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No.14030の一覧
[0] 死んで覚える迷宮探索(よしお→異世界)[汚い忍者](2010/01/07 01:11)
[1] 第一話[汚い忍者](2009/11/28 08:01)
[2] 第二話[汚い忍者](2009/12/02 10:41)
[3] 第三話[汚い忍者](2009/12/02 10:48)
[4] 第四話[汚い忍者](2009/12/02 11:11)
[5] 第五話[汚い忍者](2009/12/02 11:19)
[6] 第六話[汚い忍者](2009/12/02 11:32)
[7] 第七話[汚い忍者](2009/12/02 11:41)
[8] 第八話[汚い忍者](2009/12/02 11:47)
[9] 第九話[汚い忍者](2010/01/12 01:40)
[10] 第十話[汚い忍者](2009/12/07 00:32)
[11] 第十一話[汚い忍者](2009/12/10 02:08)
[12] 第十二話[汚い忍者](2009/12/26 10:00)
[13] 第十三話[汚い忍者](2010/01/11 00:27)
[14] 第十四話[汚い忍者](2010/01/13 01:32)
[15] 第十五話[汚い忍者](2010/04/03 19:09)
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[14030] 第一話
Name: 汚い忍者◆64ee84f7 ID:62ef03fa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/28 08:01
■ホームポイントが設定されました。■
■現在のホームポイントは 東ウェリントン 近郊 ドモ平原 (F-9) です。■
■It is one of your pleasure to die.■




一年来の付き合いがある耳をつくざく様な目覚まし時計からの訴えではなく、そんな意味不明のメッセージが脳内に響き渡ったことにより、よしおは覚醒した。

体の節々に痛みを感じ、大きく伸びをして、尻をポリポリと搔きながら瞼を開く。
瞼を開いて最初に目に入ったものは自身の手を這いまわるゴキブリに似た昆虫であった。

「ひぎぃっ!」

幼少の頃より、現代の子供に洩れず、「遊ぶ」といえば外ではなく内でゲームであったよしおにとって、虫に対する耐性は当然の事ながら有しておらず、尚且つ嫌いな昆虫NO.1に位置するゴキブリに似た虫が手を這いまわっていることもあって18禁陵辱ゲーのヒロインのような声を出してしまったのも仕方のない事なのだろう。

手を激しく振り回すだけでなく、寝転がりながらモーターの様に回転し、猫科の如く素早く体勢を整えたよしおが続いて目にしたものは自身の腕で轢殺したと思われるゴキブリに似た昆虫の死骸がそのまま腕に張り付いている光景であった。


「ギャーッ!!」


漂流教室の高松少年のような顔をしながら叫び声を上げる。

よしおが自身の周りの環境の変化に気がついたのは、急ぎ張り付いた死骸を処理しようやく一息つけてからであった。


「………」


周りの景色は平原となっていた。遠くの中世ヨーロッパのような都市を月明かりが照らしている。
周囲は石壁で囲まれているようだ。
現代社会であれば真夜中であっても街灯などにより、光が絶える事は無いが、遠くに見える都市はまるで死んでいるかのように暗く静かであった。


よしおが再起動したのはそれから5分ほど経ってからであった。しかし、よしおの脳内コンピュータは再起動した後、すぐさまこの現象に対する一つの演算結果を導き出した。


どうやら自分は未だ夢の中にいるらしい。夢の中で夢だって気づくなんてレアじゃね?


自身の脳内コンピュータが弾き出した結果に対して、続いてよしおが行った事は二度寝であった。

寝て起きたらベッドの上だろう。
夢ならばゴキブリが徘徊するであろう平原に横になるのも気にならない。
夢でゴキブリが出てくるなんてついてないな、と思いながらよしおの意識は深く沈んでいく。


そして、朝日に目を覚まして最初に目に入るのはやっぱり辺りを徘徊するゴキブリであり、再びよしおは高松少年の如く叫び、目を覚ましても夢は夢のままであった現実に対してよしおの脳内コンピュータは再度フリーズするのであった。



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眩しい朝の光に目を細めながらよしおは自身の昨日の行動を思い起こし、何も問題が無い事を確認する。

土曜日という全国的に祝日であった昨日、よしおの行動は極めて模範的であった。
昼まで惰眠を取るという自身の法令遵守を徹底し、午後には積み上げられたゲームの消化作業という社会的責任を果たしたのだ。

