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No.713の一覧
[0] 狂った歯車の上で[灰ネコ](2008/05/13 22:17)
[1] 狂った歯車の上で[灰ネコ](2008/05/13 22:19)
[2] 狂った歯車の上で[灰ネコ](2008/05/13 22:19)
[3] 狂った歯車の上で[灰ネコ](2008/05/13 22:21)
[4] 狂った歯車の上で[灰ネコ](2008/05/13 22:31)
[5] Re[4]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 05:58)
[6] Re[5]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 05:59)
[7] Re[6]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:01)
[8] Re[7]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:04)
[9] Re[8]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:08)
[10] Re[9]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:11)
[11] Re[10]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:13)
[12] Re[11]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:16)
[13] Re[12]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:25)
[14] Re[13]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:29)
[15] Re[14]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:32)
[16] Re[15]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:36)
[17] Re[16]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:40)
[18] Re[17]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:44)
[19] Re[18]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:46)
[20] Re[19]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:50)
[21] Re[20]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:53)
[22] Re[21]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/22 06:57)
[23] Re[22]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:38)
[24] Re[23]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:40)
[25] Re[24]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:42)
[26] Re[25]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:43)
[27] Re[26]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:46)
[28] Re[27]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:47)
[29] Re[28]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:48)
[30] Re[29]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:50)
[31] Re[30]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:52)
[32] Re[31]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:54)
[33] Re[32]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:56)
[34] Re[33]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:58)
[35] Re[34]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 14:59)
[36] Re[35]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 15:03)
[37] Re[36]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 15:05)
[38] Re[37]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 15:07)
[39] Re[38]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 15:10)
[40] Re[39]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 15:12)
[41] Re[40]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 15:14)
[42] Re[41]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/07/23 15:21)
[43] Re[42]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/03 21:10)
[44] Re[43]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/03 21:17)
[45] Re[44]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/03 21:23)
[46] Re[45]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/03 21:33)
[47] Re[46]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/03 23:07)
[48] Re[47]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/03 23:22)
[49] Re[48]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/03 23:55)
[50] Re:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:04)
[51] Re[2]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:10)
[52] Re[3]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:16)
[53] Re[4]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:21)
[54] Re[5]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:26)
[55] Re[6]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/11/12 04:26)
[56] Re[7]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:34)
[57] Re[8]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:42)
[58] Re[9]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:46)
[59] Re[10]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:52)
[60] Re[11]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 01:57)
[61] Re[12]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 02:04)
[62] Re[13]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/08 02:09)
[63] Re[14]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/09 02:11)
[64] Re[15]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/08/20 23:49)
[65] Re[16]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/09/30 23:05)
[66] Re[17]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/09/30 23:15)
[67] Re[18]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/09/30 23:33)
[68] Re[19]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/09/30 23:49)
[69] Re[20]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/09/30 23:54)
[70] Re[21]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/10/01 00:10)
[71] Re[22]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/10/31 12:51)
[72] Re[23]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/10/31 13:26)
[73] Re[24]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/10/31 13:33)
[74] Re[25]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2007/10/31 13:38)
[75] Re[26]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2008/06/01 23:08)
[76] Re[27]:狂った歯車の上で[灰ネコ](2008/06/01 23:09)
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[713] Re[17]:狂った歯車の上で
Name: 灰ネコ◆4eccae54 ID:647a1441 前を表示する / 次を表示する
Date: 2007/09/30 23:15






