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No.1318の一覧
[0] 遠い国から[kuruto](2005/04/18 00:30)
[1] 遠い国から 第一話[kuruto](2005/04/18 00:21)
[2] 遠い国から 第二話[kuruto](2005/04/18 00:27)
[3] 遠い国から 第三話[kuruto](2005/04/18 00:32)
[4] 遠い国から 第四話[kuruto](2005/04/20 03:51)
[5] 遠い国から 第五話[kuruto](2005/04/21 02:21)
[6] 遠い国から 第六話[kuruto](2005/04/21 02:15)
[7] 遠い国から 第七話[kuruto](2005/04/22 02:53)
[8] 遠い国から 第八話[kuruto](2005/04/26 18:22)
[9] 遠い国から 第九話[kuruto](2005/05/01 04:03)
[10] 遠い国から 第十話[kuruto](2005/05/01 21:31)
[11] 遠い国から 第十一話[kuruto](2005/05/02 19:20)
[12] 遠い国から 国力調査レポート[kuruto](2005/05/08 19:13)
[13] 遠い国から 十二話[kuruto](2005/05/22 01:27)
[14] 遠い国から 第十三話[kuruto](2005/06/14 20:19)
[15] 遠い国から 第十四話[kuruto](2005/07/11 14:03)
[16] 遠い国から 第十五話[kuruto](2005/09/06 03:31)
[17] 遠い国から 第十六話[kuruto](2005/10/10 22:13)
[18] 遠い国から 第十七話[kuruto](2005/11/20 11:37)
[19] 遠い国から 第十八話[kuruto](2005/11/21 11:40)
[20] 遠い国から 第十九話(仮UP) 正式版は家に戻ってから[kuruto](2009/01/02 03:03)
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[1318] 遠い国から 第四話
Name: kuruto 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/04/20 03:51

翌朝、日が昇ると同時に起きだし顔を洗い、溜まった洗濯物を洗い始めた。


この世界に来てからは洗濯は水だけで済ませてきたのだが、昨日の作業内容が内容である。


バックパックに残ってた合成洗剤を使って洗った。


「洗濯板が無いのは困るなー、ファンタジーはアニメかRPGで十分って事か」


田中敬一郎22歳、根性の無いヌルオタ、過去は顧みない、悲しくなるから。


遠い国から 第四話 「転進」


洗濯物を小屋の裏で乾した後、ニアと一緒に朝食を取る。


「そういやこの後ニアはどうするんだ?守る塔は封印解除されたぞ?」


裏に居た鳥の卵だろう、目玉焼きに塩を振ってパンに乗せて食べる。


「ここは引き払います、王国に戻って報告しなければなりません」


彼女も食べながら答えを返してきた、当たり前と言えば当たり前だ。


「引き払う前に、塔の中の魔法関係の資料をまとめないといけませんが」


ま、そこら辺は俺と同じみたいだ。


杖を回収して(重要なマジックアイテムだからな)魔法関係の書類、召還魔法の陣の記録。


(デジカメで数枚撮りはしたが印刷できないので羊皮紙に写さないといけない、ダルイ)


