「いい。本当に余計な事しないで、脱出しなさいよ」
過去のケイスの行動を思い返せば不安が消せるわけがないルディアは、ミノトス神印が輝く門の前で、本人ですら何度目か忘れた念押しをする。
同期の中で最初に始まりの宮を踏破をしたパーティには、様々な恩恵が与えられる。
しかし自分達は同期全員が始まりの宮を踏破したのだから、各パーティから代表者を出して、まずは彼らが最初に通過し迷宮を踏破する。名誉も恩恵も同期全員で分ければいい。
ケイスの提案したそれは確かに公平で、そして何より同期全員が第一功労者と考えるケイス本人がそんな提案するのだから、同期からは感謝はあれ反対がでる理由は無い。
しかし言いだしたのはケイスだ。しかも殿として最後にケイスが出るとなると、嫌な予感をルディアが覚えるなというのが無理な話だ。
「判った判った。くどいぞルディ。後ろの者達も待ちわびている。何より向こうではガンズ先生がやきもきしているだろうから、早く行ってやれ」
一方で何度も言われて聞き飽きていたケイスは、心配するなと手を振って門を示す。
怪我人もいることだし、確かにいつまでも心配して押し問答を続けるわけにも行かない。
それに始まりの宮での踏破最短公式記録は16時間。平均的な話としても2日目の早朝には最初の踏破パーティが迷宮を脱出してくる。
今は3日目の朝。龍王湖のほとりのミノトス神殿で待機しているロウガ支部関係者は、誰も帰還しないという異常事態に、気が気でも無いはずだ。
ただそのガンズが、本人の化け物じみた力があるので無事はともかく、何をやらかすか心配しているのがケイスだ。
まずはケイスを連れて行った方が、ガンズが何よりも安心するのでは無いかと、ルディアはどうしても考えてしまう。
「仕方ないな。耳を貸せ……サナ殿達と余人を交えず、話をするには丁度よいからな。少し用事を済ませたら追いかけるから心配するな」
ちょいちょいと呼ぶケイスに合わせてルディアがしゃがみ込むと、潜めた声でロウガ王女であるサナと内密な話があるから殿を引き受けたと打ち明ける。
「ケイスあんたね……切った張ったの展開にしないでしょうね」
ルディアが知っているだけでも、色々とやらかしていたり、やたらと過去に謎のあるケイスの事だ。
下手したらそれが新しい騒動の火種となりかね無いので、同期が出ていった後の、始まりの宮ならば、盗み聞きされる恐れがない方が、安心なのは確かだ。
「私にとってサナ殿は姉様みたいな存在だぞ。鍛錬でも無いのに、剣を向けるような無礼を働く訳がなかろう」
ルディアの懸念を、胸を張ったケイスは堂々と否定するが、その自信満々な態度が、逆に不安を煽る。
だが、一度言いだしたケイスが、行動を変えないのをルディアは嫌なほど知っている。
「仕方ないわね。待ってるから、あんたもほんと早くきなさいよ……皆さん。お待たせしました。戻りましょロウガに!」
大きく息を吐いたルディアは諦め立ち上がる。
ケイスに最後の念を押してから、後ろに列になっていた同期達に帰還を告げると、門を越える一歩を踏み出した。
門をくぐった瞬間、長身のルディアの身体は光の粒子となってロウガ近郊の地底湖龍王湖へと転送されていった。
先陣を切ったルディアに続き、疲労していたり怪我を負ってはいるが、誰もが誇らしげに見える同期達が、意気揚々と続く。
「じゃあ俺も続くか。世話になったケイス嬢ちゃん」
「うむ。こちらこそルディが世話になった」
「武器がほしいなら良いドワーフ職人を紹介をしてやるから、連絡を寄越せ」
「ん。助かる。礼は弾むぞ」
