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No.21417の一覧
[0] せめて勇者として召喚してほしかった[古時計](2011/08/29 01:34)
[1] せめて勇者として召喚してほしかった2[古時計](2011/08/24 23:20)
[2] せめて勇者として召喚してほしかった3[古時計](2011/08/24 23:20)
[3] せめて勇者として召喚してほしかった4[古時計](2010/11/02 02:01)
[4] せめて勇者として召喚してほしかった5[古時計](2011/08/30 22:48)
[5] せめて勇者として召喚してほしかった6[古時計](2010/11/02 01:59)
[6] せめて勇者として召喚してほしかった7[古時計](2010/10/30 17:26)
[7] せめて勇者として召喚してほしかった8[古時計](2011/08/30 22:47)
[8] せめて勇者として召喚してほしかった9[古時計](2011/02/18 23:23)
[9] せめて勇者として召喚してほしかった10[古時計](2011/02/21 12:42)
[10] せめて勇者として召喚してほしかった11[古時計](2011/03/04 00:55)
[11] せめて勇者として召喚してほしかった12《前編》[古時計](2011/03/10 01:30)
[12] せめて勇者として召喚してほしかった12《後編》[古時計](2011/03/21 16:10)
[13] せめて勇者として召喚してほしかった13[古時計](2011/07/18 21:24)
[14] せめて勇者として召喚してほしかった14[古時計](2011/07/24 19:01)
[15] せめて勇者として召喚してほしかった番外1[古時計](2011/08/16 00:23)
[16] せめて勇者として召喚してほしかった15[古時計](2011/07/31 17:27)
[17] せめて勇者として召喚してほしかった16[古時計](2011/08/16 00:24)
[18] せめて勇者として召喚してほしかった17[古時計](2011/08/21 20:00)
[19] せめて勇者として召喚してほしかった18[古時計](2011/08/31 01:14)
[20] せめて勇者として召喚してほしかった番外2[古時計](2012/01/05 00:43)
[21] せめて勇者として召喚してほしかった19[古時計](2012/08/17 02:02)
[22] せめて勇者として召喚してほしかった20[古時計](2012/09/17 22:26)
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[21417] せめて勇者として召喚してほしかった20
Name: 古時計◆c134cf19 ID:86ac8b53 前を表示する
Date: 2012/09/17 22:26


ギルドには多くの冒険者が訪れる。

ここのギルドは食事も出すので一般の人も顔をだすため昼時などはさらに人が増える。

そういうときはあちこちから様々な会話が飛び交う事になる。

ここで働く第一目的である勇者召喚の触媒の情報収集もギルドへの依頼以外にそう言った噂話から手に入る事がある。

そうでなかったとしても毎日色んな話題が上がるこの時間帯はここでの仕事に慣れてきた今はさりげない楽しみの一つである。

盗み聞きと言えば聞こえは悪いが、まあ耳に入ってくる程度の会話ならば大目に見てもらおう。

ほら、今日も少し耳を欹てれば興味深い話がいくつも

「昨日、賭けに勝ってよぉ」
「なら今日はお前のおごりだな」
「馬鹿野郎割り勘に決まってんだろ!」
「ケチくせえなあ。幾ら儲かったんだよ?」
「お? 20ネル(200円)だな!」
「……俺が奢ってやるよ」


「俺、次のクエスト終えたら結婚するんだ」
「へえおめでとう、あれ? 皿が何もしてないのに急に割れたな」
「しかし、次のクエストは少々難関だな。もしものときは俺を置いて先に行けよ」
「先輩達が気張るほどではないですよ。その時は一番下っ端の僕が」
「はは、お前らいい奴らだな。お前らともっと早く出会えてたらな」
「何言ってんだ、これからも俺達はずっと一緒さ」

「聞いたか? Sランクのセウユさん、長期クエストをまた十数日でクリアしたらしいぜ?」
「マジかよ! あの人昔から凄かったけど最近さらに強くなってないか?」
「龍殺しのセージと言い魔法使いのシオと言いSランクはやっぱ化物だらけだな」
「噂じゃこの街の近くから探し求めている存在の気配を良く感じるらしくソレを探すために早く帰りたいらしい」
「……あの変態神父の探しているものって」

「いやあ、今通達あったけどよ、南方の魔王軍の襲撃。また軍が押し返したらしいぜ」
「魔王が現れてから結構立つけど軍も頑張ってんよな。俺達冒険者もたまに参加するけどやっぱ国王の力かね?」
「全く、勇者がいないのにどうすんだと思ったけどなんとかなりそうだな」
「あ! 馬鹿!」
「え? あ、いけね!」

あん? 今なんか聞き逃すべきじゃない会話があったような?

