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No.11816の一覧
[0] 【完結】デスゲームではない【VRMMORPG】[ハリコの豚](2009/10/09 20:26)
[1] プロローグ[ハリコの豚](2009/09/14 20:07)
[2] 一話[ハリコの豚](2009/09/18 19:47)
[3] 二話[ハリコの豚](2009/10/03 19:03)
[4] 三話[ハリコの豚](2009/10/02 22:16)
[5] 四話[ハリコの豚](2009/10/03 19:04)
[6] 五話[ハリコの豚](2009/09/19 23:01)
[7] 六話[ハリコの豚](2009/10/03 19:05)
[8] 七話[ハリコの豚](2009/10/03 19:06)
[9] 八話[ハリコの豚](2009/09/22 18:24)
[10] 外伝1[ハリコの豚](2009/09/29 23:03)
[11] 九話[ハリコの豚](2009/10/03 19:06)
[12] 十話[ハリコの豚](2009/10/03 19:07)
[13] 十一話[ハリコの豚](2009/10/01 00:36)
[14] 十二話[ハリコの豚](2009/09/26 18:11)
[15] 十三話[ハリコの豚](2009/09/28 12:09)
[16] 十四話[ハリコの豚](2009/09/28 18:20)
[17] 十五話[ハリコの豚](2009/10/03 19:12)
[18] 外伝2[ハリコの豚](2009/09/30 18:13)
[19] 十六話[ハリコの豚](2009/09/30 18:24)
[20] 十七話[ハリコの豚](2009/10/02 00:44)
[21] 十八話[ハリコの豚](2009/10/03 01:02)
[22] 十九話[ハリコの豚](2009/10/03 18:13)
[23] 二十話[ハリコの豚](2009/10/04 21:55)
[24] 二十一話[ハリコの豚](2009/10/06 18:16)
[25] 二十二話[ハリコの豚](2009/10/06 18:14)
[26] 二十三話[ハリコの豚](2009/10/07 18:22)
[27] 二十四話[ハリコの豚](2009/10/08 18:29)
[28] 二十五話[ハリコの豚](2009/10/10 09:58)
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[11816] 八話
Name: ハリコの豚◆40baa12f ID:62227e72 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/22 18:24

 今日のPT狩りは休みになった。

 グラッチェがギルドの会議と言う事で、ミッシェルも付いて行った。

 チルヒメは水魔法のスキル上げに行くと行っていたし、キールは辻ヒールをしに行った。

 ちなみに辻ヒールは、神聖魔法のスキル上げに回復職が好んで行う作業だ。

 訓練用のデコイにヒールをかけるより、楽しみながらできるとか。

 デス娘は相変わらずなので、よく判らないが、スキルでも上げているのだろう。

 俺はこの機会に、山門へ行く事にした。




 月白に乗って、駆け抜ける草原。

 非常に気持ちがいい。

 偶にアクティブモンスターが反応を見せるが、月白は構わず駆け抜ける。

 全てをぶっちぎる。

 「いやー、騎乗スキルっていいな」

 しかも騎獣の場合、敵を倒さなくても騎乗して走るだけで、経験値が貯まっていくのだ。

 もちろん経験値を得るのは騎獣だけだが、乗っている者は騎乗スキルの熟練度を得る。

 一気に山門へ向かって駆けていく。




 「おおー、正に江戸って感じだな」

 時代劇の映画村より本物っぽい。

 いや、比べるだけの知識なんか無いが、そんな感じがするのだ。

 俺は早速、武器屋へ入っていった。

 「おや、おサムライ様でございますな。

  本日はどういった御入用で」

 「ああ、サムライの服が欲しいんだ」

 「さようでございますか。

  ご一緒に鎧などはいかがでしょうか?」

 「お、和式の鎧兜が売っている。

  …… 高いな。

  とりあえず服でいいよ」

 「さようでございますか。

  では、どう言った色に致しましょうか」

 む、色か。

 そう言えば、この町にいるサムライはみんな色々な色の服を着ているな。

 俺は薄い青系統の裃にした。

 武器の新調も考えはしたが、刀は千鳥があるし、槍や弓も千鳥を使える頃に一緒に替えることにした。

 さて、どうするかな。

 ホームまでは、夕方までに帰ればいいし、少しこの近くで狩りでもするか。

 そうだ! 折角この間、騎乗槍を修得したんだ。

 この際に練習しておこう。




 この辺りの敵は、子鬼と鎧鬼、レベルはソロで30前後の狩場と言うから、ちょうどいいだろう。

 月白を駆けさせ、槍で突き刺…… 外れた。

 Uターン。

 今度こそ…… 突き刺す!

