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No.2371の一覧
[0] NARUTO ~大切なこと~[小春日](2007/12/04 23:34)
[1] NARUTO ~大切なこと~ 第1話[小春日](2007/12/06 19:28)
[2] NARUTO ~大切なこと~ 第2話[小春日](2007/12/08 11:57)
[3] NARUTO ~大切なこと~ 第3話[小春日](2007/12/09 13:40)
[4] NARUTO ~大切なこと~ 第4話[小春日](2007/12/10 18:47)
[5] NARUTO ~大切なこと~ 第5話[小春日](2007/12/12 16:44)
[6] NARUTO ~大切なこと~ 第6話[小春日](2007/12/12 16:50)
[7] NARUTO ~大切なこと~ 第7話[小春日](2007/12/13 18:18)
[8] NARUTO ~大切なこと~ 第8話[小春日](2007/12/14 19:29)
[9] NARUTO ~大切なこと~ 第9話[小春日](2007/12/15 19:13)
[10] NARUTO ~大切なこと~ 第10話[小春日](2007/12/16 19:35)
[11] NARUTO ~大切なこと~ 第11話[小春日](2007/12/17 20:32)
[12] NARUTO ~大切なこと~ 第12話[小春日](2007/12/18 19:24)
[13] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2007/12/19 19:38)
[14] NARUTO ~大切なこと~ 第13話[小春日](2007/12/21 18:21)
[15] NARUTO ~大切なこと~ 第14話[小春日](2007/12/23 23:41)
[16] NARUTO ~大切なこと~ 第15話[小春日](2007/12/27 19:27)
[17] NARUTO ~大切なこと~ 第16話[小春日](2007/12/28 19:25)
[18] NARUTO ~大切なこと~ 第17話[小春日](2007/12/28 19:44)
[19] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2007/12/29 20:55)
[20] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2007/12/30 10:32)
[21] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2007/12/30 10:31)
[22] NARUTO ~大切なこと~ 第18話[小春日](2008/01/01 19:42)
[23] NARUTO ~大切なこと~ 第19話[小春日](2008/01/01 19:59)
[24] NARUTO ~大切なこと~ 第20話[小春日](2008/01/02 15:46)
[25] NARUTO ~大切なこと~ 第21話[小春日](2008/01/02 16:15)
[26] NARUTO ~大切なこと~ 第22話[小春日](2008/01/02 17:55)
[27] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/01/03 09:15)
[28] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/01/03 09:21)
[29] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/01/04 23:12)
[30] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/01/05 09:50)
[31] NARUTO ~大切なこと~ 第23話[小春日](2008/01/07 23:00)
[32] NARUTO ~大切なこと~ 第24話[小春日](2008/01/07 23:04)
[33] NARUTO ~大切なこと~ 第25話[小春日](2008/01/11 16:43)
[34] NARUTO ~大切なこと~ 第26話[小春日](2008/01/13 19:48)
[35] NARUTO ~大切なこと~ 第27話[小春日](2008/01/16 19:00)
[36] NARUTO ~大切なこと~ 第28話[小春日](2008/01/16 19:05)
[37] NARUTO ~大切なこと~ 第29話[小春日](2008/01/16 19:17)
[38] NARUTO ~大切なこと~ 第30話[小春日](2008/01/21 18:32)
[39] NARUTO ~大切なこと~ 第31話[小春日](2008/01/26 13:48)
[40] NARUTO ~大切なこと~ 第32話[小春日](2008/02/02 12:34)
[41] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/02/10 23:03)
[42] NARUTO ~大切なこと~ 第33話[小春日](2008/05/16 21:54)
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[2371] NARUTO ~大切なこと~ 第26話
Name: 小春日◆4ff8f9ea ID:6fefa3ec 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/01/13 19:48






2日間しっかり休んで、ただ今4日目のお昼です。


僕はせっせと川の魚を獲っています。


サクラちゃんとサスケは火の準備をしていて・・・


なんだか懐かしいですね。こういうの。


やっぱりみんなでこうやって活動するのは楽しいですね!


でもそろそろ天の書の巻物を見つけないといけません。


それにさっきからずっとこちらを見ているあの第一の試験でも感じた嫌な気配・・・


そうか、彼の気配はあの大蛇丸と似ているから嫌な気配をしているんですね。


大蛇丸の部下ですか・・・木の葉の額あてをしていますし、スパイってやつですかね。


・・・サスケの様子を見にきたのでしょうね。


サスケが試験に落ちると困りますからね。


んー、特に何もしてこないですが・・・


もう少ししたら出てきてもらいましょうか。







NARUTO ~大切なこと~ 第26話







パチパチと音を立てて燃えている火を3人の子供たちが囲んでいる。
火の周りには木の枝に刺さっている3匹の魚が立てられ、おいしそうに焼けている。

「ナルトって魚獲るの上手よね。」

あんたがいて食事だけはまともにとれるわ、と言うのはピンク色の短い髪の少女、サクラだ。サクラの言葉にナルトと呼ばれた金髪の少年は満面の笑みを作る。そして焼けた魚をサクラと黒髪の少年サスケに手渡し自分も食べ始める。
しかし、元気そうだったサクラもその魚を一口だけ食べて、地面に置いてある1つの巻物をじっと見つめた。

