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No.22387の一覧
[0] 永宮未完 下級探索者編[タカセ](2019/07/15 00:14)
[1] 序 ①[タカセ](2017/08/21 00:19)
[2] 序 ②[タカセ](2017/08/21 00:19)
[3] 剣士と薬師 ①[タカセ](2017/08/21 22:44)
[4] 剣士と薬師 ②[タカセ](2014/10/28 04:16)
[5] 弱肉強食①[タカセ](2014/10/28 04:36)
[6] 剣士と薬師 ③[タカセ](2014/10/28 04:55)
[7] 剣士と薬師 ④[タカセ](2014/10/28 05:11)
[8] 剣士と薬師 ⑤[タカセ](2014/10/28 23:24)
[9] 剣士と薬師 ⑥[タカセ](2014/10/28 23:57)
[10] 剣士と薬師 ⑦[タカセ](2014/10/29 00:46)
[11] 剣士と薬師 ⑧[タカセ](2014/10/29 01:23)
[14] 剣士と薬師 ⑨[タカセ](2011/01/26 19:31)
[15] 剣士と薬師 ⑩[タカセ](2011/02/04 12:00)
[16] 弱肉強食②[タカセ](2014/10/30 00:15)
[17] 弱肉強食③[タカセ](2014/10/30 00:42)
[18] 剣士と薬師⑪ 〆[タカセ](2014/10/30 00:59)
[19] 剣士と刃物[タカセ](2014/11/06 04:03)
[20] 剣士と少年 ①[タカセ](2014/11/08 03:01)
[21] 薬師と探索者達[タカセ](2015/04/07 21:17)
[22] 剣士と少年 ②[タカセ](2014/11/08 03:01)
[23] 剣士の価値観[タカセ](2014/11/06 16:40)
[24] 剣士の弱点[タカセ](2014/11/08 00:30)
[25] 剣士の狩りと薬師の愚痴[タカセ](2014/11/08 00:58)
[26] 剣士と剣 ①[タカセ](2014/11/08 01:22)
[27] 剣士と少年 ③[タカセ](2014/11/08 03:01)
[28] 剣士と探索者達[タカセ](2015/03/06 02:08)
[29] 剣士と受付嬢[タカセ](2015/03/06 02:07)
[30] 剣士と引き寄せられる因子達[タカセ](2015/03/07 00:43)
[31] 剣士と運命[タカセ](2015/03/07 22:46)
[32] 剣士と龍王達[タカセ](2015/07/19 00:11)
[33] 剣士と剣 ②[タカセ](2015/03/17 03:14)
[36] 剣士の心意気[タカセ](2015/03/17 02:05)
[37] 剣士と決闘宣言[タカセ](2015/03/22 01:01)
[38] 剣士の価値観 ②[タカセ](2015/04/04 03:47)
[39] 魔導工房主と魔具[タカセ](2015/04/15 02:10)
[40] 剣士と魔導工房主[タカセ](2015/04/15 02:21)
[41] 剣士の本質[タカセ](2015/04/23 10:10)
[42] 決闘者と父親[タカセ](2015/07/16 01:35)
[43] 剣士と薬師[タカセ](2015/07/18 23:49)
[44] 剣士と決闘[タカセ](2015/07/25 02:18)
[45] 剣士と百武器の龍殺し(仮)[タカセ](2015/08/10 01:28)
[46] 剣士と百武器の龍殺し(開眼途中)[タカセ](2015/08/10 01:26)
[47] 剣士と百武器の龍殺し(早期完全覚醒)[タカセ](2015/08/19 03:02)
[48] 剣士と魔法陣[タカセ](2015/08/23 00:23)
[49] 剣士と剣 ③[タカセ](2015/08/26 00:00)
[50] 弱肉強食 ④[タカセ](2015/09/04 23:04)
[51] 弱肉強食 ⑤[タカセ](2015/09/10 01:14)
[52] 剣士と家庭の問題 ①[タカセ](2015/09/23 21:38)
[53] 剣士と家庭の問題 ②[タカセ](2015/11/01 22:22)
