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No.1318の一覧
[0] 遠い国から[kuruto](2005/04/18 00:30)
[1] 遠い国から 第一話[kuruto](2005/04/18 00:21)
[2] 遠い国から 第二話[kuruto](2005/04/18 00:27)
[3] 遠い国から 第三話[kuruto](2005/04/18 00:32)
[4] 遠い国から 第四話[kuruto](2005/04/20 03:51)
[5] 遠い国から 第五話[kuruto](2005/04/21 02:21)
[6] 遠い国から 第六話[kuruto](2005/04/21 02:15)
[7] 遠い国から 第七話[kuruto](2005/04/22 02:53)
[8] 遠い国から 第八話[kuruto](2005/04/26 18:22)
[9] 遠い国から 第九話[kuruto](2005/05/01 04:03)
[10] 遠い国から 第十話[kuruto](2005/05/01 21:31)
[11] 遠い国から 第十一話[kuruto](2005/05/02 19:20)
[12] 遠い国から 国力調査レポート[kuruto](2005/05/08 19:13)
[13] 遠い国から 十二話[kuruto](2005/05/22 01:27)
[14] 遠い国から 第十三話[kuruto](2005/06/14 20:19)
[15] 遠い国から 第十四話[kuruto](2005/07/11 14:03)
[16] 遠い国から 第十五話[kuruto](2005/09/06 03:31)
[17] 遠い国から 第十六話[kuruto](2005/10/10 22:13)
[18] 遠い国から 第十七話[kuruto](2005/11/20 11:37)
[19] 遠い国から 第十八話[kuruto](2005/11/21 11:40)
[20] 遠い国から 第十九話(仮UP) 正式版は家に戻ってから[kuruto](2009/01/02 03:03)
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[1318] 遠い国から 第五話
Name: kuruto 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/04/21 02:21