聞こえてきた会話を注意深く思いだそうとした時



「サ、サトーさん! サトーさんはいますか!?」



ギルドの扉が勢いよく開かれ、焦るような大声が店内に響き渡った。

何だ何だ? と思い思いにくつろいでいた客達も話をやめ扉へと目を向ける。

そこには赤い髪を後ろでひとくくりにし、軽鎧に身を包んだ一見すれば美少女剣士、だが男である我が友、ミリンがいた。

「あん、どうしたミリン? なんかあったか?」

カウンターでミコさんのほうを手伝っていた俺を見つけたミリンは何処かほっとしたような表情を浮かべ、走ってきたのだろう、僅かに上気させた頬と息を整えつつも速足で近づいてくる。

「サトーさん、大変なんです! 私、私、どうしたらいいか分からなくて」

「あー、うん。取りあえず落ちつけ。ほれ、いつものコーヒー」

「あ、ありがとうございます」

差し出されたコーヒーを両手で持ちながらも、ふーふー、と何度も息を吹きつけて冷ましてからゆっくりと上品にカップを傾けるミリン。

……うむ、実に絵になる。

他のギルドの面子だと豪快にぐいっと飲んでいくからあまり淹れ甲斐がない。

そういう意味ではシオもゆっくり飲んでくれるけどアイツの場合は必ずケチつけるからミリンは俺にとっても貴重な客だ。

「それで、一体何があったんだ?」

コーヒーを飲む分だけ時間を空けたからか強張っていた身体もほぐれたようで今回何を騒いでいたのかを尋ねる。

ミリンはシオが絡まなければかなりの常識人なのでどんな問題が起きたのか、と少し気を引き締めておく。

「あ、はい。実は大変なんです。――私、なんと告白されてしまいました!」

「……ふ~ん」

まるで、空から女の子が落ちてきた! みたいな驚きを見せるミリンに対して俺の返答は冷ややかだった。

俺だけではない。何事かと注目していたギルドの皆も「なんだまた被害者がでたのかよ」「前の奴は確かお前だったよな」「やめてほしいッス。正直思い出したくないッス」と既にこちらへの関心を失いつつある。

言っておくが別にコレは俺達が薄情なわけではない。ただ単にミリンが告白されるのなど特に珍しくないからだ。

そう、ミリンはモテる。何せウチのギルドの非公式モテ度ランキングで一二を争うほどなのだから。

因みにもう一人は言うまでもなくシオである。ちくしょうあの野郎。

ただ、シオとミリンの違いはシオは年齢問わず多くの女性からモテているがミリンは年齢問わず多くの“男性”からモテているということだろう。

ギルドにいる者にとってミリンが男であるということは周知の事実なのだが、外部の人間はソレを知らない者の方が多い。

ギルドメンバーですらその話を単なる噂や嘘の類だと思っている者もいるくらいなのだから当然だ。

つまり、性格良しの器量良し。容姿は完璧、腕は強いがそれをひけらかすことなく相手を優先する理想的良妻タイプなミリンに熱を上げる男は後を絶たない。

まあ中には男性だと分かっていて告白して来る者もいるらしいがそれはごく少数だ。

ともあれ、ミリンが男性と知った者や既にシオと言う心に決めた男性(この時点で色々おかしい気もするが気にしないことにする)がいると言われ告白した男は全滅している。

そして断られた敗北者達は大抵その後はウチの酒場で残念会を催す事になる(極稀に“究極の愛”の道に目覚める者もいるが少数である)。

なお、その会員は日々増えていることを告げておく。

「そっかあ、また告白されたのか~。で、今度は誰? 新入りの冒険者? 巡礼中の余所から来た騎士様? それともお忍びで市井の様子を見に来た貴族?」

過去の被害者の属性を上げながら今回は妻を亡くした男ヤモメあたりかなと辺りをつける。

後ろで「んじゃあ今日の夜集まれそうな奴には声をかけておけよ」「了解」「しかし前回から5日か。今回は結構早いな」と早くも残念会の準備に取り掛かっている冒険者達に気付かずミリンは今回の相手を告げた。





