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No.12526の一覧
[0] 【完結】ゾンビ天国でサバイバル【R-15】[タミフル](2010/05/09 02:36)
[1] ゾンビ天国でサバイバル(01) 2日目 Part1[タミフル](2010/05/09 17:59)
[2] ゾンビ天国でサバイバル(02) 2日目 Part2[タミフル](2009/10/07 21:55)
[3] ゾンビ天国でサバイバル(03) 3日目 Part1[タミフル](2009/10/07 21:56)
[4] ゾンビ天国でサバイバル(04) 3日目 Part2[タミフル](2009/10/08 17:16)
[5] ゾンビ天国でサバイバル(05) 3日目 Part3[タミフル](2009/10/09 17:42)
[6] ゾンビ天国でサバイバル(06) 3日目 Part4[タミフル](2009/10/09 21:05)
[7] ゾンビ天国でサバイバル(07) 4日目 Part1[タミフル](2009/10/10 13:50)
[8] ゾンビ天国でサバイバル(08) 4日目 Part2[タミフル](2009/10/11 00:17)
[9] ゾンビ天国でサバイバル(09) 4日目 Part3[タミフル](2009/10/11 13:12)
[10] ゾンビ天国でサバイバル(10) 4日目 Part4[タミフル](2009/10/12 17:00)
[11] ゾンビ天国でサバイバル(11) 4日目 Part5[タミフル](2009/10/12 23:03)
[12] ゾンビ天国でサバイバル(12) 4日目 Part6[タミフル](2009/10/13 18:10)
[13] ゾンビ天国でサバイバル(13) 4日目 Part7[タミフル](2009/10/14 18:00)
[14] ゾンビ天国でサバイバル(14) 4日目 Part8[タミフル](2009/10/15 16:34)
[15] ゾンビ天国でサバイバル(15) 5日目 [タミフル](2009/10/16 18:38)
[16] ゾンビ天国でサバイバル(16) 6日目 Part1[タミフル](2009/10/17 19:34)
[17] ゾンビ天国でサバイバル(17) 6日目 Part2[タミフル](2009/10/18 19:32)
[18] ゾンビ天国でサバイバル(18) 6日目 Part3[タミフル](2009/10/19 21:13)
[19] ゾンビ天国でサバイバル(19) 6日目 Part4[タミフル](2009/10/20 18:36)
[20] ゾンビ天国でサバイバル(20) 7日目 Part1[タミフル](2009/10/21 17:15)
[21] ゾンビ天国でサバイバル(21) 7日目 Part2[タミフル](2009/10/22 16:32)
[22] ゾンビ天国でサバイバル(22) 8日目 Part1[タミフル](2009/10/23 18:16)
[23] ゾンビ天国でサバイバル(23) 8日目 Part2[タミフル](2009/10/24 10:33)
[24] ゾンビ天国でサバイバル(24) 8日目 Part3[タミフル](2009/10/24 19:01)
[25] ゾンビ天国でサバイバル(25) 8日目 Part4[タミフル](2009/10/25 09:26)
[26] ゾンビ天国でサバイバル(26) 8日目 Part5[タミフル](2009/10/25 20:12)
[27] ゾンビ天国でサバイバル【あとがき】[タミフル](2009/10/25 20:06)
[28] ゾンビ天国でサバイバル【設定資料集・蛇足的なおまけ】[タミフル](2010/05/25 08:04)
[29] ゾンビ天国でサバイバル(番外編) 高田生存報告[タミフル](2010/05/09 17:58)
[30] ゾンビ天国でサバイバル(番外編) 瀬田渋蔵編 Part1[タミフル](2010/05/23 06:15)
[31] ゾンビ天国でサバイバル(番外編) 瀬田渋蔵編 Part2[タミフル](2010/05/23 17:34)
[32] ゾンビ天国でサバイバル(番外編) 瀬田渋蔵編 Part3[タミフル](2010/05/24 08:36)
[33] ゾンビ天国でサバイバル(番外編) 瀬田渋蔵編 Part4[タミフル](2010/05/25 07:56)
[34] ゾンビ天国でサバイバル(番外編) 瀬田渋蔵編 Part5[タミフル](2010/05/26 08:14)
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[12526] ゾンビ天国でサバイバル(22) 8日目 Part1
Name: タミフル◆542bb104 ID:875818b7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/10/23 18:16
■22



