ取り出し、皮を剥いてそっとアベルに手渡した。

泣きながらもリゴンの実を受け取ったアベルは実にシャクリと音を立ててカブリつき、「姉ぢゃんが・・・姉ぢゃんが剥いて・・・くれた実と同じ味がずる」と言ってまた大泣きしてしまうのだった。


当時、避難民は『ボロ』と呼ばれ差別されており、逃げて来る途中でボロボロになった衣服のまま暮らしているところから着た造語である。
それも仕方の無いことで、衣食住を失った避難民が生きていくには己の体を売るか、犯罪行為に手を染めるしか糧を得られないからだ。

実際に仕事に就こうにも、急に仕事が増えるはずも無く、元々暮らしていた城下の民が既にある職に就いており、増え続ける避難民が職に就くのは極めて困難であった。
それに加えて避難民による窃盗や押し込み強盗なども多発しており、王都の民から白い目を向けられるのも仕方の無いことだったのかもしれない。

そんな街に住み着いた二人の少年。
寡黙のメロデと泣き虫アベル。
後に英雄と呼ばれる事となる少年二人。
二人が幼女と運命の邂逅を果たすまで、あと数ヶ月----------





止まない魔物の襲撃報告に、爆発的に増えていく避難民。
王都内の犯罪発生率もさることながら、人口密度とそれに伴う食料不足の深刻化。

元々王都内で生産されている食料は、王都の人口の半数の胃を満たせるかどうかといった量しか生産されていなかった。
城壁で囲まれた王都に広大な畑を作ることはできず、居住区と王城といった生活スペースが大半を占めており、せいぜい空いた土地に作付けする程度に留まっていたのだ。

大体は、王都周辺の村や町から作物を買い付けていたり、王都内に村や町から取れた肉や作物を露天で販売しにくる民がいたのだが・・・。
それも最近ではめっきりと数が減り、王都の民は餓えからくる不満は爆発寸前。

そうした事態を受け、これまでそ知らぬ顔を続けていた貴族や王族達は初めて重い腰を上げようとして------できなかった。

王都の外、城壁をグルリと取り囲む紫色の軍団。
3メートルはあろうかという長い首に、馬と鹿を足して2で割ったような胴体。
黒に近い紫色の体表面は見る者に嫌悪感を与える禍々しさ。

C級の魔物『ギリン』

普段は2~3頭ほどの群れで森の奥に暮らしている魔物で、その長い首が弱点と思われがちだが長い首は彼らの誇る最強の武器である。
その長い首を鞭のようにしならせて振り、頭に申し訳程度に付いている小さい角で獲物を仕留める。
よく魔物の知識も左程無い傭兵が、長い首に狙いを定めて剣を振るい、毎年といっていいほどにギリンの餌食になってしまう事案が発生する。

しかし対処に慣れている者ならば、弱点の首より遥か下の胸の辺りに剣を投げつけるか、はたまた槍で貫くかといった対処方法を選択して倒すのだが・・・。
ただしそれができるのは1~3頭くらいの時に限るという注釈が付く。
本来、生物の頭といえば保護すべき部位であるはずなのだが、このギリンはそんなこと知ったことかとばかりに躊躇することなく相手に振り下ろす。
小さい頭に小さい脳細胞が悲鳴を上げてるような勢いで振り下ろされるのだ。
このギリンの知能は決して高くは無い----はずである。

そんな馬と鹿が合わさったような『馬鹿』が半径15kmはある城壁をグルリと取り囲んでいる。
その数およそ4万頭。
平時の王都周辺であれば青々とした草原が広がり、商人や旅人、王都に買い物に来た御上りさんで賑わう街道は鳴りを潜め、紫色の濁流に飲み込まれ今では見る影もない有様。

一つポツンと取り残され陸の孤島と化した王都が、ただただ流れに耐え凌ぎながらゆっくりと滅びの刻を待つより他は無かった。





「もはやここまでか・・・」

城壁の上から一糸乱れず王都を取り囲むギリンを眼下に納めながら、フィルタ帝国の二本柱の一人『デックス』将軍は体を支える装飾の施された刀剣に寄りかかり、こけた頬を手で撫ぜヒュッと喉を鳴らした。
二ヶ月ほど前に王都を取り囲むギリンの群れに、もう一人いた将軍が他国に救援要請を出すために3000の兵を連れて突撃したのだが(この時、デックスは無謀だと言って引きとめようとしたが、何も変わらない現状と食料事情から引きとめはしなかった)当然のように全滅。
その際に門を開けた隙間から10頭ほどのギリンが場内に進入し、仕留めるまでに民と兵士に200人ほどの死傷者を出すという二次的被害をも生み出した。