「もしかしたらもう・・・天の巻物は無いのかも・・・。」

ボソリと呟くように言ったサクラ。
第二の試験の期限は5日間だ。それに対し今はもう4日目。
ただでさえ合格は最大で13チームだ。しかし、自分たちの初めにもらっていた“天の書”は大蛇丸によって燃やされてしまった。
ということはすでに合格チームが1チーム減ったことになる。それに、他のチームの巻物も全て無事とは限らないのだ。

「いずれにしても・・・次の敵がラストチャンスだな!!」

サクラの言葉にサスケが気を引き締めると、水を汲みに行く、と言って水筒を持ち、川の方へと行ってしまった。
サクラは心配そうにそれを眺めている。しかし、

――ん・・・? サスケが動いたのに、そばにいる気配さんはずっとこちらを見たままですね。

いったい誰の観察をしていらっしゃるのでしょう?

ナルトは先ほどから藪の中からこちらを見ている気配をずっと気にしていた。が、それをわざわざサクラたちに言って、怯えさせるのもよくない。
ナルトは全く考えていることを表に出さず、おいしそうに魚をきれいに骨だけ残し食べてしまう。最後にはきちんと手を合わせて「ごちそうさまでした」と言って。
こちらを見ている気配には自ら出ていただかなくては。
相手が出てこなくてはならなくなるようなことをこちらで起こすしかない。
そう思ったナルトは下に置きっぱなしの“地の書”を見てニヤリとする。
今いるのは自分とサクラだけ。このやり方はサスケがいないのはちょうどいい。

「あのさ! あのさ! 敵と戦わないで“天の書”を手にする方法があるってばよ。」

この言葉に「え!?」と少し嬉しそうに振り返ったサクラに少し心が痛い。しかし、これは1人でやるよりは、2人のほうがいい。
ナルトは自分の荷物からゴソゴソと持っている巻物を出していく。その巻物の中に“新薬~毒キノコ編~”という文字を発見したサクラは2日前のことを思い出し、思わず顔を引きつらせた。が、

「ま・・・まさか・・・!」

サクラはナルトのしようとしていることに気づいた。それにナルトは頷く。
ナルトのしようとしていること、それは“天の書”の偽者を作ることだ。しかし、それには今持っている“地の書”を開かないといけなくなるだろう。

――僕はもう中身を知っていますが・・・ね。

ナルトはミコトで試験官たちのお手伝いをしている身。この中忍試験の内容はほぼ全て把握しているのだ。
大蛇丸のせいで、せっかく試験の内容を知らない影分身のナルトをずっと消さずにこれまで過ごしてきていたのに、その苦労も水の泡である。アンコを助けに行った時のミコトの殺気はこの理由も含まれているようだ。

「この巻物を・・・開いてみるってばよ!」

ナルトは“地の書”をサクラの前へ突き出す。
この試験のルールで巻物の中身は決して開いてはいけないと言われているため、サクラはこのナルトの提案に一度は否定する。しかし、確かに今のままでは間違いなく合格できないのだ。
サクラは覚悟を決めて、ナルトに巻物を開くことを承諾する。

――サクラちゃん・・・だましてごめんね。

先ほどからチクリと胸が痛いが、今はおびき寄せることに集中しなくては。
ゴクリと喉を鳴らし、巻物を開こうとした次の瞬間、

「やめた方がいい・・・。」

ルールを忘れたのかい? と、ナルトの手を掴んで現れたのは丸眼鏡をかけた木の葉の下忍だった。突然現れた下忍に2人は驚愕する。が、

――遅いですよ!!
   このままでしたらサクラちゃんを巻き添えにするところでしたよ!!

ナルトは内心怒っていた。
すると、そこへ水を汲みに行っていたサスケが戻ってきて、事の次第を聞くと呆れて2人を叱る。


「危ないところだった・・・。」

そう言って、この巻物について語り始める青年。
ルールを無視した者は必ずリタイヤせざるをえない状況に追い込まれる。
前回の試験は、途中で巻物を見た者には“催眠の術式”が目に入り込むように仕込まれていたという。それによって試験終了まで眠らされてしまうのだ。

――今回は巻物によって口寄せされた先生方が気絶させることになっています。
   僕たちの班はイルカ先生のはずです。

ナルトはあの時のイルカのことを思い出し、苦笑をもらす。


あの時はそう、










中忍選抜試験があと数日と迫っていた日のことだ。


「あれ? イルカ先生どうされたんですか?」

ミコトはこの時間帯に火影邸にいたイルカに驚き、思わず声をかけた。
今はまだお昼前。イルカはまだアカデミーで授業を行っている時間ではないだろうか。振り返ったイルカは自分の顔を見て苦笑している。

「いえ、ちょっとお願い事を・・・。」

「お願い事・・・ですか?」

イルカがアカデミーを抜けてまでするお願い事とは何だろうか。
首を捻ったミコトにイルカは恥ずかしそうに話し始めた。

「第二の試験、今回の巻物は口寄せになっているでしょう? それで、ぜひともあるチームのその口寄せされた時の担当にお願いできないかと、アンコさんに頼んできたところなんです。」