杖ではないマジックアイテムも回収しなければいけないのだ、過重労働だな。


「一応師匠から聞いてる、エルフの持ち物には手を出すなって、こっちも出されたら困るけど」


人の物は人の物、エルフの物はエルフの物と言うわけだ。


魔法についての資料は、あまり人の目に触れる様な事があってはいけないらしい。


素人が勝手に手を出すと危険なのが理由だそうだが・・・少しぐらいは出した方が良いような気もする。


ま、もうすぐ帰る俺には関係ない事だけど。


朝食後に二人で塔に入り魔術師達の私室などを整理した、特に重要でないものは焼却処分なのだ。


当初は魔法書も出来るだけ持って帰るつもりだったが、焼却処理すらできないヤバイ物が大量に有った。


そこで当初の計画を変更して燃やせるものは燃やしてしまう事にしたのだ。


しかし10人近くの個室を調べるのである、当然手間と時間が掛かる。


「何語だこりゃ?」


当然俺には読めない物も大量に出てきたので一時間程ですっかりやる気をなくしていた。


「書類全部燃やそ」


どうせもうすぐ帰るのである、無理する必要ねえわな。


昼頃、整理していたニアに声をかけて一旦休憩して昼食を取る事にした。


「どうだい、そっちは順調か?」


塔の外を歩きながら聞いた。


「魔術書の類は手付かずです、駄目ですね、先に纏めるべきなのについ兄の持ち物に目がいってしまいます」


そう言ってニア下を向いて寂しそうに笑った。


「あー・・・」


どう慰めたものやらと悩みながら話しかけようとすると、下を向いていたニアが急にこっちを向いた。


最初は怒っているのかと思ったが、視線が俺を通り過ぎているのに気付いてニアが見ている方を見た。


最初は見分けが付き難かったが今なら解る、馬に乗った兵士の集団がこっちに向かって来ていた。


五分もしないうちにやってきた兵士達は、少し手前で下馬し馬を引きながら歩いて来た。


先頭はローブに首から銀のプレートを下げた魔術師、後は8人の兵士達、町の衛兵よりも良い装備をしている。


やってきた魔術師は高圧的な態度で言った。


「ダイセの御領主、ジョラズ・カイレム様付の魔術師クルックだ、この塔は今から御領主様の物となる!」


問答無用だった。


「この塔は私達とザバドフ師の管理下に在る筈です、どう言う事ですか!」


ニアが声を荒げて聞いた。


「どうもこうも有りません、封印された塔は確かにあなた方の管理下に有りますが、解かれた塔は古来の法に


有る様に領主の物、領主付の魔術師が管理すべき物です」


クルックと名乗った魔術師がキッパリと言い切った、問答無用そのニである。


さらに反論しようとするニアを片手で制して聞いた。


「私はサバドフ師匠からこの塔の処理を任されたのだが?」


「私の所にも御領主様の所にも何も連絡は来ていない、異論はこの後、師が正式に書面で行うべきだろう」


問答無用その三だ。


ニアは尚も問いただそうとしたがクルックは


「これ以上邪魔をするなら容赦はせん」


そう言って魔力を練り始めた、後ろに居た顔つきのあまり良くない兵士達も剣を抜いた。


魔力は師匠程ではないが、俺よりもずっと強かった。ニアも魔力を練り始めたが俺はまた手で制して言った。


「解った、塔への立ち入りを認めよう」


ニアは愕然とし、クルックは以外そうな表情を浮かべた。


「何なら私の名と師匠の名にかけて誓おう、塔への立ち入り及び塔の中の管理を認める」


俺がそう言うとクルックは顔をニヤケさせながら


「お受けしよう」と言った。


念の為だろうか、魔力を探っていたらしいクルックは魔術師達を埋葬した所を指差し、タバコを見つけた


高校教師の様な態度で聞いてきた。


「あそこから魔力を感じるのはどうしてかな?魔術師・・あー・・・ケーイチ」


俺のプレートを見ながら言った、そう言えば自己紹介すらしてねーや。


「亡くなられてた魔術師を埋葬した」


あきれた表情を浮かべ、首を振りながら言った。


「シュワク、掘り返せ、グローバー、見張りだ、残りはついて来い」


そう言うとクルックは意気揚々と塔に入っていった。


横を見るとニアがすごい目つきで俺を睨んでいた、その後兵士達がある程度離れた所で聞いた。


「君なら勝てたか?あの人数と魔術師に?」


「だからと言って何もせずに通すのはどう言う事ですか!それに名をかけてまで誓うとは、正気とは思えない!」


突撃エルフに正気を疑われてしまいました、ママン。


「根本的におかしいのだ」


俺が言うとニアがすかさず言い返してきた。


「あなたがか?」


ちょっとばかりむかついた、エルフは総じておつむが弱いのか?この突撃エルフがずば抜けてるのか?