「あんまりルディアの姉さん困らせるなよ。あの人だいぶ心配してたんだから」
「むぅ、判っている。私の事よりお前は怪我を早く治せ。ウィーが褒めていたぞ。良い戦士だと」
門をくぐるときに、横に立つケイスにひと言をかけていく者もそこそこにいる。
最初の腫れ物扱いを考えれば、相当な改善だが、ケイス本人はそんな物など気にならない。初めから何とも思っていない
相手が自分をどう思うかよりも、自分が相手をどう思うかだ。
態度は相変わらずの傲岸不遜だが、極上の美少女笑顔でニコニコと笑い返して、その労を労ったり、ふくれ面を浮かべつつも、腕を吊った戦士を見送る。
代表者が出たのに続き、今度はそれぞれのパーティごとに纏まって門をくぐっていく。
撤収はつつがなく進み、あっという間に廃墟都市に残ったのは2パーティだけになる。
ルディアを除いたケイス達のパーティと、そして代理で代表となった好古を除いたサナ達のパーティだ。
「ケイ。周囲にモンスターの気配はないけど、ど-する? 一応ボクも残ろうか。話し合いが決裂したときに備えて」
その耳の良さでルディアにした耳打ちも聞こえていたらしいウィーが、どうにも緊迫した表情を見せるサナの様子を窺いつつも、あくび交じりで尋ねてくる。
普段からのんびりした気質を持つウィーだが、今回のあくびに関してはずっと先行偵察をしていたので疲労が溜まっている所為らしく、尻尾の動きも緩慢でどこか気怠げだ。
「いらんいらん。別にサナ殿達とやりあうつもりはないから心配するな。ウィーも動きっぱなしなのだろ。早く帰って休め」
「完全装備しているお前が言っても、説得力がねぇよ……人払いがいるんだろ。額当て使ってみろ」
ウォーギンに首を縦に頷いて答えたケイスは、完成したばかりの火龍鱗ヘッドギアを使って周囲の熱源を探る。
額の部分に当たる鱗に宿るノエラレイドを通じ、周囲の熱がケイスの感覚に上乗せされていく。
目の前にいる7人以外は、崩れた建物下に閉じ込めた隠し通路の亀だけで、ほかの生物の熱反応は近くには感じ無い。
「ん。問題無い。ほかに残っている者はいないな。話を聞かれたら、斬らなければならんから、気が進まんかったがよかった」
「あんたら、よくこんなのと仲間やってられるな。姫さん。セイジ。本当に今する必要がある話なのか? 戻ってからでもいいんじゃないか。姫さん調子が悪いんだろ」
物騒な発言をするケイスに、多少引き気味のレミルトがサナに念を押して確認する。
他者のいない場でケイスと話し合いなど、獰猛なモンスターの檻に一緒に入るのとさほどかわらないとでも言いたげだ。
「えぇ……私とセイジだけが残ります」
「あまり公にしない方が良い話のようです。ならここの方が都合が良いでしょう。王女殿下のご体調次第ですが」
硬い表情で答えるサナの言葉に、横に控えたセイジも頷き同意はするが、サナが不調ならばすぐに切り上げることを言外に告げる。
「あんたらの方は? 一応これでも相手はロウガの姫だぞ」
「残ろうとしてもケイスに追い出されるだけだ」
「追い出すだけで済んだらまだマシだねぇ。ケイなら斬りかかってくるねぇ」
「ウィーおまえなぁ、それ冗談になってねぇぞ」
今回の始まりの宮に関するデータを早速まとめているのか、手帳に色々と書き込んでいたファンドーレに次いで、ウィーとウォーギンも似たような答えを口にした。
「それに俺はこの大量の資料をとっとと整理したい。これもプラド殿のおかげだな。正規報酬以外に後で一杯奢らせてくれ」
廃棄都市で回収した遺物を色々と背負っているプラドに、ファンドーレが感謝する。
