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No.21417の一覧
[0] せめて勇者として召喚してほしかった[古時計](2011/08/29 01:34)
[1] せめて勇者として召喚してほしかった2[古時計](2011/08/24 23:20)
[2] せめて勇者として召喚してほしかった3[古時計](2011/08/24 23:20)
[3] せめて勇者として召喚してほしかった4[古時計](2010/11/02 02:01)
[4] せめて勇者として召喚してほしかった5[古時計](2011/08/30 22:48)
[5] せめて勇者として召喚してほしかった6[古時計](2010/11/02 01:59)
[6] せめて勇者として召喚してほしかった7[古時計](2010/10/30 17:26)
[7] せめて勇者として召喚してほしかった8[古時計](2011/08/30 22:47)
[8] せめて勇者として召喚してほしかった9[古時計](2011/02/18 23:23)
[9] せめて勇者として召喚してほしかった10[古時計](2011/02/21 12:42)
[10] せめて勇者として召喚してほしかった11[古時計](2011/03/04 00:55)
[11] せめて勇者として召喚してほしかった12《前編》[古時計](2011/03/10 01:30)
[12] せめて勇者として召喚してほしかった12《後編》[古時計](2011/03/21 16:10)
[13] せめて勇者として召喚してほしかった13[古時計](2011/07/18 21:24)
[14] せめて勇者として召喚してほしかった14[古時計](2011/07/24 19:01)
[15] せめて勇者として召喚してほしかった番外1[古時計](2011/08/16 00:23)
[16] せめて勇者として召喚してほしかった15[古時計](2011/07/31 17:27)
[17] せめて勇者として召喚してほしかった16[古時計](2011/08/16 00:24)
[18] せめて勇者として召喚してほしかった17[古時計](2011/08/21 20:00)
[19] せめて勇者として召喚してほしかった18[古時計](2011/08/31 01:14)
[20] せめて勇者として召喚してほしかった番外2[古時計](2012/01/05 00:43)
[21] せめて勇者として召喚してほしかった19[古時計](2012/08/17 02:02)
[22] せめて勇者として召喚してほしかった20[古時計](2012/09/17 22:26)
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[21417] せめて勇者として召喚してほしかった5
Name: 古時計◆c134cf19 ID:86ac8b53 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/30 22:48


前略 お父様お母様

貴方達の息子が異世界に行ってから早いものでもう十日が経ちました。

こちらの世界では一年は十カ月で一か月は三週間で一週間は十日。

順に光、雷、火、土、剣、闇、木、水、風、杖

前半を光の五日、後半を闇の五日といい休日は光と闇の日の他に自分に適した日の三日になるそうです。

労働基準法もばっちりですね。

最も黒髪黒目の自分には適する属性はないそうですが。

同居人たるシオはまだ若いながらもしっかりした子で今ではすっかり友達です。

たまに馬鹿にするような笑い方をしますがいい友達です。

道行く女性が熱い視線を注いでようがイイ友達です。

かなりの頻度で喧嘩しますがいいともだちです。

俺の希望をことごとく潰していく憎いやろ、ゲフンゲフン……イイトモダチです。

そうそうお喜び下さい。

実はなんと就職が決まりました。

酒場を兼ねたギルドにてウエイターやら雑用をこなしています。

就職難なこの時勢。異世界とは言え決まった俺は勝ち組でしょう。

今後文字を覚えればさらに色々な仕事を与えてくれるそうです。

次に帰る時には一回りも二回りも変わった私を見せることが出来ると思います。

それではまた会う日まで。




貴方達の息子より。




追伸

アパートの部屋の中には入らないでください。お願いします。











「おいサトー! ぼさっとしてねえで注文取ってこい!」

「はいバルサさん今行きます!」

「それが終わったら掃除もしておけよ!」

「はいバルサさん!」



「以上でご注文の品はよろしいですか?」

「頑張ってんな黒の兄ちゃん。ついでにあとエールを六杯と豪牛のあぶり焼き頼むわ」

「はいただいま!」








「サトー君悪いんだけど買い出し行ってきてくれない?」

「…また酒樽三個とか運ばせるんですかミコさん?」

「ううん、今度は五個よ」

「!?」



「し、死にそう……」

「ん!」

「あれ、スーちゃん? え、お水? 俺にくれるの?