[54] 剣士と家庭の問題 ③[タカセ](2015/11/02 02:39)
[55] 剣士と振り回される人々[タカセ](2015/11/07 03:37)
[56] 剣士と竜獣翁[タカセ](2015/11/21 00:16)
[57] 剣士と大願[タカセ](2016/02/13 22:43)
[58] 見習い鍛冶師と金獅子[タカセ](2019/07/16 01:16)
[59] 見習い鍛冶師と金獅子兵団の人々[タカセ](2016/02/17 17:14)
[60] 見習い鍛冶師と二つ名[タカセ](2016/02/24 00:48)
[61] 見習い鍛冶師と神官騎士[タカセ](2016/02/24 21:12)
[62] 見習い鍛冶師とその素顔[タカセ](2016/02/29 03:12)
[63] 見習い鍛冶師と金獅子②[タカセ](2016/03/07 02:33)
[64] 見習い鍛冶師と女性鍛冶師[タカセ](2016/03/11 00:33)
[65] 見習い鍛冶師と情婦[タカセ](2016/03/13 03:02)
[66] 剣士と初めての痛み[タカセ](2016/03/16 22:58)
[67] 剣士と女医[タカセ](2016/03/23 01:07)
[68] 剣士と罠[タカセ](2016/04/12 03:04)
[69] 剣士と初花[タカセ](2016/04/19 02:29)
[70] 剣士と水狼[タカセ](2016/05/07 22:07)
[71] 剣士の事情[タカセ](2016/05/14 20:26)
[72] 剣士と決意[タカセ](2016/05/22 01:07)
[73] 剣士と大英雄[タカセ](2016/07/17 02:51)
[74] 剣士の挨拶[タカセ](2016/07/22 02:00)
[75] 剣士と扉[タカセ](2016/07/30 23:23)
[76] 剣士と調べ物[タカセ](2016/08/20 23:06)
[77] 剣士の未来図 加筆修正版[タカセ](2017/03/25 22:50)
[78] 剣士と古井戸 加筆修正版[タカセ](2017/03/26 01:06)
[79] 剣士と地下水路迷宮[タカセ](2016/12/01 01:46)
[80] 剣士と死者の守人[タカセ](2016/12/24 23:54)
[81] 剣士と死霊術師[タカセ](2017/01/31 01:19)
[82] 剣士と狼牙の死霊達[タカセ](2017/02/10 09:49)
[83] 剣士と運命②[タカセ](2017/04/26 01:59)
[84] 剣士を知る日[タカセ](2017/04/25 23:51)
[85] 剣士と鬼翼[タカセ](2017/05/23 21:28)
[86] 剣士と龍血[タカセ](2017/08/19 21:50)
[87] 剣士が失う物[タカセ](2017/08/19 21:37)
[88] 剣士と永宮未完 第1部完[タカセ](2017/08/19 22:01)
[89] 第2部 挑戦者の日常 前日夜~早朝[タカセ](2017/07/17 20:45)
[90] 挑戦者の日常 朝~昼[タカセ](2017/07/17 20:45)
[91] 挑戦者の日常 昼すぎ[タカセ](2017/07/25 01:45)
[92] 挑戦者の日常 午後[タカセ](2017/08/19 01:11)
[93] 挑戦者の日常 夕刻[タカセ](2017/08/21 22:06)
[94] 挑戦者の日常 鍛錬[タカセ](2017/08/30 00:39)
[95] 挑戦者と保護者達[タカセ](2017/09/17 03:35)
[96] 挑戦者と白虎姫[タカセ](2017/09/24 00:25)
[97] 挑戦者と仲間達[タカセ](2017/10/01 00:12)
[98] 鬼翼と狼女王[タカセ](2017/10/03 01:46)
[99] 挑戦者の高揚[タカセ](2017/10/07 01:55)
[100] 挑戦者と魔術の塔[タカセ](2017/10/24 00:21)
[101] 弱肉強食 ①[タカセ](2017/11/10 23:38)
[102] 弱肉強食 ②[タカセ](2017/11/12 02:18)
[103] 弱肉強食 ③[タカセ](2017/11/24 23:51)
[104] 剣士の鍛錬[タカセ](2018/02/14 00:21)
