<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

オリジナルSS投稿掲示板


[広告]


No.1318の一覧
[0] 遠い国から[kuruto](2005/04/18 00:30)
[1] 遠い国から 第一話[kuruto](2005/04/18 00:21)
[2] 遠い国から 第二話[kuruto](2005/04/18 00:27)
[3] 遠い国から 第三話[kuruto](2005/04/18 00:32)
[4] 遠い国から 第四話[kuruto](2005/04/20 03:51)
[5] 遠い国から 第五話[kuruto](2005/04/21 02:21)
[6] 遠い国から 第六話[kuruto](2005/04/21 02:15)
[7] 遠い国から 第七話[kuruto](2005/04/22 02:53)
[8] 遠い国から 第八話[kuruto](2005/04/26 18:22)
[9] 遠い国から 第九話[kuruto](2005/05/01 04:03)
[10] 遠い国から 第十話[kuruto](2005/05/01 21:31)
[11] 遠い国から 第十一話[kuruto](2005/05/02 19:20)
[12] 遠い国から 国力調査レポート[kuruto](2005/05/08 19:13)
[13] 遠い国から 十二話[kuruto](2005/05/22 01:27)
[14] 遠い国から 第十三話[kuruto](2005/06/14 20:19)
[15] 遠い国から 第十四話[kuruto](2005/07/11 14:03)
[16] 遠い国から 第十五話[kuruto](2005/09/06 03:31)
[17] 遠い国から 第十六話[kuruto](2005/10/10 22:13)
[18] 遠い国から 第十七話[kuruto](2005/11/20 11:37)
[19] 遠い国から 第十八話[kuruto](2005/11/21 11:40)
[20] 遠い国から 第十九話(仮UP) 正式版は家に戻ってから[kuruto](2009/01/02 03:03)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[1318] 遠い国から 第八話
Name: kuruto 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/04/26 18:22

朝、珍しくエマよりも早く目が覚めた、何時もは彼女の方が早く起きてるのだが疲れているのだろう。


俺も疲れてはいたが始めての行為ではない、さすがに同じベッドで夜が明けると言うのは初めてだったが。


田中敬一郎22歳、彼女居ない暦22年、なぜチェリーじゃなかったかは永遠の秘密だ。


「お約束ではコーヒーだから作らないといけないな、うん、お約束は大事だ」


遠い国から 第八話 「浸透」


部屋で一緒に朝食を食べながらエマと話し合った。


普通に下の食堂で食べなかったのはお約束ではなく、とても他人に聞かせられない事を話すからだった。


「つまり今の所俺たちの目標は、鳩野郎をいかに惨めに散らせるか、と言うことに集約される」


朝食はパンに卵、チーズにソーセージ、朝から濃いかもしれないが腹が減っていたので食べれるだろう。


「他にも色々有るが、それさえ達成できれば自動的にカタが付くか、先に進めない物だから他は無視する」


彼女も食欲旺盛だ、すまん、溜まってたんだ。


「鳩野郎を片付けるのは二つしかなくなった、君の親父さんの所に駆け込むか、自力でなんとかするか、だ」



追加を頼んだほうがいいかな?