遺物は石版などが主でかなりの重量が有るのだが、その足取りにふらつきは見えない。
石版に刻まれているのは今は使用者の途絶えた消滅文字。研究資料としてはそこそこの価値があるかも知れないが、金銭的には微妙な所だ。
迷宮で収拾した遺物や素材を持ち帰る。ある意味でファンドーレが一番探索者らしい探索者をしているといえた。
「世話になっている荷役ギルドの良い宣伝になる。気にするな」
港湾都市でもあるロウガでは、港での荷役ギルドの需要は高く、膂力に優れた獣人が副業として日雇いで働いていることも多い。
強面の外見に反しプラドも闘技場に出場する戦士業の傍らで、地味な裏方である荷役ギルドにも登録しているようだ。
変わった文字が目立つ石版は、今回の始まりの宮関連とも相まって街の噂話などでよい宣伝になるだろう。
「ん。なら皆も文句はないな。すぐに終わる話だ。早く先に行ってろ」
反対は無い事を確認して横柄に頷いたケイスは、ウィー達の背中を押して追い出す。
三人きりになった所でケイスは、サナとセイジの二人と真正面から対峙して見上げる。
サナの方は色々と衝撃的なことが続いて精神ダメージが酷いのか顔色が優れないが、セイジの方は落ち着いた物だ。
「ふむ。ではそうだな……サナ殿、セイジ殿も早く戻りたいだろうから、一番肝心な事から打ち明けよう」
どう話すか少しだけ考えて、色々と周りくどくするのが面倒になったケイスは主題にいきなり入ることにする。
懐に畳んで持っていた羽の剣を取りだし、軟化状態のままだが軽く振って二人の前にみせ、
「まずは何よりも謝罪しよう。前期の始まりの宮でセイジ殿を襲撃したのは私だ。この羽根の剣がその証拠だ。二人ともすまなかった。特にセイジ殿には深手を負わせ、本当に申し訳ない」
ケイスは深々と頭を下げる。
斬ってはいけない者を斬る。
剣士であると自負するケイスにとってそれは、紛れも無い恥であり、犯してはいけない失敗。
だから心から反省し、謝罪したのだが、サナ達からは反応は無い。
「……」
サナはそこに続くケイスの次の言葉を待っているのか沈黙を維持し、
「……」
一方でセイジはセイジで、主筋に当たるサナがまず答えるべきと考えたのか口を噤んだままだ。
誰かに謝り馴れていないケイスは二人の沈黙にどうして良いのか判らず、とりあえず何か返事があるまで頭を下げたままにする。
さらに1分ほどの時間が流れ、
「姫。私には判りませんが、ケイス殿に尋ねたい事が有るのではありませんか」
さすがに見かねたのか、セイジが助け船を出してくる。
「セイジ……そうですね。ケイスさん頭を上げてください。貴女が出陣式の襲撃者だったというのは今更の話です。それよりも重要なことがあります」
サナに言われたので頭を上げてみると、 セイジに背中を押されサナはなにやら意を決した表情を浮かべていた。
覚悟を決めた表情だというのは判る。
「……? 出陣式の事以外で、何かほかに重要な話があるのか?」
だがケイスにはサナの問いかけの意味が判らなかった。
前期の出陣式の時の話以外でサナ達に打ち明けることなど、何も思いつかないからだ。
「惚けないでください。だ、だから貴女の出生の話です。あの時、名乗った真名の意味を、私が判らないとでも思ったのですか! それになぜ私達に好意を向けるのとか!」
「うむ。気づくだろうな。だから今更言う必要もあるまい。それと好きな理由は邑源流の使い手であるサナ殿は私にとっては姉弟子、つまりは姉様みたいなものだからだ。流派を抜きにしてもセイジ殿共々、その生き様は敬意に値するし、腕が立つから好きだぞ。それがどうかしたのか?」