「いえ! 実は“女の子”から告白されたんです!」







間。





間。





間。





都合三回分の間を挟むほどの静寂。

誰もが息をする事すら忘れた。

今聞こえた音が本当に言葉なのか耳を疑った。

夢でも見ているんじゃないかと頬をつねる者もいた。

やがて今起きている事が現実だと理解し始めた時、誰かが落としたスプーンがカチャン、と乾いた音をたてた。

その瞬間

「「「「「「なにいいいいいいいいい!?」」」」」」

爆発したのではないかと言うほどの驚愕の声がギルドから発生した。










せめて勇者として召喚してほしかった20









「ど、どうしたらいいんでしょう! 私、女の子に告白されるなんて初めてで!」

そりゃあ見た目美少女にしか見えないミリンに告白する女子がいたら百合かなんかだろうしな。

あん? いや結果としては正常なのか?

さて、再び焦り出したミリンをそのままにしておくわけにもいくまい。

沸いた疑問をそのままにして視線を後ろの方にずらすと先ほどのミリンの発言に対し「ば、馬鹿な! 俺達の不可侵のアイドルが!?」「男故、誰かに穢されることもない永遠の清純派が!?」「唯一可能性のあるのは人づきあいを好まないシオだから安心していたのに!」

と実に馬鹿な発言をかましている。

全く、確かに驚きはしたがそこまで混乱するほどではないだろう。

取りあえず事の原因であるミリンに話をふる。

「てせか聞を情事いし詳」

「すいませんサトーさん。何を言っているのか分かりません」

訂正、俺もかなり混乱していたようだ。



改めて落ちついたところで再度確認を取る。

「で、一体どういうこと?」

「えっとですね。私がいつものようにクエストを終えてこちらに帰ってくる途中だったのですが」

上の方を見ながらその時の事を思い出すように話し始める。

しかし、わたわたと慌てているミリンは普段の凛々しい雰囲気など見えず年相応の少女のように見えて実に可愛らしい。

これがギャップ萌えッ!! くそ! ミリンといいスーちゃんといいこのギルドはどれだけ俺を萌え殺す気か!?

……って違う違う! 俺の好みは俺とそう歳の変わらないくらいの胸がそこそこ大きくてすらりとした体型の性格の良いロングヘアーな子!

男の娘もロリも対象外だから!

俺の方がわたわたとし始めたがミリンは構わず話を続ける。

時々話している最中に恥ずかしさが増したらしく顔を赤らめる時があったがミリンの話をまとめるとこういうことだ。





ギルドへ向かう途中にいつも顔を出している花屋の娘さんと丁度出会った。

知った顔なので当然常識人(シオの件を除く)なミリンは挨拶を行うと向こうは酷く驚いたそうだ。

その反応にこそ驚いたミリンがどうしたのかと訊くと「私の事を覚えているなんて思わなくて」と娘さん、顔を伏せながら返答。

それに対し優しくほほ笑みながら「忘れるはずありませんよ。いつもとても丁寧に花の手入れをしている貴女の事はお店に行くたびに見ていましたよ」と。

娘さん、ボン、と音が鳴るようなほど急激に顔を赤くした後、意を決したように顔を上げて一言。

「わ、私、貴方のことが好きです! もしよければ恋人になっていただけませんか!」






「なるほど。でも、確かに女の子に告白されたというのはミリンにとって吃驚なことだったかもしんないけど告白される事自体は慣れてるだろ? だったらそこまで焦ることじゃないんじゃないか?」

