白い肌。
長い髪。
爬虫類のような目。
「お、大蛇丸!?」
あまりの展開に、つい叫んでしまった。
そう、今俺の前には大蛇丸がいた…いや、いたというよりは、出てきたが正しいけど。
…もしかして、大蛇丸のそっくりさんだったりして?
会いたくない人NO.1の大蛇丸が、そんなに都合よく出てくるわけないしね。
そっくりさんか。ビビッテ損したじゃないか。
「私のこと知ってるのね。それに、さっきの攻撃といい楽しませてくれそうね」
オカマ口調、大蛇丸確定です…
どうしよう、どうしよう、どうしよう!?
逃げる…無理! すぐに捕まるに決まってる!
戦う……もっと無理! どう足掻いたって勝てるわけがない!
謝る……これしかない! とりあえず下手にでて謝っておけば何とかなるかもしれない。
「え~と すいませんでした! お怪我はないですか?」
「えぇ 大丈夫よ。 少し服が破れちゃったけど、あんな所にいた私が悪いんだから…気にしないでちょうだい」
ウソだ! 気にしないで。って言ってるけど、絶対気にしてるよこの人。
あぁ、すっげ~睨まれてるし。
正に蛇に睨まれた蛙?
っていうか早くこの状況をどうにかしなきゃ。
「いや~ まさかあんな所に人がいると思わなかったので。でも怪我がなくてよかったですよ」
ハハハ、と笑いながら言ってみたが無駄だったみたいだ。
俺は見逃さなかった。
大蛇丸の眉がピクッと動いたのを。
そして、よりいっそう睨まれたことを。
「気付いていなかった? 謙遜しなくていいわよ。あなたの攻撃すばらしかったわ。あんなにヒヤリとしたのは久し振りだったんだから」
大蛇丸もそう言って笑っていた。
ハハハという笑いではなく、ニヤリという感じで怖かったが…
沈黙が痛い。
あれから何分経っただろうか…
いや、実際にはそんなに経っていないだろう。
依然、大蛇丸は怪しげな微笑を浮かべたままだ。
つられてこっちも笑っているのだが、若干引きつった笑みになっている。
もう限界だ。
早く逃げ出したい。
そう思っていると大蛇丸が口を開いた。
「あなたのさっきの攻撃、かぐや一族の力よね? 屍骨脈という血継限界を持つ一族の」
駄目だ、攻撃しかけたと思われてるし。
それに、かぐや一族ってことも知られてる。
あぁ、これで俺は何年か後にオカマ丸の新しい体にされてしまうのか…
はぁ~。悲しい、悲しすぎるよ。
まだこっちの世界にきて二日しか経ってないというのに、もう未来絶望って…うぅ、考えただけで涙が出てきた。
………
……
…
あれ、でも冷静に考えれば何年かは猶予があるってことだよね?
その間に大蛇丸より強くなれば…
昔から言うじゃないか。犯られる前に…間違えた。殺られる前に殺れって…
それに、まだ新しい体にされるって決まったわけじゃないし。
…いける! 生きる希望が見えてきた!!
ニヤリ …多分今の俺は、大蛇丸みたいな笑みを浮かべてるだろう。
だが笑わずにはいられない。
生きる希望が見つかったのがこんなに嬉しいなんて…
「聞いてるのかしら? 答えなさい。あなたはかぐや一族の生き残りなの?」
無視されていると思ったのだろうか…先ほどより口調がきつくなっている。
早く答えないと命にかかわるかもしれないな。
さすがに今すぐ殺されるのはいやだし。
「え~と、まぁ一応かぐや一族ですけど」
ニヤリ
まただ、また大蛇丸が不気味な笑みを…と、鳥肌が立ってきた。
「私はついてるわ。もう諦めていたのに、まさか生き残りがいたなんてねぇ」
いや、できれば諦めてほしいんですけど…
そんな俺の気持ちを無視したまま話は進んでく。
「まどろっこしいのは嫌いなの。単刀直入に言うわ。私と共に来なさい」
「あの、断った場合はどうなるのかな~なんて思ってるんですけど…」
「断った場合? そうねその時は」
えっ…き、消えた!?
目の前にいたはずの大蛇丸が…
「その時は、死んでもらおうかしら」
ビクッ!! いつのまにか大蛇丸は後ろにいた。
俺の両肩に手を掛けて、覗き込むような形で顔は横にあった…
近い、近すぎるよ。
間近で見ると一段と顔が怖いし。
「で、どうするのかしら?」
もう答えは決まっていた。
まだ死にたくないから…
少しでも生きる可能性を高くするために。
「行きます。ついて行きます」
その言葉を聞いてか、大蛇丸はまたニヤリと笑った。
「賢い選択ね。 賢い子は好きよ」
そう言って、頬を舐められた。
あの長い舌で。
強くならなきゃ…貞操問題にかかわる…
そんなことを考えながら、頬を舐められたあまりの気持ち悪さに俺は気を失いそうになっていた…
「それじゃあ、行こうかしら。 ついてきなさい」
そう言って大蛇丸は先に行ってしまった。
…あの、木の上を飛んで移動するなんて芸当、俺にはできないんですけど。
五分ぐらい経っただろうか。大蛇丸は戻ってきた。あきらかに怒った様子で…
「どういうことかしら? ついてくる、と言ったのは嘘だったのかしら?」
恐い、恐すぎるよ。そんな殺気ムンムンで言われても…
と、とりあえず弁明しなきゃ。
「あ、あの…その何と言うかですね。まだ僕は素人みたいなもんでして、その、木の上を移動するなんてできないんですけど…」
「…は?」
多分一生忘れないだろう。大蛇丸のポカーンとした顔を…
あんな顔はもう二度と見れないだろうから…
そして、思い出したくないことが一つ。
移動手段が歩きしかない俺は、大蛇丸におんぶされた…
あとがきというか謝罪
かぐや一族の標的が、霧隠れの里ではなく、水の国そのものという事を教えて頂いたので、編集して直そうと思ったところ、間違えて削除のまま実行してしまいました。すいませんでしたm(_ _;)m
いたらないところだらけですが、よろしくお願いします。