サナが何故怒ったのか判らないが、ケイスはケイスなりに自分が思ったことを、そのまま誠実に答える。
「あと私の生まれは隠した方がよいのは、サナ殿なら判るであろう。だからセイジ殿にも詳細は言わぬ方がよいぞ。故にサナ殿もセイジ殿も忘れろ。私はケイスだ。それが今の私だ」
そしてケイスのややこしすぎる生まれを察し、さらにソウセツの義母である曾祖母と現ルクセライゼン皇帝の間で起きた悲劇を少しだけは知っていたサナが、ここ2日間もの間、悩んでいた葛藤や、苦悩を、忘れろのひと言であっさりと終わらせてしまう。
「あぁぁっ……もう、なんなのですか貴女は。うぅ、また立ちくらみが」
会話にならないというか、言葉は通じるが、その考え方や価値観が常人と違いすぎるケイス相手に、大声を上げて貧血でも起こしたのかサナがふらついた。
横に控えていたセイジがすぐに手で支えていなかったら、そのまま倒れ伏していただろう。
「ケイス殿。申し訳ないが、今日の所はここまでにしていただいて、よろしいでしょうか」
「ん。仕方あるまい。サナ殿は養生したほうがいいだろうな。始まりの宮での疲れが出たのだろう」
「あ、貴女が、げ、原因です……」
自分が強烈なストレス源である自覚が一切なくしたり顔で頷くケイスに、サナが恨めしげな目を向ける。
「王女殿下。まずは体調を取り戻してから改めて話し合いの場を設けましょう。お体に触ります」
こういうときはともかくストレス源と一刻も早く遠ざけるべきだと知っているのか、セイジはサナに肩を貸したまま、門へと向かう。
「セイジ殿は私に言うべき事はあるのでは無いか?」
結局セイジとは禄に話せてないので、その背中に呼びかけるが、
「自分の右手を犠牲にしてまで剣の軌道を曲げ、私の命を救ってくれた。そのような剣士であるならば、私が知らぬ何らかの事情があったと気づいております。また剣を交えながらでも聞かせてもらえれば十分です。それでは先に失礼します」
冷静沈着な態度と言葉のまま、セイジは一礼してから門を通過し、二人の身体が光となって消え失せた。
「ん。曲げたことを気づかれていたか。セイジ殿はなかなか目もよいな」
一人残されたケイスは話は中途半端だが、自分が言いたいことは言えたし、セイジの目の良さを確認できて満足して頷く。
(狼牙の侍だな。今の時代でもあのような者が残っているか。俺に肉体があれば良き戦いが出来そうのが惜しい)
「ふむ。ノエラレイド殿もそう思うか。私もだ。いつか正当な理由で刃を交える日が来ればよいな。さて、ではいくか」
武人の存在に龍としての性が刺激されたのか、額当てが少し温かくなった気がする。
ぽかぽかした気持ちいい良さを感じながらケイスは、横に置いてあったいくつもの剣を束ねていた紐を取る。
(龍である我が言えた義理ではないが。せめてもう少し他者の心を判ってやれ。羽根の娘や薬師の娘に同情したくなってくる。早く戻って安心させてやれ)
血の気の多い一人と一匹とは違い、老熟したラフォスはケイスの行き当たりばったりで他者を省みない言動を注意する。
「ん? 何を言っているお爺様。サナ殿との話はとりあえず終わったが、まだ一番大事な用事が終わっていないでは無いか」
出口である門に背を向けて、ケイスは剣の束を背中に背負いながら中心に向かって走り出す。
眠って休めた身体は十分に体力も気力もある。
ご飯も食べた。ならいつも通りに動ける。
いやノエラレイドを取り込み火龍の血の制御力も上がり、そして新しい魔具も手に入れた。
今のケイスは、2日前のケイスより強くなっている。
(待て娘。何を考えている)