 おお、1撃で殺した。

 子鬼は1撃で殺せるのか。

 じゃあ鎧鬼に行ってみるか。

 ガスッ!

 お、当たったが、1撃じゃ死なないな。

 うわっ! 後ろから、やめろ!

 Uターン、ターン、ターン。

 えい!

 突き! 突き!

 「…… ふう、やばかったな」

 ソロは久しぶりだったから、気を抜きすぎた。

 ここでホームに死に戻りも、ちょっと情け無い。

 うむ、1撃くれたら、充分距離を走って、Uターンだな。

 ガスッ! …… ターン。

 ガスッ! …… ターン。

 ガスッ! …… ターン。

 ガスッ! ……

 かなり効率悪いな。




 うむ、敵の前で止まって、連突き。

 これだな。

 ガスッ! ガスッ! ガスッ! ガスッ! ……

 馬に乗ってる意味あるのか?

 …… 道場で熟練度上げた方が速いな。

 ホームに戻るか。




 ちょうど昼飯時か。

 俺がいつもの食堂に行くと、チルヒメとデス娘がいた。

 彼女らも昼飯かな。

 でも、知らない人たちと話をしているな。

 一応声だけでもかけとくか。

 「よお」

 「あ、ヨシヒロさん、いい所に来て下さいました」

 「ん?」

 「実は、この方々は私達の別キャラが所属していたギルドの、マスターと副マスターなのですが。

  少々誤解があるので、それを証言していただきたいのです」

 「誤解?」

 ふむ、とりあえず俺は同席した。

 そこで紹介された2人が口を開いた。

 「俺は、ギルド”花鳥風月”のマスターで、バーリンと言う」

 「僕は、副マスターのマイトだ。」

 「…… マイト(まいと)」

 デス娘がボソリと言ったのは、マイトさんの登録名か?