ミコトもその言葉に「そうでしたか。」と納得を返す。
しかし、その話を聞いて気になってしまうのはその“あるチーム”。
ミコトはちらちらとイルカに視線を送ると、ニッコリ笑って教えてくれた。

「前、一楽に行った時に名前を出したやつ・・・ナルトがですね、今度の中忍試験に出るんですよ。ほら、ミコトさんの兄弟かって訊いた子なんですけど。」

それにミコトは「ああ」と言葉を返す。
あの時は影分身だったが、髪と目の色が同じだと指摘されて、内心ヒヤッとした記憶が残っている。

「そいつが第二の試験で塔までたどり着いたら、俺が引導を渡そうと思いまして。」

「え?」

ミコトは思わず自分の耳を疑った。
まだ試験が始まってもいない。しかし、今のイルカの言葉が聞き間違いではないのならば、それはまるでナルトが第一の試験を突破し、第二の試験も合格までたどり着くと言っているようなものではないだろうか。
第二の試験では試験の途中で巻物がそろっていなくても開けてしまう者がいるというのに。
ミコトが驚いた顔をすると、イルカははにかみながら話を続ける。

「あいつ・・・ナルトには医療忍術を使える素質があるんです。」

ほら、医療忍術なんてみんながみんな使えるものではないでしょう? とそれは嬉しそうに語るイルカ。顔では自慢の生徒なんですと物語っている。

「だから、ナルトにはこんなところで潰れてほしくないんです。」

そのためにも俺が今回は止めてやらないと、と少し厳しい顔になったイルカに今度はこちらがはにかんでしまう。
卒業してまでこんなに思ってもらえて、自分はなんて幸せ者なんだろうか。
嬉しすぎてミコトの姿なのに抱きついてしまいそうだ。
しかし、イルカがそんな恨まれごとをする必要はない。

「イルカ先生は、そのナルト君が第二の試験も塔までたどり着けるとお思いなのでしょう?」

「ええ。」

イルカは当たり前だというような顔で頷く。それには思わず苦笑してしまう。

「でしたら、きっと大丈夫ですよ。なんせ、イルカ先生にそこまで思われている生徒さんなんですから。こんなことで潰れるなんてことはないですよ。それとも・・・イルカ先生はその子がそんなに心の弱い子だと思っていらっしゃるんですか?」

と言えば、首をブンブンと横に振るイルカ。そして、少し下を向いてポツリと呟いた。

「・・・そうですね。あいつは・・・心がとても強い奴です。」

俺が信じないでどうするんだって感じですね、と言って笑ったイルカにミコトもそうですよ、と言って一緒に笑った。

「あいつが塔に来て俺を口寄せしたら、一番に“おめでとう”と言ってやります。」

では、これからアカデミーに戻るので、とそのまま帰っていくイルカ。
ミコトはその背が見えなくなるまでじっと見つめていた。










突然ナルトは強い視線を感じ、ハッとして今の状況を思い出す。
強い視線はそばにいたサクラやサスケ、カブトからのものだった。
ナルトは苦笑いを浮かべて、「開けなくて良かったってば! カブトさんありがとー!」と言ってその場をしのいだ。



「ところで・・・確かカブトとか言ったな・・・こんなとこ1人で何ウロウロしてんだ。」

サスケが偉そうな口調で先ほどまで説明していた青年、カブトに問いかける。
カブトはすでに2つの巻物をそろえ、はぐれた仲間を塔付近で待とうと急いでいる途中だったと告げ、再び塔へと向かおうとして別れの言葉を言う。しかし、サスケが「待て!!」と声をかけギロリとカブトを睨む。そして、

「勝負しろ・・・。」

「・・・・・・勝負だって・・・?」

サスケの突然の申し出に去ろうとしたカブトは振り返る。サクラがサスケを止めに入るが、サスケは焦っていた。もう自分たちには時間がない。ここでカブトから巻物を奪わなければ自分たちはこの試験を合格することができないだろう。

――サスケ相当焦っていますね・・・

巻物を本気で奪う気ならカブトが去ろうとした時など、油断をしている隙に奪えばいいのだ。カブトはそのことを指摘し、一緒に行動することを提案した。






「本当にまだ敵はいるのか?」

「ああ、間違いなくね・・・。」

今ナルトたち3人とカブトは塔へと向かって木々の枝の上を飛び移るように移動している。
サスケが走りながら尋ねると、カブトはこれからどうすれば良いか説明し始めた。

この試験の受験者の共通ゴールはこの森の中心にある塔だ。
試験最終日となった時点で最も巻物を集めやすいのはその塔の付近ということになる。
塔付近で両方の巻物を持っているチームの巻物を狙うこともできるが、すでに塔付近で罠をはって待っているチームがいる。そのチームを狙うのが良いだろう。しかし、そのようなチームばかりではない。

「この手の試験で必ず出現するのはコレクターさ。」

コレクターとは余分な巻物を集めようとする者たちのことだ。
そのような者はかなりの実力者であり、決して慢心しない最悪の敵である。
と、ようやく塔の見える位置までやってきた。ここからが正念場だ。しかし、

