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No.31875の一覧
[0] 魔眼転生記―NINJA―伝[シオンβ](2012/03/07 21:50)
[1] 1.転生サラブレット[シオンβ](2012/03/09 01:35)
[4] 2.とある追憶と展望[シオンβ](2012/03/07 22:22)
[5] 3.覚醒する何か[シオンβ](2012/05/20 17:41)
[6] 4.雲隠れタクティクス[シオンβ](2012/05/20 17:35)
[7] 5.遭遇戦![シオンβ](2012/05/20 17:42)
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[31875] 4.雲隠れタクティクス
Name: シオンβ◆8ace1640 ID:0c155718 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/05/20 17:35

 木の葉の里、縁外部。
 満月の覗く闇夜空の下、皆が寝静まった瓦造りの住宅街の屋根上を移動する集団があった。

 皆が顔深くを覆面(マスク)で覆い、暗がりに忍ぶ黒装束、そして洗練された物腰。
 4人編成の小隊──4マンセルで、何かを脇に抱える者を守るように、進行方向に向かって逆三角形の陣を成しながら突き進む。

「(……追って来たか)」

 一番後方で殿の役割を務める集団のリーダー格の者は、油断無く退避経路の距離を測り、後のメンバーに合図をする。
 それを受けた左衛と右衛は、歩みを止めないまま懐から札のようなものを取り出して素早く印を結ぶ。


「「変化!」」


 札は一瞬の内に人型へと変わり、幼子を抱えるシルエットが三つとなる。
 それを確認したリーダー格の男は、踵を返しその場に止まり、後の面々は全員別方向へと散って行く。


 リーダー格の男は腰の刀を抜き、刃を立てて鍔を口元まで引く──八双の構え――から、疾風の如く迫る追跡者の刃を迎え受ける。

 闇夜の月明かりの下、視界に疾風の如く現れて襲い来る追跡者が一人。

 男の長刀に斬り突けるのは犬の面を被る者で、リーチは短いながらも両手の大クナイを使って手数を多く攻め立てる。
 男はクナイの連撃を横凪ぎの一撃で強引に払い、そのまま器用に返しの袈裟斬りを見舞おうとして、


「忍法・手裏剣影分身!」


 犬面の背後から大量の弾幕が迫る。
 男は追撃を諦め即座に後方に大きく跳んでかし、犬面がクナイを投擲してきたものを弾く。
 後から弾幕を張ろうとする人物をを狐面との位置取りを巧みに操り牽制する。


「(追跡者は四人……私に二人、後は迂回して目標(ターゲット)を追うつもり、か……?)」


 すると今度は狐面が退き、すれ違い様に後方から猿の面をした者が突出し、印を結んで術を放出する体制に入る。


「火遁・豪華球の術!!」

「甘い。忍法・雷球の術!!」


 猿面の者は空いた口元の穴から広範囲に炎を吹き出し、男は高速で結んだ印から眩く迸しる(ほとばしる)特大の光球を放出する。

 両者が衝突し、雷撃が炎を圧すものの、猿面が辛くも炎の出力を上げて打ち消す。
 熱気と紫電を帯びる空気の先、面の者達が視たのは男が印を組み終わった姿だった。


「……雷幻・雷光柱!」


 先の術とは毛色の違う、突き刺すような光が辺りを包む。
 面の者達は、咄嗟に避ける術無くそのまま崩れ落ちる。
 その強力な光は夜闇という条件も相まって、かなりの広範囲に影響し、迂回して、潜んでいた者の一人をも捉え無力化する。
 男は更に全員に、落ちていたクナイを投げて効果の消えた後も行動させないようにする。


「(こいつらの役割は殺害というよりも足止め……差し詰め応援が来るか外に待ち伏せして各個撃破か……)……解」


 男は、部下が向かう逃走ルートとは真逆の方面を行くべく、自身の傍らに伏せた呪符を剥がし、其処から現れた幼子を脇に抱えて走り出す────かに見えたが、それは為らず、抱えた子供を手放してしまう。