「誰か見ているな…」



「よく分からないが…やばそうな視線だよ」



「君でもよく分からないとなると…確かに危険だな」



入国審査を終え中に入り次第に俺らに監視がついた。



それは先生に教えられた情報通りだった。



しかし、それ以外にか細く、集中しなければ気付けないくらいの視線が感じる。



「こりゃ…監視とは違うな」



「だろうな」



君麻呂も気付いている。



変な感情が篭っていない視線でありがたい反面、あまりに不気味すぎる。家畜の豚が品定めをされている気分だ。



「君麻呂の言っていた通り、ちょいっと面白くなりそうだな」



「はぁ…。だと、いいがな」



依頼人に手配してもらった仮宿で外の景色を見やる。



随分とパイプの多い作りだな。ほとんど屋根から流れる雨を通すパイプなんだろうが。なんだか見ていて不気味だ。



「んで、分かったか?」



「ナルトでさえ見えないものを僕が見えると思っているのか?」



「白眼を使うのもいいけどな、消費が激しいんだよ」



「それなら元の目に戻せばいいじゃないか。残してあるんだろ?」



「せっかく安定しかけてきたのに戻せるかよ」



「それなら言い訳などせずに視てみろ」



「へぇいへぇい」



君麻呂の言葉に適当に相槌を打って左目に掛けてあった枷を取り除いた。



開眼した状態だった白眼を移植したから常に開眼状態のこの左目は俺にとっては毒以外の何物でもなかった。



力を抜くと勝手に開眼してしまう。そして動けなくなるまで左目は俺の体力とチャクラを貪る。



それを止めるために、俺は先生に左目の視覚神経を特別に弄ってもらった。



そして開いた白眼は360度とまではいかないが人の限界を超えた視野と視力を俺に与えてくれる。



チャクラが色別に判断され、視界が数キロ先まで伸びていくこの感覚は快感だった。



視界は360度ではない。だから体を少しずつずらしながら探索を繰り返す。



大蛇丸の情報ではこの里の中でも上位の高さを持った建物が暁の本拠地らしい。さすが、元暁のメンバーなだけある。その情報も確かなようだ。



「……いたぞ」



黒い外套に紅い雲の絵柄、大蛇丸に現物を見せてもらったから確信を持てた。



あいつ等が暁だ。



「どうだ」



「一人…いや、二人がこっちを見てるよ」



実際には三人。その奥にもう一人が立っていた。



見ているだけで吐き気がしてくる。そう、気持ち悪かった。生理的に受け付けない空気を纏っている。



その一人だけじゃない。こっちを見ている男と女。どちらも、手強い。



「こりゃ無理だな」



「そこまで強いのか?」



俺が無理だといったことに君麻呂は珍しく感情を見せた。



自分の実力くらい分かっている。最初よりも強くなったということも知っている。それに自惚れる事も過信することもしない。自分を保っているという自信もある。



そうだから分かる。あの三人は今の俺から二段も三段も先のところにいる。



「実際には三人だ。三人とも…大蛇丸と同等以上だと思うよ」



大蛇丸自身の実力は確かに、強い。



だが時間さえあれば大蛇丸は歴代の火影四人を同時に使役することが出来る。それははっきりいって反則だ。きっと人間というカテゴリーの中でも大蛇丸が最強なんだ。



それに、普段大蛇丸と接しているから分かる。



勝つことは出来ないだろうが逃げることは可能だろう。



「仕方ないな…それなら持久戦で」



「異議なーし」







狂った歯車絵の上で







「誰か見てるな…」



「よく分かったな…気付いたことを覚らせるなよ」



「分かってる…」



入国審査を終え中に入り次第に俺等に監視がついた。



入国の際に監視がつくと説明は受けていたが、それとは別の視線が俺等を見ていることはどういうことだ。



この、気持ち悪い感覚は何だ。品定めされている気分だ。



「これはやり手だよ…俺ですら微かにしか感じない」



「カカシですらそうなのか」



「だから褒めたんだ。よく気付いたな」



俺の頭を撫でようとしてくるカカシの手を払って空を見上げた。



この降り止まない雨は、存在そのものが不気味だ。



灰色の雨雲。そしてこの全域を覆う霧雨。そしてこの視線。



すべてが俺等を察知し見透かされている気分だ。



「胸糞悪い」



俺は謗らずにそうはき捨てていた。



「行くぞ…この雨は少しおかしい」



「カカシもそう思うか…」



写輪眼を持っている俺らだから分かる。



何故、雨にチャクラが浸透している?



