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No.27922の一覧
[0] フェリアの大冒険(現実→異世界TS物)[貧乏狸](2012/01/12 01:21)
[1] 1話 幼女は迷子[貧乏狸](2011/05/22 04:49)
[2] 2話 幼女の旅立ち[貧乏狸](2011/05/24 05:38)
[3] 2.5話 モガ君の独白[貧乏狸](2011/05/24 05:30)
[4] 3話 幼女と神話[貧乏狸](2011/06/04 11:03)
[5] 4話 幼女とトリップ[貧乏狸](2011/06/21 20:53)
[6] 5話 幼女と平行世界[貧乏狸](2011/07/21 21:51)
[7] 6話 幼女とDQNトラック[貧乏狸](2011/08/18 21:42)
[8] 7話 幼女とサファリパーク[貧乏狸](2012/01/12 01:24)
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[27922] 6話 幼女とDQNトラック
Name: 貧乏狸◆b6468db1 ID:b558551f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/18 21:42

性別が変わっていてもさすがは並行世界といったところか。
部屋の内装は若干の違いはあったものの、中山 フェリア が住んでいる所は男の時とまったく変わらないオンボロアパート``オトギリ荘``。

接待旅行から帰宅した際に一番ホッとしたのは、玄関口にポツンと置かれた狸の置物を見た時だろうか。
別に帰って来れなくてもいいかなんて考えは、今はもうこれっぽっちも思っていない。

あぁ、帰ってきた。
込み上げてくる想いに目頭が熱くなってくる。

性別や体型は前とは全然違うけれど、このストレス社会に帰ってきたのだ。
世界に対して不満ばかり持っていた俺も、このときだけは玄関口で人目も憚らず、有り難味を噛み締めながら10分ほど涙をさめざめと流し続けた。





あの世界での出来事は全て白昼夢であったのではないか。
目覚ましのけたたましいベルの音で目が覚め、暖かい羽毛布団の温もりを感じつつ、そんなくだらぬ考えが頭の片隅によぎったが、それは無いと首を振る。

あれは夢などではなかった。
のそのそと起き上がり洗面所に向かい、鏡に映る幼い少女の顔を見てハァと一つため息を吐く。

あの世界は確かに存在する。
証拠はあのロボスのおっちゃんにもらった服と、ポケットに入っていたモガ君のふわふわとした丸い尻尾。
そして今の自分は女性で中山 フェリアという名前の幼女なのだ。

30歳とは到底思えない幼い体型と顔立ち。
そんな自分を鏡で観察してみると、男だった時の記憶もあれは自分の生み出した妄想で、本当の自分はこの幼女の中山フェリアではないのかとさえ思えてしまう。

「馬鹿馬鹿しい」

誰に対して言ったのか、それは自分でもわからない。
それではそろそろ、飯食って歯を磨いて出社するとしますかね。
中山 フェリア出陣します!





おはようございます、世界をぴょんぴょん飛び越えている中山です。
時刻は午前8時45分、只今桃山製菓に来ております。

えぇ、ついて早々に迷子になりましたとも。
だってビックリするほど大きなビルが丸々一つ桃色製菓所有のビルなんだもん。

そりゃ初見だと迷子にもなりますって。
広い社内で人と何度かすれ違うのだが、「営業企画部の場所まで案内してください」なんて頼めるわけも無く(受付にはオンボロ会社の時では考えられないくらい美人の受付嬢がいたので聞くに聞けなかった)、30分ほどオロオロしていると見かねた清掃員のおばちゃんが案内してくれました。

そんなこんなで営業企画部に着き、俺が「遅れてすいません」と謝罪の言葉を言うよりも早く、鬼の形相をしたお局様が「フェリア!15分の遅刻だぞ」と怒鳴り散らしながら、扉の前で唖然としている俺に人外のような速度で接近し、俺の首根っこを引っつかみ奥の部屋へと…。
ここから先は語るのさえ憚られるような凄惨な出来事があったとだけ言っておく。

これが俺が、``中山 フェリア``として初めて出社した日の出来事である。





- - -





バレンタイン商戦まで後1ヶ月。
今より1ヶ月前の12月の中旬、開発陣がバレンタインイベントの目玉商品として心血を注いで開発していた「溶けない絆チョコ」と「心も蕩けるクッキー」が完成した。

溶けない絆チョコは、チョコの弱点でもある人肌程度で溶けてしまうという欠点を克服した物で、外気が42℃を超えても溶けないという優れもの。
溶けないならチョコレート味のただの飴じゃんと思うことなかれ。

口の中に入れると唾液に反応してちゃんと溶けるようになっている。
心も蕩けるクッキーも色物で、サクサクなのに口に入れるとマシュマロのように蕩けて消えてしまう摩訶不思議なクッキー。

正直クッキーのほうはチョコに比べると些かパンチ力に欠けるのだが、販売戦略の一環として作られた商品なので問題は無いのである。
クッキーは溶けない絆チョコの抱き合わせ販売要因として販売される事となる。