 マイトさんが、チラリとデス娘を見て口を開く。

 「君は君達のPTのリーダーが、元レクイエムのギルドマスターだと言う事は知っているか?」

 「…… グラッチェがリーダーかどうかは知らないけど、彼の1stキャラがメルスィーって事は聞いている」

 「ふむ、では我々のギルド名に心当たりは?」

 「初耳ですね」

 「彼は、ログアウトの事件が有った日に、初めてゲームを始めた初心者なんです。

  ギルド間の事は、殆ど知りません」

 チルヒメがフォローを入れてくれた。

 「なるほど、では簡単に言うと、我々のギルド、花鳥風月とレクイエムは……

  そうだな、明確に敵対している訳ではないが、内心は敵同士だと認識している間柄だ。

  特にこちら側はな」

 マイトさんの言葉を継いで、バーリンさんが自嘲するように言った。

 「正直、今のレクイエムがどこまで俺達を、意識しているかなど……

  大して、していないとは思う。

  こちらも、こう言う関係になった原因が、うちにあったのは認識しているのだ。

  今更、表立ってどうこうと言うことではない。

  ただ、な。

  見る者が見たら、花鳥風月の中心プレイヤーが2人、レクイエムのマスターに引き抜かれた……

  とな」




 ふうむ、良く判らんが。

 敵対ギルドのマスターであるグラッチェが、チルヒメやデス娘とPTを組んでいるのが、気に入らない…… と。

 「チルヒメとデス娘は、元のギルドに戻るのか?」

 「いえ、そのつもりはありません。

  私もデス娘もネタキャラですし、合戦ギルドの花鳥風月に入りなおした処で、意味はありませんし」

 「じゃあ、バーリンさん達は2人がギルドから抜けるのが、許せないと?」

 「いや、彼女達がギルドと無関係になる。

  と言う話は、前に聞いてあるし、了解もしている。

  問題なのは、彼女らがメルスィー…… 今はグラッチェか。

  彼のPTにいる事だ」

 「それが判らない。

  今の彼女たちは、貴方たちのギルドにいたキャラと別キャラで、もうギルドに登録しているキャラに戻る事はできない。

  プレイヤーが同じだったとしても、俺達にはもう中の人はいないんだ。

  それに、花鳥風月が合戦ギルドだから戻れないと言うのなら、レクイエムだって同じでしょう。

  あそこも、合戦ギルドだから」

 「勘違いしないでいただきたい。

  僕やバーリンは、彼女たちがレクイエムに入るとは思っていない。

  だが、彼女たちがこのPTにいる事で、そう思う人たちがいる。

  それが問題なんだ」

 「どう問題だと?」

 「うちのギルドは、レクイエムと敵対した事件で、1度崩壊しかかっている。

  それを初期メンバー数人で、なんとか盛り返して来た。

  彼女たち以外にも、ログアウトの事件以降、ログインしていなかった者も、脱退した者もいる。

  残っても、キャラが替わった者もいる。

  ここで彼女たちが、レクイエムに寝返ったなどと言われたら、折角頑張ってきた苦労が無に帰る」

 「ちょっと、寝返ったとか、おかしいんじゃないですか?」

 「先程も言った通り、そう思う人たちがいる…… と言う事だ。

  現に、この件を僕達に知らせて来た者は、2人が裏切ったと騒ぎ立てていた。

  2人は前の、ギルド崩壊時にも残ってくれた初期メンバー。

  影響力が大きいんだ。

  彼女たちが、花鳥風月を見捨てたなんて言われたら、今度こそ終わってしまう」




 「待ってくれよ、さっきから聞いていたら、自分達の都合ばかりじゃないか」

 「その通りだ。

  だが彼女たちも、元はうちの中心メンバーだったんだ。

  その程度の事は、考えてPTを組んでもらいたかった。

  と言っては言いすぎかな?」

 「グラッチェさんが、メルスィーと同一人物だと知ったのは、PTを組んで暫くしてからの事でしたので…… 」

 ミッシェルが入った時だろうな。

 「俺としてはバーリンさん達が、自分の都合を押し付けるだけなら。

  チルヒメたちも自分の都合だけ考えて、ギルドは無視してPTに残ればいいと思うよ」

 「…… そうする」

 デス娘の心は固まったようだ。

 「待ってくれ、脅す訳じゃないが、既に誤解している者が出ていると言っただろう。

  このままだと、逆恨みする者が出ても不思議じゃないんだ。

  それだけ我々の、レクイエムに対する蟠りは深い」

 脅しじゃねぇか。

 「そう言う事なら、他のPTメンバー3人も呼びましょう。

  グラッチェも居ないと、話が進まないようだ」

 俺は3人に連絡を付けた。




 「なるほど、話は判った。

  だが俺は、今の今まで彼女たちが、そちらのギルド員だったことは知らなかった。