塔をモスクワ辺りまですっ飛ばした後、早速俺は逃げる事にした。


「ニア、町に向かう道じゃなく、裏道か町の反対方向に向かう道を教えてくれ!」


爆発で驚き、興奮してるロバを宥めすかしながら荷馬車につなぐ。


「町からも見えたはずだ、来ないはずの本隊どころか領主の手勢が纏めてやって来るぞ!」


荷馬車に飛び乗ってきたニアが答えた。


「裏の小道に入ってください、多少枝分かれしてますがお教えします、魔術師ケーイチ」




・・・えらく態度が変わったな、この突撃エルフ。




田中敬一郎22歳、逃げ足だけは昔から速かった筋金入りのチキン。



いくら正当防衛っちゅーても「工兵用爆薬でまとめてすっ飛ばした」なんて言ったら檻の中だな。


遠い国から 第五話 「逃亡」


私の名はニア、ニア・ラミシール、塔の守護者をしていた。


今は兄を弔った後、私の横に居る魔術師と逃げている真っ最中だ。


最初は大した魔力を持たない、三流魔術師だと思っていた。なぜプレートに青石をはめてるのか疑問だった。


今ははっきりわかる、私はまったく気付かなかったクルックの思惑にいち早く気付いたのだ。


私は何度か彼と話をした事が有るが、彼は始めて会った時点で彼の思惑を見破った。


そして私の目の前で塔を吹き飛ばしてしまった、正直身震いする力だった。


二時間ほどひたすら荷車を走らせると、少し開けた小高い丘が見えてきた。


とりあえず麓で荷車を止め、ロバを休憩させてやる事にする。


毎朝習慣で入れていた水筒の水を飲み、残りをニアにやった後、服を着替える事にする。


ビニールに包んでいた服を引っ張り出し着替え出すと、ニアが驚いた様子で聞いてきた。


「いきなりこんな所で、何をするつもりなんですか!」


「着替えだ」


ズボンを素早くはいた後、もう一着をニアに差し出す。


「それに着替えろ、着替えたら丘の上まで一緒に散歩だ」


俺がタイガーストライプ、ニアが米軍のBDUに着替え終わった後二人で丘に登った。


「おーおー、早速楽しいパーティやってるな」


ヤバイ物の中から引っ張り出したツァイスの双眼鏡で塔の方を見物する。


「ざっと見て100人程かな?」


町の衛兵までかき集めてきたのだろう、装備がバラバラの集団が塔のガレキを掘ったりしている。


とりあえずざっと見終わると横のニアに双眼鏡を手渡した。


最初はおっかなびっくり覗いていたが慣れたのだろう、食い入るように覗いている。


「さて、どうしようかねえ、遠からず遺体は見つかるだろうから、間違いなく非常線張られるな」


この時代に非常線なんて呼ぶかどうか知らんが、国境に手配されるのは確実だろう。


今までの楽しい観光旅行は終わり、ようこそ、地獄の撤退戦へ・・と。


こちらの戦力は俺と突撃エルフの二人のみ、空軍の支援どころか砲兵支援すら無し、遅滞防御部隊もいない。


敵は領主の配下どころか国その物が敵に回る可能性大・・・





早く日本に帰りたいですパパン。


ニアがようやく双眼鏡を渡してきた、とりあえず首に掛けてから聞く。


「で、お前さんはこれからどうするんだ?」


そう言い終わった所で塔の辺りで砂煙が巻き起こった。


聞き終わる前にもう一度双眼鏡で確認した、砂煙がやけに気になったのだ。


「・・・・・生きてやがったあのハト野郎・・・・」


双眼鏡に映った姿は小さいながらもかろうじて判別できた。


ボロボロのローブ、肩で息をしながら回りに向けてなにか怒鳴っている、この世界の魔術師はチタンで出来ているのか?


「あの爆発で生き残るとは・・・・」


隣のニアは双眼鏡を使わずに見えたらしい、さすが原住民、昼間に星でも見れるのではないだろうか?


