「おい」
「……なんですか?」
「なんだアレ」
「…………蜘蛛、ですね」
「それは見れば分かる」
「そうですか、安心しました。てっきり私とは別のものが見えているのかと心配しましたよ」
「おう、そういうボケはいいから割と本気で頼む」
オリーシュは割と本気で懇願するように言った。
その声が震えているのは気のせいだろうか。
「……つまり?」
「つまり、だ。アレはなんだなんでこっち来て動いて黒くて早いぃ―――――ッ」
最後まで言い切る前に黒くて早い影の一撃がオリーシュを襲う。
「―――マジかよおいッ!?」
オリーシュは咄嗟に鋼鉄のロングソードを買って反射的に構える。
刃を立てて受けたその鋭い一撃はギチギチと鋼鉄の刃を軋ませオリーシュの顔を歪ませる。
「くっ……」
重い。
体長はオリーシュに匹敵するほどだが、その体を支える足はオリーシュの腕よりも細い。
だというのに力負けし、オリーシュは押され始めていた。
黒くて早い影、大蜘蛛の鉤爪がオリーシュの顔のすぐそこまできたところで、一陣の風が吹く。
「オリーシュさん伏せてくださいッ!!」
「ちょ、おま―――」
こんな状況で無茶苦茶言うなと抗議の声を上げようとしたところで、大蜘蛛の巨体が浮いた。
「キィィィィイッ!?」
思わぬ不意打ちに大蜘蛛は奇声を上げ吹き飛ぶが、特にダメージがないのか8本の足を器用に使って地に着くとガイドへ向き直り威嚇の声をあげる。
オリーシュはガイドの作った僅かの隙に大蜘蛛から距離をとると、姿勢を落として威嚇を続ける大蜘蛛に向かってロングソードを構え肩で息をする。
「おい、どうなんだアレ。こうかは いまひとつの ようだ、って感じだぞ」
「……しょっぱい魔法じゃ歯が立たないって感じですねぇ」
二人は軽口を叩きながらも大蜘蛛から決して視線を外すことはない。
こういった場合、視線を反らしたり背を向けるなどといった行為が死亡フラグだとよく理解している二人だった。
オリーシュは魔物のネームタグをちらりと覗き、呟く。
「……ビックスパイダーって、まんまじゃねーかおい」
「相変わらず手抜きだなコラ」と続け様にオリーシュが愚痴ったところで大蜘蛛、ビックスパイダーが動く。
ビックスパイダーは、その巨体からは想像できないような俊敏さで二人へ接近すると、前の両足を大きく振りかぶり、
「シィィィィィイイイッ!!」
「な、めんなッ!!」
オリーシュは啖呵を切ると、ガイドを背にするようにして真正面からビックスパイダーとかち合った。
ギィンと音をたて両者の凶器が交錯する。
振り下ろされたビックスパイダーの前足を渾身の力で受け止めるオリーシュ。
2度目となったが、今度はオリーシュも万全の体制で迎え撃ったので簡単に力負けすることなく両者は均衡する。
そんな状況に業を煮やしたのはどちらだろうか、不意にオリーシュの視界によからぬものが映った。
「おいおいおいおいおいおいおい待て待て待て待て―――っ」
体を支えるに十分な足を残して、ビックスパイダーはもう2本の足を展開させオリーシュへと差し向ける。
足りないどころか余っている足に、オリーシュは先程の手抜き発言の撤回を試みた。
「待て待て、さっきのは不幸な誤解だっ! 話せば分かるきっと俺たち分かり合えるッ!!」
必死である。
「シャァアアアアアアッ!!」
間の抜けた発言に怒りが増したのか、ビックスパイダーは耳に劈く奇怪な声を上げ鉤爪を振るう。
鋼鉄にも劣らない硬度の鋭い一撃がオリーシュを襲うまさにそのときに、玲瓏な声が響いた。
「"風の槍(ウィンドスピア)"」
オリーシュのすぐ横から真っ直ぐと突き出された白い手から発せられた疾風を伴う鋭い風の矛は、標的を貫きその体液を撒き散らす。