[105] 挑戦者の噂[タカセ](2018/02/17 22:28)
[106] 挑戦者の目標[タカセ](2018/04/19 01:11)
[107] 挑戦者と英雄噴水再破壊事件[タカセ](2018/04/21 07:34)
[108] 挑戦者と初心者講習[タカセ](2018/06/26 03:03)
[109] 挑戦者と翼王女[タカセ](2018/07/18 00:27)
[110] 挑戦者の食べ方[タカセ](2018/07/24 02:31)
[112] 挑戦者と既知外の世界[タカセ](2018/09/15 21:01)
[113] 薬師の人物評[タカセ](2018/09/18 00:51)
[114] 挑戦者の二つ名[タカセ](2018/10/19 00:36)
[115] 挑戦者と始まりの宮[タカセ](2018/10/20 00:29)
[116] 挑戦者達の戦い[タカセ](2018/10/23 04:15)
[117] 挑戦者と迷宮主[タカセ](2018/10/31 01:31)
[118] 挑戦者と迷宮の罠[タカセ](2018/11/10 01:59)
[119] 挑戦者と迷宮の掃除人[タカセ](2019/01/14 23:56)
[120] 薬師と挑戦者達[タカセ](2019/01/15 00:00)
[121] 挑戦者と十刃[タカセ](2019/02/19 01:26)
[122] 挑戦者と対龍都市遺構[タカセ](2019/03/10 00:12)
[123] 挑戦者達の連携[タカセ](2019/03/15 22:38)
[124] 挑戦者と火龍[タカセ](2019/06/23 23:59)
[125] 薬師と天才達[タカセ](2019/03/20 21:41)
[126] 挑戦者と廃墟都市[タカセ](2019/03/22 01:11)
[127] 剣士の生きるべき世界[タカセ](2019/03/23 00:05)
[128] 剣士が知る者。剣士を知る者。されど理解者は未だ無し[タカセ](2019/03/29 23:11)
[129] 下級探索者編 未登録探索者とレッドキュクロープスの噂[タカセ](2019/07/09 21:01)
[130] 未登録探索者と迷宮の宝物[タカセ](2019/07/09 21:02)
[131] 未登録探索者と戻らない理由[タカセ](2019/07/09 21:03)
[132] 未登録探索者と湯上がりの適度な運動[タカセ](2019/07/09 21:03)
[133] 未登録探索者と猟犬商人[タカセ](2019/07/09 21:04)
[134] 未登録探索者とカミワザ[タカセ](2019/07/09 21:05)
[135] 未登録探索者=レッドキュクロープス[タカセ](2019/07/09 21:05)
[136] 未登録探索者を追う者、出会う者[タカセ](2019/07/09 21:06)
[137] 未登録探索者と元仲介屋[タカセ](2019/07/09 21:06)
[138] 未登録探索者の剣技[タカセ](2019/07/09 21:07)
[139] 未登録探索者と神印解放[タカセ](2019/07/09 21:08)
[140] 未登録探索者と凱旋帰還[タカセ](2019/07/09 21:08)
[141] 未登録探索者と捕縛理由[タカセ](2019/07/09 21:09)
[142] 人形姫と厄災人形[タカセ](2019/07/09 21:09)
[143] 下級探索者(偽装)と鳳凰破壊事件[タカセ](2019/07/09 21:10)
[144] 下級探索者(偽装)と淫魔[タカセ](2019/07/09 21:11)
[145] 下級探索者(偽装)と苦手な街[タカセ](2019/07/09 23:58)
[147] 下級探索者(偽装)と裏町[タカセ](2019/07/15 00:14)
[148] 下級探索者(偽装)と飴屋の鬼女[タカセ](2019/07/16 01:15)
[149] 薬師と白虎姫[タカセ](2019/07/20 01:08)
[150] 下級探索者(偽装)の判断基準[タカセ](2019/07/21 06:35)
[151] 下級探索者(偽装)と2つの祭り[タカセ](2019/08/20 01:50)
[152] 下級探索者(偽装)と大火厄災人形[タカセ](2019/09/01 01:02)