――う~ん、どうやら幻術の中に入っちゃいましたね。
   ・・・これは“狐狸心中の術”ですね。

カブトさんは気づいていますが・・・とナルトは判断する。
“狐狸心中の術”とは、術のかけられた特定の区域に入ると、同じ場所を繰り返しずっと歩くことになる術だ。
その術に気づいているだろうに、カブトはここから時間の許す限り身を隠しながらゆっくり行こうと提案する。サスケたちは静かにそれに頷き、木から下りて地を歩き始める。それをナルトは1人だけ少し後ろについて歩き始めた。

――この術をかけている気配は・・・雨隠れさんですか。

ナルトはカブトに注意しながら、こっそり幻術をかけている敵の気配の正確な位置を探る。そしてふと立ち止まると、カブトたちがこちらに気づいていないのを確認し、バッと何かの印をかなりの速さで組んでいく。そして印を組み終えた直後、

「俺ってばちょっとしょんべん!」

と、前を歩く3人に叫んだ。

「もう! ナルト! さっさとしてきなさい、置いてくわよ!」

ほんとに緊張感がないんだから! とサクラが振り返ってナルトに怒る。サスケやカブトも呆れた顔をしている。
ナルトはすぐにもどるってばー、と言って藪の中へと入っていく。そして、



――成功ですね。

ナルトが入った藪の中。
そこには雨隠れの下忍の3人が倒れていた。その3人はただ眠っているようだ。
そんな3人の周りに散らばっている白い羽。
これは先ほどのナルトが組んでいた印、“涅槃精舎の術”によって発生した羽だ。
これは鳥の白い羽を降らせて眠りを誘う幻術の1つだ。
ナルトは心の中でちょっとすみません、と謝って、眠っている者たちから巻物を探し出す。すると出てきたその巻物は都合よく“天の書”だった。

――これ以上サスケを戦わせるわけにはいきませんからね。

そう、サスケは少しでもチャクラを練れば呪印が発動してしまう。
おそらくカブトはそれを見に来たはずだ。
サクラも精神的疲労が大きいため、できれば敵などというものに今は遭遇させたくない。ナルトは雨隠れの下忍たちに手を合わせて軽くお辞儀をすると、サクラたちの下へ戻っていった。



「俺ってばラッキー! みてみて“天の書”だってば! あっちに落ちてたってばよ!」

ちょっと無理があるなぁと思いながらも、顔は満面の笑みで3人の目の前に“天の書”の巻物を見せるナルト。みな目を見開いて驚いている。

「ちょ・・・ナルトでかしたわ!」

あんたって運がいいわね! と喜ぶサクラに、口角が少しだが上がっているサスケもどうやら喜んでいるようだ。が、

――幻術が消えた・・・?

カブト1人だけはじっとナルトを見つめている。カブトは幻術をかけている者たちがどこにいるかは把握できていなかった。しかしいつの間にか消えている幻術に疑問を抱く。

――もしかしてナルト君が・・・?

目の前でサスケたちと喜んでいるナルト。
ナルトの情報ではアカデミーでは万年ドベ。下忍の任務も大して活躍していない。
それを思い出し、カブトは考えすぎだと軽く頭を振る。でも、疑ってみる価値はあるかもしれない。

「・・・ナルト君すごいね。」

そう言ってナルトに微笑む。
あまり直接的に聞いてしまってはこちらのことがバレかねない。
当たり障りのない言葉を選んで言ってみた。
すると、ナルトはとても嬉しそうに笑い、「俺ってば天才!」と騒ぎ出すナルト。それに対し、「何言ってんのあんた! 天才はサスケ君のことをいうのよ!」とナルトの頭を殴るサクラ。「このウスラトンカチが」と言って蹴りを入れるサスケ。すっかり先ほどまでの緊張感がナルトのせいでなくなってしまっている。
そんな様子を見ていたカブトはやはり自分の思い違いだと確信し、4人はそのまま塔へと向かっていった。


そして塔へとたどり着くと、カブトの仲間である2人が現れ、カブトは別れを告げると2人とともに去っていった。
サスケとサクラも自分たちの入る扉へと向かっていく。が、しかし、ナルトはその場で佇んだままだ。

すると、いつの間にかナルトの背後にミコトが立っていた。

「たった今、火影様も到着しました。」

部屋に戻るときは、アンコさんの呪印を心配してあげてください、と言ったミコト。
ナルトたちが帰ってくるのを見計らって、抜け出してきたのだ。
そのミコトがボンッとナルトに変化し、サクラたちの後へと駆け寄っていく。
それをナルトは無言で見送ると、ポツリと呟いた。

「イルカ先生・・・遅くなってすみません。」

その場に佇んでいたナルトはミコトに変化をして、サクラたちが入っていった扉をじっと見つめ、目を細めて微笑む。
中ではきっと、イルカの喜ぶ顔が見れるはずだ。
その顔が目に浮かぶようで思わず顔が緩んでしまう。
しかし、今はそんな場合ではない。
ミコトはアンコと三代目のもとへと急いだ。