とりあえず心の中の魔太郎ノートにメモしながら言った。


「まず塔の封印が解けた時点でサバドフか関係者の仕業だと解る、なのに難癖をつけてきた、これが第一」


ニアの様子を伺うと一応話は聞いてるようだ。


「塔の接収、確かに持ち主の居ない塔は領主の物だし領主付が管理する事がほとんどだ、しかしこちらが書類


連絡していない事を盾に取りながら自分達も書類は一切出さなかった、昨日まで領主の横に居ただろうにだ」


ニアは少し考え込む様な態度をして聞いてきた。


「あれだけでは運びきれません、本隊が来るのでは?」


「あれから小一時間、馬どころか馬蹄の埃さえ見えないぞ?後続がやたらと遅いと言うのとあわせて三つ目」


俺は指を三本立てながら話を進めた。


「そして俺は大譲歩して塔の中への立ち入りを俺の名で承認した、なのに奴は誓約も何も無しだ、魔術師が魔術師に」


魔術の基本は対価交換、ですよね師匠!と心の中で言いながら指を四本立てた。


「塔の外で墓を掘り返しているのが一人、塔の<中>は確かに認めたが塔の外で無断で掘っている」


俺は五本目の指を立てた。


「しかし俺の持っている杖やニアが持ってる形見には視線を向けながら何も言わなかった、墓を掘り返してるのに、だ」


俺は全ての指を握りこんだ。


「ニアならどうする?」


「え?私ですか?・・私でしたら出来るだけ早く王国に連絡をして正式抗議です、この様な無法、通るわけ有りません!」


やっぱおつむてんてんだな、このエルフ、俺様評価急降下爆撃だ。


「むこうもそれくらいは知ってるだろ、だからする事は二つしかない。一つは根こそぎ巻き上げて、写本の終わった物から


返して行き、重要なものは無視する。ただし彼の面子は丸つぶれだろうなあ、場合によっては査察もあるかも知れん」


「それで行きましょう、時間が掛かるのが癪ですが仕方有りません、ザバドフ師への連絡はあなたが・・・・・」


彼女がそう言い切る前にまた片手で制して言った。


「もう一つは塔の結界を不埒者が破って守護者と相打ちになってしまった場合、誰も何も文句はつけれないだろうよ」


彼女はそれを聞いて最初はまさか・・・と思っていた様だがどんどん顔色が悪くなってゆく。


「最初からヤル気満々だっただろ、あの男」


暫く彼女に考えさせた後切り出した。


「私は残念ながらあの術者とまともにやりあって勝てる自信がまったくない、君はどうだね?」


一応彼女が魔力を練っている所は見ている、俺よりはるかに強かったがクルック程ではなかった。


「だから俺は搦め手で対処しようと思う、反対なら邪魔だけはしないでくれ」


彼女は考え込んでいる、まあいきなり言われても判断に苦しむだろうなあ。


「残念ながら残された時間はもう余り無いだろう、どうする?残って彼の理性に期待するかね?」


さあ、ココが正念場だ、正しい選択してくれよ突撃エルフ。


「・・・・・・解りました、貴方の案に乗りましょう、王国に戻らないと何もできない」


「ま、ずっと一緒と言うわけではないが一時共闘と言うことだよろしく頼む」


そういって握手をしながら耳元で囁いた。


「君は穴を掘ってる奴、俺は門番を片付ける、同時に始末するぞ」


彼女が肯いたのを確認して門番の方に歩いて行った、ミッションスタートだ。


「あー、きみきみ、ちと聞きたいことが有るのだが?」


笑顔を浮かべながら門番に近づく、あからさまに警戒し剣の上に手を乗せている、いつでも抜き斬れる様にだ。


「私もこの後、師匠に報告しないといけないのだが、クルック師の口添えが有れば大分違ってくると思うのだよ。」


そう言いつつ右手の手のひらに金貨を乗せ差し出した。無論弱い魔力は練りつつだが、攻撃魔法とは認識しないはずだ。



とても攻撃魔法と呼べる程の魔力じゃないからなあ。



最初は懐疑的だった門番も、俺の手のひらの金貨を見ると一気に態度が変わった。


「まあ、あの人は金には細かいけど、頼んだらやってくれるんじゃねーの?俺が口聞いても良いぜ?」


そう言って金貨の方に手を伸ばしてきた。


「そいつはうれしいが君の働き一つで十分なんだ」


俺がそう言うと彼は怪訝そうな顔つきで金貨を摘まんだ。


彼が金貨に触れると同時に魔力を開放した。


「雷よ」


金は良質な導電体である、兵士は全身の髪を逆立て失神した。




「雷はこういう時、便利だな」




穴を掘ってる方を見ると、兵が首を剣で跳ね上げられて穴の中に転げ落ちる所だった。


彼女の剣筋は素人見立てながら鮮やかなものだった、空を切る鋭い音がここまで聞えたからな。


少しだけ評価上昇したぞ、突撃エルフ、高度で言えば20フィートくらい。


しかし、結果的に彼はせっせと自分の墓穴掘ってたわけだ、ナムー。


「それで、この後どうするのですか?風と水なら多少扱えますが?」


ニアが剣に付いた血をぬぐいながら聞いてきた。


「すまん、俺、雷しか使えねえの、だからちょっと待て」


ヤバイ品物を積んだ荷馬車に行き、シャベルとハンマー二つ、ペグ二本、缶二つと手榴弾二つを持って門まで走った。


気絶してる兵を中に放り込み、ニア言った。


「このハンマーとペグでココの煉瓦を壊せ、良いな」


そう言って俺も扉の反対側まで行って、扉から二つ離れた場所の煉瓦に力任せにペグを打ち込んで崩した。


後は鉄の扉を閉めて、扉の隙間にシャベルを突っ込み最大出力の雷を打ち込んで簡易溶接。


クルックの野郎もこれで気付くだろうから急がないとな。


そして馬車から持ってきた3ヶ所穴の開いてる缶に、手投弾の信管を捻じ込み、崩れた所に置いた。


彼女が崩した所にも行き同じように缶を置き説明した。


「良いな、1.2.3の合図でこの丸いのだけを引き抜いて全力で逃げろ、あの大木の影が良い、木の後ろで伏せとけ!」


鉄の扉に体当たりする音が聞え始めた、長くは持たない。


「行くぞ、1.2.3!」


俺も引き抜いて全力ダッシュ、木の後ろに先に着いた彼女に飛び掛り大声で怒鳴った。


「目を閉じ口を空け手で耳を押さえろ、今すぐだ!」


そう言いながら押し倒した所で腹に響く二重の爆音と共に塔の基部の半分が吹き飛んだ。


レンガの成れの果てやら何やらが降ってくる。一段落ついた後、目を開け木の陰から覗いて見るとちょうど


塔が下に崩れる所であった。


「生まれ変わったら公園で鳴いとけハト野郎!っゲホゲホ」


砂埃の収まった後、眺めるとあれだけ大きかった塔はガレキの山と化していた。


彼女は驚きの表情を浮かべながら聞いてきた。


「素晴しいお手並みです、魔術師ケーイチ、しかし雷の魔術しか使えないのではなかったのですか?」


「魔法じゃない、科学の力だ」


彼女は「よくわからない」といった表情を浮かべていた。



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