  もちろん、彼女たちが合戦に出る気が無い以上、勧誘する気もない。

  第一、俺はこのPTのリーダーと言う訳でもない」

 「周りの人は、そう見ないと言う事ですよ。

  特に我々のギルドは、貴方のギルドに偏見と言うか、拘りを持つ者が多い」

 「…… では、どうしろと?」

 「できれば2人を、PTから外して貰いたい」

 「出来ないわね。

  第一、あの合戦はレクイエムとの問題と言うより、貴方たちの内部問題じゃない。

  合戦を吹っかけて来たのも貴方たち、自爆したのも自業自得。

  違う?」

 グラッチェは冷静だが、ミッシェルは、かなり喧嘩腰だな。

 「確かにその通りだ。

  だが、ここに及んで、この状況で2人にレクイエムに付かれる、と思われる行動は…… 」

 「元々それが誤解なのですから、誤解を解く努力をしたらどうでしょう」

 とはキールの発言。

 「既に彼女たちに、誤解だと言う回答を貰って、ギルドのみんなに説明はしている。

  その上で納得して貰えなかったから、こうやって頼んでいるんだ」

 「ではどうでしょう、彼女たちに別のギルドに入ってもらっては。

  こうなっては花鳥風月に戻るのも、お互いやり難いでしょうし。

  あなた方は2人が、レクイエムにさえ入らなければいいんですよね。

  チルヒメさんも、デス娘さんも。

  このまま花鳥風月の皆さんに色々言われ続けるよりは、その方がいいのでは?」

 「しかしキール、簡単に言うが当てはあるのか?」

 「新しく作ればいいでしょう、狩りギルドにでもして。

  マスターはヨシヒロ君でいいですか。

  そうしたら、ついでに僕も入っておきますか」

 「あ、だったら私も入れてよ、もうレクイエムには戻らないし。

  合戦は弓職だと、あんまり面白くないんだよね。

  みんな並んで、撃てーーーーっ! だし」

 「ふむ、俺が入れないのは残念だが、いい案では?」

 「そうですね、それで問題が解決するのならば、私は構いません」

 何だか、俺がギルドを作ることで、話が纏まってきているんだが?

 デス娘もコクコクと頷いてるし。

 「どうする? 花鳥風月の。

  こちらが譲歩できる上限だと思うが」

 「もちろん、ギルドを新規に作成するとしたら、必要な物は提供していただきますよ。

  こちらは本来、ギルドを組む必要も、そちらに配慮する必要もないのですから」

 キールも中々抜け目ない。

 「判った。

  即答は控えさせてもらうが、その方向でギルド員を説得してみる。

  もちろん、ギルドを作るとしたら、必要な物資は提供させてもらう」

 そして彼らは帰っていった。




 「…… なあキール。

  なんで俺がマスター?」

 「こう言うのは前衛の方が似合いますからね。

  それにグラッチェ君では意味が無いです。

  仮に新しいギルドを立てても、返って彼らの言い分を肯定する様なものです。

  その意味ではミッシェルさんでも、レクイエムの支部扱いをされる可能性があります。

  チルヒメさんやデス娘さんでも良いですが、当事者ですからね。

  第3者のギルドである方が望ましいでしょう。

  僕ですか? 僕には似合いませんよ」

 面倒だし。

 と、後に続きそうな勢いでキールが言った。

 「その時は、お願いします」

 チルヒメにも頭を下げられてしまった。

 「ま、まあ、花鳥風月の出方しだいだね。

  それで納得するとも限らないわけだし」

 「納得しなかったら、無視すればいいだけだよ。

  その時はレクイエムがバックに付くし」

 バックって…… グラッチェ。



 3日後、新しくギルドが設立される事に決まった。

 マスター…… 俺。

 「これがギルド設立申請書だ。

  これに必要事項を書いて、城に提出すれば、ギルドアジトを与えられる」

 バーリンさんが、そう言って紙を渡してくれた。

 「結構な金額と、ギルド設立用のレアアイテムを消費して、得られる物だからな。

  課金アイテムでも設立はできるが、今ならそっちの方が貴重だから。

  どっちにしても、それを用意するくらい切羽詰ってたって事か」

 グラッチェが解説してくれたが、かなりの貴重品らしい。

 「一応、こちらの条件としては、2人の加入したギルドと花鳥風月との同盟だ」

 「同盟?」

 「簡単に言えば、ギルド間の協力体制を敷くと言う事だ。

  同盟の他には、従属と言う関係もあるが、これは各ギルドが盟主となるギルドの支部みたいな扱いだな。

  しかし、俺がPTに居る関係上、レクイエムとしても同盟を望むが?」

 と、グラッチェ。

 「それは、そちらのギルドが判断する事だ」

 バーリンさんの答えは、それでも構わないと言う事…… か?