「収穫は・・・?」

カブトたちが入った扉の中には、長い黒髪の男が壁に寄りかかって立っていた。

「・・・・・・特にありませんでしたよ。大蛇丸様。」

カブトは目の前の男にそう告げる。カブト以外の2人は先に会場のほうへと向かうと言って、その部屋から出て行った。
長い黒髪の男、大蛇丸はその言葉に少し意外そうな顔でカブトを見つめる。

「お前がわからないなんて・・・。」

「でも急にどうしてナルト君を調べろだなんて。」

まぁ、すごく運のいい子ではあると思いましたよ、とよく意味の分からないことを言うカブトに説明するように大蛇丸は命令する。

「実は僕が一緒にこの塔に来る途中で、ナルト君が落ちていた巻物を拾ったんですよ・・・本当に運がいいですよね。その時に少し気にかかったのは、その場にかけられていた幻術が消えたことくらいですかね。」

でも、ナルト君には関係なさそうでしたよ、と呆れたように言うカブト。

――そんな偶然・・・あるはずないわ。

巻物を落とすなんてことはいくら下忍とはいえしないだろう。それに幻術をかけている者が、わざわざ自分からその術を解除するだろうか。
・・・するはずがない。
きっと、ナルトはその時に何かしら行動を起こしているはずだ。しかも、カブトに探られないように。
自分と対戦したナルトの医療忍術は、カブト以上だったと、考えたところで大蛇丸は再びカブトの方へと顔を向け、無言で右腕を差し出す。
その動作を見て首を傾げたカブトに、大蛇丸はニヤリと笑った。

「右手の指が動かないのよ。」

これ誰がやったと思う? とニコニコと気味の悪い笑みをする大蛇丸に、カブトは近づいてその右腕をとる。そしてハッとした顔をする。

「・・・腕の表面や筋肉などには全く傷つけず、神経だけが切断されている・・・これは治るのに少し時間がかかりますね・・・・・・この切断はチャクラ解剖刀・・・。」

一体誰が大蛇丸様に・・・!? と驚きを隠しもしないカブトに大蛇丸はクククと笑いをもらした。

「ナルト君がやったのよ・・・そう、あなたよりも精確なチャクラコントロールを持っているわ。」

「まさか・・・あのナルト君が!?」

カブトは驚愕する。
塔まで少しだけだが一緒にいたナルトが目の前にいるこの大蛇丸に一撃を入れるなど想像も付かない。どう見てもただの騒がしいガキだった。

「フフ・・・まぁいいわ。ところで・・・どうだったの?  サスケ君。」

と言ってそれは嬉しそうな顔をしている大蛇丸。そんな大蛇丸を見ていれば、カブトは特に言うこともないだろうと思い、全てをお決めになるのはあなたなのですから、と言ってカブトも仲間の下へと行こうとする。が、その時、

「ねぇカブト・・・ミコトっていう木の葉の忍、知ってる?」

突然の問いかけにカブトは振り返った。そこには先ほどまでの笑みが消え、真剣な表情をした大蛇丸がいた。カブトは少し考える素振りを見せると、「あぁ」と言って答える。

「今回の中忍試験で初めて姿を現した忍者ですよね・・・僕もその方の情報は一切持っていません。彼は今まで一度も任務をなされていないようなので・・・。」

カブトの言葉に今度は大蛇丸が驚愕した。

――・・・一度も任務をしていないですって!?

アンコと接触した際に突如背後に現れたミコトという木の葉の忍。殺気がなければ己でさえ気づかなかったあの気配の無さ。それにミコトが現れたときに見せたアンコの驚愕の表情。あれは・・・

――瞬身の術ではなかったのよね・・・

そう、アンコほどであれば瞬身の術なら術を使っている相手の姿を目で追うことは可能なはずだ。しかし、あの驚き様から見て明らかにミコトが唐突に現れたと考えて間違いないだろう。

――・・・一体どうやって・・・


何か深く考え込んでいる大蛇丸にカブトは首を傾げ、とりあえずそのまま次の会場のほうへと向かった。
大蛇丸はそれに気づかずじっと考え込む。そして左手が右の脇腹に触れたときだった。

「ん? 何かしら・・・。」

右の脇腹の服の上についている文字のようなもの。

――ッ!!・・・これは術式!?

いったいいつの間に!? とその文字を見て驚く。
しかし、この文字によって1つの謎は解けた。
これは時空間忍術の1つである“飛雷神の術”に使用するものだ。この術式のある場所に神速に移動することができる。ミコトはこれを使用したのだ。しかし、

――あのミコトって子に会ったのは・・・

第二の試験が開始される前に自分が草忍の下忍に成り済まし、アンコにクナイを返そうとした時に会っているが、あの時は特に何もされなかったはずだ。では一体いつ己の身体に術式を残すことができたのか・・・

――私の身体に触れたのは・・・

大蛇丸はそこまで考えるとハッとする。そして不気味にクククと笑い始めた。


「・・・そういうことね。」



そう一言だけを残し、大蛇丸の姿はその部屋にはなくなっていた。










「アンコさん、まだ呪印は痛みますか?」

ミコトがアンコを見て心配そうに声をかけた。
戻ってきたミコトにアンコはだいぶ良くなったわ、と返事を返す。すでにこの試験に関わっている木の葉の中忍以上の者たちはもう大蛇丸がこの里へ入ってきていることを知っている。
ソファーに座っているアンコの後ろに立っていたコテツやイズモが、里抜けをした大蛇丸が今更この里に何の用があってきたのか、と疑問を口々に言っている。それを聞いていたアンコは顔を歪め、口を開いた。

「・・・それは」

「サスケじゃろう・・・。」

アンコの言葉をつなぐように呟かれた三代目の言葉にみな一斉に顔を向ける。

――・・・火影様は大蛇丸の考えていること知っていらっしゃる・・・?

