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No.31875の一覧
[0] 魔眼転生記―NINJA―伝[シオンβ](2012/03/07 21:50)
[1] 1.転生サラブレット[シオンβ](2012/03/09 01:35)
[4] 2.とある追憶と展望[シオンβ](2012/03/07 22:22)
[5] 3.覚醒する何か[シオンβ](2012/05/20 17:41)
[6] 4.雲隠れタクティクス[シオンβ](2012/05/20 17:35)
[7] 5.遭遇戦![シオンβ](2012/05/20 17:42)
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[31875] 3.覚醒する何か
Name: シオンβ◆8ace1640 ID:0c155718 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/05/20 17:41
※少し時制が戻ります。


 四歳になり遂に、遂に念願の血継限界を取得した。永かった。


 それは、一人で行動出来る時間が増えてきた事もあり隠れて体を鍛えていた時のこと。何せスペックが高いため調子に乗り、限界まで己を追い詰める多少の無茶を繰り返した結果。

 ある日、部屋の中。
 熊のぬいぐるみが、スローモーションで……落っこちたのだ。

 前に母が買い与えてくれたやけにリアルなソイツは、つぶらと言えなくもない黒眼で夕陽を反射しながらこちらを観ていた。
 その角度での陰影は筆舌し難いほどに雰囲気のある絶妙なもので、怪談にでも出てきそうなソレが逆さまに頭から落下していくのを瞬間刻みに視てしまった時は、死なずにして走馬灯という新手の死亡フラグにでも目覚めたのかと思ったが。



 まぁ、なんてことはない、白眼の開眼である。



 暫くしてまたその違和感が表れた時に窓ガラスに映った自分をると、あの目尻のところに血管(?)のようなものが浮き出ていたのだ。ぞっとした。
 リアルで見ると余り見栄えのいいものでは無いというのが正直な感想だ。
 後に調べたところ、目の横に浮き出るのは三又神経という器官で、本来は奥にあり目からの映像を知覚するのだが、これをを体質で更に表面にも発生させることで通常では有り得ない知覚の支配領域を増設できるのが、日向一族の白眼なんだとか。
 なので俗に言う魔眼の括りとは違ってこれら作用の鍵が遺伝による眼であり、能力を使いこなすためには自らの鍛錬によってこの疑似知覚器官を発達させる必要があるのだ。
 この発展具合の差が、才能の有る無しというわけである。


 取り敢えずは発動できるだけでも性能的には申し分のないもので、基本状態で視界が広がるのと反射神経が跳ね上がるという、1人で鍛えていくのにはお誂えの能力なのは間違いないだろう。まぁ本来(…)の写輪眼だとか写輪眼だとか、成長チートなアレと比べるのはアレだが。それまでの環境を鑑みるに、やっと希望が見えた感動は筆舌しがたいものである。
 因みに隠れてというのは、両親のことを見ていても雰囲気から察することができるがやはり余り目立つのは止めておいた方が良さそうだからだ。
 恐らくだが、両一族の出身だというのを、隠している訳でもないが余りそのことを表に出すことはせず、またそのどちらでもない「氷河」の家名を名乗っていることが関係しているのだろう。
 まだ俺が生まれたばかりの頃に、両親が一族のらしき人物とその辺りのことを話していたのを聞いてなかったら、教えてもらうまで気付かなかったかもしれない。
 一族のことはそれとなく尋ねると困ったように母が聞かせてくれたが、大したことは聞けなかった。


 まぁそれは今後として、両親からでさえ隠れてなのは母の過保護ぶりからだ。今までやってきてこれからも続けるつもりの無茶なやり方は、どう考えても許可されそうにない。
 母は俺が忍になることを反対はしないだろうが、どちらかと言えば座学方面に力を入れて欲しそうで、この先それとなく水面下での攻防が繰り広げられることになる。
 休憩の手持ち無沙汰の時に歴史書や考古学(みたいなもの)の本を何となく読破したのを目撃されてから、いつの間にか俺の部屋にその類の本が増えるようになったのだ。
 最初は特に気にせずそこらにあった本を適当に読んでいたのだが、明らかに持ってきた覚えのない医学書関連の本が増えていて、母に「これ俺のところにあったんだけど」と尋ねてみると
「あぁ間違えて貴方の所に持って行っちゃったのね。折角だから、それも読んでみなさい」
等と口実を作られてしまう。

 母は別に自慢するでも無いが、ご近所付き合い(一般人が多い)で俺の成長ぶりをもてはやされるのには満更でもないらしく、反則をしている身としてはこちらに純粋な期待の眼差しを向けてこられると正直少々後ろめたいものがある。


 ともあれ虎の子・白眼も習得したので、此方を悟られない距離から演習場等で修行している大人を対象に早速活用することに。
 それまで自分でやっていた鍛錬が児戯に等しいくらいの中々の人外ぶりであったが、さりとて自分でもやれると信じ、お手本を見ながら必死に見様見真似した。