ゾンビ大発生から八日目、昨日のこともあり俺は少し寝坊してしまった。

今日は夜にさっそくS市第三中学校に行ってみるつもりだ、ある意味で丁度良かったのかもしれない。



時計を確認すると既に10時をまわってしまっている、朝食には遅すぎるし昼食にはちょっと早い。

だが腹は減っている、俺は仕方がないので少々早めの昼食を取ることにした。



熱いシャワーを浴びて目を覚まし、髪を整えヒゲも剃る、ものの20分ほどでさっぱりした俺は部屋を出た。

食料類は全て由衣ちゃんがいる部屋の方に運び込んである、食事をするためには向こうの部屋に移動する必要がある。



俺同様に腹をすかしているであろうラッキーと一緒に由衣ちゃんの部屋玄関前で呼び鈴を鳴らす。

さすがにもう10時をまわっている、彼女も起きているだろう。

5秒もしないうちに扉が開かれ彼女が出迎えてくれた、だが俺はその姿にまたもや驚かされた。



腰まで届く長い髪を後ろで一束に纏めたポニーテール。

前髪も綺麗に左右に分けられ、可愛い素顔がよく見えた。

そして着ているのは男物のワイシャツのみ、着替えがなかったのでしょうがなかったのだろうがサイズが合わないため胸元などがチラチラ見えてしまう。

童貞である俺にはあまりにも目に毒だった。



「お、おはようございます高田さん、ど、どうぞ上がってください」

「あ、ああ、お邪魔するよ、何か食べ物を取りにきたんだが」

「あ、じゃあ、私が用意しますね、その、高田さんはリビングの方で待っててください、すぐに用意しますから!」

「いや、別にそんなことしなくても自分で」

「だ、大丈夫です! 任せてください、ささ、高田さんはここでリラックスしててください!」



俺は由衣ちゃんの妙な迫力にグイグイ押されるように座らされてしまう。

本当ならさっさと食料だけ持って部屋から出るつもりだったのだが。

彼女、あんなに押しの強い子だったっけ? 気弱ないじめられっこじゃなかったっけ?

予想以上に元気なのもそうだが、由衣ちゃんの積極的な性格の変化にも驚かされた。



俺はしばし呆然としながら、とりあえず言われるまま大人しく待つことにした。

仕方がないので隣にちょこんと座っているラッキーを撫でて暇を潰すことにする。



「なぁ、ラッキー、どうなってんだろうな?」

「ワン?」







10分ほどして由衣ちゃんが持ってきてくれた食事はなかなか立派なものだった。

レトルトや缶詰が中心なのだが、こうして温められてきちんと皿にのせられて出されるとやけに美味しそうに見えてくる。

組み合わせもちゃんと考えられているようで、ライス、みそ汁、さんま蒲焼、味のり、ちゃんとお茶も煎れられていた。



「あの、とりあえずあった材料でやってみましたけど、ど、どうぞ」

「……ありがとう、いただきます」

「は、はい!」



正直、空腹も手伝って目の前の食事が素晴らしく美味しそうに見える。

最近はカロリーメイトとか、缶詰オンリーとか、不味くはないけど少々味気ないものばかり食べていたからこういう食事はすごく嬉しい。

作れないこともないが、どうにも手間が面倒で簡単に済ませられるモノばかり食べていたのだ。

手を合わせ「いただきます」といって食べはじめる、隣ではラッキーも俺同様にごはんを貰っておりご機嫌な様子でムシャムシャ食べていた。







「ごちそうさまでした」

「あ、私が片付けますね、高田さんはゆっくり座っててください、今熱いお茶持ってきますから」

「あ、ありがとう……」



しばらくして食事も終わり、腹を満たした俺が食器を下げようとすると、その前に由衣ちゃんがすばやく持っていってしまった。

食後に熱いお茶まで出してくれるサービスぶりだ、お礼のつもりなのだろうか?



もともと特に見返りを求めて助けたわけではないが、こういう形でお礼してくれるのであればありがたいのもまた事実。

感謝されれば嬉しいし、なにも感謝されないよりはずっとマシだ。



だが、ありがたいのだが、何かひっかかるものがある。

昨日の俺の態度を思い出しても、ここまでお礼をされるような人間の態度じゃないと思う。

情をこれ以上もたないように、ろくに話も聞かず一方的にこっちの意見だけを告げ、さっさと去っていったのだ。

普通の人間ならそんな態度の奴には怒りこそすれ、感謝を念を抱きづらいと思うのだが。

なのに、なぜ彼女はいきなりあんなに元気な態度で俺にサービスしてくれるのだろうか?