……ありがとね、俺、もう少し頑張るよ」












せめて勇者として召喚してほしかった5






















脳内で両親宛ての手紙を書いたりして現実逃避するのもバルサさんの喝で引き戻されるのもこれで何回目だろう。

だが十日もすればここでの生活に嫌でも慣れてくる。

この十日で分かったことは世界観自体はほぼ中世の時代+魔法=分かりやすいファンタジーの世界の公式が通じるということ。

この世界の人はほとんどが自分の属性(日付にもなっている十種類)を持ちそれぞれの分野に特化しているということ。

因みにシオは『杖』という魔法に特化した非常に珍しい属性で俺はどれにも当てはまらない『無』属性らしい。

最初に聞いた時はおお、何か『無』って良くない? とか思ったけどこの属性、本当に意味無い属性だった。

魔法はもちろん武芸すら才能がないらしい(武芸は『剣』に属する)

これもう泣くしかなくない? 俺の隠された能力に期待するしかないこの現状。

そんなもの無いよ、と脳内シオに突っこまれるが気にしない。



閑話休題。



問題の勇者召喚の触媒集め、略して勇集はシオ曰く俺がギルドで働いて情報を集める。

関係ありそうな話があればシオに伝えシオにクエストに行ってもらうなり調査してもらう。

もし触媒自体がギルドに入ればシオ名義で俺が予約をし後でシオに買ってもらう。

話がない時はシオは自宅で魔法の研究やらなにやらやったり割りのいい依頼を受けてお金を稼いでいくらしい。

何せ勇集全部の触媒を金で買おうとすれば一生遊んでも問題ない量の金額になるのだ。

いくら稼いでも稼ぎすぎになることはない。

因みに前回の召喚の時には過去の数百年の間にシオのご先祖が集めた触媒とシオの財産の大半を使ってようやく揃えられたらしい。

その時のシオはまだ悔しそうに俺を見てたけど俺も被害者だっつーの。

色々言ったがこれが俺達の勇者召喚のための行動方針である。

まあそういうわけで

「それじゃ先行ってるな」

「行ってらっしゃい。今日は僕も適当なクエストに行くつもりだから。…分かってるとは思うけど」

「『勇集していることは誰にも言わない。魔王の耳に入れば邪魔されるから』だろ? 分かってるって」

今日も元気にギルドに行きます。














「おはようございまーす」

「あらサトー君。おはよう。早速で悪いんだけど支度終えたら裏に置かれた荷物を倉庫に運んで置いてもらえる?」

店に入ると同時に頬笑みと共にお願いをしてくるのはバルサさんの奥さんでありここのギルドの酒場の女将であるミコさんだ。

茶っけの髪や鳶色の眼がスーちゃんの母親であるということを示している。

一児の母とは思えない若さだ。スーちゃんもきっと美人になるだろう。

正直スーちゃんがごついバルサさんに似なくて良かったとほっとしている。

むきむきのスーちゃん、そんなの可愛くない見たくない。

「分かりました。バルサさんも奥ですか?」

「ええ、終わったらそのままあの人の手伝いをしてくれるかしら」

バルサさんが厳しい親方ならばミコさんは優しいお姉さんと言った雰囲気の人だ。

その分強烈な注文されても笑顔で押し切られることも多いが。

ミコさんに返事をしながら店の裏へ行き荷物を運び終えその後バルサさんの指示でギルドの掲示板に向かう。

因みにまだ俺は文字は読めない。

英語とかだって覚えるのに時間かかったのに十日で覚えられるほど優秀な頭脳ではない。

ただ掲示板は依頼の難易度は色別の印が押されてあり俺でもその位は分かる。

新しく入った依頼をそれぞれの場所に順に貼り付けに行くというわけだ。

店に戻るともう開店時間が過ぎていたらしく冒険者の人達が何人かいた。

荷物運びに時間をかけすぎたと反省しながら掲示板へ向かうと二人の男女が何やら口論をしているようだ。

そのうちの一人、男性は俺も良く知る奴、シオだった。

もう一人は初めてみるけど赤毛の髪を後ろでひとくくりにしている俺と同い年か少し下くらいの女性だ。

シオとは違い軽鎧に身を包み腰には細い剣がさしてある。

「どうして駄目なんですか! シオ様は魔法使いです。ならば前衛として戦士たる私と共に行った方がはるかに効率はいいはずです」

「ミリン、前にも言ったけど僕は前衛なしでも戦えるから一人でも問題ないんだよ。だから君の力は他の人に使ってあげて」

「いやです! 私の剣は、いいえ、剣に限らずこの心も身体もシオ様のために使うとあの日に誓ったのです! ですからどうか私をお供に」

「ごめん、気持ちは嬉しいけどやっぱり駄目なものは駄目なんだ」

「!? で、でしたら、せめて魔法の研究の助手で構いません。私を傍に置いてください!」

「あー、それもごめん。助手ならこの前僕の遠い親戚のサトーという人がなってくれているから間に合ってるんだ」

「そ、そんな……」

俯く女性を一度見やったあと掲示板から一枚の紙を取りカウンターで受注してシオはさっさとギルドを出て行った。

その間女性はずっと悔しそうに地面を見つめて手を握りしめていた。

……何これ? なんかのドラマ?