ケイスの向かう方向。そして僅かに高揚した弾む声に、ラフォスは非常に嫌な予感を覚える。
「私は剣士だ。決まっているであろう。まだ斬り残している物がおるからな。斬ってから帰る」
その予感を物の見事に的中させる答えを伝えたケイスは、目的地で足を止めると、胸元に一本だけ残していた爆裂ナイフを引き抜く。
目の前にはこの廃墟都市にたどり着いたときに抜けてきた隠し通路への入り口が埋まった瓦礫の山がある。
火龍鱗の熱探知が伝える。
この瓦礫の下にはあの時に弾きは出来たが斬れなかった亀たちがまだ蠢いていると。
その存在を改めて感じ取ったケイスは、崩れ落ち積み重なった瓦礫に向かってナイフを躊躇無く投げつける。
着弾と同時に瓦礫の山が吹き飛び、地下に続く穴が半分ほど姿を現し、開放を待っていたかのように、その中から怪しい赤黒い灯りがいくつも飛びだしてきた。
ケイスの周囲を跳ね回る亀たちは、閉じ込められた怒りを現すかのように強く輝き出す。
その熱をケイスは感じ取る。
弾力のある粘液球に包まれる亀の本体。その固い甲羅の中で躍動する心臓や血流、各種内臓。
その肉体構造を、手に取るかのようにケイスは感じ取る。
その身体の構造を感じ取り、そして先ほどは同族の亀も平らげた……ならば、
不意に角度を変えて突進してきた一匹に対して、ケイスは無造作に剣の一本を引き抜き、電光石火に振り抜く。
刃と亀が交差した瞬間、粘液の球だけでなく、その中の本体の甲羅ごと、ケイスは一刀両断してのける。まるでシャボン玉を割るかのようにあっさりと、事も無げに。
「ん。よし。では次の剣だな」
満面の笑みをみせたケイスは次の剣を手に取る。今度は先が細くなった刺突剣だ。
手に入れた大イカの爪を用いた剣は10本。
まだ禄に斬り試していないのに帰れる物か。
ケイスは乱戦を開始する。
廃墟都市を駆け抜けぬけ、剣を次々に変えながら、鎧袖一触で次々に死体の山を築きあげ、剣を振る。
(娘! 亀共だけであろうな!)
「何を言っているお爺様! これは準備運動だ! あそこにいるであろう! まだ斬っていない最大の大物が!」
ケイスの心は弾む。斬りたいと。
ノエラレイド達火龍の群れでも倒せず、そしてこの対龍都市の生き残り達でも折れなかった存在を。
彼らの気持ちを、無念を汲もうなどと、ケイスの根源には毛頭ない。
ただ斬りたい。斬れない物が許せない。斬りたいから斬る。
剣でしか、世界を知れない。剣を振ることでしか、他者を知る事が出来ない。
斬れば判る。
斬らなければ判らない。
だから人と接するよりも、モンスターの方が判りやすい。
「ノエラレイド殿! 広域探査で吸魔樹の主根の位置を調べろ! あれを斬ってついでに泉の封印石も斬るぞ!」
人の世界で息苦しさにあえぐケイスは、誰に向けるよりも楽しげで溌剌な笑顔を浮かべながら、己が本来生きるべき迷宮を駆け抜け始めた。
次期メインクエスト最重要因子【赤龍】及び龍滅者2名
探索者モード登録完了。
【赤龍】四龍クエスト開始。
【翼女王】龍滅クエスト前提条件到達。
運命交差改変準備。
対龍都市及び対龍兵器関連クエスト全放棄。
新規戦乱クエスト作成開始。
クエスト命名【龍骸戦争】
トランド大陸西方領域全域を戦域指定。
喪失生命体量700万個体まで許容。
サブクエスト生成を開始。
賽子が転がる。
賽子の内側で無数の賽子が転がる。
無数の賽子の内側でさらに無数の賽子が転がる。
賽子が転がる。
神々の退屈を紛らわすために。
神々の熱狂を呼び起こすために。
神々の嗜虐を満たすために。
賽子が転がる。
迷宮という名の舞台を廻すために転がり続ける。