彼女の煎れてくれた熱いお茶を口に運びながら、俺の疑問は尽きなかった。







キッチンで洗い物をしてくれていた由衣ちゃんが戻ってきて、今度は洗濯物があれば出してくれと言ってきた。

さらに隣で俺が使っている部屋も掃除したいとも申し出てきた。



だが、流石に病み上がりの彼女にこれ以上何かさせるつもりはない。

俺は彼女の申し出を断ったのだが、そこで由衣ちゃんの態度は予想外の反応を見せた。



「あ、あの、私がんばりますから、役に立ちますから、どうかここにいさせてください!」



先ほどまでの元気な笑顔を一気に崩し、必死な形相で縋りつくように懇願してきた。

いや、現に俺の服をしっかり掴んで離さない、少女らしからぬすごい力だ。



だが、なんとなくそれでこれまでの彼女のサービスたっぷりな態度の原因がわかった、やはり昨日の俺の話が原因だったのだ。

恐らく由衣ちゃんは自分を見捨てたクラスメイトのいるあの避難所に再び戻るのが嫌なんだろう。

間接的とはいえ殺されかけたのだ、苦手意識は相当なものだろうし、無理もない話だ。



食事の世話をしたり、掃除を率先してやろうとしていたのは必死になって自分が役立つ人間だとアピールしようとした彼女なりの努力なのかもしれない。

そして、昨日の俺の態度に怒るよりもそちらを優先したということなのだろう。



だが、それでも彼女をここに置くわけにもいかない。

俺の個人的な問題に過ぎないのだが、正直こんな状況で女の子を匿う余裕は俺にはない。



それに昨日も思ったことだが、女の子とたった二人での生活でいつまでも紳士でいられる自信もないのだ。

相手の弱みに付け込んで身体を求めるなんてことはしたくないし、させたくもない。

だが、気持ちでいくら思っていようと生理現象には逆らえない場合もあるだろう、だからこそ一緒には暮らせない。



由衣ちゃんの話を聞く限りS市第三中学校の避難所は警察官がリーダーとなり治安も保たれているだろう。

備蓄も十分あり大人だって多いはずだ、あれだけ大規模な避難所なら自衛隊だって優先して救助してくれるだろうし、俺と二人でいるよりは彼女の身は安全であると思える。



いじめっこのクラスメイトだってそんな状況下で無茶はできないだろう、なにより一緒にいる警察官がさせてくれないだろう。

もっとも、肝心の警察官が暴徒化していたら話しは別だが、何も分からない現状でそうだと決め付けるのは早計かもしれない。

それに送りとどける時にスタンガン等を持たせるつもりなので、いざとなれば自衛手段だってある。

さらに以前の教訓を踏まえてゾンビ侵入に対する警戒は強いだろうし、その点でも心配はいらないはずだ、と思う。



そしてなによりも、俺は対人関係のトラブルを恐れてこの隠れ家を確保したのだ。

例えここで本格的に暮らすにしても、他人に頼らず自力で生きていけるような(例えば瀬田さんのような)大人でないと困る。



一人で生きていくのも大勢で生きていくのもそれぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いかなんて俺にはわからない。

ただ、自分の面倒は自分で見る、そう言うことができるならば対人関係のトラブルは格段に少なくなるだろう。

それが無理で他者に頼り依存して生活するならば避難所へ行った方が良い、そういう人々が助けを求めて集まる場所なのだから。

無理に自力で生きていこうとしてもどうせそのうち自滅するだけだ、それなら多少生活環境の不備を我慢しても集団の中で暮らすべきだと思う。



ここは一人二人くらいなら一時的に保護して面倒を見るくらいならできるが、ずっとは流石に無理だ。

自力で動けるようになったのなら他の避難所へ行ってもらうのが俺にとっても最善である、一緒に暮らしていくうちに追い詰められて殺したり殺されたりはごめんだ。

人として最低限の義理人情は果たすつもりでいるが、必要以上に善人になって自分を犠牲にするつもりもない。



そして俺は足手纏いの世話をして死ぬつもりもない。

酷い話かもしれないが、由衣ちゃんは間違いなく俺にとっての足手纏いなのだから。







俺は由衣ちゃんを落ち着かせながら、いかに避難所の方が彼女にとって安全かよく話し説得した。

そして俺が人間関係のトラブルを恐れてここに住んでいることも説明した。



さらに、情けない話だが、つい「性欲に負けて襲い掛かるかもしれない」という正直な懸念事項も話して彼女を蒼褪めさせてしまった。

これまで俺のことを良い人と思っていたかもしれない彼女にとってはその告白はショックだったんだろう、しばらく無言で俯いて黙っていた。



だが俺はトドメとばかりにここで暮らすには『自分で自分の面倒を見れる人間』でないと許可できないとも話した。

それは食料などを自力で確保し、誰にも頼らずに一人で生きていけるということが絶対条件、か弱い女子中学生の由衣ちゃんには到底無理なことだった。



流石の由衣ちゃんも俺の言っている意味がわかったのだろう。

黙り込んでそれ以上懇願してくることはなかった。

俺は少々の気まずさと、罪悪感もあって、出発する準備があると言って部屋を出ていった。







マンション内の通路を歩きながら自分の言動をちょっと反省、さすがにハッキリ言い過ぎたかもしれない。

彼女としても必死なのだろう、それをああもボロクソに論破したのはさすがにやり過ぎだ。

なにか後でフォローしておかないとな、このままじゃちょっと可哀想だし。



……そうだ、せっかくここには温泉があるのだし大浴場を用意してあげよう。

お湯の無駄使いかもしれないが少しは喜んでくれるはずだ。

避難所にいけばろくに風呂にも入れないだろうし、その前に温泉でちょっと良い思いをしたっていいはずだ。



あと何か綺麗な服とかも用意してあげよう。

いつまでもあんな男モノのワイシャツじゃ可哀想だしな、サイズとかわからんからテキトウにいっぱい持ってくることになるだろうが、まぁ、選ぶ楽しみもあるということで。

これまで女の子にプレゼントとかしたことないけど、服とかが定番なのは知ってるし多分大丈夫だろう。



……はぁ、しょせん偽善か。





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