微かにだが込められたチャクラからは大蛇丸と同じ空気を感じさせる。それはつまり、危険だということだ。



「この里にとって木の葉はどんなに協力体制でも敵だってことか」



「ん、そういうことだね。いやぁ、頼もしい限りだ」



「そんなことを言っていられるうちは安心だな」



「サスケ…」



カカシがふざけた態度を直して改めてそう言う。



なんだろう、俺はカカシを見た。



「頼もしい、ってのは嘘じゃないぞ」



「はっ、それはこっちのセリフだ」



雨の中にいるからよく分からないが、きっと今の俺の顔は赤くなっている。



「俺だって頼ってるんだぜ? カカシ上忍」



「任せなさい、サスケ上忍」



俺たちは強い。







「あんた、見ない顔ね」



情報収集の為に変化の術を使ってこの里の住人に聞きまわっているのだがほとんどの住人が異変には気付いているようだった。



「そうですね、仕事でこの里に滞在させてもらっているんですよ」



十分後には顔を忘れてしまう。それくらいに平凡な人の顔には自信があった。



変なしこりは残したくなかった。それに誰にでも心を開いてしまうような平凡な顔つきが必要だった。



「最近は他国の人がよくこの里に滞在しててなんだか気味が悪いのよ」



俺が最初に目をつけた中年の女は不満げに俺を見てそう言う。



愚痴を溢した時点で多少は心を開いている。変化の成果は上々のようだ。



「そうみたいですね。私はこの里で振り続けている雨について調べに来たのですが、それとはあまり関係なさそうな人たちも多くいるようで…少し怖いですね」



嘘をつくのに罪悪感を感じなくなったのはいつからだろう。



それが仕事だと割り切ってしまえば簡単だった。



関係の無い人だから無関係に扱える。きっとそうなのだろう。



騙す対象が知り合いだったら、きっと心が痛む。



「気をつけてくださいね? しばらくこの里に居させてもらう身なので心配なんですよ」



そう笑顔で答える。



実際にはどうでもよかった。



たとえこの女が目の前で殺されたとして、俺はきっと逆上することは無い。



無関係だからこそ、どうでもいいのだ。



その代わり、もし俺と関係のある人が傷つかれたら俺は黙っていられるほど大人じゃない。



「あっ」



俺が作った笑顔で礼を言って去ろうとした時に女は声を掛けてきた。



世間話など聞きたくないんだが、そう思っていたが実際に違った。



きっと俺は運がいいのだ。



「あの人が先月からこの里にいる人なんですよ」



そう言って女が指を指した方向に一人の男がいた。



一瞬で写輪眼を開眼させ男のチャクラの質と総量を量り、また一瞬で閉じる。見るだけなら気にしないだろうが、生憎俺の写輪眼はちょいと有名であるからバレるわけにはいかない。



