5話 うずまきナルトのカレーな修行
「う~ん…」
本日のアカデミーの授業が終わり、ナルトは自室でうなっていた。
監視役の3人は夕方になってから来るので、部屋にはまだいない。
『何をうなっている?』
「あ、いたの?」
『………。』
確かに最近出番なかったけど…泣きたくなってきた死神であった。
『…それで、何をそんなにうなっているんだ?』
「今日手裏剣の授業があったんだよ…。投げれたしちゃんと目標に百発百中だったんだけどね…」
『ならいいじゃないか。』
「いや、それがさぁ、勢いっていうか…威力がいまいちなんだよねぇ……」
『…子供の身体で大人の頃と同じ威力を求めるほうが間違ってると思うぞ。』
「そーだけどさぁ…それを差し引いても威力がいまいちのような気がするんだよね。……身体鍛えなおすかな。」
『子供の時分に鍛えすぎると背が伸びんぞ。』
「痛いトコつくね。う~…どうしたらいいと思う?」
『俺に聞くのか…そうだな、チャクラコントロールを鍛えてはどうだ?』
「チャクラ? なんで? 自慢じゃないけど僕、チャクラコントロールには自信があるんだけど。まあ、最近は練ってないけどさ。」
『チャクラによる肉体活性で適齢期になるまで乗り切ってはどうかとな。それにおそらく以前のチャクラコントロールは今のお前には通用せんと思うぞ。』
「はへ?」
訳がわからず首を傾げるナルトに、死神はやってみればわかると言う。
ナルトは納得はできなかったが、監視役の3人が来るまでチャクラコントロールの訓練をやってみようと外へと出かけた。
◇◆◇◆◇
数ある訓練所の中の一つ、第7訓練所。
取り立てて変わったものはないが、昔、波風ミナトであったときにカカシたちと初めて任務(といっても試験だったが)をやった思い出深い場所でもある。
ナルトはぐるりと周りを一望すると、その一角にある慰霊碑に近づいた。
慰霊碑には任務中に殉職したものの名前が書き記されている。
その中から一つの名前を見つけ出すと、ナルトはその名前の部分をなぞった。
うちはオビト
初めて受け持った下忍で、任務中に殉職させてしまった初めての生徒。
あの時のことを思い出さない日はない。
昔も、そしてこれからも。
だが、オビトはまだ生きている。
僕の中で、そしてカカシの中でも。
ナルトになってからは一度もカカシにあったことはないけれど。
「久しぶり、オビト。そちらにいくのはもうちょっと…先になりそうだよ。」
そうしてもうひとなでするとその場を離れるナルト。
向かう先には1本の木。
チャクラコントロールを鍛えるにはやはり最初は木登りであろう。
(足にチャクラを集中…!)
そして第一歩を木に着け――
バゴン!!
響く爆発音。
なんとナルトが足をつけた木が、ナルトの足をつけたところを中心に爆発四散したのだ。
「…へ!?」
ナルトはその光景が信じられず、出したままの形で固まっている自分の足と爆発四散した木とを交互に見る。
「なんでぇ…??」
『やはりそうなったか。』
空中に現れる死神。
こうなることは予想済みだったらしい。
「どーゆうこと!? なんで、どうして、爆発しちゃうんだよ!!」
『落ち着け波風ミナト。』
「今はうずまきナルトだよ!! どうして!?」
『…少し考えればわかるだろう。とにかく落ち着けナルト。』
死神に言われ、深呼吸をするナルト。
ひとまず高まった気を落ち着かせる。
そして改めて死神に向き直る。
「なんでこうなったか君はわかってるの?」
『…ああ。少し考えればお前でもわかるだろう。今のお前の中には何がいる?』
「何って…九尾だけど……っ!」
『気付いたか。生前のお前は自分のチャクラしか使っていなかったのが、現在は八卦の封印式からもれ出る九尾のチャクラもつかうことになっている。しかも、おまえ自身のチャクラも生前と比べ物にならないほど高くなっている。なんせ九尾の魂を押さえつけられるほどだからな。単純に言えば、九尾×2の量のチャクラがお前の中に収まっているんだ。』
「うげ…九尾×2?」
『そうだ。当然今までのチャクラコントロールなどものの訳にもたたん。なんせ死神とはいえ、神と契約を結んでしまうほどだからな。今までのようなチャクラコントロールでは当然こうなる。』
…と、先ほど爆発四散させた木を指差す死神。
良かった、忍術の授業が入る前に気付けて。
もしこんなことが授業で起ころうものなら、たちまち大惨事だ。
「ねぇ…聞きたくないけどさ。もしこの状態で普通の忍術使ったら……どうなる?」
『そうだな、大規模忍術なら問題ないだろうが、普通の忍術なら火炎放射器で線香花火に火をつけるようなものだな。』
「………マジ?」
『大マジだ。』
はあぁぁああ…
大きな溜め息をつくナルト。
こんな基本的なことからやり直さなければならないなんて…
「とりあえず、木登り以外の訓練の仕方を考えなきゃ。」
毎回爆発四散させたんじゃ、木の葉の木が激減してしまう。
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あとがき
久しぶりの死神登場。
ナルトは修行開始。
たぶん原作1巻より3年ぐらい前。