「マスターがこう言う説明をなさると言う事は私の父は頼らない、そう言う事ですね」


彼女は最後のパンを食べながら言った、良いねえ、賢い娘は大好きだよ、お兄さん。


「そう言う事になる、ああいう輩は政治的決着とやらでなあなあにすると、逆恨みやらなんやらで突飛な行動を


取る可能性が出てくる、無くす物が無い人間はそれはそれで怖い、後先考えないからな」



ゆで卵に塩を振って食べる、うん、追加だな。


「うちの故郷じゃ車で突っ込んで自爆する輩もいる、最悪息の根止めれなくても、文字道理<身動きとれない>


状態まで持っていかなきゃだめだ」


俺の場合はドカンと一発除草剤、と言う事になるかもしれんが。


「多少時間は掛かるが、当初の予定通り完膚なきまでに破滅させた上で息の根を止める、手加減無しだ」


フォークをソーセージに突き立てながら言った。


「多少、君の流儀から外れるかもしれないが見逃してくれ、俺の命も掛かってる」


ニア、もといエマに追加注文するように言う、彼女も少々物足りないだろう。


「今回の件で俺が守るのは基本的に俺と君の命だけだ、おそらくそれ以上手が伸びん」


暗に「君の父上は守りきれないかもしれないよ」と言った訳だ。


「昨日の夜に申したとおり、私は貴方の物ですマスター。それにこちらの方が父を頼らないといけない状態で


父を守れるわけが有りません、確実に父よりもこちらの方が危ないです」


彼女はそう言って他に何か注文するものは無いか聞いてきた。


「無い、君は十分俺の意図を理解してくれた、作戦目標の不統一と言う最大の過誤はこれで無くなった」


ミッドウエィの悪夢の再来は少なくなった、後は一つずつ戦術目標をクリアしていくだけだ。


エマが追加注文の為部屋を出た後に考えた。


レイズされたチップは俺とエマの命、この世界でベガス以上の賭けをやる羽目になるとは思わなかった。


ザバドフと言うおそらく最強の持ち札は失った、が代わりに作戦制限時間は無くなった。


ツーペアでも良いから勝ち続けて相手の懐を空にすりゃ良い訳だ、奴は勝負から降りられない。


「たっぷり堪能させてもらうぜ、メイドさんが居る環境」


サバドフが亡くなった今、元の世界に戻るにはサバドフの記録をあさって自分でどうにかしないといけない。


本物の、俺の物のメイドさんが居る事だけが心のオアシスだ。




朝食を食べた後エマを引き連れて服を仕立てに行った、魔術師ならローブだけで勝負出来たのだが。


宿屋で聞いた一番老舗の仕立て屋に入った、出迎えた主人は驚いたようだ、貴族や大商人はお得意さん


だろうが俺は魔術師として入ったからだ。


「お客様、新しいローブをお仕立てで?」


残念賞、魔術師としてならローブで事足りるのだが、勝負するにも商売するにしろローブではちと物足りない。


「商用でな、取引先と落ち合うのにローブと言う訳にはいかん、暫くは魔術師と兼業なのでな」


エマの服と一緒に俺の服も作ったが今回は人脈作りを兼ねている、金にいとめはつけないぞ、と。



採寸を終えた後シャツも一緒に作ってくれと頼み、生地を見せて貰った、予想通りだ。


「すまんがシャツはコレで作ってくれんかね?」


そういってエマに持たせていた生地を見せる、メイド服を仕立てた店で無理を言って譲ってもらった一品だ。


「これは・・・良い生地でございますね・・・」


此処まで予想道理だとうれしくなるねえ、心なしかエマも笑っているような感じがする。


「商売だからな、扱ってる商品の一つと言うわけだ」


「ほう・・・」


主人がなにか考え込んだ、釣れたかな?


