波の国の任務がはじまりましたが、少し長くなりそうな予感です。
影分身のミコトを置いてきて正解でした。
ミコトがナルトと同じ期間いないなんて怪しすぎますからね。
波の国までの護衛任務の幸先に襲ってきた忍びは霧隠れの中忍でした。
その忍びたちを泳がせて判明したことはタズナさんが狙いということです。
きっとこの後も忍びが襲ってくるでしょう。
でも、忍びとの対決はBランク以上になってしまいます。
そのことについて今、カカシ先生はタズナさんに問いただしています。
どうやらタズナさんはガトーという男に狙われているようです。
ガトーは忍界でも有名です・・・。
海運会社の大富豪で、裏ではギャングや忍びを使い、麻薬や禁制品の密売、それに企業や国までのっとる悪どい商売をしている人物です。
そんなガトーが波の国に目をつけて、島国国家の要である海上交通・運搬を独占してしまったそうです。
今タズナさんたちが作っている橋が完成すれば、物流と交通をもたらすようになります。
それに困るのがガトーというわけですね。
今まで独占していたものができなくなる・・・と。
橋作りの中心人物であるタズナさんを狙って忍びまで使うとは・・・。
これはなんとかしないとです!
NARUTO ~大切なこと~ 第19話
「相手は忍びすら使う危険な相手・・・なぜそれを隠して依頼されたのですか?」
カカシが真剣にタズナに尋ねている。その問いにタズナの顔は暗く沈む。
「波の国は超貧しい国で、大名ですら金を持っていない。」
もちろんそんな国の住民が金を持っているわけがないのだ。高額なBランク以上を依頼するようなことは到底できない。タズナの話は続く。
「まぁ・・・、お前らがこの任務をやめればワシは確実に殺されるじゃろう。が、」
突然タズナは明るい顔を作り、
「なーに!お前らが気にすることはない!ワシが死んでも10歳になるかわいい孫が1日中なくだけじゃ!!あっ!それにワシの娘も木の葉の忍者を一生恨んで寂しく生きていくだけじゃ!いや、なに、」
お前たちのせいじゃない!と殊更明るく叫ぶ。これに対し、カカシやサクラはげんなりとしているが、
「それは大変だってばよ!!」
そんなことにはさせないってばよ!とナルトはこの任務を続行する意思をみせる。それを見たサクラは慌てて
「でも!この任務はまだ私たちには早いわ!」
やめましょう!とカカシを見つめて訴える。しかし、
「サクラちゃん。この任務には人の命がかかってるんだってばよ?それにカカシ先生がついてるんだから」
大丈夫!とナルトがニコリと微笑む。それでもサクラは
「あんたはお金がほしいだけでしょ!?」
私たちだって死ぬかもしれないのに!!
サクラの悲痛な叫びに、ナルトはやわらかく微笑んだ。
「最初はお金がきっかけだったけど、お金と命は別物だってばよ。俺は一人でも多くの人を助けるんだ。」
サクラはしんと静かになり、ナルトの話を聞いている。
「助けられるかもしれないものをほっておくなんてできない。もちろん、自分たちの命も危険にさらされるかもしれない。でも、それはみんな平等だってば。それに、もしみんなが危なくなったら」
俺が守るから。
ナルトがニシシと笑う。冷めていた空気が温かくなるのを感じる。
サクラはそんなナルトをボーっと見つめていたが、「ナルトにあんたなんかに守られなくても自分で何とかするわよ!」と先ほどの慌て様が嘘のように落ち着きを取り戻し、サスケは「ウスラトンカチが何言いやがる」とナルトに軽い蹴りを入れている。
それを見ていたカカシは苦笑し、
「ま!国へ帰る間だけでも護衛を続けましょう!」
タズナは頭に被っている笠で顔は見えないが、ポツリと小さなお礼を呟いた。
「よーしぃ!ワシを家まで無事送り届けてくれよ!」
船に乗って波の国に上陸した5人はタズナの家を目指して歩き始める。と、
――もういらっしゃいましたか・・・
ナルトはすぐに2つの気配を感じとった。しかし、
――1つはすぐそばなのですが、もう1つは・・・少し離れた木の上ですね。
様子見だろうか?と、疑問に思いながらもとりあえず行動を起こすことにした。
「そこかぁー!!!!」
叫びとともに手裏剣を木々の中に隠れている気配に向かって投げつける。それに驚いたカカシたちが何かを言っているが、ナルトは気にせず手裏剣が刺さったところへ向かう。
するとそこには、泡を吹いている白いうさぎが倒れていた。それにはナルトも驚き、すぐさまウサギを抱きしめて謝る。
――これは変わり身用のユキウサギですが・・・
生き物をこんな風に扱うなんて許せません!と心の中でナルトは怒る。
カカシはそのウサギの色を見て敵が近いことに気づいた。
ユキウサギとは太陽の光を受ける時間の長さによって毛の色が変わる。
冬の毛は白い。しかし、今の季節は春。春にはこのウサギの毛は茶色をしているはずなのだ。
このウサギが示していることは、
――さっそくお出ましか・・・
カカシはさっき襲ってきた忍びが中忍だったため、次は上忍が来るだろうと予測をつける。
ナルトは意識をとりもどしたウサギをすぐに森の中へと放す。と、その時だった。
「全員伏せろ!!」
カカシの声にナルトはタズナを押し倒すように伏せ、サクラとサスケも続けて伏せる。
5人の伏せた上をブンブンと音をたてて何かが通過すると、ガッという音とともに、それは止まる。5人は音が止まったところへ顔を向けると、そこには大きな包丁が木に真横に突き刺さり、その包丁の柄の部分に人影が立っていた。
「へー、こりゃこりゃ、霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃないですか。」
カカシが再不斬と呼んだ包丁の柄に立っている男は、上半身には何も着ておらず、顔は目から下を包帯で覆っている。
――この方が噂の無音殺人術(サイレントキリング)の達人ですか!