[153] 下級探索者(偽装)と斬るべき者[タカセ](2019/09/03 01:56)
[154] 下級探索者(偽装)と鳳凰復活事件[タカセ](2019/09/07 23:06)
[155] 下級探索者(偽装)と鬼翼の実力差[タカセ](2019/09/21 02:48)
[156] 下級探索者(偽装)とロウガ評議会[タカセ](2019/10/04 23:06)
[157] 下級探索者(偽装)と考えごと[タカセ](2019/10/19 23:11)
[158] 下級探索者(偽装)と刀の諱(いみな)[タカセ](2019/11/09 22:47)
[159] 下級探索者と迷宮の洗礼[タカセ](2019/12/07 23:32)
[160] 下級探索者と第三の剣技[タカセ](2020/01/03 23:19)
[161] 下級探索者と剣士でない剣[タカセ](2020/01/06 00:35)
[162] 下級探索者と真犯人[タカセ](2020/01/07 00:37)
[163] 下級探索者と迷宮主[タカセ](2020/06/10 19:33)
[164] 下級探索者と邑源の技[タカセ](2020/01/10 19:13)
[165] 下級探査者と迷宮に眠る刀[タカセ](2020/04/21 01:45)
[166] 下級探索者(偽装)と大華災[タカセ](2020/01/16 21:20)
[167] 監獄少女と水狼隊長[タカセ](2020/01/18 19:24)
[168] 監獄少女と怒る理由[タカセ](2020/01/22 18:21)
[169] 監獄少女と白い狼[タカセ](2020/01/26 00:54)
[170] 監獄少女と監獄の怪談[タカセ](2020/04/21 01:35)
[171] 監獄少女と赤い鱗[タカセ](2020/04/16 00:20)
[172] 監獄少女と千尋の明かり[タカセ](2020/05/10 19:35)
[173] 監獄少女と監獄長[タカセ](2020/05/07 02:09)
[174] 監獄少女と極上の餌[タカセ](2020/05/16 05:42)
[175] 監獄少女と蘇る迷宮[タカセ](2020/06/06 22:37)
[176] 監獄少女と携える武具[タカセ](2020/06/12 02:15)
[177] 弱肉強食[タカセ](2020/06/12 16:32)
[178] 監獄少女と迷宮特性[タカセ](2020/07/03 22:45)
[179] 監獄少女と絶対捕食者[タカセ](2020/08/08 22:54)
[180] 監獄少女と龍の戦い[タカセ](2020/08/19 07:36)
[181] 監獄少女と悪夢の島[タカセ](2020/08/30 23:56)
[182] 剣士の足跡とその影響[タカセ](2020/08/29 22:36)
[184] 薬師の(監視者付き)日常[タカセ](2020/09/04 17:23)
[185] 薬師と翼王女の免罪符飲み会[タカセ](2020/09/12 22:41)
[186] 剣戟狂い女侯爵と根あり草[タカセ](2020/09/16 15:56)
[187] 剣士と人の悪意と神の悪意[タカセ](2020/10/09 02:58)
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[22387] 剣士と百武器の龍殺し(早期完全覚醒)
Name: タカセ◆f2fe8e53 ID:5ef41db8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/08/19 03:02
 正面。氷で出来た礫十五。
 直撃コースは6つ。
 足を止めれば全て弾ける。
 速度を落とさずに剣で弾ける数は4つ。
 飛来する礫の軌道を見切り、ケイスはあえて足を止めず全力疾走のまま剣を合わせる。
 左からの切り下ろし。
 間髪入れず、振り上げた右腕を左腕に合わせ打ち上げ、切り返しへ。
 最短距離を進む直線剣戟で4つの礫を弾く。
 残りは右上半身に直撃コースを取る2つ。
 振り上げた右腕を振って、手甲を礫に合わせる。
 腕に重い衝撃と共に、痺れるような冷気が伝わってくる。
 闘気を右腕に回し、筋力を強化。
 鞣した皮を幾重にも重ねた装甲の表面を削らせながら無理矢理に弾き飛ばす。
 