シオと女性のやりとりを見ていた他の冒険者達はその重い空気のためか静かになり誰も依頼を受けに行こうとしない。

…いやだなあ、近づきたくないなあ。

でも掲示板に依頼書貼らなきゃいけないし、やらないとバルサさんに怒られるから関わらないようにしてさっさとやっちまおう。

刺激しないようにそっと近づき掲示板にどんどん貼り付ける。

横にいる女性が何かぶつぶつ言ってる気がするけど気にせず貼る。

ようやく全部貼り付けて早くこの場を離れようとした時、バッっと顔を上げた女性に詰め寄られる。

いきなり女性に近寄られるなんて今まで無かったからちょっとドキっとする。

良く見るとこの人すっごい美人だ。

ミコさんのような柔らかさを持った大人の女性と言うよりは凛とした強さを持った感じの女性だった。

個人的にはこういう真面目そうな女性はもろに好みなんだがさっきのシオとのやりとりの所為でその気もしぼむ。

くそ、あの野郎、スーちゃんだけでなくこんな美人まで落としておきながらなんだあの態度は!

「誰なんですか?」

「は?」

何の事?

「シオ様の助手だなんてうらやましい立場を平然と手に入れたにっくきサトーと言う男は誰なんですか!?」

ごめんなさい俺です。

なんて言えるはずもなく

「ええと、その人なら確か目が二個あって鼻が一つあって耳が二つあって口が一つある人だったと思うぞ」

「目が二個あって鼻が一つあって耳が二つあって口が一つある人ですね。分かりました」

俺の出まかせをそのまま復唱して何かを決意したように頷く女性。

聞きたくないけど一応聞いておこう。もしものこと考えると怖いし

「あのさ、そのサトーさんを見つけたらどうすんの?」

「決まっています。そのうらやましい立場を譲ってもらえるように交渉するだけです」

あれ、思ったよりまともだ。それなら俺がサトーだと言っても良かったかな?

「当然、断ろうとも力づくで。いえ、断らなくても力づくで」

ヤバい、この子ヤバい。絶対言っちゃいけない。

「そうなんだ、それじゃ頑張ってな」

「ええ、教えて下さりありがとうございます。お仕事中すみませんでした。初めてお会いした方に急に詰め寄ってしまうだなんて申し訳ありません」

女性の雰囲気がさっきより落ち着いてきたためより清楚な感じが出てくる。

…うわー、マジで惚れそう。こういう人って俺の回りにいなかったから余計憧れてたからなあ。

「いいって、それより早く探しに行った方がいいんじゃないか?」

「そうですね、それでは「おーいサトー。掲示板の前でぼさっとしてねえでさっさとこっち来て手伝え」―………」

女性の眼付がすうっと変わる。

バルサさん、勘弁して下さい。冷や汗が止まらないです。

「…サトー?」

「人違いです」

「…目が二個…鼻が一つ…耳が二つ…口が一つ…」

待て! 言った俺が言うのもなんだがそれはほとんどの人間が当てはまるから!

「―――あなたが」

突然、彼女は腰にさしていた剣を抜き放ち俺に斬りかかってきた。

俺が避けられたのは別に俺にそんなスキルがあるわけじゃなく単純に異常に気付いたバルサさんが投げたリンゴにぶつかって横に飛ばされたからにすぎない。

痛いけどそんなこと言ってる場合じゃない。

「ちょっ、ちょっとタンマ」

「問答無用です」

「逃げろ黒の兄ちゃん! ミリンはAランクの冒険者だ! 一般人じゃまず勝てねえ!」

Aランクって上位から二番目じゃねえか!?

他の冒険者の人が取り押さえているうちに何とかギルドから抜け出す。

後ろを振り返ると女性、ミリンが先ほど逃げろと言った髭もじゃのおじさんを吹っ飛ばしてこっちに向かってくる姿だった。

結局、この日はまともに仕事など出来なかった。







「ただいま。今日のクエストは少し時間がかかっちゃって「シイイイイイイイイイイィィィオオオオオオオオオオオオオ!!」うお!」

シオが帰ってきた瞬間、扉の前で腰をひねり弓のように引き絞った俺の放ったこぶしは惜しくもシオの横の柱に当たった。

痛え、くそ、何故シオはもっと右にいない。気の利かない奴め!

