卒業試験。
それは、その名の通りアカデミーを卒業するための物である。
ただ、内容にもよるが…
もし内容が、大蛇丸に挑戦とか、大蛇丸に抱きつく、もしくは大蛇丸に身を預ける。なんて事だったら間違いなく俺は落ちるだろう…というか卒業試験自体を受けはしないだろう。
…まぁそんな事なんてあるわけ無いだろうが、この里のトップがアレだから完璧に否定できないのが少し悲しい所でもある。
そう言った意味で緊張しながらも俺は席についた。
周りを見てみたが、教師が来るまでの間それぞれ自由な事をしているようだ。
試験内容が教えられていないので、唯ひたすら教科書を読んでる奴。手を組んで神に祈ってる? 奴までいたが、やはり全員が緊張しているようだ…
しかし、そんな中で一グループだけいつも通りの調子のグループがいた。
言うまでも無く俺達の事だが。
「みんな面白いほどにガチガチぜよな~」
「ほんとそうだな。 大蛇丸様に食われるわけでもないのに」
ハハハと次郎坊の発言で他の奴等は笑っていた。
が、正直俺は笑えなかった…さっき変な想像するんじゃなかった、と自己嫌悪に陥っていた。
試験官…といっても教師の事だが、彼が教室に入ってきて試験内容が発表された。
「試験内容は分身の術だ。 三十分後から始める。呼ばれたものから隣の教室に来るように」
そう言い教師は教室を出ていった。
内容が分身の術と言う事が分かり安心する者もいれば、「俺分身の術苦手~!!」という悲痛な叫びまで聞こえてきた。
「分身の術だってさ、簡単な試験だね~」
音の五人衆と呼ばれる俺達には簡単過ぎる内容だあろう。
俺の問いに他の三人、鬼童丸、次郎坊、左近は「そうだね」と頷いた。
………
……
…
試験時間が刻一刻と近づくに連れて教室の雰囲気がピリピリしたものとなってくる。
全員が堅くなってる。
こんなんじゃ受かる物も落ちるな、そう俺は思い、笑いで場を和ませる事にした。
「全員注ー目ー!!」
なんだ? なんだ? という様子でクラス中の視線が集まる。
近くにいた鬼童丸達も不思議そうな目で見ていた。
「お前達~そんなに堅くなってると受かるものも落ちるぞ~ もっとリラックスしとけって」
そこまで言って俺はある行動を起こした。
「というわけで、この場を和ませるために、一番、君麻呂モノマネやります!!」
皆途中までは納得していたのだろう。だがモノマネと言ったとき一斉に皆の顔が?? という感じになってしまった。
そんな事も気にせず俺は準備を進めてく。
体内で骨を新たに精製。そしてそれを体から突き出した。
出てきたのは四本の骨の腕…ちょっとグロテスクかもしれない。
そういえばドラゴンボールの天津飯の技で四妖拳とか言うのがあったな…さしずめこれは六妖拳ってところかな。
まぁそんな事はどうでもいいんだが…
「と言うわけで~あっという間に鬼童丸ぜよ」
笑顔と共に言ってみた。
……おかしい。ここで大爆笑が起きるはずなのに何も反応がない。
鬼童丸は「俺はそんなじゃないぜよ!!」と怒っている。
ドスッ!!
鬼童丸の下腹に俺の腕が突き刺さった。
そして作った腕で鬼童丸の頭を叩く。
「お前の真似なんてしたら滑ったじゃないか!!」
と、理不尽にキレてやった。
やっとそこで小さな笑いが起こり、俺は安心することが出来た。
そして、ちょうどいいタイミングなのかは分からないが、一人目が試験を受けるため教師に呼ばれて隣の教室に向かっていった。
次々と生徒が教師に呼ばれ減っていく中、何故か名簿順で呼ばれているはずなのに俺達だけは呼ばれず飛ばされていた。
そして俺達を除いて最後の奴が教室から出ていった。
試験を終えたらその場で解散なので、教室にいるのは俺達四人だけになった。
「どういう事だろうな?」
「さぁ? 俺達は試験無しなんてことじゃね~の?」
そんな会話をしてたとき教師が呼びにきた。一人ではなく俺達全員で来い。との事だった。
そう言われ早速俺達は隣の教室に向かった。
向かった教室では教師の他に大蛇丸が座っていた。
いや、大蛇丸の他に教師の方が正しいな…存在感が違いすぎるし。
そんな中大蛇丸が口を開いた。
「あなた達は試験受けなくてもいいわよ…実力は誰よりも分かってるしね…」
どうやら試験を受けなくていいらしい…これはラッキーというべきなのだろうか?
「それと前もって言っておくわね。あなたたち四人のうち二人は下忍のスリーマンセルとしてではなく、私のサポートに回ってもらう事になるから」
「…は?」
俺は聞き返してしまった。
下忍になるために通わされてたのじゃないのか? それなのに二人は違うって…
それに大蛇丸のサポート……い、いや過ぎる!! 「―夜のサポートしなさい」とか言われたらどうするんだ!?
「あ、あの大蛇丸様? ち、ちなみにですねその二人って誰ですか?」
俺は脅えながら聞いた。
もし俺が選ばれたら本気で里抜けを考えなければいけないかもしれない…
「安心しなさい君麻呂…あなたと多由也はスリーマンセルに入る事に決まってるから…」
よ、良かった。他の三人はどうでもいいような顔しているが、気付いていないのだろう。
大蛇丸のサポートの危険性を…
あぁ、ママン。今回も守られたよ僕の貞操…
そしてグッバイ。 鬼童丸か次郎防か左近の誰か…君たちの事は忘れないよ。