 
「発動!」


 ラクトの声が響く。
 足元の石畳が波打ち、一瞬で踝まで沈み泥に変化する。
 水気をたっぷり含む粘着質の泥が足に絡まってくる中、ケイスは力任せに無理矢理前に向かって跳ぶ。
 体勢を崩し倒れそうになりながらも、前宙気味に無理矢理身体を前に倒した勢いで足を引きぬき脱出。   
 ケイスが抜け出した直後に弾かなかった氷礫が着弾。
 泥沼を一瞬で凍りつかせていく。
 魔術効果強化型地形変化魔術。
 氷弾に合わせて凍りついたが、これが炎なら燃え上がる沼と成り、雷撃ならば全身を撃つ痺れ罠へと変化する。
 一瞬でも足を止めていれば、汎用性が高く足止め効果も強い魔具の餌食となっていた。
 身体が回転しきる前にケイスはバスタードソードから手を離し、左手を開けナイフをワイヤー機構事引き抜いて、回転の勢いのままラクトへと投げつけ、再度、空手となった左手で剣の柄を掴む。
 回転の勢いを乗せたナイフは高速で飛翔する。
 しかしラクトが構えた杖を横に一降りなぎ払うだけで疾風が生じ、ナイフはあっさりと弾かれた。
 だがそれは計算のうち。
 ラクトの手の1つに、投擲・射撃武器対策の矢よけの付与魔具があるのは先刻承知。
 ナイフを防御させラクトの追撃を防いだケイスはその一瞬で体勢を立て直し、左に跳ぶ。
 直線的な動きから左右のフットワークへ。
 思考を読まれ、先読みされたら一瞬で終わる。
 回避した連続攻撃を見て、ケイスはランダムに撥ねて狙いを絞らせないようにしつつ気を引き締める。
 ラクトの強み。
 魔術と比べて詠唱や魔力を練る時間が無く、発動までのタイムラグが少ない魔具の特性。
 しかも発動の遅い魔具と速い魔具を組合わせ、少ないタイムラグをさらに極力減らしている。
 もう一つは魔具同士の効果を組合わせた手数の豊富さ。
 複数の魔具を同時に使用する事で効果を重ね合わせ変化させることで、1つの魔具に複数の戦い方を持たせている。    
 途切れず多彩な魔術攻撃。
 魔力を持たないケイス相手に、それはもっとも効果的な戦い方だ。
 しかもラクトは徐々に魔具の使い方が上手くなっている。 
 もしナイフを投げていなければ、既に発動していた矢よけの疾風は、泥沼を抜けたばかりで空中にあったケイスの体を弾き飛ばしていただろう。
 自分と戦うには魔具を上手く使えとアドバイスしたのはケイス自身だ。
 だがここまでやるとは、いや、上手くやるようになるとは思っていなかった。  
 戦い始めたばかりは2つの魔具効果を重ねるのが精々だったが、ラクトは今3つの魔具効果を重ね合わせようとしている。
 2つ重ねるよりも、3つ重ねる方が戦術の幅が一気に広がるのは自明の理。
 ラクトが急激に成長を始めている理由には、ケイスも思い当たる物がある。
 ケイスとて何度も重ねてきた道だ。
 強敵と、ケイスと戦うことで、ラクトは戦いの中で急成長を始めている。
 だがそれがどうした。
 戦いこそが自分の全て。
 ラクトが喰らうというならば、自分もラクトを喰らう。
 豊富で途切れの無い魔術攻撃。
 正に自分の弱点。
 紛れもない天敵
 ならば天敵を喰らう。
 今の自分がより強くなる為に。
 なんの為に強くなるか?
 決まっている。
 世界を全て相手取ることになろうとも、己の思いを貫き通す為だ。
 自分の想いこそが、自分にとって世界でもっとも尊い。もっとも大切だ。
 だからもっと、もっとだ。
 重ねろ。
 魔術攻撃を。
 自分が回避も出来ずになるほどに。
 四肢が千切れ、倒れ込むほどに激しい攻撃を。
 命を奪うほどの致命的な一撃を。
 もう立てぬと心が折れるほどに無慈悲な一撃を。
 その全てを喰らい、自分の糧とする。
 相手が強ければ強いほどケイスの心は弾む。
 数が多ければ多いほどケイスの心は、闘争心に猛る。
 ラクトが見せる急成長に刺激された獰猛な闘争心に、ケイスの箍が外れ始める。
 ケイスは勝てない相手とだって、事情があれば戦う。戦ってきた。
 義理や人情やしがらみなど、その都度都度で決死の戦いに挑んできた理由は諸々があるが、大元は変わらない。
 物心を着いたときには既に迷宮に捕らわれた化け物の根源はただ1つ。
 相手の血肉を技を貪り喰らい、自らの糧とする為だ。
 この世の全ては自分の餌である。
 自らが強くなる為の餌だ。
 だから強い者はこれ以上無いほどに愛しい、極上な餌だ。
 ラクトを明確な敵と認識したケイスは、さらに上の段階へと無自覚に戦闘意識を切り変える。
      
 ……鼓動を意識。心臓に闘気を集中。
  
 ……息吹変更。

 走り続け乱れる呼吸をさらに激しくさせたケイスは、ついに最後の箍を外す。
 ケイスの心臓は、本来であれば僅かな生命力で膨大な魔力を生み出す変換機能を持つ。
 しかしそれを無理矢理に意思の力で、闘気変換能力へと切り変えていた。
 あり得ない心臓による闘気変換は、元来の魔力変換と比べて効率を著しく落としている。
 しかしケイスは身は人間なれど、その本質は違う。
 暴虐にして、強大な、理不尽な存在。
 絶対なる頂点捕食者。
 龍を持ってしても化け物と呼ばれる龍。
 
 ……闘気変換。二重起動。

 僅かにしか血を引かずとも、先祖返りしたと呼ばれた異種の力を開放。
 先ほどまでとは比べものにならない闘気がケイスの全身にみなぎり出す。
 剛剣に勝る剛剣へ。
 速さに勝る速さへ。
 自分に勝る自分へ。
 別領域へとケイスは移項する。
 ラクトをより引き上げる為に。
 自らの餌をさらに育てる為に。
 
【弱肉強食】

 その理の元、いつかこの世の全てを敵に回す化け物は、その力を余すこと無く発揮し始めた。






 ケイスの動きが変わる。
 等距離間での歩数が急激に増える。
 歩数の増加は、手数の増加。
 縦横無尽な動きはさらに段階をあげ、まるで消え去るようにラクトの視界からいなくなる。
 ケイスを見失ったラクトは視野を広く取りケイスを再発見しようと後ろに下がった。
 先ほどまではそれが有効だった。
 しかしその常識は今は通用しない。  