まだ火影様にはサスケの呪印に対しての話はしていなかったのだ。ミコトはじっと三代目の顔を見つめる。ミコトも大蛇丸がサスケを狙っているのはこの第二の試験ではっきりとわかった。しかし、

――それだけのために・・・?

大蛇丸はビンゴ・ブックS級の抜け忍だ。危険を冒してまでわざわざサスケだけのために来るだろうか。他にも何かがあると考えるが、相手が行動に移さない限り、こちらが下手に動いても無駄だ。と、思案しているところで、第二の試験の結果が報告された。


“第二の試験”通過者総勢21名を確認。
中忍試験規定により“第三の試験”は5年ぶりに予選を予定いたします。

“第二の試験”終了です。


この報告を聞いて、三代目が口を開いた。

「・・・とりあえず試験はこのまま続行する。あやつの動きを見ながらじゃがな・・・。」

アンコはそれを聞いて静かに頷き、予選の会場へと向かう。ミコトもそれについていこうとする。ミコトの次のお手伝いは予選の審判である月光ハヤテの手伝いだ。
次は何かさせてもらえるだろうか、と思いながらこの部屋を出ようとしたその時、

「ミコト。」

背後から声をかけられ振り返る。と、そこには真剣な面持ちをした三代目火影が立っていた。

「おぬしはこの予選、わしの隣におれ。」

唐突なその申し出にミコトは少し眉間に皺を寄せた。
火影様の命令は絶対だが、突然の変更に少し戸惑う。そんなミコトの様子を見た三代目は苦笑をもらした。

「なぁに、予選ではおぬしの仕事は何もない。それに見ることも勉強になろうて。」

三代目はニコニコと笑っている。先ほどの緊迫していた空気がそれによってどこか晴れたような気がする。ミコトは「わかりました」と言ってその部屋を出て行く。すると、

「ふぅ~・・・。」

火影様はなぜかほっと息をついていた。

――この試験はあやつが関わったせいで危険じゃ・・・
・・・ミコトの医療忍術はこの里に必要なものじゃ。

ミコトに目をつけられたら困るからのぅと内心ではそんなことを考えていらっしゃった火影様であった。










会場の中央には“第二の試験”を突破した21名の下忍が班ごとに整列している。そして、その下忍たちの前には各班の上忍たちや試験官、三代目火影が立っていた。

「まずは“第二の試験” 通過おめでとう!!」

高らかにアンコの声がこの会場内に響く。その言葉に下忍の一部の者たちは声には出さないが喜び、周りを見て合格者たちの顔ぶれを確認している。それは上忍たちでも同じだった。


「なかなかやるじゃないかお前のチーム・・・運が良かったかな・・・だが俺のチームがいる限り、これ以上は無理だな。なにせ次の関門では否応なしに実力が物を言う。まぁ青春とは時に甘酸っぱく、時に厳しいものだよ、カカシ・・・。」

長々と隣の男に話しているのは、おかっぱ頭に濃ゆい眉、下睫毛が印象的なマイト・ガイだ。隣の男、はたけカカシはガイの最後の自分の名の呼びかけで、ようやく自分に向かって話をしていたことに気づき、「ん? 何か言った?」と問う。
ガイはそのカカシの反応に右手で作った拳がふるふると震えている。
きっと、「さすがは我がライバルだ、お前のそういうとこがまたナウい感じでムカツク」とでも思っているのだろう。


――・・・大蛇丸・・・今度は音の下忍たちの上忍としていらっしゃいますね。

そんな少し和やかな雰囲気になりつつあるこの会場の中、ミコトは大蛇丸の気配に気づき、ちらりと目線を音符の額あてをした上忍に向けた。その上忍はこちらには気づいておらず、整列している下忍たちの中の1人へ何か目で合図を送っているようだった。

――術式に気づかれてしまったようですね・・・

大蛇丸につけていた術式はもう反応しなくなっていた。それは大蛇丸が術式に気づいて、なにかしら使えないようにしたからに違いない。

――今ここで大蛇丸がいることを告げたら会場がパニックを起こしてしまいます・・・
・・・今は特に行動を起こさないようですし

見張っておきましょう、と心の中で決定を下す。とその時、三代目火影から“第三の試験”の説明が始まった。

「これより始める“第三の試験”・・・その説明の前にまず、一つだけはっきりお前たちに告げておきたいことがある!!」

下忍たちは息を呑んで三代目火影を見つめている。いったい試験の前に何の話をする必要があると言うのか。

「・・・この試験の真の目的についてじゃ。何故・・・同盟国同士が試験を合同で行うのか? “同盟国同士の友好”、“忍のレベルを高めあう”・・・その本当の意味をはき違えてもらっては困る! ・・・この試験は言わば・・・同盟国間の戦争の縮図なのだ。」