 足捌き、跳躍、重心の推移。
 この世界では皆簡単に木の上を移動したり馬鹿みたいな跳躍が当たり前だが、やはりこれも忍補正なのか。
 小さな植木を飛び超えを何度も飛び越えるのに始め、毎日反復することによってその木の成長に合わせて長い年月を重ねて精進し、いずれは木をも飛び越すほどに……というくらい気長にやるのが認識だったのだが、白眼で動体視力を上げてそれら忍の人達の動きを見て実際に真似してみると、跳躍力は見違えるほどになった。原理は不明だ。
 同様に重心の取り方にしても、体勢を真似すれば何らかの力が加わったように整えることかできた。イメージとしては、重りを付けたパラシュートは必ず重りが下になって落ちていくのと似ている。
 この体勢を整えることができれば、よっぽどの事がない限り頭から落下するようなことはないだろう。何というか、便利なものである。

 まぁこんな感じで色々と習得していく。
 このよく判らない原理は変則的な重力の作用だったりするのか、この世界の人々の体質による一種の特技なのか……いつもの如く神のみぞ知ることである。





──────────────────────────────────────────────────────────────





 6歳になり、死ぬ気での修行の結果からか、身体能力面で同年代には負けないであろうくらいの自信はついた。

 ここまできて……いや、もうとっくに自覚してはいたが、チャクラの使用無しではどうしようもないという現実から目を逸らすのを止める。

 厳密に言えば、白眼でチャクラの流れが見えるので身体の内でのある程度の運用は出来るようになっている。
 原作では下忍になってから教わるのであった気がするが、意外といつの間にかに出来るようになっていたのだから仕方ない。
 基本はある程度やったので、例の件と向き合うことに。

 そう、あれは3歳のときに初めてチャクラを初めて使った日。
 社説の説明に従って手順通りに生成しようと、精神エネルギー+身体エネルギー=チャクラ!!を確認したときのことである。



……
………




(赤い……?ん……体が、ダルい……)

 確か俺はチャクラの確認をしようとして、そしたら地面が迫ってきて……

 あぁ、何のことはない。気絶したのだろう。
 だとすれば母なり父なりが気付いてくれるのを待つしかなかったわけだが、見たところ此処は病室でもなければ自分の部屋でもない。

 赤い床。
 それは元からの色ではなく、床一面に広がる液体が染める朱。
 少し霞がかって不明瞭視界となっているが、そこはごくごく普通に家具が並ぶ一室。 
 ここは一体なんなのか……は心当たりというか、嫌と言うほど見覚えがあるが、ここにいる理由が判らない……と思った瞬間、唐突に等身大の鏡台が現れる。

 いきなり出現したそれに驚く暇もなく、鏡に映った己の姿を見て納得する。

(……あー、そういうことか……。全く……やっぱ、死んじゃったわけか……)

 正確には自身の両眼。
 赤く光る瞳に浮かぶ勾玉の型取る変形五棒星。


 ……つまり万華鏡写輪眼である。
 うちは一族の保有する血継幻界、写輪眼。
 謂わば魔眼の一種で、その眼で観たあらゆる忍術・幻術・体術を解析してしまうもの。
 忍者としては延髄ものの能力だが、この能力には更に上の段階があり、それが万華鏡写輪眼と呼ばれる。

 一族の中でも秘中の秘であるこの能力の覚醒条件は『親しき者の死』。


 ……とされているが実際にはかなりアバウトで、原作でカカシが開眼したあたりから雲行きはかなり怪しくなっている。
 親しき者の死など、経験してた者は過去にも何人もいるのではと思うが、にも関わらずその存在さえ知っているのは極僅かだったのは……まぁ実力も兼ね揃えてということだと仮定しておこう。

 で、問題は自分がそれを覚醒させているということだが。
 根拠はこの空間。この場所は前世で過ごした家であり、思った瞬間現れた鏡。要は自分が望むものを顕現させたということだ。
 そんな幻想世界(・・・・)、思い当たるのは……万華鏡写輪眼を覚醒して得られる恩恵の一つである『月読』(つくよみ)による精神世界。
 ここは、その類によるものだろう。

 生まれて初めて発動してしまった写輪眼。しかも万華鏡、という上級のもの。
 発動したことはともかく、少なからず発動の条件を満たしているということは……


………
……




「俺はあの人を殺した、ってわけだ。……まぁそのつもりだったんだから、それが確定しただけなんだけどな……」

 あの後、精神世界からは直ぐに抜け出した。
 チャクラ切れを起こして維持できなくなったようで、次に起きたときは死ぬほど筋肉痛が酷く、このせいで母の過保護が加速したのは間違いない。
 やはり体力は忍の資本なのか、身体エネルギーの仕組みを改めて実感した瞬間だった。