「ぐっ!?」
 
 
 後ろに下がろうとしたラクトだったが、右手から強烈な蹴りを食らい、軽々と吹き飛ばされる。
 驚異的に速度をあげたケイスは、一瞬でラクトの死角を駆け抜けていた。
 腰のベルトの挟んだ魔具がバキバキと折れる音が響き、決闘者の身体を守る結界が発動し激しく発光し点滅を繰り返す。
 結界のおかげで痛みは無いが、何が起きたのか判らない。
 しかしこのままではまずいという意識だけが警鐘を鳴らす。
 だが身体が動かない。
 痛みは皆無だというのに、麻痺したかのように意識に肉体が追いつかない。
 この感覚には覚えがある。
 ケイスが用いる闘気捕縛術。
 相手の身体に自分の闘気を流し込み萎縮させるという技に、首根っこをつかまれ動けなくなったのはつい先日のことだ。
 破る方法は1つ。
 自らの闘気で打ち消せ。
 心臓に向けていた意識を丹田に集中。
  

「がぁぁっっ!」


 声をあげ無理矢理に捕縛を解除。
 しかし一瞬遅い。
 態勢の立て直しが間に合わず着地が出来ずにラクトは無様に転げる。
 だがそれでもとっさに魔術杖を身体の前面に出せたのは奇跡だった。
 構えた一瞬の間もなく、風音を纏う剛剣が横たわるラクトの身体を両断しようと振り下ろされる。
 蹴りをぶち込み吹き飛んだラクトと併走していたケイスが剣を振り下ろしてきた。
 そう意識する前にラクトは無意識に全身に力を入れて、その剛剣を何とか受け止める。
 だがケイスが何枚も上手だ。
 杖で受け止められた瞬間、持ち手を返しラクトの杖に剣を引っかけ、横払い気味に剣を振り回す。
 闘気を用いたケイスは獣人ですらも容易く殴り飛ばすことが可能なほどの強力を誇る。
 ラクトが鎧を身につけていようと、意にも止めない。
 鋼鉄製の魔術杖を折り曲げながら、ラクトの身体を再度弾き投げ飛ばす。
 ラメラアーマーの装甲がぶつかり合い激しく音をたてるなか、ラクトは何とか空中で態勢を立て直そうとするが、激しく振り回され上下の感覚さえおぼつかない。
 回転する視界の中で、杖を握ったまま何とか右手を伸ばし、杖の切っ先で地面を掴み身体を止める。  
 だがケイスの追撃は止まない。
 杖を抱えた右手に向かって、追走してきたケイスの剣が振り下ろされる。  
 大剣を寝かせ鉄槌のようにしたケイスの一撃でガラスが砕けるような音と共に、ラクトが指に嵌めていた指輪型の魔具が全て砕け散った。
 結界が有るから良いが、まともに受けていれば今の一撃でラクトの指は全て潰されていただろう。
 己の四肢を奪われる幻覚にゾッとするような感覚がとっさにラクトの意識を立て直し、左手に嵌めた指輪に意識を向けさせた。
 ケイスの剣は目の前にある。
 自分ならどうする? 
 その答えが出る前にケイスの剣が返る。
 刃先がぎらりと鈍く光って見える。
 このまま打ち上げの一撃で決めるつもりか?
 左手の軽量化の指輪と共に硬化の付与魔術を発動。一時的に鎧の防御力を大幅に上げる。
 同時に、着いていた四肢で僅かでも威力を殺そうと地面を叩いて、ラクトが跳ね上がった瞬間、ケイスが左足で刀身を蹴りあげた。
 使えぬ右手の代わりに足を使い力と速度を出す。
 一歩間違えれば自分の足を切断しかねない危険すぎる行為。
 だが狂人であり剣士であるケイスは、平気でそれを行う。
 左の剛腕に、剛脚が合わさり、その小柄で少女らしい身体から出されたとは思えない爆発したような一撃が、ラクトの身体を捕らえる。
 身が竦む恐ろしい勢いを纏う刃を視界に捕らえながらラクトは覚悟を決める。
 父が譲ってくれたラメラアーマーと硬化の付与を信じる。
 ラクトが今出来るのはそれだけしかないからだ。
 結界を振るわせる激しい衝撃と衝突音が闘技場に響く。
 真下からの一撃に加え、軽量化の指輪の効力が合わさり、ラクトの身体が高く高く打ち上げられ、砕けたラメラアーマーの一部が破片となってバラまき散らされる。
 だがそれでも全身を覆う結界の光は切れていない。
 ケイスの一撃はラクトの命を奪うレベルまで達していなかった。
 ラメラアーマーの防御力を上げていなければ今の一撃で決着はついていたかもしれないが、それでもまだ保っている。
 しかし今の一撃で鎧は一部とはいえど破壊された。
 後そう何発も受け止められないだろう。
 だが軽量化の指輪が間に合い距離は稼げた。
 空中にいるうちに何とかケイスを引き離さなければ。
 そうラクトが思った瞬間、ラクトの左足に何かが絡みつく。
 それは地上にいるケイスが投擲したナイフ。
 ラクトが軽量化の指輪を使うのを、ケイスは読んで、剣を蹴り上げたその直後に、電光石火でナイフを引き抜き投げていた。
 空中にいるラクトを引きずり下ろす為に。
 自らの間合いに戻す為に。
 ワイヤー機構に付属したハーケンを地面に打ち下ろしたケイスが巻き取りボタンを足で蹴り、ラクトの身体諸共一気にワイヤーが引き戻され始める。
 一方でケイスは一瞬身を沈め、次いで力強く石畳を蹴って飛翔する。
 ラクトに時間を与え悠長に待っている気はケイスにはサラサラないようだ。
 空中戦で仕留める気だ。
 砂漠で見せたケイスの空中体術が、ラクトの脳裏をよぎる。
 空中だというのにモンスターを歯牙にも掛けず3匹も仕留めてみせる化け物相手に、地上戦ですら手も足も出なかったラクトでは刃が立たない。
 どうする? 
 どうすべきだ!? 
 こんな状態を予測はしていない。
 考えてもいない。
 まさか空中戦を挑むことになるなどラクトは考えてもいなかった。
 だから何も思いつかない。
 先ほどまでは何とか思いついていた手が思いつかない。
 これで負けが決まってしまう。
 自分は負ける。
 ケイスに打ち込むはずの切り札を使うことも無く負ける。
 あの少女ですら予想していなかったであろう切り札を。