「ありがとうございます。あの人、ちょっと怖そうなので近づかないようにしますね」



そんな筈がない。



やっと見つけた獲物なのだ。



隙が現れ次第に千鳥で殺す。



「そうした方がいい。気をつけるんだよ」



「はい」



もう女の声は聞いていなかった。



適当に頭を下げて適当に返事をして俺はその男の方へ歩いていった。







チャクラは俺の方が多い。



しかし、体格には差が開きすぎているな。いい筋肉だ。筋肉は大き過ぎずに細すぎない。そして、バネがある。



里を抜けてこの里に買われるほどの腕前だ。上忍以上は予測しておこう。



勝てるか? 殺すんだよ。



「すいません。ちょっと道を尋ねたいのですが…」



少し怯えている様に俺はそう尋ねる。



俺は敵じゃない。ただの道に迷った惰弱な住民だ。そう言い聞かせて



「………どこへ行きたいんだ?」



服装は地味な里人といったところか。しかし、体から滲み出る空気は隠せていないようだ。



根っからの修行好きなのだろう。近づけば近づくほどに洗練された身の動きが分かる。それがたとえ些細な動きだとしても違うものは全然違う。



「私が厄介になっている宿なのですが…この里には宿が一つしかないのに迷ってしまいました」



愛想笑いで本当に困っているということを表現する。



「仕方ないな…この里は複雑な作りをしている。見たところこの里には来たばかりなのだろ?」



少し警戒されているか。



そりゃ仕方ないな。何年もここに住んでいる者が道に迷うわけが無い。つまり、俺はこの男からしたら来たばかりの一人の男なのだろう。



それにこの時期にこの里へやって来るのは抜け忍か、その抜け忍の担当の追い忍。そしてそれとは別に抜け忍を狩るべく雇われた俺等くらいだろう。



「ええ、波の国から来たのですが…ここの雨についての調査ですよ」



すぐさま嘘をつく。



脳内ではその言葉から枝分かれの用に次の嘘が生まれていく。



「波の国から来たのに潮に匂いがしないですよね? 私は波の国でも室内専門でして…この里に来るだけで足が棒ですよ」



「……それは大変だったな」



意外とこの男はいい奴なのかもしれない。



強い奴というと弱い奴には差別的な思想を持っていることが多いのだが、どうもこの男は弱いと演技している俺に気を使ってくれる。



背後から見るだけでは隙だらけ。だが、何故か当たらない気がしてならない。



そして、突然すぎる悲鳴がこの里の中で木霊した。



それと同時に目の前でずっと歩いていた男は走り出す。



「道案内出来なくてすまない。だが、お前が言っていた宿はこのまままっすぐ歩けば辿り着く」



「ありがとうございます!」



律儀な奴だったな…。







宿に戻りカカシに報告する。



「抜け忍と思われる者と接触をした」



簡潔に、そして分かりやすい答えだった。



「強そうだった。きっと俺よりも二段くらい吹っ飛ばして強いぜ」



自分を偽るな――――俺の理だった。



自分を偽って相手との差をどれだけ縮め様ともぶつかっちまったら結果は簡単に見出せる。



それ以上に――――情けなさ過ぎる。自分はまだ弱いのだ。それを何故認めない? 認めるから進めるのだと誰かが教えてくれたような気がした。誰だったかは覚えていないが。



「今日、騒ぎがあったのに気付いたか?」



「ああ」



そのせいであの抜け忍を始末できなかった。



いい奴だったからな、ちょっと嬉しかったが。しかし、私情を任務に混ぜ込むつもりは毛頭無いぜ。



「俺が追っていた抜け忍が殺されたよ」



「なっ!?」



純粋な驚きだった。



俺が見たところ、あの男はそう簡単に殺されるような強さじゃなかった。里を抜けて無事でいられるほどの実力を持っていたように見えたし、つまりそれと同等の奴が殺されたということに俺は疑いを感じた。



「俺等以外にもこの任務を受け持っている奴等がいるのか?」



そして簡単にこんな仮定すら作った俺は恐ろしいくらいに冷静だった。



「綱手様には黙っていろと言われていたがね」



「ったく、あのババア…」



どれだけ過保護なんだ? 問い詰めたら俺のことがなんたらと言ってくるのが簡単に想像できる。



「これはサスケの初任務を心配して――」



「そんなことくらい分かっている。続きを言え」



「嫌なくらい成長しやがって」



悪かったな…。



カカシは呆れた顔つきからまた一度真剣な面立ちになった。



「実際には二人だ」



「どういうことだ?」



「実際には二人の抜け忍が殺されたんだよ。今日だけでな」



「……………」



よほど急いでいるのか。それとも俺が感じたあの強さなど物にも感じないほどに強い奴がこの任務を受け持ったのか…。



どちらにしても安心出来るものではない。



仲間とはいえ相手は他国で敵なのだ。漁夫の利を狙う者もいればただ純粋に敵を葬ろうとする者もきっといる。



「抜け忍だけじゃなかったりするんだ。これが」



「それは…」



よく分からなかった。



この里の住民も殺された、という事か?



「俺達と同じ任務を受け持ったと思われる他国の忍びが大勢…人数で言えば八人殺されている…それも今日のうちにだぞ? 狂っているよ」



カカシの話を聞きながら、俺はずっと冷静だった。



抜け忍を殺したものがそれの犯人であれば、その犯人は今日中に合計10人殺したことになる。それも誰にも気付かせることなく。あのカカシにすらだぞ。



俺がさっき例えた―――ただ純粋に敵を葬ろうとする者なのだろうか。



きっとそうだろう。



こういった団体任務でもっとも安心できないのが漁夫の利だ。相手は抜け忍、それと戦ってもし怪我を負った状態で他の忍び達に襲われてしまっては太刀打ちできない。



ならばどうする?