暫く様子を見るため草むらに身を隠しながら偵察し続けた、兵を差し向ける方向とは別方向に逃げなければならない。


彼は怒っていた、生涯で最大の屈辱だった、思いつきは完璧なはずだった。


塔の結界が解除された時に、術者に責任を押し付け、エルフ共々葬り去って、失われた知識を独占する。


目障りなエルフも片付き、失われた術を得、術者達が持っていたであろうアーティファクトも得れる。


解除する術者がザバドフだった場合、正攻法ではかなわないので、隙を見て殺すつもりだった。


実際訪れてみると術者は若造だった、魔力も非常に弱かったので後回しにした、それがいけなかった。


あろう事か何の躊躇いもなく、奴は塔ごと私を亡き者にしようとしたのだ。


あの若造は「管理を任せる」と名に誓ったのに、平然とそれを破ったのだ。魔術師の風上にも置けない。


扉を閉められた時、扉を吹き飛ばそうと風の術を編んだ、扉に向けて放った瞬間から記憶が無い。


気付くとガレキの中に埋もれていた、屈辱だった、もう遠慮する必要はどこにもなかった。




「大丈夫ですか?クルック師」


ガレキを吹き飛ばし塔を後にすると、領主の警護隊副長のコーキンが来ていた。


周りを見ると警護隊のほかに町の衛兵もいた、どうやら動ける連中はあらかた来ているらしい。


「守護者が裏切った!こそ泥術者と組んで塔の遺産を奪い取った!すぐに追跡隊をだせ!」


「ニア殿が裏切られたのですか?」


コーキンが信じられない顔つきをした、気に入らない、兵隊ごときがこの私に異議を唱えるのだ。


「うるさい!この私が嘘などつくか、あの女狐、最初からそのつもりだったのだ!」


近くの兵隊に辺りの捜索を命じる、そう遠くに逃げたとは思えない。


「あのニア殿がその様な事を・・・兄上をあんなに慕っていらっしゃったのに・・・」


信じられない事にこのバカは未だにそんな事を言った。


我慢がならず殴りつけようかと思ったが、その言葉で一つ素晴しいアイディアが出た、やはり私は平民とは違う。


「コーキン、何人か使って墓を掘り返せ、急げ!」


「・・・クルック師、いくらなんでも墓を暴く・・・・・」


このバカは尚も逆らおうとしたので、指先に火を点して言った。


「お前も死人の仲間入りをしたいか?」


コーキンは青ざめながらながら墓を掘り始めた、なぜ最初から行動できないのか、やはり無能だ。


クルックが行動を開始したのは突然だった、周りに当り散らしてると思ったらニ、三人で墓を掘り返し始めた。


まだ墓のアイテムを諦められないのかと思っていると、死体を引きずり出して周りに向かって怒鳴っている。


最初は何がしたいのか解らなかった、しかしいきなり死体を蹴った時にひらめいた。





「出て来い、守護者!さもなくばこれを燃やしてしまうぞ!」


私は逃げたエルフに向かって声を張り上げた、アレが本当に兄思いなら出てくるはずだった。


「早くしろ!冗談で言ってるのではないぞ!」


足元の死体を蹴りつけながらさらに声を上げた。


「クルック師、あまり御無体な事は・・・」


コーキンのバカが寝言をほざいたのでとりあえず殴った。


ニ、三回蹴りつけたが反応が無かった。


あの短時間に逃げおおせたと言うのか、すこし焦りを感じた時に一人の兵士が声を上げた。


「クルック様!森の奥に馬車の轍がついています、南です!」


信じられない事にすでに逃げたようだ、周到に馬車まで用意して。


「すぐに追え、何をぐずぐずしておるか!」


周りののろまどもがようやく動き出した、まったく度し難い無能共だ。


「念の為、エルフ共の国境に張り付いてる島流しに連絡しろ、この国から絶対にエルフを出すなとな」


「ヤバイ」


奴が死体を蹴った瞬間横の雰囲気が変わった、取り合えず横のニアに体当たりした。


予想通り飛び出そうとしていたニアを捕まえる事ができた、くそ、この無鉄砲突撃バカが。


「離して下さい、あの外道を地獄に送らないといけないのです!」


「それが奴の狙いだ、今出て行ったら即、殺されるぞ!」


暴れるニアを取り押さえようとしたが力が強い、正直振り切られそうだった。


「あの男を地獄に送れれば後はかまいません!」


尚も暴れるニアに手がつけられなくなった、俺が関係なきゃ正直ほっておくのだが今はマズイ。


「離しなさい、邪魔です!」


聞いた瞬間諦めた、説得はムダだろう、だから揉みあってる今が最後のチャンスだ。


「雷!」


首筋に一発躊躇なく放った、ま、多分生きてるだろう。原住民は丈夫らしいから。


荒い息を整えながら(正直もう持たなかった、さすが原住民、体力ありやがる)塔の方を見た。


一部の兵士が、裏の道を進みだしたのが双眼鏡を使わずとも見て取れた。


「やべえ、やべえ!バレタ、バレマシタ、早く逃げなきゃリアルで死ぬよ!」


冗談ではない、こんなどことも知れない所で、虫の餌なんざ洒落にもならない。腰を浮かして逃げようとした時足元のニアに気付いた。


正直見捨ててやろうかとも思ったが、相手に情報が漏れるのはもっとマズイ。


奴らはまだ普通の魔術師とエルフが逃げてるだけだ、と思っているだろう。


ほって置いても回された後に殺られるだけだと思うが、万が一俺の情報が漏れると厄介だ。


ニセの情報持たせてわざと捕まえさせようかとも考えたが、師匠の名前もバレてるし時間が無い。


今の時点では少しでも情報を渡さないほうが良いだろう、担いで斜面を駆け下りた。


「オタクに体力求めるなっツーの!」




・・・・「俺の歌を聞けー!」って歌って踊ったら、平和にならないかな?・・・・やっぱ無理だろうなあ・・・・



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