訓練場の出口を抜けると、視界いっぱいに石畳の街路と立ち並ぶレンガ造りの家屋が広がっていた。
多くの人が行きかい町は活気に満ちている。
少しの間そこで景色を見ていると後ろから人が来たためあわてて歩き出す。
訓練場には俺以外に人はいなかったと思ったが…。
外見は同じで中だけ別空間というのはVRでは良くあることだ。
多分そういうことなのだろう。
さて、これからの行動だがまず信仰神を決めなければな。
といっても、ずっとネットで調べて妄想してきた身。
当然、方針はすでに決まっている。
話は変わるが、このゲームの体力値であるスタミナは敵の攻撃だけでなく、技と呼ばれるアクティブスキルをしようすることによっても消費される。
とあるレトロゲーの中で暗黒とかいう技が有った気がするが、すべての技で消費するということだ。
一方、術と呼ばれるアクティブスキルを使用するとマインドという値が消費される。
これは一般的なMPだとか言われるものと同じだ。
ただし、違うのはスタミナだけでなく、マインドが0になっても戦闘不能となってしまうことだろう。
簡単に言えば、アクティブスキルを使用すると必ずスタミナかマインドのどちらかが消費され、そのどちらも0になると戦闘不能になるということだ。
元から消費するのが前提のシステムだからなのか自動回復速度がそれなりは速くなっており、バランスはなかなからしい。
さて、防御用のステータスとしては、VIT(体力)とAGI(素早さ)があげられるだろう。前者は耐久力を挙げ、後者は回避力を上げる効果がある。
クローズβのプレイレポートを見てみると戦士型では圧倒的にVITを伸ばしている人が多いようだった。
戦士系の覚える技はスタミナを消費する。
元から消費するのが前提のシステムなので自動回復が重要でVITを伸ばすと自動回復量が上昇するし、スタミナの上限値も上昇するからだ。
一方、AGI型だが回避力はAGIのみ依存でなくDEX(器用)にも影響されるためAGIのみをあげて行ってもいまいちらしい。
AGI型の利点としては攻撃速度の上昇が挙げられるが、スタミナ上限の低さ、自動回復の低さから技をあまり使えないデメリットといいところ相殺が限度だろう。
あとは、VITとAGIの差といえばステータス曲線の補正がかかるか否かぐらいだろうか。
最大で1.2倍の程度補正がかかるのは大きいといえるが、不安定な補正であるし一般的に1倍ぐらいの値が長く続くように曲線を設定するのが通説になっているためあまり甘みは感じられない。
まぁ、そんなこんなで圧倒的にVIT型が席巻していたのがクローズβの状況だったらしい。
そこで俺が当然選ぶのは…
AGI型だ!!
なぜ俺が不遇と言われるAGI型を選んだかといえば、端的に言って俺が天邪鬼だからだろう。
他人の通った道をなぞるだけでは面白いと思えないのだ。
クローズからオープンへの移行で仕様変更が着てるかも知れないが、多くはとりあえずVIT型にするだろう。
そんな中、少数派のAGI型を邁進する俺。たまらん。
マゾ?うるせぇ、楽しんだもんが勝ちなんだよ。所詮ゲームなんだからな!
つーか、食らいながら耐えるよりも華麗に回避したほうがかっこいいだろうが!
まぁ、取りあえずAGI型ということで回避メインのキャラビルドを目指すということだ。
ということで、主に伸ばすステータスは、攻撃力アップのためにSTR、回避力と攻撃速度のAGI、回避と命中のためにDEXの3本柱になるだろう。STR≧AGI=DEXといったところか。
スキルの修得にINTが必要になる場合もあるらしいが、それはそれ出てきたときに考えることにする。
3本柱で多くの余分なステータスを振ることが出来ないからVITは初期値のままになるだろう。茨の道だな…。
ちなみにVIT型の基本はSTR≧VIT>DEXとなり、STRとVITにより多く振れる。
こんなところでもAGI型の不遇さが…。
だけどそんなのには負けない、俺の不良大学生の特権である時間というもので補ってくれるわ!
まぁ、俺と同じ状況でVIT型なやつはとっとと進むんだろうがな…
方針を改めて確認したところで信仰神に加護をもらいに行かなければな。
信仰神は現在実装されている分で12柱ある。
戦士、魔道、僧侶、盗賊にそれぞれ3柱ずつである。
まぁ、大まかな分類だし首を傾げざるを得ない所属があったりするが気にしない。
一応挙げておくと、僧侶にネクロ系の加護を与える死神ボーメルベリーとか盗賊に鍛冶の加護を与える鍛冶神ワディムが所属するなどだな。
うわさでは未実装の上位神にこの括りが関係するのではないかという話だ。
さて、戦士系は、戦神アラナス、闘神エルプフ、狂神バルバゲンの3柱だ。
簡単に言えば、アラナス=攻撃重視、エルプフ=防御重視、バルバゲン=狂化と言ったところ。
アラナスは攻撃系スキルが多くSTRやAGI、DEXにプラス補正、剣と槍、棍に熟練度補正。
エルプフは防御系スキルが多くSTRやVIT、DEXにブラス補正、剣と棍、斧に熟練度補正。
バルバゲンは狂化スキルがあり、STR、VIT、AGIにプラス補正、槌、斧、槍に熟練度補正。
となっている。
俺の基本ビルド方針からすると悩む余地すらない。アラナスで決定だ。
ついでに、アラナスはこの3柱の中で唯一女神なのもポイントが高い。
むくつけきおっさんを崇め奉るとか俺には無理です。
ちなみにVIT型でも信仰神は結構バラけるようだ。
攻撃スキルや女神と言う点でアラナスを信仰したり、素直にエルプフに信仰したり、槌やら狂化のためにバルバゲンに信仰したりまちまちであるらしい。
後は使う武器種の選択か…。
正直、これは迷う。
さっきのチュートリアルではじめて聞いた情報が多いから今まで考えてたのを修正しないといけない。
とりあえず、選択肢としてはアラナスに熟練度補正のある剣、槍、棍のどれかだろう。
当初予定ではオーソドックスに剣を使うつもりだったんだが…
武器による攻撃属性があるとは…、多分クローズからオープンでの変更のひとつだろう。
棍はなんとなく性に合わないので、剣と槍のどちらかなんだが…
まぁ、もともとマゾい型で行くんだし、熟練度のあがり難さよりも汎用性と性能を取って槍にすることにしよう。
そんなこんなで方針を確認したことだし、アラナスを祭る神殿を探しにいきますかね。
ステータス曲線の説明?
めんどくさいからオフィシャルホームページで確認してくれ。
最もあそこにも大した情報乗って無いけど。