止めたかった。
ナルトとサスケ君の殺し合いを止めたかった。
だけど、止められなかった。
あんなに自信に溢れたサスケ君を見たのは初めてだったから。いつも何かに焦っている様で、直視出来なかった。だけど、今は違った。
正面から自分を見つめて前に進もうとするサスケ君を止められなかった自分はきっと憧れていたのかな。
頭がいいだけで何も出来なかった。勉強さえすれば大丈夫、そう思っても自分に自信を持てなかった私は同じように自信を失っているサスケ君に共感してた。
だからかな、止められなかった。羨ましかった、なんであんなに自信を持てるのかな、って。
そう、羨ましい。嫌になるくらいにかっこよかった。
これが私の理想だった。自信を持ちたかった。だから止めなかった。
私もあんなになれるかな、私もあんな感じに輝けるかな。
ナルトだってそう。いつも自信に溢れてた。だけどいつも私達に壁を作って本心を見せてくれない。
そうだっていうのに後ろの四人に素を出してる。
それに腹が立った。
なんであんな顔で笑えるのよ。
私達には笑いかけてくれたことも無いのに、あんなに楽しそうに話しかけられたことも無いのに。
初めて見たな、ナルトがあんな風に笑うの。
私達にもあんな感じに笑いかけてほしかった。だって、あんなに綺麗なんだもの。
きっと辛かったんだ。あの里が、私達と一緒にいることが。
ナルトの動きがまったく読み取れない。速すぎて、目が追いつかない。
こんなに強かったんだ。私達を騙してたんだ。
きっと不器用なのよ。それも重症に。
お互いに、ね。
私達、不器用過ぎたね。ちゃんと話し合えば良かったのかもしれない。ちゃんと泣き合えば良かったのかもしれないね。
今まで気づけなくって、ごめんね。
遅すぎたんだよね、私ってばやっぱり馬鹿だよ。
泣けるよ…ほら、見てよ。
私、泣けてるよ。ナルトの為に、ナルトの為だけに。
狂った歯車の上で
オレの飛燕が六としよう。
サスケの螺旋丸と千鳥がそれぞれ二と三の中間くらいなんだよ。
負けるはず無かったんだけどなぁ、とオレは一人心地に思った。普通にあの光くらい消してサスケを殺せると思ってたんだけどよ、どこで間違えちまったんだ? 思い当たりもしねぇ。
確かに、あの瞬間オレの飛燕とサスケの新術がぶつかった。拮抗さえしていたと思う。
回転し続ける螺旋丸にオレはまた飛燕がブレて逸らされる事を避けてアイアンナックルを両手に持ち替えていた。片手からだけではなく両手からチャクラを送られるようになって確かに飛燕は更に力強くなった。そして、オレは負けた。
アイアンナックルがオレの注いだチャクラに耐え切れなく粉々に砕け散った。慢心が負けに繋がったって言うのなら納得いくんだけどさ、
「いい加減死ねよ」
オレは呆然と立ち尽くすサスケにそう言った。ちっ、あっちはチャクラ切れで頭も禄に動いてねぇんだろうな。立ったまま気絶するなんてリーを思い出すぜ。
最後の最後までオレの前にしゃしゃり出てきて何度も邪魔をする奴だった。
こんな奴に初めて負けたってだけでも苛立ってくるってのにオレも気絶寸前だ。視界がチカチカして脳に酸素が行き渡っちゃいねぇ。
今すぐ音の里へ向かって先生の顔を見たかったが。
その前にやる事が沢山あるんだよ。一つ、それは目の前で立っているサスケをどうにかすること。それは今した。余力を全て使って蹴った。
悲鳴も上がらなかったところから見てやはりすでに気絶しかけてたんだと思う。脆弱だねぇ、もっと強くなれよ。
それともう二つ、オレの右手をどうにか修復したいということ。
サスケの最後の忍術を諸に受け止めちまった。雷で焼かれたと思ったら螺旋丸でほぼ同時に吹っ飛ばされた。
肘から先は何も無い。傷口も炭化しちまって血も流れていない。出血死を免れただけいいのだが、気に喰わない。
まぁ、サスケも同じような状態だからいいんだけどさ。あいつ、諸にオレの飛燕を受けてたからすぐに治療しなきゃ死んじまうな。
「終わったか?」
「おうよ」
やってきた次郎坊達に先っぽが無くなっちまった右手を見せて笑ってやった。
普通ならば痛みのショックで気絶くらいしてるんだろうけど予め痛覚を麻痺させておいたから何も感じない。
不思議な気分だ。とてもね。
「大丈夫なのか?」
次郎坊が何気なく行った。木の葉の奴等だと心配していることを主張する為に喚くだけでうるさいく頭に来ていたが次郎坊程度の言い方が好ましかった。おめぇいい奴だな。
「大丈夫じゃねぇ? 先生に見せりゃどうにかなるだろ」
そういって何もない右腕をプラプラと振る。なんか先っぽから紫色になってきてるのは血が溜まってきてるからだろう。逆流されちゃ困るから急いで血管の上からクナイでさせて血を流させた。
「ば、ばか野郎! 血が飛んできたじゃねぇか!」
「血なんかビクつくなよ」
「この服、卸したてなんだよ!」
「マジかよ、すまん」
左近、おめぇそれでも男かよ。つうかこんな重要な任務で着て来るなよ。なんだ? 見せびらかしたかっただけか?