「あ、はい。そう言われると恥ずかしい限りなのですが私に告白して来る男性の方々は何故か私がシオ様以外の“同性”の方と付き合う気は無いと言うとあっさり諦めてくださるのでそこまで困った事になったことはないんです」

俺は一旦ミリンからその背後にいる連中に視線を移す。

「そう! それだよな! “同性”と言われて え? となった後に来る理解と絶望のコンボ!」

「あれに一体何人の男達が涙をのんだことか!」

「こんな美人が女じゃないならそこらの女なんざただ胸に脂肪持ってるだけじゃねえか!」

最後の台詞の奴はその場にいた女冒険者達にボコボコにされていたがどうでもいい。

まあ確かに俺もミリンが男と知った時は攻略対象外だったのか! と嘆いたわけだからその気持ちは分かる。

……あん? でも今回は女の子なんだからその断り方は通用ないよな。 相手は“異性”なんだし

「えっと、一応訊くけどミリン、その場で返事はしたの?」

「? はい。勿論です」

「因みになんて?」

「『私は心に決めた同性の方がいるので申し訳ありませんが貴方と付き合う事は出来ません』と」

あれ? じゃあ特に問題はないんじゃ?

「いえ、それが私の言葉を聞いた後に一度酷くショックを受けたような顔をして、しばらく黙っていたのでどうしようかと思っていると先ほどよりもさらに気を込めた顔で『絶対に私、ミリンさんの事諦めません! 必ずミリンさんと清く正しい男女の仲になってみせます!』と叫んだ後に走り去ってしまい、断って置きながら呼びとめると言うのも悪いような気がして結局そのままとなってしまいました」

しゅん、とするミリンを見ながら、振られてるのにすぐに再アタックに進めるとは中々強い心臓の持ち主なんだなあ、とその少女に感心していたが

「あん?」

なんか違和感。

何がおかしいのかと先ほどのミリンの台詞を思い直してある事に気付く。

「ちょっと確認したいんだけど、その子は確実に女の子なんだよな?」

「え? ええ、間違いありませんよ。 あの花屋の店主も自慢の娘だと言ってましたし」

OK、これで実はその子も本当は男の娘でミリンを女だと勘違いしていたという線は消えた。

正直この線だと誰が男なのか女なのか訳わかんなくなるから外れてくれてて良かったんだが。

となると可能性はもう一つ。

「また確認。その子はミリンが男だって知ってるんだよな?」

「? 何を言ってるんですかサトーさん。当たり前じゃないですか」

フフフ、と冗談を聞いたように微笑みながら返すミリンは自分が初対面の人には確実に女性と勘違いされている事を自覚していない。

「てことは男であるミリンは告白してきた女の子に対して『自分は好きな男の人がいるから諦めて』と言ったということだな?」

「改めて言われると恥ずかしいですが、結果としてはそうなりますね」

「……」

自分が女だったとしてそのシチュエーションを想像してみる。

――意を決した告白を好きな男性に行ったのに対し「ごめんね。実は僕、男が好きなんだ」と言われて振られる――

……そりゃ諦めらんないわな。

単に他に好きな女性がいるとか今は誰とも付き合う気は無いとかならともかく男相手に恋で負けたとあっては死んでも死にきれないだろう。

「どうしましょう。私としては彼女と恋仲になる気はありませんし、下手に私なんかに執着していては彼女のためにもならないでしょうし」

俺が気付いた事実を目の前でどうすればいいか悩むミリンに伝えるべきかどうか逡巡したが多分言ったところで解決するわけではないなあ、と半ば現実逃避気味にミリンの飲み終わったカップにコーヒーのお代わりを注いだ。










「と言うわけでミリンとデートしてこい」

「何が“と言うわけ”なのか分からないけど言っておこう。断る」

帰宅後、試しに作ってみた失敗気味の皿うどんを夕食としてシオとコショウと一緒に食べ終え、食後のお茶を飲んでいる際にシオに提案してみたのだがすげなく返される。

取りあえず今回の件について俺の手を甘噛みしてくるコショウをじゃらしながら簡単に伝える。

「……なるほど。事情は分かった」

「じゃあ」

「断る。僕に死ねと?」

死ぬとは大げさな。ミリンとデートなどどれだけの男が羨むことか分かっているのだろうか?