「なに? 一体なに!? 何でそんなにぼろぼろなの!?」

「うるせえ! お前のせいで俺は今日めっちゃ好みの女性に一日中追っかけられる目にあったんだよ!」

「良かったじゃないか」

「そういう意味じゃねえええ!!」

その晩は久しぶりにシオとの大げんかになった。








翌日、シオは昨日のクエストで手に入れた薬草で何かの薬を作るとか言って家に残り俺一人でギルドに向かう。

正直ほぼ一日中走り回ってた上に昨晩はシオとの3連戦があったのでかなり疲れてるが休むわけにはいかない。

因みにここまでのシオとの戦績は45戦12勝18敗15引き分けである。

負けが多いのは仕方がない。アイツ追いつめられると魔法使おうとしやがるし。

「あ~~おはようございまーす」

「おはようございます」

扉を開けるとそこにはミリンが凛とした姿で俺を待っていた。

「体調不良になったんで帰ります」

「まあ待って下さい」

逃げようとした瞬間首(襟ではなく首本体である)を掴まれカウンターに連れて行かれる。

「ミコ姉さん、私と彼に何か飲み物を」

「はいはい、ちょっと待っててね」

俺の助けを求める視線はまるで意味を為さずにミコさんは飲み物を用意して奥に行ってしまう。

仕事しろとか言わないんですかそうですか。

目の前に飲み物が置かれても俺もミリンも動かない。

俺は動けないが正しいが。

「っふう。まずは昨日のことを謝っておきます。我ながら冷静ではありませんでした」

「ぅえ? あ、いや、いいよ別に」

本当は良くはないが女性に頭下げられて許さないなんて俺には言えない。

「ですが私の気持ちも分かってください。シオ様の剣になると誓ったあの日から私はひたすら修行を続けてきました。

元は低ランクだった私がAランクという高みまでこれたのもシオ様に仕えたい一心からなのです。

にも関わらず私の願いは未だシオ様には届かない。

聞けば貴方は街の常識すらない程の田舎で育ちシオ様を頼ってこの街へ来たのでしょう?

なんの努力もしていないあなたがシオ様の助手になったと聞かされては心を落ちつけろと言う方が無理なものです」

実際は違うんだけどそういう風な設定にしてるから否定出来ない。

「ですが、これは八つ当たりなのかもしれませんね」

「…? 八つ当たり?」

「ええ。何度頑張っても私の願いが届かないからと言ってその怒りの矛先を他者のあなたに向けてしまうなんてまるで子供です。

そのような私だからシオ様は傍に置いてくれないのかもしれません。

ふふ、強くなるのが無理なら魔法の研究の手伝いなどと言い出す時点で私には資格がないのかもしれませんね。

……最近思うのです。私の行動は全て独りよがりでシオ様には迷惑なだけなのではないか、と。

だとしたらせめてシオ様の願い通りに私は関わらないほうがよいのではないか、と」

そう言う彼女の顔は凄く寂しそうで、

諦めの浮かんだ顔の奥には悲しさと悔しさが入り混じっているようで

「…すみません。ほとんど初対面の貴方にこのような愚痴を話してしまい。

ただ、もし本当にそうならシオ様の傍にいる事を許された貴方にお願いしたいのです。

どうかシオ様の支えになって上げてください。あの方はいつも一人で戦っています。

それが何かは私には分かりません。ですがそんなシオ様が誰かを傍にいる事を許された。

潮時なのかもしれません。私ではなく別の人が支えになるのも運命なのかもしれません。

ならばせめて私の代わりに」

「嫌だね」

ミリンのお願いを最後まで聞かずに断る。

「何故です!? 貴方も私の僅かな願いすら否定するのですか!?」

「そうじゃねえよ。あんたはシオの事が好きなんだろ?」

「そ、それは」

俺の質問に顔を真っ赤にして黙り込んでしまう。

おーおー分かりやすいねえ。

分かってたけどね。話してるだけで凄いいい人だって伝わってきたからなあ。

シオ相手じゃなければまだ頑張れたんだけどなあ、ちくしょう。

「好きなら諦めんなよ。シオは確かSランク、最高位なんだよな。

俺にはとても信じられないけどアイツが凄い奴だからって本当に一人で平気なわけじゃないだろ?

だからあんたはシオの力になりたいって思ったんだろ?