まぁ、それもどうでもいいか。今は血を流しすぎて死なねぇように増血丸を鱈腹飲んでさっさと音の里へ向かおう。
「これで終わりなんだ」
これで全部終わった。
横目でサクラがサスケの方へ走っているのが見えた。だが、もうオレには関係無い。
もう全部過去の話だ。
もうオレには関係なんて持ち合わせていない。
だから見なかったことにしよう。まるで鳥が空を飛んでいるのを見ているように、すぐに忘れられるのだから。
「終わりじゃないぜよ」
鬼童丸はそう言った。
だからオレはこう言い返した。
「まだやれっていうのか」
そうしたら今度は皆がこう言った。
「終わりじゃない、始まりだ」
オレはその時笑ったんだと思う。
「ああ、始まりだ」
世界は眩しい。その眩しさに目を瞑っていたら欲しかったものさえ見失ってしまう。
世界は美しい。その美しさに目を囚われていたら本当に大事なものにさえ目が向かえなくなる。
これで本当に最後だ。
さよなら、木ノ葉。
ナルトはサクラの気持ちなんて全然気づいてませんね。サクラファンの人、本当にすいません。
感想ですね。やっと書けます。要領オーバーみたいで一気に感想掲示板だと書けないんでこっちに書きます。
和圧さん
感想ありがとうございます。滅茶苦茶嬉しいですよ。
なんか嬉しくて何を書けばよいのやら分かりません!
次回もよろしくお願いします!
ポン太さん
感想ありがとうございます。 以前から読んでいて下さっていたとの事で、感動です。だから書くのを止められません。
期待に添えようと頑張っているのですが既に日本語から約二年間離れているんで少々自信がありません。間違ったところがありましたら教えてくださると嬉しいです。
水面桂さん
お久しぶりです! 忘れるはずが無いじゃないですか! 忘れられませんよ!
ああ、何を書けばよいのか本当に分かりませんよ。頑張ります、とだけは今言える事実です。
楽しみに待っていただければ嬉しいです。
まきさん
感想ありがとうございます!
前回はあんまり苦悩してないなぁ、と思っていたので今回は苦悩させてます。
それが伝わって良かったです。
次回も楽しみに待っていてくだされば幸せです。
ジョロニモさん
はじめまして、灰ネコです。
読んでいただいて嬉しいです。SSを書き始めて一年半、SSを読み始めてもう三年半くらい経つんでしょうかね。いつ頃か覚えてませんがなんだか重いやつを書きたいと思って狂車を書き始めました。気に入ってくだされば嬉しいです。
遠野河童さん
感想ありがとうございます。
きっと原作でもナルトとサスケが入れ替わったらただじゃ済まないでしょうね。作者さんの考えも予想付きませんしね。私は私なりに世界を作っていくつもりです。楽しみに待ってくだされば幸せです。
にゃらさん
感想ありがとうございます。
私も境界崩しを読み始めた時はそんな感じでしたw
長編って難しいですよね、ちゃんと分かりやすくかかなきゃ矛盾も出てきますし訳が分からなくなりますしね。でも何時間も読んで下さってありがとうございます。次回も待っていてください。
おみくじさん
恥ずかしいですね、なんかそこまで言ってもらえると。
超嬉しいです。なんか書きたくなってくるんですよね。嬉しい感想が書かれていると。俄然燃えてきますよ!
第二部のは6話くらいもう書いちゃっているんですけど盛り上がるところまで書き終えたら投稿するつもりです。
それまで待ってくださいね。
深緑さん
感想ありがとうございます。一部のヒナタはボロボロですけど二部に引っ張ってくる予定です。それを楽しみに待ってくだされば嬉しいです。
私も読者時代は徹夜で読んだりしてましたよ。面白いですね、寝る時もなんか興奮して眠れないんですよね。私もそんな作品を目指していますので応援してくだされば嬉しいです。
おるぴあさん
感想ありがとうございます。あるぴあさんもSS書いているんですか~今度教えてくれませんか? ジャンルがなんなのか分かりませんが知っているのだったら読んでみてたいです。
あとしっかり終わっているように感じてくださったのなら嬉しいです。私からしたらグダグダで微調整をし続けていましたから嬉しいです。
咲さん
感想ありがとうございます。咲さんはサスケが嫌いなんですか…私としたらサスケよりもナルトが苦手でしたね。なんかいい子過ぎて見ていて辛かったな。
私はチョウジやシカマルが好きでしたよ。でも全体的に一部の時のほうが好きです。台詞回しがかっこよかったですからね。結局は白と再不斬が好きです。カッコいいですよね、不器用な人って。
次回も待っていてくださったら嬉しいです。
そろもんさん
感想ありがとうございます。
第二部の方が難しいですけど波に乗ったら楽しいですね。自分で考えられるんで原作を無視しない程度にすれば書きやすいです。一番難しいのがカリン(漢字が分からなくてすいません)ですね。サスケとなんだか関係がありそうなんでナルトが音にきたら絶対になんか変化ありますからね。もしかしたら存在しないかもしれないですから書くか書かないか悩んでいます。原作が進んでくれれば嬉しいですね。最近はぐだぐだです。
次回も待っていてくださったら嬉しいです。