この2つの商品にはノーマルとストロベリー味があり、激戦となるバレンタイン商戦を勝ち抜くには十分な戦力を有していると開発陣は自負しているらしい。
少しだけ味見させてもらった俺だがその品質は確かで、バレンタインデーの贈り物としてではなく、ただのチョコレートやクッキーとして男性の購買層も獲得できそうなほどだった。

それで何故俺がこんなに開発されたばかりの新商品に詳しいのか?
それは営業企画部のエース()として称えられている俺を基点とした、バレンタインプロジェクトチームが発足されたからだ。

チームの構成員は俺が主任、そして使い走りとして営業企画部の後輩にあたるメンバーが13人、それに加えて別の部署からそれぞれ3人の出向といった総勢42人もの巨大なプロジェクトチーム。
正直中の人が違うから俺にこんな大任を果たせるのか不安になりもしたが、案外何とかなるものだ。

発足から既に5日間が経過していたが、誰かに不振に思われることも無く淡々と仕事をこなしていく毎日。
分からないことは部下に丸投げすることで何とか凌ぎ、毎日行われる朝の会議で開発陣の商品のプレゼンを聞きながら、配られた用紙の片隅に商品の印象と食べた時とのギャップ、それに伴い浮かんでくるキャッチフレーズやCMに使えそうな演出を書き連ねていく。

俺の書いたチラシの裏を遠井に纏めさせて、各部署から出向してきている人員に配り反映させていく。
男だったときの俺はただひたすら関係各所を駆けずり回り、小口契約を1件取ってくるのさえやっとだったのに、並行世界の俺ときたらなんて楽な仕事をしているんだと感じていたのだが……。

認識が甘かったと言わざるを得ない。
商品の包装やネット広告、人気のある美少女若手アイドルを起用したテレビCMも完成し、さぁ全てはここからだという時に部下達から渡された古ぼけた大きな----巨大なリュックサックと車のキー。

この擬似幼女ボディーがすっぽり入ってしまうような``それ``を渡された俺は目を白黒させながら、これはどういう事なのか部下達に尋ねると返ってきたのは予想もしない返答だった…。





- - -





本社ビルの真ん前に異様な雰囲気を晒しだしている10トントラックが一台、玄関口にデンと横付けされていた。
なんでもこれは俺専用に改造されたという社用トラックで、ピンク色で禍々しいくデコレートされた色合いはまさに悪夢のようだ。

短い手足を考慮してか、このフェリアボディーでも問題なく乗れるようにとオーダーメイドで作られたそれはまさに俺しか乗れない乗りこなせないという専用機。
しかもただのトラックではなく、コンテナは冷蔵設備の充実したコンテナで大容量の積荷を一気に冷やすほどの大出力を誇るという。

世界でただ一つのトラック、それが桃色フェリア号!
でもね、二言三言言いたいことがあるんだ。

馬鹿みたいにピンク色が目立つ傍らで、ポツンと小さく鉄製のプレートで付けられている桃色製菓のロゴは、まるで目立たないようにとばかりにコンテナの下方に小さく備え付けられているよね。
わかるよ、こんなDQNトラックが社用だなんて知られたくないんだよね、社長?

だったらこんなもん作るなよ、始めからw
大体これ1台の作成費用と改造費用が合わせて4000万って…。
社員の給料上げてやれよ!

このトラックをここに乗りつけたのは遠井だし、このトラックについての説明をしてくれたのも遠井だ。

最近できる後輩が説明キャラに成り下がってしまったような気もするが、なるべく気にしないようにしよう。
やたらとフェリアの事について詳しい遠井にはドン引きです。

大型トラック。

一応、俺が大型を運転できるのには訳がある。
大型免許は大学を1年留年してしまった時に取得したものだ。

デコトラを乗りこなす3流邦画の主人公に憧れてノリで取ってしまったわけだが、今では完全に黒歴史として思い出さないようにしている。
こちらの世界でも留年したのかは不明であるが、財布の中の免許書にはしっかりと大型の欄に記載されていたので、運転する分には問題は無いと思う。
まぁ、そんなことはどうでもいいのだが、問題はトラックの積荷の方だ。

こっそりと空けて中を確認した時には、それはもうビックリしましたとも。
10トントラックのコンテナ一杯にぎっしり詰まったお菓子の山、山、山。
1年は優に過ごせそうな大量のジュースと試供品のお菓子。

信じられないことにこちらの俺は、これらの試供品を全て使い切ってしまうというのだから人外っぷりが伺える。
そりゃぁ会社も大きくなりますって。

長々と引っ張ったが詰まるところは出張である。
新商品はもちろんのこと、別の商品もぎっしりとつまっているコンテナの中身を、既にアポを取ってある120社(中小大手も含む)を回り、試供品をばら撒くといった物量作戦。

アポを取っている会社の社長や会長と懇意にしているらしいこちらの俺は、バレンタインなどの売り上げが大きく伸びる重要イベントに一人で関係各社を行脚するというのだ。
普段は下っ端達の手柄を取らないように新商品の売り込みをさせているらしいのだが、こういったイベント時は別のようで…。