間違っても、取引現場を目撃した体は子供、頭脳は大人なK少年のように黒い組織にアポトキシン4869っぽい薬物を飲まされるような非日常は起きなかったし、昨日は平穏無事に一日を終えたはずである。
従って、こんな平原に放置される状況には陥る要因はないはずだ。

現状に対するよしおが持つ情報は全くといっていいほど無い。
よしおは現状に対する原因を必死で考えたが思いつかないので
―そのうちよしおは考えるのをやめた。







遠くに見える都市を目指し、ひたすら歩く。
随分歩き続け、前方の都市のシルエットが徐々に大きくなってきたことを感じるが、予想以上に距離があった。
前方にヨーロッパ風の都市、その以外の周囲は一面平原であり、壮大な景色ではあるのだが、道端で時折目に入るゴキらしき虫がよしおを辟易とさせていた。



歩き続けて1時間半、よしおは漸く都市を囲む石壁の前に到着した。
壁にそって歩き続けるうちに関所の門らしき施設を見つけたのであるが、よしおは思わず隠れてしまった。


異文化コミュニケーションってレベルじゃねーぞ!


関所の門には二人の人影があった。
一人はおっちゃん。茶髪で決して日本人のようには見えない顔立ちをしており、銃装備で尚且つの防弾ベストようなものを着込んでいて、何故か犬耳で尻尾みたいのが尻から出ているのには多大な不安感を抱くがそれはまだいい。
もう一人の人物が問題であった。


モス亜種…!


頭が豚であったのだ。ゲームで言えばオークと呼ばれる種類なのかもしれない。
よしおは最初はマスクの類かと考えた。
日本では馬のマスクなどが販売されているが、目の前にみえるベイブ種は明らかにマスクの類では再現出来ない位生々しく、尚且つ言語らしきものを発音していた。


ここにきて初めてよしおは自身の現状がより深刻なことを理解する。
今までは現在位置は日本じゃないにしろ、地球のどこかであると勘違いしていた。
しかし、アレは明らかに地球には存在しない生物。すなわち、現在位置が別世界であることを示唆している。


これからどうするかを考える。
目の前の石壁内にある都市以外は一面平原が続き、当然の事ながらサバイバル知識のないよしおにとって現状維持で野宿するのも危険であろうし、ゴキブリ的な意味でも遠慮したかった。

もう一度関門の一人と一匹を一瞥する。


どうすんだよ…アレに話しかけんの?俺やだよ。


対人スキルのそれほど高くないよしおは一時間くらい話しかけるかやめるべきかと迷っていたが、都市内に入るには話しかけざるを得ないであろうと結論をだした。

意を決して、よしおは目前の二人に話しかける。



「エクスキューズミー」


「アイアムジャパン!ジャパニーズ!」


「アイアムヨシオ!」


犬耳のおっちゃんが聞いた事もないような言語で話しかけてくる。


「jios jhsoare? Jfewo! Segjre serow!」


「イェス!ザッツライッ!」


「serij! Seg wegji seojk! Segji gewass plmjj?」


意味は分からなかったが、手に持った銃も突きつけられていないし、なにやら友好的な雰囲気が漂う。
隣のモス亜種が鼻をヒクヒクさせながらよしおの匂いを嗅ぎ始めたが、よしおは手ごたえを感じていた。


「イエス!オフコース!」


「Hoo!! Mveww!」


よしおは今確かに異文化の人々とコミュニケーションがとれているのだ。
彼らの「想い」が!言葉ではなく心で理解できたッ!
分かりあえたという充足感が胸いっぱいに広がる。
今ここに国境も言語も種族も世界も越えて二人と一匹の心はリンクしているのだ。

犬耳のおっちゃんがよしおの手を掴み、都市内へと誘導し始めた。
どうやら都市内を案内してくれるらしい。


「イェァッ!ヒィアウィィゴォ!」


かけがえのない友ができた。この親友達がいる限り、第二の人生もきっと頑張っていけるだろう。
よしおは安堵とともにこれからの生活に期待に胸を膨らまし、光を見出していた。

俺たちの冒険は始まったばかりだ!















■現在位置は東ウェリントン サザーン区 (G-8) です。■
■Welcome to East Wellington■



ガシャン、と金属同士が重なり合う音が響き、続いてガチャリと鍵の閉められる音がする。

かけがえのない親友達に連れてこられたのは豚箱の中だった。

留置所と思われる冷たい牢屋の中でよしおは叫ぶ。


「世界は、いつだって……こんなはずじゃないことばっかりだよ!!」







あとがき
設定オンリーでノープロットで進むSS第一弾。
迷宮にすら未だ潜ってないというのに続けられるのか…?


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