僕にとって最高だった誕生日が終わろうとしていた夜、
夢を見ました。
いつもと違ってやけに現実味があって、目の前には大きな牢獄のような格子があります。
その向こうには
・・・狐?
大きな、大きな九つの尾を持った狐がいます。
僕の身体は少し震えて格好悪いけれど、しっかりその狐を見ながら声をかけました。
「お父さん?」
目の前の大きな狐の目から涙がホロリと落ちました。
NARUTO ~大切なこと~ 第5話
早朝、5時ごろだろうか、ナルトはむくりと上半身を起こした。
なにやら夢でたくさんの会話をした気がする。
九尾の封印を解くとナルトは死んでしまうとか、九尾のおかげでナルトの怪我はすぐに治るとか、四代目火影が九尾を封印する時に使った術だとか、この封印は九尾の力を使えるような仕組みになっているとか・・・。
夢の中の九尾のお父さんは最後に
――「ワシのチャクラを使え。」
と言っていたような、言っていなかったような・・・。如何せん夢だったので、寝起きの頭でははっきりしなかった。
姉はもう朝食の支度を終え、ナルトを起こそうと思っていたところ、その場でボーっとしているが起きているナルトに顔を洗ってくるように言い、二人で朝食を済ませた。
「今日から、忍術の修行をするよ!」
2歳になって1年間チャクラコントロールだけをひたすら修行してきたナルトはチャクラの使い方は非常に上手くなった。
使う忍術によってチャクラの消費量は異なるが、ナルトのチャクラは父親譲りのものすごい量を持っている。
そして、知識だけではあるが忍術の本を大量に読んでいたので、ナルトはこの姉の言葉に顔を輝かせる。
「姉さん!妖術も教えてください!」
華代ははっとナルトの顔を見た。そこには弟の顔が見えた気がした。
「ナルトには妖のチャクラが無いでしょう?」
だから無理よと苦笑をもらす。しかし、
――父上のチャクラ!!?
突然、目に見える赤いチャクラ―九尾のチャクラ―が小さなナルトを包んでいた。
ナルトの目はいつもの空のような青ではなく華代のように紅くなっている。
「僕、夢の中でお父さんに会ったんです。」
お父さん、チャクラを使えって言っていたけど・・・、まさか本当に使えるなんて。となんとも無い様子で告げるナルトに華代は驚く。
――父上のチャクラを使いこなすなんて・・・。1年間しっかり基礎をつけただけあるわ!
無言でうんうんと頷いている華代をナルトは不思議そうな顔をしてコトリと傾けた。
その日から、午前中はチャクラを全身に行渡らせて肉体を活性化し、その状態で体術の訓練や、チャクラコントロールの応用の形態変化に、性質変化を増やす訓練をし、午後は忍術と妖術の修行をする日々をナルトは過ごし始めた。
体術の訓練の前にチャクラを身体の隅々まで行渡らせるのは至難の業だった。
華代はそれを難なくやってみせ、拳を地面に叩きつければ地割れが起きた。
ナルトも時間をかければ隅々までチャクラを上手く行渡らせることは1ヶ月ほどでできるようになったが、まだ姉のように一瞬ではできないでいた。
しかも、全身にチャクラを行渡らせた状態をこの訓練を始めた頃は5分ほどしか保てなかった。
しかし、努力を惜しまないで訓練したおかげで、今では一瞬でチャクラを身体全体へと行渡らせ、その状態をほぼずっと保つことが出来るようになった。
その2ヵ月後には姉に勝るとも劣らないほどの体術をつけていった。
それと同時進行で形態変化を身体に叩き込んだ。
チャクラコントロールは本当に見事で、具現化するのに対して時間はかからなかった。
ナルトは指先から長くて細い、しかし切るのに非常に困難な糸状のチャクラを出したり、チャクラを凝縮して指から切れ味の良いチャクラ解剖刀を出したりすることが出来るようになった。
その調子でトントン拍子に進むと思いきや、すぐにできることばかりではなかった。
夢の中でお父さん(九尾)と語った四代目の技―螺旋丸―を修得するにはとても難しかった。
螺旋丸とはチャクラの渦を手のひらの上で最高まで凝縮した技だ。それはまるで小さな台風だ。当たれば一溜まりもない。その技をナルトは発想の転換で会得する。
いきなり台風のような凄まじいチャクラを手のひらに収まってしまうようなサイズにしようとするから無理が生じるのだ。
だからまずは形にかまわず手の上に大きな台風を作るかのようにチャクラを発生させる。これ以上無いというくらい荒れたチャクラの台風が手の上に発生できるようになってから、徐々に周りから圧力をかけるつもりで丸く縮めていく。
それをナルトはひたすら繰り返し、1ヶ月でようやく螺旋丸は完成したのだった。
そして楽しみにしていた忍術・・・。
姉は実を言うと忍術にはあまり詳しくなかった。
変化の術は姉も使うので2歳の頃には教えてもらったが、それ以外は人間の術に興味を持たなかった姉にはナルトに忍術を教えることは出来なかったのだ。
――姉さん・・・。
それを知った時ナルトは少し呆れてしまったが、里の図書館で本を読みつくしていて心底良かったと思ったそうだ。
そしてナルトは本から得た知識を元に、分身の術や変わり身の術、簡単な幻術などはすぐに使えるようになった。
ナルトは図書館で忍術について学んでいる時、自分のチャクラの性質を紙で調べて見たところ、紙が切れたことによって風の性質だと分かった。なので、風遁系の術は得意だ。
しかし、風遁以外の術を扱えるように様々な術にも挑戦し、ほとんどの属性の術も会得してみせた。
高度な忍術は印が増えるため、とにかく印をすばやく組めるようになる訓練をした。
世の中に禁術というものがあることは知っているが、図書館に禁術関連のものが置いているはずもなく、どんなものなのか気になって気になってしょうがない日々を過ごす。
しかし、それも2年後には解消される。
ここから姉の本領発揮だ。
妖術―妖魔だけが使える術。
姉はさすが九尾の子ということでほとんどの妖術を修得していた。
特に九尾の得意としている妖術は“火”だ。
基本の“狐火”から九尾最強の技“狐皇炎(ココウエン)”と様々な火属性の妖術をナルトに叩き込んだ。ナルトも父、九尾のチャクラのおかげでそれらを難なく修得し、それらの技を磨くために毎日修行に励んでいた。
そんな充実した日々を二人で過ごしていた。
いや、実際には森の動物たちとも華代はもちろんのこと、ナルトも仲良く過ごしていた。
生きるために狩ることもあるが、無駄な殺生は絶対に行わない。
森の動物たちに二人はとても信頼されていた。
二人は幸せだった。このままずっと続くはずだったのに
終わりを告げる事件は起こった。
あとがき
今、必死に原作を読んでおります。
自分でオリジナルの技を作るのは大変難しいですね。