そしていく日か後に、再び件の“眼” を発動した所で最悪の欠陥が判明した。
体質故のものなのかそれとも他の要因によるものなのかは定かで無いが、チャクラを練ると自然に写輪眼が発動してしまうのだ。それ自体は、目立つが仕方の無いものとして諦めることも出来なくは無かったが、それだけで時間が限られる中でチャクラを使おうとしない様な愚かな選択を取ることは勿論なく、言わずもがな、精神世界のアレである。
そう、俺は制御も禄に覚えず“万華鏡写輪眼”――身の危険(眼の奪取)を誘い、更には盲目へと常時突き進む、爆弾を手にしてしまったのだ。
慣れないうちは膨大なチャクラを消費する写輪眼をしかも単体で使う事が出来ず、制御するため訓練をしようにも時限爆弾(失明)は到底待ってくれるとは思えず。

肝心のチャクラを練ることが出来ないのでは無茶を繰り返すして文字道理に命を燃やすしか無い。そう言った意味では白眼を手に入れるまでの日々の絶望は、他人には到底理解し得るものでは無い。そうした苦労の末に、どうにか身体エネルギーを身に付けていったのだ。




……と言うのも全ては問題の先送りにする言い訳だったのは、自分自身でよく分かっていた。
 死への恐怖、罪の呵責。それらが付いて回るがこの世界なのだ。そしてその最も身近な象徴が、兄殺しだ。

 俺は死ぬ間際、兄を殺した。ただ、それだけ。
 そのことに関して他にどうしようも無かったし、次に同じ状況になっても同じことをするしかないのだろう。そう思い、考え、言い訳を連ねても、1と0の差はどうしようもないもの。その経験は、人としての……現代を生きた者としての一線を越えるものだったのだろう。


 この世界にいる限り殺しは付き物である。


 現代人の感性でははっきり言って吐気がする感性だ。その筈である。現に、何回も吐いた。
 吐いて、そうして徐々に克服していくものなのだと思いたかったが、俺が吐瀉物と共に吐き出したのは倫理感であったらしい。
 理論的に考えればこれはメリットなのだろう。それは価値観が変わった後に理由付けても失ったものを正常に測ることは出来ないのであろうが。


 まず、認識の変化を実感した。
 これから生きていくために“人の命”というものの価値に折り合いを見つけ、向き合っていくつもりであった。それは確かである。だがそれは一足飛びに無用なものになってしまっていたのだ。

 始めは、クーデターに対する策を考えるとき、最初に考えることは誰を片づけるの一番いいかということであった。
 極自然に浮かんだそれは“片づける”とはどういう事なのか、意識さえしていない自然な思考だったのだ。
 そのことに、今後の計画を立てて記した自分の手記を見て気付いたとき、恐ろしいと思う筈の考えになのに、何も感じていない自分がいる。
 自室だったが、構わず吐くことにした。

 この考えを忘れようと、ひたすら身体面を鍛えることにひた向き、無心になってやった。
 訓練の為密かに森に通い、訓練をしていてふと気付くと、自分の周りには野性動物の死骸で溢れていた。
 全てが急所を一撃で刈り取っていて、中には首輪の付いた猫でさえも含まれていた。
 気分など殆んど動いていなかったが、指を喉に突っ込んで無理矢理にでも吐いた。


 狂気が、迫って来る音がした。


 結局それから死ぬ気で命を刈ることの容易い力の制御を必死で覚えて、されど里を歩いていた時見付けた光景に……自分の中の倫理感(ストッパー)は、完全に砕け散ったのだ。








――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――








「――と言うわけで貴方達、老害の起こしたクズな教えに習うゴミ肥溜めには消えて貰うことにします」


 街の路地裏。
 昼間そこで、筋違いな悪感情や単なる劣情からの鬱憤を晴らしていた者達が、今度は己の身にその代償を受けていた。


 額充てをした者が幾人も。何れも里に所属する者であり、服装から、名門うちは一族の者までいることが判る。
 中には、中忍以上の実力を持った実力者もいるのだが、拘束されているわけで無いにも関わらず、一人の“少年”の前に跪いていた。


 その眼は紅く、見下げる瞳に浮かぶのはほの暗い諦感の星。


 その、何者も窺うことの適わないどこまでも冴え渡ったような視線の前に、幾年も年の離れている筈の大人達は只々呆けるしかなかった。
 少年は、その年頃には到底持ち得ない“無”の表情で、されど嘲いながら一言、告げる。


「……月詠(つくよ)」


 翌日、木の葉の里では忍の集団失踪事件が取り沙汰された。
 里抜け・暗殺・誘拐などが疑われたが、里を挙げた調査に関わらず、遂には手懸かりの一つもなく真相は謎のままとなる。


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