ナルトは以前見た抜け忍リストの内容を思い出す。
「写輪眼のカカシと見受ける・・・悪いが」
じじいを渡してもらおうか。
再不斬はそう言ってカカシを睨む。それに対し、カカシは子供たちに卍の陣でタズナを守るように指示する。
「お前たちはこの戦いに加わるな。それがここでのチームワークだ。・・・再不斬、まずは」
俺と戦え。
その言葉とともに、いつも左目を隠していた額あてをグッと持ち上げ、隠れていた左目を顕にする。その左目は紅く、3つの黒い巴の文様が浮かんでいる。再不斬はそれを見てニヤリとする。
「噂に聞く写輪眼を早速見れるとは、」
光栄だね。
そう、カカシは左目にうちは一族の中でも一部の家系にしか表れない特殊な眼である写輪眼を持っていたのだ。その眼を見てサクラは「写輪眼って何!?」と尋ねる。
「・・・写輪眼。」
その疑問に答えたのはサスケだ。サスケはただじっとカカシを見つめている。
いわゆる瞳術の使い手はすべての幻・体・忍術を瞬時に見通し、
はねかえしてしまう眼力を持つという。
写輪眼とはその瞳術使いが特有に備えもつ瞳の種類の1つ。
「それだけじゃないってばよ。」
ナルトがサスケの説明を補う。
「写輪眼は相手の技を見極めてコピーすることができるんだ。」
サクラとサスケはバッとナルトのほうへ顔を向ける。
まさかナルトが知っているとは思わなかったのだ。サクラとサスケの何かを疑うような視線に、ナルトは「俺ってば医療忍者目指してんの!それくらい勉強してるってば!!」と言い張る。とそこへ再不斬が口を開く。
「俺様が霧隠れの暗殺部隊にいた頃、携帯していたビンゴ・ブックにお前の情報が載ってたぜ。それにはこうも記されていた。千以上の術をコピーした男・・・コピー忍者のカカシ。」
そう言い切ると再不斬とカカシが睨み合う。
――サスケがカカシ先生のことを気にしていますね・・・
うちは一族でもないのに写輪眼を持っていますからね。
ナルトはちらりとサスケを見る。サスケはカカシをじっと見つめて何かを考えていた。
「さてと、お話はこれくらいにしとこーぜ。俺はそこのじじいをさっさと殺んなくちゃならねぇ。」
その言葉が合図となり、再不斬が木に刺さっていた包丁から降りると同時に包丁を抜きさり、包丁を背負い、そばにあった水の上へと降り立つ。その水の上に浮いたまま、左手の人差し指と中指の2本だけを空へと指し、右手も同じ指を胸の前へ持ってくる独特の構えをしている。
――すごいチャクラを練りこんでいます・・・これが霧隠れの術ですか!
ナルトは感嘆の声を心の中で叫ぶ。それと同時に再不斬は霧の中へと消え、姿が見えなくなる。
「消えた!?」
サクラが動揺の声を上げる。そこにナルトが小声でサクラを呼ぶ。
「声を出しちゃダメだってばよ。あいつは音に反応して攻撃をしてくるってば!」
その言葉にカカシが軽く目を見開いたが、すぐに真剣な顔へともどす。
「ナルトの言う通りだ。まずは俺を消しに来るだろうが・・・。桃地再不斬はサイレントキリングの達人として知られた男だ。」
気がついたらあの世だったなんてことになりかねない。
「俺も写輪眼を全て上手く使いこなせるわけじゃない・・・。お前たちも」
気を抜くな!
子供たち3人はカカシの言葉に気を引き締める。しかし、
「8か所・・・。」
その気を削ぐような不気味な声が霧の中を木霊する。
「・・・咽頭・脊柱・肺・肝臓・頸静脈に鎖骨下動脈・腎臓・心臓・・・さて・・・」
どの急所がいい?
再不斬の不気味な笑い声が響く。そしてカカシがさっと何かの印を組んだ時だ。
ものすごい殺気が子供たちとタズナを襲う。が、
――木の上の気配は何がしたいのでしょうか?
ナルトはその殺気に平然とし、それどころかもう一つの隠れている気配を気にしていた。
その間にもサスケはカカシたちの殺気に汗が吹き出てくる。
「サスケ・・・。」
サスケはビクリと顔を上げ名を呼んだカカシを見る。
「安心しろ。お前たちは俺が死んでも守ってやる。俺の仲間は絶対」
殺させやしなーいよ!