「――――ッ!?」
自身の頑強な体表がいとも簡単に貫かれたことに驚くとともに、体中を駆け巡る激痛にビックスパイダーは苦悶の声をあげのた打ち回った。
「オリーシュさんっ!」
「……っ、わかってるよ!」
ガイドの声に言葉を返すと、オリーシュは未だ苦痛に喘ぎ暴れるビックスパイダーの足に注意しながら隙を見てロングソードを振り下ろす、が、
「―――つぅ、マジかよ……」
刃が通らない。
体重を乗せ剣を突き立てようが、間接部と思われる体表の薄そうなところを狙おうが刃は一向に通らなかった。
あれこれと一通り試し、やはり無駄に終わったオリーシュは1人呟く。
「……魔法、チートすぎだろ」
それは率直な感想だった。
◇
「なぁ、1つ聞いていいか?」
「なんですか?」
オリーシュの問いかけにガイドは食事の手を止めた。
2人は今、リーグレットよりも少し規模の小さな山間に存在する石造りの壁に囲われた街の食堂にいた。
日はすっかり傾き、家々の窓から煌々としたランプの淡い光とともに夕食の団欒を楽しむ一家や、友人との一時を楽しむ声が通りに響く。
2人は町の中心地からやや外れた場所にある年季の入った風風亭と書かれた看板を下げた食堂のカウンター席に腰を下ろし食事をしていた。
オリーシュは耳慣れた店内の喧騒を気に留めることなくエールを傾けるとカウンターに肘をつき、食事を止めきょとんとする横に座ったガイドを見やる。
シンプルな白いチュニックに緑の刺繍が施されたプリーツスカート、装飾には控えめなデザインの首飾りに金細工の腕輪。
腕輪を通した白い手はフォークを持ったまま宙を彷徨い、腰まで届く流れるような金髪から覗く金色の双眸は疑問を浮かべている。
「ねーよ」
「オリーシュさんはときどき発作的に意味不明ですねぇ」
ガイドはオリーシュの発言に肩をすくめて食事を再開する。
皿に盛られているウィンナーにフォークを差すとひょいと口へ放り込みしばし咀嚼。ウィンナーを飲み込んだところで同じく盛ってあるポテトもぱくり。
もぐもぐと噛み砕いて飲み込んだところで甘い果実酒を流し込む。こくこくごくり。
「ぷはーっ」
妙にいい笑顔で一息つくガイド。実に幸せそうだ。
「……で、1つ聞いていいか?」
「どうぞ?」
今度は手を止めるつもりはないのか、ガイドは下手な鼻歌を歌いながら食事を続ける。
オリーシュはそんなガイドに生暖かい視線を送りつつ、どこか歯切れの悪い言葉で切り出した。
「あー、その、だ。俺ェ……………いや、魔法だ。前々から思ってたけど、魔法ってちぃっと優遇されすぎじゃありませんかね?」
薄々感じていることだが、あえて直球は避けオリーシュは変化球で対応する。
「いえ、どちらかと言えばオリーシュさんが―――」
「いやぁ! やめてよっ!! そんなの聞きたくないッ!!」
もっと表現をぼかし欲しいと心からの叫びだった。
「まぁ、別に気にすることないと思いますよ? もともと術士はそういう意味で優遇されてますから」
「……ほー。あんま聞きたくないけど話してみろ」
カウンターに突っ伏したまま呻る様に口を開く。
ガイドは分かりやすいくらい拗ねるオリーシュに苦笑しつつ言葉を続けた。
「そもそもですが、RPGにおいて戦士と同程度の攻撃力しか持たない魔法使いの爺さんってどう思います?」
「ゴミだろ」
「ええ、全くです。遠距離攻撃ができるといっても弓なんかで代用できますし、はっきりいって役立たずもいいとこですねー」
防御は紙。移動は亀。攻撃は微妙の一言。そんな魔法使いの爺はパーティーに必要ないだろう。
「補助的な魔法で役立つ場合もありますから一概には言えませんが、補助的な魔法しか使えない爺じゃソロは無理ですよね?」