 
「馬、鹿な……!?」

「我が一族の秘技を欲したのにその効果を知らなんだか。百眼の前にはあらゆる幻術は効かぬ」


 手離された子を受け止め、逆の手で男の心臓を貫いて語るのは、和装の男。
 その両眼の瞳孔は総てを見逃さんないかのように見開いており、その縁には血管が浮き出ていて迫力を増す。
 木の葉が誇る血継限界・白眼を持つ一族、日向家の現当主・日向ヒアシその人である。


「貴、様……何、故此処に……!?」

「……やはり内通者がいたか。誘拐犯風情が知る必要はない」


 淡々と語るも、その眼には怒りが滲んでおり、そのまま貫いた手を抜くと、大量の血が吹き出る。
 男は崩れ落ち、自らの血の池に溺れながら最期の呪詛を吐くように呟く。


「後悔、す、るがいい……日、向ぁ……かはっ」


 男はそれきりに物言わぬ骸と化す。
 それを無表情に見下げる日向ヒアシだったが、男の覆面を剥がしてその正体を知り、平素では見せることのない驚愕の表情を浮かべる。


「雲忍、忍頭……」


 月明かりの照らす中、月を写し出す血貯まりの朱は、これから起こる闘争を象徴するかの如く────









「────なんて感じで解説してみたり」


 木の葉の里、郊外。
 
 額充ては群雲のマークである雲忍の中忍の男は焦っていた。

 木の葉から追っ手を振り切り、仲間との合流場所に向かおうとしたら、いきなり訳の分からない事を言い出す巫山戯(ふざけた)た仮面を被った子供が現れたのだ。

 本来なら無視するか、口封じのために殺すかをするのだが、少年の話す内容は聞き捨てならないものだった。
 曰く、日向の子供を誘拐するため組まれた4マンセルは、最初から置かれていた囮と後から足した囮に目を向けさせて、実は足止めしていた実力者が本命をもって逃走するというものだったと言うのだ。

 男は、小隊の上忍から目標(ターゲット)の運搬を任された。
 それは間違いない事な筈であった。その筈なのだが、今自分が抱えているもの(・・)は、クナイが刺さって変化した呪符人形になっているではないか。


「アンタは信用されて無かったってことだ。まぁ、元から駄目で元々な作戦なんだけど。その上忍さえもが捨て駒なんだから何ともね。……まぁ、来世頑張れ」


 どういう意味だ。
 男は不気味な雰囲気の小児に怯みながらも更に問いただそうとして、急速に意識が遠退いていく事に気付く。
 何らかの術にかかったのか。そう思った時には既に遅く、抗うことは適わぬ紅く輝る瞳に溺れていくのだった。




―――――――――――――――――――――――――――――――――




 今日は珍しく両親が家に帰って来ないため遠出したせいで、遅くまで訓練をしてしまった。
 訓練を何時もよりも長く、場所も遠くまで移動したため、当然着いた頃には里を囲む外壁に備えら付けられた門は、完全に閉まっていた。
 なので抜け道を使うしかなさそうだと裏手に回ったところ、何かを抱えながら塀を飛び越えて来る人物と遭遇したのだ。
 遠方から察知して進路に潜んでいた此方には気付かなかったのか、それとも無視したのか。
 どちらか悩む所だが、放っておくのは何と無く止めた方がいい気がして追いかけた。
 中々に速かったが、熟知した周辺地理によって何とか先回りして偶々居合わせたかのように立ち塞がる。
 こんな夜中に子供がいるのを相手は怪訝そうに足を止めたが、いざ止めて何を言うのか考えてなかったので、取り敢えず指摘。


