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No.1292の一覧
[0] とあるVRMMOのはなし(短編)[猫F](2005/08/13 14:54)
[1] Re:とあるVRMMOのはなし(短編)[猫F](2005/08/11 21:18)
[2] Re[2]:とあるVRMMOのはなし(短編)[猫F](2005/08/11 20:42)
[3] とあるVRMMOのはなし2[猫F](2010/08/25 02:10)
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[9] とあるVRMMOのはなし2[猫F](2010/09/02 08:22)
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[11] とあるVRMMOのはなし2[猫F](2010/09/07 00:08)
[12] とあるVRMMOのはなし2[猫F](2010/09/09 20:03)
[13] とあるVRMMOのはなし2[猫F](2010/09/12 21:19)
[14] とあるVRMMOのはなし2[猫F](2010/09/15 21:39)
[15] とあるVRMMOのはなし2[猫F](2010/09/19 14:20)
[16] とあるVRMMOのはなし2[猫F](2010/09/20 14:50)
[17] とあるVRMMOのはなし2・完[猫F](2010/09/20 16:18)
[18] とあるVRMMOのはなし2 おまけ[猫F](2011/06/15 21:06)
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[1292] とあるVRMMOのはなし(短編)
Name: 猫F 次を表示する
Date: 2005/08/13 14:54