あんたの言うとおり急に現れた俺なんかよりずっと思い続けてきたあんたの気持ちが意味無いはずがねえだろ。

だったら諦めんなよ。シオの野郎はモテるんだから他にもきっといっぱいライバルはいるぞ。

でも他の人達より俺はあんたにシオの力になってほしい。あんたの事は昨日今日の事しか分からないけどそう思う。

あんたはここまで頑張ってきたんだ。いいじゃねえか断られ続けたって。あんたがシオの事を想ってやる限りは応援してやるよ。

あんたみたいな美人に言い寄られたら男なら悪い気はしねえよ。

もし本当に迷惑とか言ったら俺がぶっ飛ばしてやるから」

なんか恥かしいこといってんなと思いながらも励ますといつの間にか近くに来ていたミコさんも助言する。

「サトー君の言うとおりよミリンちゃん。何度断られたって頑張って来る人の方がその思いは届きやすいわよ。

ウチの人だって私が何度断ってもずっとプロポーズしてきていつの間にか私も彼のことが好きになっちゃったんだから」

「バルサさんもですか?」

「そうよ。だから諦めないで頑張りなさい。貴方の努力はここで働いてる私が一番よく知ってるから。ね?」

「ミコ姉さん……そうですね。私……なに弱気になってたんでしょう。

決めました。私、必ずシオ様と同じSランクになります。隣にいられるほど強くなって今度こそシオ様の傍に使えます」

そう言って一気に目の前の飲み物を飲んだと思ったら掲示板の方へ行きあっという間に受注して再びこちらに来た。

「今回はありがとうございました。少しやけになってました。貴方のおかげです」

「そりゃ良かった。あ、あと俺はサトーで構わねえよ。貴方って毎回言われんのはちょっと恥ずかしい」

「分かりました。それでしたら私の事もミリンで構いません。毎回あんたでは少々気分が悪いです」

「あーそりゃごめんミリン」

「いえサトーさん。それではクエストに行ってきますが最後に一つ」

ぴっとしたその姿は先ほどの愚痴を漏らしていた人とは別人のようで

「あなたにも絶対負けませんから。私は必ずシオ様の傍に行きます」

そう言って颯爽と出口に向かっていくミリンは輝いて見えた。








































































「やれやれ、シオの奴モテモテでうらやましいねえ。

にしても俺にも負けないって俺は男だから関係ないっての」

ミリンの最後の言葉を思い出し苦笑する。

俺にそんな趣味はないから安心してほしい。

「あら? サトー君知らないの? 同性同士でも愛があれば結婚だって出来るのよ?」

「マジですか?」

オランダかここは!?

「そうよ。でなきゃミリンちゃんはシオ君と添い遂げられないじゃない」









…………………………………………………え?








「あ、あのう、それは一体どういう意味で」

「あら? それも知らなかったの?」

ミコさんは今日の天気を言うように軽く真実を口にした。

















「ミリンちゃんは”男”よ」










































「あ、お帰りサトー。いま夕飯作ってるから「シイイイイイイイィオオオオオオオオオオオオ!!!!!」うわっ!」

帰るなり発見したシオに繰り出した俺の右ストレートはシオが思わず構えたお鍋のふたに防がれた。

「何!? 今度は一体何!? 何でそんな泣きそうな顔してんの!?」

「うるせえ! ミリンが男なら男ってそう言えよ!」

「あれ? 知らなかったの?」

「知らねえよちくしょう! あんな可愛い人が女の子なわけがないっていうのか…」

「サトー昨日めっちゃ好みとか言ってたよね」

「やめろおおおおお! ああもう、男にときめいちまった。思いっきり禁忌の愛について慰めて焚きつけちまった。くそう」

「そりゃ残念だった……誰に何を焚きつけたって?」

「あん? ミリンにお前への愛をだよ」

「なんて事をしてくれたんだ! 昨日の様子からようやく諦めてくれそうだと思ってたのに!」

「うっせえこのリア充! スーちゃん含めていい思いしてんだから少しぐらい不幸を味わえ!!」

「何でここでスーが出てくる?」

「気づいてねえ時点で主人公っぽすぎるんだよこの野郎!」











取りあえずミリンとの約束通り思いっきりぶっ飛ばそうと心に決めたがシオの方も怒りのためか今日は両者ノックダウンだった。












戦績46戦12勝18敗16引き分け
























あとがき


さ、し、す、と来て「せ」と思わせて今回はみりん。

「せ」はまた次の機会に。






何か続けられそうなんでオリジナル板に移動する事にしました。


明日辺りに移動します。

10/18 移動しました。



さて続きを書こうか。



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