「むぅ」
一理あるとオリーシュは思わずうなる。
この世界じゃ商人ソロとかいう投げっぱなし展開もあったりするが、何とかなったりしたからだ。ただ爺だと厳しいだろう。
「だから魔法に補正が掛かっていると言えば身も蓋もないんですけどねー。
ぶっちゃけちゃいますが、魔法は明らかに同レベル帯の戦士や闘士の攻撃力を上回ってますよ」
「ええ、だと思いました」
安堵と悔しさが入り混じった哀愁が去来するオリーシュだった。
「そして、この世界において魔法はその強力さとは別の意味でも特別なものです。
以前お話したと思いますが、魔法は習得した呪文は当然として魔力のみでも発動可能です。覚えていますか?」
「そういやそんな話もしたな」
リーグレットに向かう途中の荒野で何気にした魔法談議。
魔力のみで物理現象を起こそうとすると操作もさることながら魔力の効率が著しく悪い。
そして、それを実行するにあたって冒険者としての資質よりも、術士としての才能が必要であると。
「術士の才能と言いましたが、魔法を使うにはそれ以前の問題があります。魔力の資質です」
術士としての才能とは違う、もっと先天的で純粋な資質。
「これがなければ例え術士として恵まれた才能があっても大成することは難しいでしょうね。
この資質というのが厄介で、種族にもよりますが非常に希少なものなんです」
「だろうな」
ガイドの言葉に思わず苦い顔をするオリーシュ。
ドッヅェにも神官はいた。しかし回復魔法は使えなかった。
あそこは土妖精領の奥地で、神官は土妖精だった。だから、それは仕方の無いことだったのだろう。
「ですが、この資質を一定量持った人達がいます」
ガイドはそう言って言葉を区切る。
流石のオリーシュにもガイドが何を言いたいのか分かった。
「それがプレイヤーの術士ってわけか」
「そうです。私が知る限り、彼らは術士としてやっていけるだけの資質を皆持っていましたからね。
プレイヤーの中でも術士の数はそう多くありませんが、この世界の基準で考えたら驚異的な割合ですよ」
「割合ねぇ。実際のとこはどんなもんなんだ?」
オリーシュのどこかやる気のない声に苦笑しながら果実酒に口をつけ思案するガイド。
「んー、そうですねー。この世界だと大雑把に100人中3人くらいじゃないですか?
勿論資質のある全員が術士になるわけじゃありませんから、さらにぐっと減りますよ。
プレイヤーの方は10人に1人くらいですかねぇ。当然プレイヤーは全員冒険者なので資質がある人は大体術士をやってます」
確かに驚異的な数のようだ。
「ちなみにですが、種族によって魔力の資質が全然違います。
聖妖精が頭1つ出て次が闇妖精、森妖精です。この2種族は僅差って感じですねー。
そして少し離れて人間族が続いて、土妖精になるとかなり厳しくなります。亜種人は魔力の資質が絶望的ですねぇ」
「ほー」
「まあ種族適正があったとしても資質があるとは限りませんし、術士になるとも決まっていません。
稀にいるんですよ、本人の資質や才能とはまるで違った職を割り当てられる悲惨な人が」
「……」
そいつに酷く共感してしまうのは気のせいだろうか。
オリーシュは無言でエールをあおった。
「ここまで術士優遇を語っておいてなんですが、戦士や闘士もなかなかのものですよ?」
「俺は商人だけどな」
「え? ……あ、…………商人も、なかなかのものですよ?」
「無理すんなよッ!!」
そういう対応が一番傷つくオリーシュだった。
ガイドはこほんと間を置くと何事も無かったかのように語りだす。
その目が若干泳いでいるのは気のせいではない。
