「兵共が夢の後、か」
俺がしばしの間ねぐらにしていた孤児院は、すっかり廃れていた。園長の名前を彫った墓が一角に存在しており、其所だけは奇麗だが、他は完全に廃墟と化していた。
・・・・・・*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+
*霊界と繋がりました*
~あらあら、お久しぶりね、かい。その様子だと元気にしていたみたいね~
ああ、僕は今は元気だよ。・・・・・・みんなはどうしたの?
~ふふっ、もう演技なんてしなくていいのよ、貴方の好きなしゃべり方にしなさい~
・・・・・・なんだ、園長も気付いていたのか、俺の演技も下手なんだな。じゃあ遠慮無く、園長は何で死んだんだ?他の奴は?直人は?琴音は?
~慌てないで、こちらには時間が永遠にあるのだから、といっても貴方にはそうでも無いみたいね、まず、私が死んだ原因は、突然現れた大きなトカゲ、あれはなんという生き物だったのかしら、今まで見たこともなかった、爪に毒があって、大きくて・・・・・・それから皆を逃がすために・・・・・・私は死んだわ、他のみんなはその時逃げられたのかどうか、ちょっと分らないわ~
・・・・・・ワイバーンか、園長安心してくれ、ここには他の霊は、いない。無事かどうかは知らないが、逃げられたみたいだ。
~そう、それだけが、心残りで・・・・・・~
園長の言葉が薄れていく、これは、俺が「成仏」と名付けている現象だ。この場から解き放たれ、転生するかどうか、天国に行くのか地獄に行くのか、俺には一切わからないが、霊は、ここからいなくなる。
直人は、琴音は?
~あの二人は、・・・・・・貴方がいなくなってから・・・・・・一年後くらいに出て行ったわよ、・・・・・・忍者になるんだ!って・・・・・・・・・・・・かい、みんなをよろしく・・・・・・してもいいかしら?~
・・・・・・ああ、任せろ、園長、俺が全てを任された、安心して行きな。
~ふふっ、最初に思った・・・・・・通りね・・・・・・貴方は・・・・・・優しい子・・・・・・~
園長は光り輝き、天に昇る光の一柱となり、薄れ、消えた。
最後の顔は、満足そうな笑顔だった。
雨の所から抜け出して以来か、外を普通にモンスターが彷徨くようになったのは。
モンバット、オーク程度ならまだ可愛いもんだ。今まで見た中で最悪なやつは空高く飛んでいた年期が入っていた竜、あれは古代竜かな、さすがに高位のモンスターだけであって、こちらからちょっかいを出さない限り襲ってくる事はないだろう、心配なのはどっかの馬鹿が、ちょっかいを出してしまったときだが・・・・・・その時は里を諦めるしかないだろうな。三忍レベルじゃなきゃ、はっきり言って無駄死にもいいところだろう。
この世界の凄い所は、それでも単独で古代竜にすら勝てる可能性がある人材があるって事だな。暁、化け物共の集い、あいつらはこの事態をどう見ている事やら。
尾獣はとんでもないチャクラの集まりだって言っていたが、最古のモンスタークラスはどんな扱いになるのだろうな。一体どうしていきなりモンスターまで彷徨きだしたのやら。
見たところ、各里、平和に慣れきって腑抜けに為ることは避けられたみたいだ、けけけ大蛇丸のやろうざまーみろ、忍者がモンスターとの戦いで強化されあいつは色々とやりづらいだろう、もっと困れ。
こうなったら歴史が変わってしまうから、あんまり関われないって考えは捨てた方がいいな。不確定要素がこんだけ集まればもう、ここはNARUTOであってNARUTOの世界では、ない。
おっかしいな、どこから変わったんだろう、皆目検討つかないぜ。
「・・・・・・こんな所に子供?」
っうかつ、「In Sanct Ylem」
石の壁を声の方に生み出し、すかさず「Rel Por」
そしてHiding
*姿を隠すのに成功しました*
「土遁の術、しかも印もなしで!?」
・・・・・・被害は僅少のはず、俺が聞きたいくらいだ、こんな人里離れた所に今更人が来るとは思っていなかった、もしかして墓を掃除に来た孤児院の関係者か?・・・・・・なおさら今の俺の姿を見せるわけにはいけない、今や俺は大蛇丸にとって最大のターゲットに成りえてしまう。
寿命が無い、なんてあいつからしてみれば最高の素材なんだろうな。
誰かなのは少し気になるが、ここは知り合いだとしても、顔を合わせるのは得策でない。
さーて、今頃ナルトはうまく禁術指定の巻物を盗み出せたころかな、大筋な歴史は変わって欲しくないのだが、・・・・・・なんか気になるな、様子を見に行くか。
・・・・・・あそこで蹲っているのは、ナルトだな。おかしいな、そろそろ忍び込む時間なんだが・・・・・・
「おい、どうした?」
「!お前どこから現れたんだってばよ!?」
わざわざ眼前から声を掛けたんだ、それくらいの反応をしてくれないといじりがいが無い。
結構わかりやすい性格のようで、そうでもないから、こいつは困る。意外性No1忍者の名前は伊達じゃないな。
「忍者たるもの、いちいち細かいことで驚くんじゃないよ、なぁお兄ちゃん」
「俺には弟なんていないってばよ」
仏頂面のナルト、よかった、こいつの性格までずれていたら俺にはもう手がつけられないところだった。
「どうした、卒業試験に落ちたんだろ?ミズキの奴に教えてもらえなかったのか、火影の書庫に合格の近道があると」
「うるさい!何でお前が知ってるんだってば、それにミズキって誰だってばよ」
・・・・・・うわぁ・・・・・・そこでずれたのか、なるほど健全化した忍び社会のそれも優秀さを求められるアカデミーの教師陣の中に邪まなものは入られなかったのか。
まいったな、これじゃフラグが色々と潰れちまうぜ、かといって俺は詳しい場所はしらねえしなぁ、この様子だと警備も強くなっているだろうし、ナルトも忍び込める隙はないだろう。
ちっ、歴史をこれ以上離されるのは嬉しくないな、こいつにはここで多重影分身を覚えてもらわないと、こいつ死ぬぞ、あっさりと情け容赦なく、主人公でも油断できねえ。クエストはどうなるかわからないが、もしある場合波の国でめでたく死亡だな。わらえねぇ。
……あーくそ成功するかな。
「Vas Ylem Rel」
……ぶふー
*呪文に失敗しました*
間抜けな効果音が鳴り響く、ちっやっぱまだ第七サークルは駄目か。
「お前さっきから何やっているんだってばよ」
「何、可哀想な御兄ちゃんを助けるために義理の弟が人肌脱ごうかなってな」
ナルトは胡散臭げな顔で俺を見る。
「弟ってところはもういいってば……でも何か手でもあるっていうのか?」
乗って来たな、それでいい、何しろお前は里の奴らを見返すって信念があるんだからな。
「それでこそ火影を目指す男だ、かっこいいぜ兄ちゃん、ある手は全て打っていこうぜ、いいか……」
こんな怪しい子供を信じるのもどうかと思うがな、こいつの今の精神状態ならいけると踏んだが、ビンゴだぜ。
火影になる奴に恩を売っておいて、出来ればこいつに大蛇丸を殺してもらおう、今どうなっているかわからないが、何せ九尾だ、うまく使えばこいつは更に伸びる。まずは第一歩として、多重影分身特訓を使ってチートさせておこう、サポートは回復に掛けてはもはや無敵の俺様だ、けけけけけけ、待ってろ大蛇丸、ナルトを侮った時が、手前の最後だ。