「真に失礼でございますが御商いの方は?」


「なに、しがない越後のちりめん問屋だ」


こうして魔術師と商人兼業の人生が始まった。




「エマ、今日の予定はどうなっている?」


この頃非常に忙しい、服を仕立てて商品の生地を売りさばき、魔術師として、やり手の商人としての顔を


使い分けながら首都を走り回った。


予定の管理の為、エマにノートとボールペンをやるとえらく喜んだ。仕事はキッチリやってもらわんといかんしな。


また商品を仕入れて戻るわけにはいかないので(捕まりに戻る様な物だ)さばいて稼いだ資金を首都の


あちこちにある「腕は良いが経営は厳しい」商店などを買いあさった。


この時代、腕は良いのに経営が傾いているなんざたいていどんぶり勘定をやってるのに決まっている。


あとは職人としてのプライドが高いせいで、人付き合いが悪い為仕事がない。そんな所だ。


最初は抵抗が有った、「ドワーフが人間の風下に立てるか!」と言うのがほとんどだった。


だが俺は魔術師だった、ただの人間と言う反論は魔術師だと言うことで封じ込め、魔術師などに分かるか


と言う反論にはやり手の商人として、問答無用だった。


無論全員がそれで納得したわけではない、一人頑固な刀剣鍛冶師が居たが、土産に果物を持って行き


目の前で、召還の時に荷物の中に有ったレザーマンで皮を剥いてやったら面白い顔をして黙りこんだ。


・・・自分でも多少汚いかな?と思ったが生き残るためだ、許せ、ドワーフ、わはは。




帳簿をつけて売掛金の管理をきちんと行い、同業種に関しては資材の一括購入を行い原価を圧縮した。


現代企業のネックである人件費でさえ、同レベルの職人の二倍払っても利益は冗談のように出た。


販売価格を下げなかったのは、流石にこれ以上の軋轢を起こしたくないからだけで、半分の値段で販売


してもまったく問題ないだろう、価格に比例して注文も増えるはずだからだ。


同業種の職人は一ヶ所に集めて注文も纏めて取る、簡単な注文は接客専門の店員が取り、難しい


刀剣、鎧などに関しては比較的人当たりの良い職人に取らせて親方と相談、と言う風に分業体制を確立した。




ここまで来ると後はほっておいても上手い具合に回転した。


良い商品が他店よりもちょっとだけ(ココ重要)安く手に入り、金を積めばさらに良い品が手に入る。


職人達も、給料は上がるし面倒な金勘定は無くなって作る事に集中できる。


同業他社の売り上げが少し落ちたくらいで後は何も問題が無い、と言うか良い事尽くめだった。




最大のプロジェクトは魔術師としての依頼だった。


どこで嗅ぎつけたか分からない(ここ数ヶ月王都で俺の名前を知らない奴は居ないだろう)が首都


最大の造り酒屋が依頼に来たのだ。売り上げは順調なのだが、小麦など材料の値上がりで利益が



危険なほど目減りしてるらしい。(こんな所にも奴の影響が出やがった、むかつく)



とりあえず契約は置いといて実際に現場を見せてもらう事にする、手に負えなかったら「インシャアッラー」だ。


俺自身、ウイスキーの次にビールが好きなので、見物の様な気軽な気持ちで覗いたが、ダメダメだった。


担当者に聞いた所、半分ほど腐醸が発生し、残りの半分の品質もバラバラらしい。


まあ、この時代に製造管理の概念が有る方が驚きだが、こんなもの飲んでたのか、俺は。


「報酬は腐醸の分の利益の20%、それでお受けします」


見学してる俺の顔が不機嫌になって行くのを見て、絶望色漂っていた担当者は大喜びだった。




そして醸造に使われる器具、貯蔵樽から何から何まで特大の湯釜で湯がいて煮沸消毒してから使用。


念のために、仕込み水も一度完全沸騰させた。


発酵の間の保管場所は裏の吹きさらしの小屋から変更、近くの岩塩鉱山の空いている廃坑を借り、そこで


順次入れ替えで寝かせる事にしたのだ。


最初「発酵させるのに沸騰させてどうすんじゃ」とかの陰口もあったが魔術師の権威をひけらかし進行。


最終チェックで樽がだめで壊れているのが6、運んだ時に穴が開いた物3などが主で不良は13%程度。


今までの腐醸50%前後ははるか昔、発酵させたビールも皆均一に熟成が進んでいた。


保存樽や樽の輸送にさえ気をつければ、歩留まり9割越えるのは確実だと言うことが分かった時点で


酒屋では祭り状態になった、新酒を振舞われ大騒ぎである。



この後この酒屋は経営を立て直し、隣国にもエールを出荷するまでに大成長を遂げるようになる。



この事件以降「あの人間は商人の腕だけでなく技術にも非常に詳しい」と評判になり依頼が殺到した。


流石に全部こなせないので当初の戦術目標だった、「両替商トール商会買収」コレに全力を傾けた。


親父の後を継いだボンボンが左前にしたのを、外堀から埋めて行き、ビールの件で止めをさした。


経営権を握って、一ヶ月程かけて過去5年の取引を全てチェックし、使途不明金の莫大さと貸付金の巨大さに絶句した。


使途不明金のある程度はぼんぼんに払ってもらって、焦げ付いている貸付金の交渉。


借主が上の方々だったので苦労したが、宥めすかして、分割で少しずつでも返してもらう様にした。



気が付くと何時の間にか「魔術師商人ミツクニがくしゃみをしたら、首都の半分は風邪を引く」とまで言われるようになった。


そして今日は氏族長の晩餐会で俺に爵位の(といっても一番下だが)授与式が行われるらしい。


ま、これで上流階級との商売上のパイプが開いたと言う事だな。


両替商で金を借りてる左前貴族なんざ最初からあてにはしていない、それ以外との顔合わせだ。
「さて、それでは戦闘開始だ、サポート頼むぞ、エマ」


エルフの宮廷ドレスに着替えたエマに話しかけた。


「お任せを、マイマスター」



前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.023443222045898