下忍たちはその言葉に疑問の声を上げる。それに対し、三代目は落ち着いて話し始める。
同盟国とはかつて勢力を競い合い、争い続けた隣国同士だった。
中忍選抜試験の始まりとはその国々が互いに無駄な戦力の潰し合いを避けるために敢えて選んだ戦いの場なのだ。
この試験が中忍に値する忍を選抜するとともに、国の威信を背負った各国の忍が命懸けで戦う場でもある。

「国の威信・・・?」

下忍の1人がポツリと呟いた。
“第三の試験”には忍びの仕事に依頼をすべき諸国の大名や著名な人物が招待客として招かれる。そして何より各国の隠れ里を持つ大名や忍頭がお前たちの戦いを見ることになる。
国力の差が歴然となれば、“強国”には仕事の依頼が殺到し、“弱小国”と見なされれば依頼は減少する。
それと同時に隣接各国に対し、“我が里はこれだけの戦力を育て有している”という脅威、それは外交的、政治的圧力をかけることができる。

「国の力は里の力・・・里の力は忍の力・・・そして忍の本当の力とは命懸けの戦いの中でしか生まれてこぬ!!」

その言葉にみな緊張感を持ち始める。三代目はさらに話を続ける。
なぜ“友好”などという言い回しをするのか。
忍の世界の“友好”、それは命を削り戦うことで力のバランスを保ってきた慣習であるのだ。

「これはただのテストではない・・・これは己の夢と里の威信を懸けた命懸けの戦いなのじゃ。」

全てを聞いて愕然とする者、逆にこれからの試験に胸を弾ませる者と下忍たちはそれぞれの反応を見せている。その中の砂の下忍の1人が、早く“第三の試験”について説明するように催促をする。と、そこへ火影様の目の前にサッと現れた片膝を地に着いて礼をとる木の葉の忍。

「・・・恐れながら火影様、ここからは“審判”を仰せつかった、この月光ハヤテから・・・。」

火影はその忍びを見て、任せよう、と呟いた。すると、ハヤテと名乗った忍びは立ち上がり、下忍たちの方へと振り向き、再び自分の名前を名乗る。この忍、とても忍者としてやっていけるのか心配になるほど具合が悪そうな顔色をしている。

「えー皆さんには“第三の試験”の前にやってもらいたいことがあるんですね・・・。」

そう言っている間にもゴホゴホと咳をするハヤテ。下忍たちは試験の内容より、ハヤテの体調のほうが気にかかってしまう。しかし、次のハヤテの言葉にみな驚愕する。

「えー・・・それは本選の出場を懸けた“第三の試験”の予選です・・・。」

“予選”と言う言葉に文句の声が飛び交う。そんな中、なぜ今残っている受験生で次の試験をやらないのかと尋ねるサクラ。その質問に対し、ハヤテは答え始める。

「えー、今回は・・・第一・第二の試験が甘かったせいか・・・少々人数が残りすぎてしまいましてね・・・。」

そう、第三の試験を行うにはこの人数では多すぎるのだ。
“第三の試験”、それにはたくさんのゲストが訪れるため、だらだらとした試合はできず、時間も限られてしまう。

「えー・・・というわけで、体調のすぐれない方・・・これまでの説明でやめたくなった方、今すぐ申し出て下さい。これからすぐに予選が始まりますので・・・」

ハヤテのその言葉に下忍一同がざわつき始める。第二の試験が終了してすぐ予選となると、5日間ぎりぎりまで死の森をさまよっていたチームにはとてもきつい。
しかし、審判の言うことは絶対だ。
ここまで残ったのだ。みな予選を受けてでも次に進もうと挑むだろう。そう思われていた中、下忍たちの中からスッと手を挙げるものがいた。

「あのー・・・僕はやめときます。」

そう言ったのは丸眼鏡が特徴的な木の葉の下忍。

「えーと・・・木の葉の薬師カブト君ですね・・・では下がっていいですよ・・・。」

ゴホゴホと咳をしながら、ハヤテは他に辞退者がいないか、と下忍たちに問いかける。

「何度か見る顔じゃな。」

カブトの顔を見てそう呟いたのは火影様だった。
カブトは前回も本選で途中棄権していたのだ。

「薬師カブト、データでは・・・6回連続不合格です。」

火影様の呟きに、手に持っていた下忍たちのデータを見ながら答えたのはアンコだ。
カブトは、アカデミー時代からあまり目立たず、成績も平凡、3度目にしてようやく卒業試験に合格し、その後こなした任務はCランク2回、Dランク14回と、とりたてて目立った戦歴は持っていない。しかし、