「!?」


 切り札を思い出した瞬間、ラクトの中で全てが繋がる。
 それは自分では意識していない。
 本能とも言える物。
 ばらばらの物が一気に繋がる感覚。
 跳び上がったケイスの動きは一直線だ。
 さしものケイスといえど、そうまで軌道を大幅に変えることは出来無い。
 あの戦いの時に、あり得ない動きが出来たのはケイスの手に特別な武器があったからだ。 だがそれは今はケイスの手には無い。
 だがラクトの手にはある。
 なら出来るはず。
 この世の武器は全てラクトの意のままに操れる。
 今この瞬間この時だけは。
 今はまだ両者が至らぬ共、天敵であるのだから成り立つ。
 やがて生まれる世界の敵である龍王を前にしたときだけは扱える。


【百武器の龍殺し。技能覚醒】

 武器屋の息子として生を受け、武器を知り、武器を扱う者として、武器を司る神に授けられた技能が開花する。

 本来ならば遥か先に目覚めるはずの才能が。

この世の全てを敵に回し荒れ狂う幼い龍王に見いだされ餌として選ばれた為に、運命の輪が早回しで繰り出され解放される。

 龍王を倒せるだけの可能性の1つを持った勇者の技能が天敵を前に覚醒する。



 ラクトは腰の大剣へと手を伸ばす。
 見た目は立派な金属剣だというのに、羽1枚ほどの重さしか無く、簡単に折れ曲がり、たためてしまう奇剣【羽の剣】へと。
 右手を柄に合わせて、ケイスをギリギリまで引きつける。
 早々と使えばあの少女には読まれてしまう。
 それでは駄目だ。
 ラクトの用意した切り札は、ケイスが得意とする距離にこそある。
 接近した状態でこそ扱える切り札。
 練習をして、何とか出来るようになった最後の手。
 それこそがケイスに勝つ為に、ラクトが自身で用意した、本当の意味での自分の力。
 ラクトはただただ必死にタイミングを見計らう。
 ケイスの構えた剣の切っ先がラクトののど元に狙いを定めた瞬間に、剣に闘気を注入。
 加速度的に重量を増した剣によって重心が変化。
 空中でラクトの身体が沈み込む。
 身体の沈み込みに合わせ首を傾け、ケイスの剣先をギリギリでラクトは躱す。
 面当てに隠れたケイスの顔。
 しかし僅かに覗く唇の端が驚愕に一瞬歪むのが見える。
 避けられると思っていなかったのだろうか。
 それとも自分が使った手を、ラクトに使われて歯ぎしりをしたのだろうか。
 だがそれはどちらでも良い。
 今こそ最大にして最後のチャンス。
 怪我をしたケイスにとって左腕こそが、唯一にして最大の武器。
 もっとも警戒するその武器が今ラクトの目の前にある。
 闘気を切って軽くした羽の剣を持った右手をラクトは振り上げる。ケイスの左手に向かって。
 狙いは一瞬。チャンスは一回。
 薬指と小指で剣の柄を支えたまま、中指と人差し指を伸ばして剣指を作る。
 伸ばした剣指でケイスの左手をなぞる。
 初級魔術の中の初歩の初歩を敢行する為に。
 ケイスが最初に示して見せた己の弱点。
 抗魔力が持たぬ故に、攻撃魔術ですら無い、家庭用のヒモ代わりに使える魔術ですら禄に抗えないと、笑って見せたその弱点を突く為に。
 ケイスがもっとも予想していないだろう手を打つ為に。
 だからルディアに師事を受け練習を重ねた。
 魔術触媒薬も呪文も陣も用いず、己の精神力と魔力だけで紡ぐ法を。
 無詠唱、無触媒による魔術行使。
 それこそがラクトが用意した切り札。
 ケイスが教えた闘気変換法や剣や、ケイスが買い与えた魔具に頼らない、ラクト自身が選んだ武器。