「―――戦士や闘士ですが、彼らの扱うスキルも非常に強力なものです」
「いや、激しく聞きたくねーんだけど」
「まあまあ、試しと思ってこれでも食べて聞いてください。」
ガイドは拗ねて突っ伏すオリーシュにウィンナー差したフォークを差しだし笑顔で促す。
「むぅ……」
眉を顰めつつもしっかりと口にするオリーシュに満足したのか、ガイドはご機嫌な様子で言葉を続けた。
「前に遺跡でも言いましたが、彼らの覚える精神力を使うスキルもかなりの効果を発揮します。
攻撃力、破壊力では術士に及びませんが、彼らの最大の強みは術士にはない詠唱や集中を必要としない攻撃であり、その肉体です」
術士は呪文を唱えれば魔法は簡単に発動することができる。魔法によっては連発することも可能だ。
だが、至近距離での近接戦闘に対応する魔法や、咄嗟のときに相手の攻撃を防ぐ手段が術士にはない。
全くないわけではないが、それを覚えていないと話にならない上に使い勝手のいい魔法ほど使用難度が高く、代償が大きいのだ。
「戦士の覚える"渾身の一撃(パワーストライク)"、闘士の覚える"身体増強(レベルアップ)"
これらはそれぞれの職の基本スキルの1つになります」
戦士は剣だけでなく、槍や斧と言った多彩な武器を携え、鎧で身を固め、ときは大盾を構え攻撃を凌ぎ敵を屠る。
闘士はナックルガードや手甲など軽装で身を包み、己の肉体を武器にその俊敏さもって敵を倒す。
そして、それぞれの職が覚えるスキルはその長所をさらに伸ばし最大限の力を発揮させるのだ。
「ふーん。例えばだが、今日戦ったあのデカ蜘蛛なんか倒せるのか? 俺と同じレベルって条件で」
「あー、どうでしょうか。相性の問題もありますが、厳しいかもしれませんねぇ。
オリーシュさんの攻撃って全然通じませんでしたよね?」
「……おぅ、全くもってその通りだが、手加減した表現で頼むんだぜ…………」
あおったエールはしょっぱかった。
「ビックスパイダーでしたか、初期村に配置されてるキッズスパイダーって魔物の上位互換だと思いますが、想像以上でしたからねー。
あれだけ体表が硬いとなると、並みの攻撃じゃ通らないでしょうねぇ」
「んじゃあ、キッズスパイダーってのはどうなんだ?」
「んー、初期村仕様ですし、あそこまでは硬くありませんよ? まあ結構さっくり殺られるプレイヤーも結構いましたが。
鉤爪でこう、ざっくりいったあと獲物に牙を立てて体液を――――」
「おう、それ以上はマジやめろ。食事中だしな」
オリーシュはそう言って静かに手に持つフォークを皿に戻す。
「で、だ。そいつは硬くないって言っても最初の頃だと強敵だろ。どうやって倒してんだ?」
「―――え?」
「や、そこで何聞いてんのみたいな顔すんなよ。俺がおかしいみたいな顔すんなよ。
逃げるの前提かよ。つーかお前ときどきこえーんだよコラッ!!」
大蜘蛛マジぱねぇと思うと同時に、ドッヅェにあんなのがいなくて良かったと心から安堵するオリーシュだった。
「真面目な話、斬るだとか突くだとか生半可なものじゃ無理な感じで、
遭遇したら火で追い払うのが一番現実的な対策でしたねー。どうも火が苦手みたいで、効果てき面でしたよ」
「それはそれで難易度たけーな」
山に入ったら5回に1回は山火事起こしかける大冒険になること間違いない。
「まあ中には鉄槌で殻ごと潰す猛者も居ましたけど、術士以上に稀な存在でした」
「……だろうな」
以上の話を聞き、闘士では無理ゲーだと判断するオリーシュ。
と言っても俊敏さは戦士よりもずっと上なのだろうから、その分逃げるのも容易だったのだろうが。
「闘士かぁ。そういや見たことねーけど、闘士ってマジで素手で殴りあうのか?」