まあ、なんというか。

大変なことに巻き込まれたかな、と。




  とあるVRMMOのはなし




とりあえず状況を説明してみましょう。

ボクは数ヶ月前知り合いに誘われ、とあるオンラインゲームを始めました。

ベータ版、ということでタダだったのが理由として大きいと思います。

最近の技術は凄いもので、このゲームは『現実並みのリアリズム』がウリだそうです。

脳やら神経接続やらがどうたら、とマニュアルに書いてあったような気がしますが、

そんな小難しいものは当然の如く読んではいません。

実際やってみると確かに大したもので、ボクはそのゲームにすぐにハマッてしまいました。

そんなボクが、正式スタート後も継続してプレイすることを望むのも自明の理というもので。

こうしてオープンセレモニーに出席している次第です。



まあそのセレモニーなんですが。

一万人を超えるプレイヤーの視線を集める中、お偉いさんのような一人がこう言い出しました。

『これは、デスゲームです』、と。

今も長々と説明していますが、

要約すると、どうやら普通に痛かったりリアルに死んだり、

当然の如くPK(プレイヤーによるプレイヤーの殺害)アリだったり、

ログアウトはできない、などと、

今となっては使い古されたMMOモノの小説の設定そのもののようです。



しかしボクの注意は、その内容とは別のところへと向けられていました。

それは、ヒゲでした。

今お話されている方の顎にそれはもう立派に、

これでもかと言わんばかりの存在感を主張するお髭です。

艶やかな黒、豊かな毛量。

何より、その先に結わえられたピンクのリボン。

ボクはそのヒゲに、らしくも無く強い嫉妬を覚えました。

ああ、プレイヤーの外観設定にアレがあったのなら、迷わず選んでいたのに。

初めて、GM(ゲームマスター)特権というものに憎しみを覚えました。



あまりに憎らしいので、ボクはおもむろに、

ベータから引き継いだ装備である愛弓に矢を番えました。


ちぇすとー。


放たれた矢はスコココン、といい音を立ててGMさんの額、胸、金的に狙い違わず的中しました。


GMさんは「はうっ」と一言だけ漏らしたものの、そのまま説明を続けます。

HPバーが僅かにも減少していないのは、やはりGM特権なのでしょうか。

しかしそこはそれ、このゲームのこと。

痛み自体はあったのか、少し顔色が悪いようです。



その反応を見たプレイヤーの皆さんは、一斉に暴動を始めました。

GMさんに向かっていく矢、石ころ、ナイフなど。

中にはNPC(ノンプレイヤーキャラ)を投げつけるツワモノも。

「ワシの若い頃はのぅ……」と言いつつ空を飛ぶお爺さんなどは、

思わず失笑を誘いました。



しかし、それでもGMさんはめげません。

体中に矢やナイフを突き立てられ、石を投げられ、NPCにぶつかられ。

少し涙目になりながら、必死に説明を続けます。

頑張れGMさん、頑張れヒゲ。

そう心の中で応援しながら、ボクは弓に新たな矢を番えました。




セレモニーが終わりました。

皆さんがこれからの事を相談される中、

ボクはこの世界での生活を盤石とするため、狩りに出ることにしました。

とにもかくにも生きていくのにお金が要ります。

そう思い、早速街の外に出ようとすると。


「セ、セージさ~ん!!」

と、少年に抱きとめられました。

線の細い、華奢な体つきの、美少年です。

リアルでも顔見知りの、表面上親友で通っている同い年の少年です。

そういえば、すっかり自己紹介するのを忘れていました。

セージ、というのがボクのプレイヤーネームです。


「ああ、ツバメ君ですか」

彼の名はツバメ君。

本名でもあり、プレイヤーネームでもあります。

彼が件の、ボクをこのゲームへ誘った知り合いです。

どういった知り合いかと言うと、名は体を表すというか。

彼は我が母上殿のツバメ君なのです。

我が母上は一年に2人のペースで若い男性を拾っては捨て、拾っては捨て。

中々に剛毅な人だと思いますが、そんな彼女が拾ってきた一人が、彼です。



「セセセ、セージさん、大変なことになっちゃいましたよぅ、どうしましょう~」

気の弱いことです。

先が思いやられます。

くっついて来られると足手まといなので、やんわりと切り捨てることにします。



口先三寸で丸め込み、互いに強くなったらまた会おう、

というあやふやな約束を残し、別れました。







それから数日経ちました。

順調に狩りをこなし、懐具合もホクホクになりました。

元々ベータから引き継いだパラメータは平均よりかなり高いものだったので、

適正な強さの敵を倒した時の稼ぎもいい感じなのです。

何度かツバメ君から近況を尋ねる連絡を貰いましたが、

まだ会えない、と返事をしています。

もちろん会う気は全くありません。




ボクのジョブは魔弓士です。

この世界のジョブを大別すると、剣士、騎士、弓士、魔道士になります。

その弓士の中で、魔法も扱うものを魔弓士と言います。

まあぶっちゃけ、スキルを使うことで矢に様々な効果を与えることが出来るということです。

いきなりなぜこんな取ってつけたような説明をするかというと。

今の状況を判り易くするためですね。



ボクがいつも通り狩りをしていると、既にボクが攻撃しているのにも関わらず、

見知らぬ剣士さんが横から敵を掻っ攫っていきました。

敵が残したアイテムも当然の如く彼のポッケの中へ。

そのまま何も言わず、彼は颯爽と去っていきました。

いわゆる、『横殴り』と言うマナーのなっていない行為です。

多少腸煮えくり返る思いだったものの、クールに流すのがスマートというものでしょう。

そのまま狩りを続けます。



数分後に、大声で「Help!」と叫ぶ声が聞こえました。

厄介ごとかな、と思いつつそちらへ向かうと、

そこには先程の剣士さんが。

むしゃむしゃ、とそれはそれは大きな芋虫さんに足から貪られていました。

かの有名な、オレサマオマエマルカジリ、です。


「Help! Help me!!」

英語を使っているところを見ると、外国の方でしょうか。

ともあれ、とても痛々しい悲鳴です。

ボクは迷わず取得している最大威力のスキル、『紅蓮爆矢』を展開し、放ちました。

赤いエフェクトを纏った矢は吸い込まれるように芋虫さんに突き刺さり、

轟音と閃光を撒き散らしました。

後に残ったのは芋虫さんの下半分と肉片、ドロップしたアイテム。

それと。

下半身を失って死んでいる剣士さんでした。


ふと、今しがた使ったスキルの効果を思い出しました。

確か、範囲内の敵全てにダメージを与える矢、だったかと。



「………不幸な事故でした」

南無、と呟きつつ十字を切り、左右を見渡して人目の無いことを確認。

剣士さんのご遺体を漁り、目ぼしい物をゲットしました。



結構な額を溜め込んでいたので、今日はご馳走にしようと思います。






そんなこんなで、ボクの冒険は幕を挙げたのでした。マル。



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