「君こそミリンが僕の事をどう思っているか知っているだろう? まず間違いなく何処かで暴走して押し倒される。そしたら接近戦では勝ち目のない僕は確実に貞操を奪われる」

「いいじゃねえか貞操くらい。それでミリンの悩みが解決するんなら安いもんだろ?」

「てい!」

「あっつうううう!!」

「クエエ―!?」

シオの手元にあったカップから繰り出される紅茶がその風味を漂わせながら俺と傍にいたコショウに降りかかる。

火傷するほどではないが我慢できるほどの温さではない。

そして巻き添えを食らったコショウがその熱さとお湯がかかった事に対する怒りを訴えてビシビシと嘴で攻撃してくる。

そこで掛けたシオではなく俺に攻撃してくる辺りにこの家での序列がうかがえる。

熱さと嘴でのたうつ俺を冷ますように今度は底冷えする声が俺に降りかかる。

「久しぶりに君に殺意が沸いたよ」

「ここは魔法じゃなかっただけマシと思うべきか? まあさっきのは冗談だとしてもデートの方はしてやってくんねえ?」

「……だから何で?」

うん? と首を傾げるシオに提案した理由を告げる。

「俺としてもどうすればいいかなんて特に思いつかなかったんだけど傍でずっと聞き耳立ててたミコさんがさ、『そういうときはその子にラブラブなのを見せつければいいのよ。 この場合は勿論シオ君ね!』と言いだしてな。

ミリンなんかは真っ赤になって『私の問題にシオ様の手を煩わさせるには!』って拒否してたけどよ。他にいい案も思いつかなくて結局俺がお前に話してみる事になったわけよ」

「……はあ、それでデートに繋がるわけか」

正直ミコさんは半分楽しんでんだろうなとは思うものの確かに自分が入り込む隙間がないと分かれば例えそれが男同士だとしても諦める事になるだろうとは思う。

「ミリンが男性に人気があるのは知っていたけどまさかその被害が僕に来るとは思わなかったなぁ」

「女の子に告白されたのは初めてって言ってたからな。けどちょっと意外ではあるよな。勿論男を好きな女性の場合ミリンが男性に見えないってのは分かってるけどそれでも男だって分かれば話は変わるだろ? 見た目はともかく性格その他は抜群なんだから少しくらいミリンを好きな女性がいてもおかしくないと思うけど」

百合は除いてね。

「うん? それは簡単だよ。幾ら性格その他が良いとしても自分よりもずっと綺麗な女らしい男性と付き合うなんて女性からしたら自尊心がボロボロになるからね。多分大体の女性がそう思ってるはずだよ」

「あん? そんなもんか?」

「そんなもんだよ。君はもう少し女心を勉強した方がいい」

「やかましい」

どうせお前と違って気遣いも出来ない男だよ。だからモテないとか分かってるよ!

「まあ話は分かったけど、それでもやっぱりミリンと二人きりというのはちょっとなぁ」

「あ、因みにだけど多分ここで断っても明日からミコさんの方から話が行くと思うぞ?」

「……」

「きっと毎回毎回笑顔で『シオ君、ミリンちゃんと何処かへお出かけする気ない?』 とか聞いてくるぞ?」

「……」

「そしてそのうち回りの人間も使って拒否権をなくさせていくと思うぞ?それでもいいなら」

「……わかった。今度するよ」

最後まで聞かずにシオが振り絞るような声でOKを出す。

よし。非常に苦虫をつぶしたような顔だが何とか取付ける事が出来た。

なお、ミコさんの話は俺のフィクションだがあながち間違ってはいないだろう。

ミコさん究極の愛の話大好きだし。家でシオに話をしてみると言った時に俺を見たミコさんの眼は『絶対に約束させなさい』と告げていたし。

「ただし!」

「あん?」

「条件がある」

指を一本立てながらこちらを向くシオに対して俺は嫌な予感を拭えなかった。

あ、これ絶対俺にも被害がくる、と。











あとがき


続きます。

あと何度も書いてますがBLにはしませんよ?

でもネタは思いつく不思議。












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