それに加え、王都に逃げ込んできた避難民の数は将軍の憶測の域を出なかった数を遥かに越えており、篭城二ヶ月目にして早くも食料が尽き掛けていたのだ。
もちろん、その間も王族や貴族は平然と普段から食べている豪勢な料理を腹一杯になるまで食べているのだから始末に終えない。
何度かデックスが貴族に食事のレベルを下げるように頼んだのだが、「貴様、我らを餓えさせる気か!!!」とでっぶりとした顎を揺らしながら喚き散らすのだからたまらない。

そのやり取りを見ていたメイドや使用人たちの口から、住民達にそのことが伝わるのは防ぎようもないことである。
何故ならメイドや使用人も餓えているのだから。
餓えに餓えた民の怒りはついに爆発し、暴動にまで発展する。
いつの時代も、どの生き物も食べ物の恨みは恐ろしいもの。

国の危機など二の次で、民は貴族や大商人、そしてお城の中に攻め込み、果ては王族までも血の海に沈めてしまったのである。
もちろん途中の金銀財宝の略奪も忘れてはいない。
そればかりか貴族の美しい娘を見れば飛び掛り、手や足にナイフや剣を突き刺して死ぬまで犯し抜いたりと、狂気を通り越した何かさえ垣間見えることもあった。

民に混じって下級の騎士や兵士もこの暴動に参加しており、本来守られるはずの者に切り殺された者も数多くいたのだからなんとも皮肉が利いているものである。
「下に恐ろしきは魔物にあらず、真の魔物は人なり」と死んでいった大臣の娘さんが呟いたとか、呟かなかったとか。

貴族達と将軍のやり取りが民に伝わっての今回の暴動。
その発端となった将軍は「実直で謙虚、尚且つ民想い」という訳の分からない風評により、狂気に囚われた民や騎士や兵士たちに祭り上げられて、現帝国の最高責任者に無理矢理就任させられる事と相成った。

デックスは武人である。
魔物や武装した人と戦って死ねるならまだ納得できるが、守るべき民に殺されるのだけは許容できなかった。
先の暴動により、王侯貴族から奪取した食料で少しばかりの時間ができたが、それはただ時間ができただけである。
その間に自分が下手を打ち、民の手によって殺されるような事が起きないように細心の注意を払ってここまで持たせてきたが、ついに限界が訪れようとしていた。

ギリンは地面に生えている草を食べたり、草原の横を大らかに流れているサンジュリバーに水を飲みに行くとき以外、ピクリとも動かずに城壁を包囲し続けたのである。
そしてついに来るべきときが来てしまった。
将軍である自分でさえ四日間、水以外のものを口にしていないのである。

民や兵士も同様でもう後二日もすれば、王都には餓死者ので溢れ返り、全滅するだろう。
打って出ようにも立ち上がるだけで精一杯で剣を振るうなど論外である。

段々と目の前が霞掛かり、もう沈んでいった太陽を「あれが最後に見た太陽か・・・」なんて気障なセリフをデックスが吐いた時だった。

「おいしいおいしい桃色製菓♪皆で食べよう桃色製菓♪さぁさぁ皆寄っておいで♪今夜はホームランだね、お父さん♪」

スピーカーから大音量で流れる面妖な楽曲。
キラキラと光るイルミネーションでゴテゴテに装飾された鉄のボディーを光らせて。
見たこともないピンク色の鉄の魔物が。
轟音を立てながらギリンを跳ね飛ばし王都に向かって真っ直ぐに突っ込んできている。

デックスはどこにそんな力が残っていたのか分からないほどのスピードで立ち上がり、グッタリしているだろう副官の元に必死の形相で走り寄った。

「魔王だ!!!あれはきっと魔王だ!!!」

幼女とDQNトラック、始まります。





後書き的何か。

本当に忙しくて時間がありませんでしたorz
待ってくれている人がいたら、遅れてごめんなさい(・´з`・)


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