「ねぇお兄さん。その抱えてるモノ、偽物だよ?」


 不審者(仮)は何かを言いかけたが、それよりも早く相手の持つ人型のモノに攻撃。

 不審者は攻撃された事に反応して後退するが、直ぐに持ち物の異常に気付く。
 混乱しているようなので、俺の推測に基づく話をしてやると更に動揺する。
 そこに出来た、忍にとっては致命的な隙を突いてチェックメイト。

 ……毎度の疑問だが、バトル漫画でよくある自分の技のことをべらべら喋る奴はNURUTOの世界にもいるが、忍にはその隙は絶望的な気がするのだが。まぁ漫画的にそれは仕方の無い事でそれを言ってはお終いだが。

 例を出せば、霧隠れの抜け忍斬不斬(ザブザ)は無音暗殺術(サイレントキリング)が得意だという話だったが、あれは馬鹿正直に出ていったせいでかなり弱く見える。
 物語の性質上、後から出てくる敵ほど強くなっていくため、仮に原作の行動準拠の斬不斬が成長した主人公達の前に現れても話にならないのでは?……という話だ。
 しかしその実、有無を言わせず暗殺に出てくるような闘い方をすれば、かなり手強かっただろうとも思う。

 まぁこんなことを言っても、敵になりえる奴が強くあって欲しいと願うバトルマニアでもなし。
 で?っていうお話なのだが。


閑話休題。
 それは後に(・・)究明する予定(・・)として、問題はこの雲忍をどうするかだ。

 こいつが抱えていたのは一度確認したことのある原作キャラ『日向ヒナタ』の姿をした偽物だった。
 誘拐事件はもっと前だと思っていたので何も起こらない日々に焦りがあったが、取り敢えず原作沿いにイベントが起きて不謹慎ながらもホッと一息というところだ。

 本当はこの件には深く関わるつもりはなかったのだが、よく考えるとこの騒動は木の葉にとって無茶苦茶理不尽だ。
 このことに勘が働いたのかは判らないが、手を出してしまったものは仕方ない。
 兎に角この男には原作に近い動きをして貰うことにしよう。


「魔幻・獅子身中の謀り」


 写輪眼を使った幻術の応用技。
 やっとの思いで写輪眼その他チャクラの運用をできるようになってから、それまでの鬱憤を晴らすように我武者羅に鍛えた。その中での挑戦で試験的に開発した、相手が幻術による昏睡状態の時にのみ使用できるオリジナル技。
 簡単な記憶操作と暗示を掛けることができるものだが、正直な所は魔幻と銘打ってはいるもののそう大層なものではなく、何よりチャクラの消費が洒落にならないまだまだ不完全な術だ。
 背水の陣となるこの術は、今回のようなパターンでもない限りには使い処を考えなければならないだろう。


「アンタはここで誰とも話していない。木の葉の追っ手から逃れてから自分の担当した目標(ターゲット)は囮だったと自分で気付いた。アンタ以外全滅の様なのでそのまま里に帰還する」


 男は、虚ろな眼を僅かに開いてこちらの言うことを黙って聞く。
 最期にあるキーワードと指示を出し、そのまま雲隠れの里に向かって走り出した。

 徐々に意識がはっきりしていくようになっているので、撤退中にぼんやりした等と勝手に納得してくれるだろう。

 今の術でかなりチャクラを使い、残存量は一気に心許なくなってしまったので、家に帰って爆睡コースだ。
 いつぞやの筋肉痛再来に恐怖しながらもその場を後にしようと走り出そうとしたとき……



「ねぇ、アナタ。今何してたのか教えてくれないかしら」



 地獄の底から悪寒が爆走してくる声。それは例えるなら黒板に爪を立てて引っ掻きながら、Gを踏みつぶす音と比べても比にはならない類のものだ。
 恐る恐る不承不承渋々に、戦々恐々と振り替えってみると、そこには嫌というほど心当たりのある 変 態 が 生 え て い る で は な い か 。


「What a wonderful spectacle this is!!」


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