「アカデミー以前の話なんですが・・・」

アンコはデータから目を離し、火影様の顔を見ながら話し始める。

「覚えておられますか。あの桔梗峠の戦いで連れ帰られた1人の少年の話。」

「覚えておる・・・確か、」

アンコの話を引き継いで、火影様は記憶の中からそれを引き出し、ポツリポツリと口にし始めた。

「戦場で生き残っていた敵の少年を・・・医療部隊の上忍が引き取ったという話しじゃったな・・・奴がその子というわけか・・・。」

そう言っているうちにも、話の人物であるカブトはこの会場から退場していく。

――カブトさんの雰囲気・・・変わりましたね・・・

何かウズウズと血が騒いでいるような・・・

ミコトは退場していくカブトの豹変に少し悪寒を感じた。
先ほど音の上忍に成りすましている大蛇丸が何か目で合図を送っていた下忍はカブトだった。それを見て、明らかにカブトが大蛇丸と繋がっていることに確信を持った。

――これから大蛇丸が直接サスケの観察ですか・・・

と考えたところでサスケを見ると、サスケが首を押さえながら、サクラと何かもめているようだった。それを見ていたアンコが火影様に口を開く。

「彼は試験から降ろし・・・暗部の護衛を付けて隔離すべきです。」

「そう素直に言うことを聞くタマでもないでしょ、あいつは・・・」

突然アンコの話に口を挟んだのはカカシだった。

「なんせあのうちは一族ですからぁ。」

その口調と表情はなんとも暢気なものだ。

「何バカ言ってるのよ! 力ずくでも止めさせるわ!」

アンコはそんなカカシに声を荒げるが、そこにまた誰かが割り込んできた。

「アンコさん・・・僕もまだ彼を止めなくていいと思いますよ。」

その声にアンコたちが顔をバッと向ける。そこにはにこやかに笑っているミコトがいた。

「でも、呪印が開いて暴走し始めたら、その時には止めに入りましょう。」

「うむ。大蛇丸の言ったことも気にかかる・・・サスケはこのままやらせ、様子を見ていく。」

ミコトの言葉に火影様も賛成をすると、アンコは不安そうな顔をしたが、とりあえずこのまま予選を開始することにもう反論はしなかった。その間、カカシはただじっとそのやり取りを眺めていた。


「えーでは、これより予選を始めますね。」

この予選の辞退者がもう出ないと判断したハヤテは説明を再開させる。

これからの予選は1対1の個人戦、つまり実戦型式の対戦となる。
カブトが抜けたため、ちょうど20名となり、合計10回戦行われ、その勝者が“第三の試験”に進出できる。

「ルールは一切無しです。」

どちらか一方が死ぬか倒れるか、あるいは負けを認めるまで戦い続けてもらう。
死にたくなければすぐに負けを認めたほうが良い。

「ただし、勝負がはっきりついたと私が判断した場合、えーむやみに死体を増やしたくないので、止めに入ったりなんかします。そしてこれから君たちの運命を握るのは・・・」

そこまで言うと、アンコが「開け」とマイクを使ってどこかに指示を出す。すると、会場の壁の一部が音を立てながら開いていく。と、そこには電光掲示板が隠されていた。
それが姿を完全に現したのを確認して、再びハヤテが口を開いた。

「えーこの電光掲示板に・・・一回戦ごとに対戦者の名前2名ずつ表示します。ではさっそくですが第一回戦の2名を発表しますね。」

下忍たちは緊張した面持ちでその掲示板を見つめている。
そしてバンッと表示された名前に、サクラだけが不安な顔をした。
それもそのはず、第一回戦に挙がった名前は、先ほどまでもめていたあの黒髪の少年のものだったのだから。

「第一回戦対戦者・・・赤胴ヨロイ、うちはサスケ、両名に決定・・・依存はありませんね。」

ハヤテの言葉に名を呼ばれた2名はそれぞれ了承の言葉を返した。
対戦者2名を除く他の者たちは上の方へ移動するように指示が出ると、カカシがこっそりサスケに近づいた。そして、

「写輪眼は使うな。」

ポツリと呟いたカカシ。

「知ってたのか。」

サスケはそれに軽く驚いた。

「その首の呪印が暴走すれば・・・お前の命に関わる。」

「・・・知ってる。ナルトが言っていた。」

今度はカカシが軽く驚いた。が、

「まー・・・その時は試合中止・・・俺がお前を止めに入るから。」

よろしく、と言って去っていく。
その言葉にサスケは目の色を変えた。そして睨むのは目の前の黒頭巾に黒いレンズをした対戦相手。


みなが上から静かに下の2人を見つめる中、

「それでは・・・始めてください!」

ハヤテの合図により、予選第一回戦が開始された。












あとがき

イルカさんにまた少し登場していただきました。
イルカさんとの番外編より少しだけ成長したナルトさんです。
自分の書く小説は本当にかなり原作沿いですね。
今日は何故か最終話を書き上げました。
この最終話を見ながら、完結できるようがんばります!!
今やっと予選のナルトさん対キバさんのお話を書き始めています。
今日のうちにそれも書き上げてしまいたいです。
次の更新もできれば早めに・・・と言いたいですが、もうすぐセンターですね・・・。
受験に負けず、完結目指してがんばります!


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