 ラクトの剣指から魔力を帯びた光の発光が始まる。
 初級魔術とはいえ、無詠唱、無触媒による術行使は、魔術師ではないラクトには難関。
 しかしラクトが選んだ武器。
 今のラクトの状態なら、百武器の龍殺しの技能が開放された状態であれば、武器であるなら発動しないわけが無い。
 神の与えたもう力とは運命さえねじ曲げる。
 ラクトの剣指から伸びた光が、ケイスの左手に幾重にも巻き付き捕縛し、さらには右手に握った羽の剣の刀身にも巻き付く。
 羽の剣とケイスが繋がった瞬間に魔力を遮断。
 魔術を切ったラクトは、即座に左手に羽の剣へと再度闘気を注入。
 先ほど込めた小量では無い、ありったけの闘気を注ぎ込んだ。








 予想外の。
 本当の予想外のラクトの手に意識を奪われたのはほんの一瞬。
 一瞬が命取りなどケイスはよく知っている。
 知っているはずだった。
 しかしそれでも奪われた。
 加速度的に増加した重量が跳び上がった勢いを急速に止め、さらには地上へと引きずり落とそうと牙を剥く。


「ぐっ!?」


 抗えないほどの超重量を発揮した羽の剣は、魔力のヒモでがっちりと結ばれ引きはがすことが出来無い。
 それでもケイスは抵抗をして見せようと、自らの闘気を剣に伝えようとしたが、剣に弾かれるかのように浸透しない。
 ラクトの闘気が込められているからか?
 それとも羽の剣に宿る粗たるラフォスの意識が拒むのか?
 どちらか判らない。


「っが!?」


 体勢を崩したままケイスは落下を続け、左半身を下にして石畳に全身を強く打ち付ける。
 結界が有るから痛みはほとんど無い。
 しかし衝撃だけは伝わってきて身体全身が痺れる。
 だがそれよりも何よりまずいのは左手が地面に固定され、動けないこと。
 羽の剣はまだ重さを保ったまま。
 剣と左手を繋ぐ魔力の光は薄れてきているが後数秒は掛かる。
 虎ばさみに掛かった獲物と変わらない。
 ラクトの気配を闘気を、背後に、直上に感じる。
 自分なら背を向け地面に横たわる相手になら、振り下ろしの一撃を打ち込む。
 おそらくラクトはそうする。
 どうする?
 両手が使えず、地に捕らわれたままで。
   

「舐めるな!!!!」


 自らを叱咤する為にケイスは吠える。

 両手が使えない?

 それがどうした!

 地面を這うことしか出来無い?

 それがどうした!

 幼い頃から戦いの渦中にいるケイスにとって、四肢を失ったことなど数え切れない。

 首しか動かずとも、口と歯を使って地面を噛み喰いながらそれでも這い進んできた。

 なぜそこまでするか?
 
 負けない為だ!

 自分の運命を縛り付ける理不尽なこの世の全てに抗う為だ!
 
 この世の全てを敵に回そうとも、自らの意志を貫き通す為だ!
 
 無数に積んだ戦闘経験と、無限の闘志が負けを拒否し、ケイスの体を動かす。
 ラクトの位置は読めない。見えない。
 ならば直感に従うのみ。
 首を曲げ胸元のナイフを口で引き抜き、足元に向かって投げる。
 滑るナイフの柄を両つま先で捕らえ切っ先を構える。
 自分は剣士だ。
 ならば両腕を使えずとも、剣さえあれば戦う。戦える。
 膝を曲げ太ももの力と全身のバネを使い、ケイスは己の体を跳ね上げる。
 本来であれば剣を構える両手で大地を踏みしめ、大地を駈ける為の両足で握ったナイフを天から襲来する天敵に向かって繰り出した。
 


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