簡単だ。先に漁夫の利を狙う奴等を狙えばよいのだ。敵を狙うと横から襲いかかれる。それは敵を倒すと利益を得られるから。しかし、味方を狙えば利益が無い。そして他の仲間にも利益はない。だから漁夫の利は成立しない。



「ちょっと待て、カカシが追っていた抜け忍も殺されたんだろ。死因は何だったんだ」



街中で派手な忍術が出来る筈がない。それならば接近して殺さなければならない。



俺も同じ事で悩んでいた。だから接近し、暗殺技である千鳥で殺そうとしたんじゃないか。



そう悩んでいた俺はカカシに一言に呆気に取られることになる。



「見えなかった」



「……………」



「一瞬、風を切る音が聞こえた。それだけだったんだ。その直後、俺が追っていた奴は倒れてたよ。即死だった」



「カカシの目の前でそんな事が起きたのか?」



「ちなみに写輪眼は怠っていなかった」



はぁ…。



タメ息しか出ないぜ。



「何か、細いもので頭を貫通されてたよ。地面にはそれと同じ大きさの穴があってな、三十メートル近く穴を掘ったのに凶器は出てこなかった」



「忍術なのか」



「その途中で岩盤があってな、クナイで穴を空けるのも一苦労なのに貫通してあったよ。それで探すのを止めてきた」



だからか。カカシの服にはまだ泥がついているのも。



「もう一人の抜け忍もそうなのか?」



「いや…」



他にどんな殺し方があるってんだ。



分けが分からない。理解の範疇を超えている。



「全員、斬殺だった」



「……………」



「挽き肉のようになっていたり、手足が無くなって達磨のようなのもあった」



「…………は?」



挽き肉? 挽き肉ってあれだよな、ハンバーグに使う。あの細かく切り刻まれた、あの肉だよな。



「こんなの、暗部の時ですら拝められなかった。正直、少し混乱している」



「……………だから、どうしたんだ?」



頭を抱えているカカシの襟を掴んでそう叫んだ。



確かに、理解の範疇を超えた殺し方だ。まるで楽しんでいるかのような、きっと下手人は快楽殺人者だ。



だけどな、俺は初めて見たあんなに混乱したカカシに対して頭にきているんだよ。



「10人を殺した奴等の狙いは俺等も含まれているだろう」



「それは分かった」



「きっと、俺達よりもそいつ等の方が速く、安全に任務を全うする」



「それが気に食わないんだよ、カカシ上忍」



残念だ。



本当に残念だ。



確かに、この任務は俺等が命を賭して完遂すべき任務ではない。



他の奴等に任せておけば、本当にそれだけでいいんだ。それで任務は終わる。無事に帰れる。



だけどなぁ?



俺が今、一番苛立っているのはなぁ?



「テメェ…ここでもう一度、自分を小さく見てみろ! もう二度と俺の目の前に立たせねぇぞ!」



テメェは簡単に諦めてたんだな?



そして自分を責めて壊れていくんだよな?



「俺が頼りにしていたカカシ上忍はこんなにも小さかったのか!?」」



ナルトが抜けたことにも自分を責めていたな?



まるで自分のせいでこうなったかのように。



そりゃ間違いなんだよ。でっけぇ間違いだ。てんで話にもならないぜ。



「こんなにもちっぽけな奴が第七班を仕切っていたと思うと吐き気がしてくるんだよ」



俺等は同じ里で、同じ時間に、同じ空の下で集まった。



それを誇りに、そして自慢していた自分はこんなにもくだらなかったのか。



「否定は出来ない」



ク……ッ!



もう駄目だ。



こんな奴、もういらない。



「俺は…サスケが思っている通り屑だ」



ほぉら。



また、自分を罵って酔っている。



見ているだけで、視界に入るだけで吐き気が催す。



しかし、否定しなくてはならない事があった。



「屑じゃあない」



きっと俺は今、ひどい顔だ。



脳内が拡大されている様に、手を伸ばしてもつかめないあの感覚を感じる。それは、空虚だ。



「サスケ…?」



カカシの声が聞こえた。



しかし、脳内に留まる事はない。右から左に流れていく。



そして言う。



「お前は…小さいな」



器が、足りないんだよ。



その溢れる知才を量るには、お前程度の人格では足り無すぎる。



兄貴の言葉が残滓となって俺に囁き続ける。



器、大きい器、すばらしい器。



俺は、どうだろうか。



はは……。



きっと、そうは変わらないんだろうな。



教えてくれよ、兄貴。



俺は、どうしたらいいんだ?










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