まえがき 皆様はじめまして。初挑戦のdelphinusと申します。 まだ勝手が分かっておりませんが、感想やご意見等お待ちしております。よろしくお願い申し上げます。 1/14*27話更新 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 青春を謳歌できなかった、あなたにひとときの青春を。 青春を謳歌した、あなたに今再びひとときの青春を。 そして今、青春の真っ只中にいる君たちに青春の尊さを捧ぐ。 苦くて、でもたっぷりの栄養を心に与えながら、まるで格闘家のように戦って青春を走った、彼らの物語。 ――――――――――――青汁闘魂。 ――――高校二年生の春に見る桜というのは、実に綺麗なものだ。入学したてで何もかもが新鮮だった一年生の頃の緊張感はなく、かといって三年生の大学受験という壁に圧迫される訳でもなく。 おそらく、心に余裕があるからだろう。 入学式も終わり、かったるいだけの新入生歓迎セレモニーを終えた上級生たちは、新入生の勧誘に必死になっていた。新入生と見るや、ひっ捕まえて拉致監禁しそうな勢いである。そんな彼らを横目にさっさと下校しようとしている男子は藤野 良樹。部活が盛んなこの高校においては数少ない帰宅部である。「あー終わった終わった」 数少ない帰宅部という事は、必然的に下校は一人になる確率が高い。今日も彼は一人で駐輪場へ向かっていた。一人で下校する事はもう慣れている。 不意に全校放送が流れたのは、ちょうど彼が鼻歌交じりに自転車の鍵を外した時だった。『生徒の呼び出しをします。2年A組、藤野君、校長室まで来てください。繰り返します――――』 校長室? なんで? 訝しく眉をひそめながらも、彼はもう一度自転車に鍵をかけた。聞かなかったフリをして帰っても良かったのだが、校長室に呼び出しとなれば自宅に電話がかかってくるのかもしれない。そうなった方が面倒だ。 それに校長室に呼び出される程の悪事を働いた記憶はなく、何故呼び出されたのか気にもなった。 「すみません、呼び出された藤野ですけど」 数分でたどり着いた校長室の扉は黒塗りの無駄にちょっと荘厳なものだった。ノックしての伺いに対する返事は早く、扉を開けるように促される。 なんだろ。特に怒ってる様子はないよな。 扉越しの声色から判断しつつ、ドアノブに手をかけた。 あ、そういえばカバン背負ったままだった。失礼かな? でも、まぁいいか。 ほんの数瞬だけ考えて、藤野は扉を開けた。「ようこそ、校長室へ」 ここまで至近距離で見るのは初めてだろう校長は、温和そうな雰囲気をたたえた初老の小太りだった。しかも頭頂部が薄い白髪という典型的ぶり。癒しさえ感じる笑顔からして、どうやら説教とかではないらしい。 何が大丈夫か分からないが、とりあえず大丈夫だろうと安心できたのは束の間だった。「で、君、今日から生徒会長だから」「はい?」 明らかに失礼だと分かる表情と声を漏らしても、校長は温和な笑顔を崩さなかった――――。