「完全に徒手空拳というわけじゃありませんが、基本素手ですよ」
過去に戦ったボブスゴブリンと素手でやり合う闘士の姿を想像すると若干引くものがある。
確かにあのときの自分は弱かったと思うが、それでも装備は最上のものだったのだ。
やはり信じられないとオリーシュは首を横に振るが、
「ええ、私も実際魔物と戦ってから驚きましたけど、ガチです」
奴らはガチだった。
「魔力もそうですが、筋力や耐久力も種族によって随分と差がありますし、同じ種族でも体格なんか全然違いますからね。
身長が2m近くもある勇気あるボブサップが飛んだり跳ねたりする感じなんか想像したら割と納得できるんじゃないんですか?」
よく動く野獣を想像し自らの言葉に深く頷くガイド。
聞きなれた固有名詞がでたことを今更かと思いつつ、割と最近術士に転職した聞くボブサップの先行きを祈ってオリーシュは華麗にスルーした。
◇
夜も遅くなったのだろう。テーブルにつく客が疎らになり、店内にあった喧騒も僅かに聞こえる程度になっていた。
酔い潰れて寝てしまった客を介抱しテーブルを片付けていく女性店員を横目に、厳つい店主が注文のなくなったカウンターでグラスを磨いている。
オリーシュは年季の入った煤けた店内を見回し木彫りのコップを持ち口につけるが、中身が空っぽになっていることに気付く。
「……もう一杯は、厳しいか」
ここにきてから時間も随分と経っている。そろそろ閉店だろう。
さてどうしたものかとオリーシュが思案していると、不意に横に座っている相方が妙に静かなことに思い至った。
オリーシュがはてと思っていると、カウンター越しでグラスを磨いていた厳つい店主がオリーシュの横を顎で差す。
差された先に振り向くと、ガイドがカウンターに突っ伏して寝ていた。
「珍しいやつ」
ガイドが酔い潰れるのは中々に珍しい光景だ。
酒の覚え始めはしょっちゅうのことだったが、それ以降は滅多になかった。
オリーシュが酔い潰れるのはいつものことだったが。
テムズを出てからまともな街に寄らなかったからなのか、久々の戦闘の緊張から開放されたからなのか。
始終ご機嫌な様子でガイドは飯を食って酒を飲んでいた。オリーシュに理由が分からないが、まあそれはそれでいいのだ。
楽しいのが一番だから。
一応世界の核心を見つけることがこの旅の目的だが、今のところは旅自体を目的としている。
手段が目的にというありがちなパターンだが、それはガイドと2人で決めたことだ。
そして、ドッヅェをでて一ヶ月を過ぎるが、大陸中央に向かわず未だに土妖精領にいるのはオリーシュの我が侭。
リーグレットの酒場で酔っ払ったオリーシュが言ったことを律儀にガイドが覚えていた。だから自分は今ここにいる。
「……だよなぁ」
あのとき言ったことの半分くらいはオリーシュの本心だ。
まあガイドも乗り気のようなので、特に気にしていない。
何よりそこそこ楽しくやっていけているので、悪くはないだろう。
ただ、問題も出てきた。
遅かれ早かれの話だし、大陸中央に向かえばもっと早くに問題になっていただけなので、これも気にはしていないが。
オリーシュはカウンターに肘をつき顎を乗せると、大口を開けてよだれを垂らして眠る間抜けな聖妖精に呆れつつ店主に勘定を頼んだ。
はっちゃけて飲んだガイドのせいもあってか思ったよりも高くついた支払いにやれやれと呟き頭を掻く。
どうやらやるべきことが2つもできてしまった。
だが、幸いなことにこの2つは同時に行うことができる。
そんなわけで、オリーシュはガイドを肩に担いで立ち上がると、店主に顔を向けこう言った。
「この辺にギルドってあります?」
平成23年8月24日