会社を出発してから30分。
交差点で赤信号を待っている時に、助手席に置かれている例の巨大なリュックサックを見て「はぁ・・・」と情けないため息が出てしまう。

これから面識のまったく無い人物と会って親しげに交渉しなければならない不安と、この巨大リュックを担いでその場に行かなければならないという羞恥プレーに首を括りたくなってしまう。
こちらの俺がこのリュックにお菓子を詰め込み、担いで回れば契約間違いなしという曰くつきのリュックらしいのだが果たして……。
これも遠井から聞いた情報だから間違いはないとは思うのだが。

分からないことはこちらの世界に来てから遠井に尋ねているんだけど、あいつが答えに詰ったことはただの一度もなく、なぜか俺の朝食べた物やトイレで使っているフローラルな香りのするトイレットペーパーまで知っているのはどういうことなんだろうね?
おじさん、怒らないから正直に話して欲しいな。
そんな訳で遠井の言っていることは嘘ではないんだろうけど、情報源はどこから出ているんだろうね!!!

下道を1時間、さらに高速を飛ばして3時間という道のりを経てやってきました東京に。
全国展開されている激安スーパー``アパルツヘイ``本店。
事前にアポはとってあるのでコンテナからリュック一杯に荷物を積み込み、いざ行かん!

会社に乗り込み、受付のお姉さんに確認を入れて「こちらにどうぞ」と簡素な事務所に案内される途中に、アパルツヘイツの社員と思われる方達から様々な目でジロジロと見られたのは正直堪えた。
うん、どうしても目は口よりものを言うって本当なんだね。

体の2/3ほどある巨大リュックをえっちらほっちら担いで歩く幼女が、自分の働いてる会社に来たら微笑ましいもの見るような目で見てしまうのは仕方が無いことだよね。
異常に上がっている身体能力の影響で、31kgはあると思われるリュックを担いでいても全然苦には感じないのだが、この周りの反応が痛い。

「フェリア様、こちらに掛けてお待ちください」

事務所に通され、真新しいソファーに腰を掛けるように促されたので、巨大なリュックをボスンとソファーに置いて待つこと3分。
今からこの会社の社長さんに会い、商品のプレゼンを行って契約を取り付けなければならない事に緊張し始めた頃、事務所の扉が突然ガチャと音を立てて開いたので、緊張のせいかビクッと体が音に反応してしまったのだが、入ってきたのはさっき案内してくれた受付のお姉さんだった。

「どうぞ。もう少々お待ちください」

そう言ってトレーに乗せてあったコーヒーカップを音を立てずにテーブルに置き、一礼してまたどこかに去っていった。
俺はカップを手に取り、口を付けるとそれはとても暖かなミルクココアだった。

寒いから助かる。
ミルクココアを飲み終えた頃に再び事務所の扉が開かれた。

ちょっとメタボで髪が薄くなりかけている40代の男性。
間違いない、ここの社長さんだ。

俺はスッと立ち上がり頭を下げると社長さんは手でそれを制し、再び座るように促されて俺はソファーに腰を下ろした。
社長もソファーに腰を下ろし、対面する形で始まった商談だったが、契約はあっけないほど簡単に取れてしまった。

交渉も何も無いままに、俺のプレゼンを聞いた社長さんは黙って関係書類の淡々とサインと判子を押していき、いつの間にか契約は成っていたのだ。
どこにどれだけの分量を仕入れるなどの細かい事は後日話を詰めていけばいいとの事。

あんまりにも簡単に事が進みすぎたので、俺は話しの当事者なのにまったく着いて行けず「本当にいいんですか?」と尋ねてしまった。
そんな失礼な問いにも社長さんは笑顔で「フェリアちゃんがこの話を持ってきたということは、このチョコ売れるんだろ?」と答え、本店に2000パック(1パック20袋入り)500万相当+クッキーも1000パック(200万相当)を発注いしてくれた。

本店だけでそれなのだ。
全国各地に店舗を構えるアパルツヘイ全てにこの商品が卸されるとなると、動く金はとんでもない金額になる。

俺は半ば放心状態になりながらも何とか立ち上がり、商談が終わったのでリュックの中身全てを社員さんたちに「試供品です」と渡し、その場を後にした。
その日は午前10時から午後4時までで20社をわたり歩き、そのどれもがアパルツヘイと同じような反応だった。

こっちの俺は一体何をしてここまでのコネを作ったのか?
あまりの現実味の欠いた現実に唖然としながらも、会社名義で予約されているホテルにトラックを走らせながら自分は一体何者かを、高速で流れる景色をぼんやりと感じながら考えいると、助手席に置いてある巨大リュック、それに取り付けられたモガ君の尻尾が急に激しい光を放ち始め、突然の上下に揺さぶる強い振動に目をギュッと瞑ってしまう。

道路で突然起きた怪奇現象。
普通であったならばそれは大事故の元になっていたかもしれないが、その怪奇現象自体普通ではない出来事。

幼女が断続的に続く振動で再び目を覚ましたとき、そこは辺り一面青々とした草が生い茂った草原だった。


消えた10トントラックと18禁作品にも出演できる幼女(この登場人物はry)

幼女再び異世界へ。









後書き

正直すまんかった







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