 まさか、ウチと同盟結ぶのにレクイエムと同盟とか、あ・り・え・な・い。

 判ってんな! ゴルァ。

 って事じゃないよな。

 「問題ないでしょう、申請書はありがたく頂いておきます」

 お、キールがサックリと承諾した。

 「では、ギルド設立後に同盟の申請をしておいてくれ」

 そう言って彼は帰って行った。




 「問題ないんだよな?」

 「と言うより、彼らは我々とレクイエムの同盟を、望んでいるでしょう。

  つまり、そろそろ関係を修復したいから、我々に間に立て。

  と言う事でしょうね」

 「…… え?」

 「大丈夫ですよ。

  それは、あくまでも花鳥風月の思惑。

  それもただの推測にしかすぎません。

  実際にどういう関係を築くかは、これからのお互い次第でしょうね」

 「やっぱり、お前がマスターになった方がいいんじゃないか? キール」

 「いや、僕みたいなタイプは、頭にならない方がいいんですよ」

 そう言うものかね。

 「じゃあ、副マスターはどうする?」

 「チルヒメさんがいいでしょう」

 「キールさんは、副マスターになる心算はないのですか?」

 チルヒメが聞いてきた。

 「貴方やグラッチェ君のようなタイプがマスターであれば、僕が副になってもいいですが。

  ヨシヒロ君の様なタイプには、副は貴方の様なタイプの方がいいと思いますよ」

 「あたしやデス娘は、どっちにしろ向かないから、そっちの決定に従うよ」

 「判りました。

  それでは、私が副マスターを、勤めさせていただきます」

 「ふむふむ、ホームはここでいいか?」

 「どうでしょう、狩りギルドなのですから、高レベルの狩場近くの方が、後々便利なのでは?」

 「しかし今現在、我々は低レベルなのですから……

  それに高レベル狩場付近から、低レベルの時にこちらへ移動するのは大変です。

  逆はそれほどでもありませんが」

 「ねぇねぇ、マスターはサムライだし、副マスは浪人なんだから、いっそ山門か水門にするってのは?」

 「ふむ、山門はともかく、水門はいいかもしれませんね。

  ここからも比較的近いし、港町だから船で各地方に行ける」

 「港町を選ぶのであれば…… 」

 「それなら、いっそ…… 」

 正直、未だに知らない地域がたくさんある俺には、ついて行けない。

 結局、この世界の中心地である場所。

 つまり、ここにアジトを建てる事になった。

 「じゃあ申請してくる」




 新しいギルドが立ちました。

 名前は”パンドラの壷”。

 俺達は、ゲームと言う壷の中に残された物。

 出るとゲームの運営側には、最後の災厄となる様な存在。

 そんな皮肉を込めて付けた名前だ。

 ま、それはともかく、ギルドアジトができましたよ、と。




 「へえ、ここが俺達のギルドアジトか」

 「まだまだ小さいですが、ギルドレベルを上げればどんどん大きくなります。

  もっとも、大きくする必要があるかは、話し合って決めなくてはいけませんが」

 キールがそんな事を言う。

 「大きくなると、どうなるんだ?」

 「例えば、今は2階に個室が10個あります。

  これは、そのままギルド員のプライベートルームで、ギルド員の最大数でもあります。

  これからは、宿屋に泊まらずとも、ここで寝起きができますね」

 「なるほど、それが増えるのか」

 「もちろん、それだけではありません。

  アジトの中に訓練所や武器屋を配置したり、製造職がいれば、工房などを作るのもいいでしょう。

  外向けに店を構えて、ドロップ品などを、他のプレイヤーに売ることもできます。

  ギルド員が、共有で使える倉庫の保存数も増えますし、他にも色々」

 「それは便利だな」

 「ただ、まだ先の話ですね。

  今は僕たち自身の、レベルを上げた方がいいでしょう。

  僕の意見をいいますと、レベルが上がり難くなってくる80代からでも、遅くはありません」

 「今の段階で、経験値の一部をギルドに廻すより、高レベルになってからの方が、効率いいですし」

 「ふーん、そう言うもんか」

 「まあ、今は宿代が要らなくなっただけ、とでも思っていればいいですよ」




 こうして、俺はギルドマスターになった。

 …… あまり、何も変わってないな。


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