子供たちのほうを見てカカシは微笑む。その瞬間、
「それはどうかな・・・?」
再不斬がタズナと子供たちの中心に姿を表し、背負っていた包丁の柄に手をかけたが、カカシが一瞬で間合いをつめ、再不斬の腹へとクナイを突き刺す。しかしそれはパシャッと音をたてて水になって融ける。
「先生後ろ!!」
サクラが叫ぶ。いつの間にかカカシの後ろに現れた再不斬がすでに包丁を振りかぶり、カカシを切りつけた。が、そのカカシも再不斬と同じように水へと変わる。再不斬はそれに一瞬動揺してしまった。そして、
「動くな。」
終わりだ。
いつの間にかカカシが再不斬の背後から首筋にクナイを当てている。
それなのに再不斬は不適に笑い始めた。
――それは本物ではありません。気配はそう・・・
「先生後ろだ!」「俺もそう甘かぁねーんだよ。」
ナルトと再不斬の声が重なる。カカシの前にいた再不斬は水となって消え、すでにカカシの背後に立っていた。
再不斬の切りかかってきた包丁をカカシは咄嗟にしゃがむことで逃れたが、再不斬は透かさずカカシに蹴りを入れる。その蹴りで吹っ飛ばされたカカシは水の中へと逃げ込んだ。再不斬はすぐに追いかけようとするが、カカシが蹴られると同時に撒いたまきびしが邪魔して追撃はできなかった。
――な、なんだこの水・・・やけに重いぞ・・・
水の中に逃げ込んだカカシだったが、その水の異変に気づくのが遅かった。
――水牢の術!
再不斬がカカシを水でできた玉の中に閉じ込める。
「ハマったな。脱出不可能の特製牢獄だ!」
再不斬が右手をその水牢に入れたまま話し出す。
――あれはずっと手をあの水の中に入れていないとダメなんですね・・・。
ナルトは一瞬のうちにそう判断する。すぐにでも助けに行こうとしたナルトだが、行く手には一体の再不斬の水分身がズズズ・・・と音をたてて現れる。そいつはまた霧隠れの術によって姿を消す。
――僕からきますね。
ナルトが身構えると同時に、再不斬の蹴りを額に受けて吹っ飛んだ。それと同時にサクラが自分の名を叫ぶ声が聞こえる。そのナルトはというと、
――あちゃぁ、もうちょっと体重がないと飛ばされちゃいますね・・・。
と、的外れなことを考えていた。吹っ飛ばされた割には怪我などしていないナルト。
実は今の蹴りに対し、ナルトは“陰癒傷滅”という医療忍術を使った。
その術は攻撃される箇所を的確に分析し、攻撃を食らう前からそこにチャクラをためて治療に費やすという超高等忍術だ。
ナルトはふと頭が少し軽くなっていることに気づいた。
――額あてが・・・!!
蹴られたと同時に額あてがとれてしまったようだ。
必死に目で額あてを探していると、再不斬が何かを思い切り踏みつけた。
それはまさしく自分の額あてだった。
「ナルトぉ!!」
再びサクラが名前を呼んでいる。と、その時だ。
「あなたなんかがその額あてを踏んではいけません・・・。」
確かに思い切り蹴られたはずのナルトはすっと立ち上がった。
「ナ、ナルト!?」
サクラの動揺も気にせず、ナルトはずんずんと再不斬の方へと向かっていく。
ドカッ!!!!
再不斬に今度は腹を蹴られ、サクラとサスケのところに吹っ飛ばされた。
しかし、またムクリと立ち上がる。それも全くの無傷で。
「な、なんだお前!?」
再不斬がそんなナルトを見て思わず叫ぶ。確かに水分身では本体の10分の1ほどしか力はないが、下忍が食らってはただでは済まない威力はあるはずだ。
「医療忍術をなめないでください・・・僕の大事な額あてを踏みつけた礼は」
たっぷりお返しさせていただきますよ。
ナルトはニコリと微笑みながら取り戻した額あてをつけなおす。そして、
「サスケ!ちょっと耳を貸せ。作戦がある。」
サスケはナルトの意外な言葉に驚いたものの、カカシが捕まったこの状況を打破できるならと思い、その作戦にのる。それを見ていたカカシは焦り、
「お前ら何やってる!逃げろって言ったろ!俺たちの任務はタズナさんを守ることだ!! それを忘れたのか!?」
「忘れるわけないってばよ!」
ナルトが目を細めて微笑む。
「俺が絶対守るって約束したからな!!」
そう言ってタズナを振り向く。その顔にタズナはうんと頷き、
「もとはといえばワシがまいたタネ・・・」
思う存分闘ってくれ!と了承する。それを聞いてやる気満々の2人に、再不斬が不気味な笑い声を上げる。
「いつまでも忍者ごっこかよ。俺ぁよ・・・」
お前らの歳の頃にゃもうこの手を血で紅く染めてんだよ・・・
再不斬の殺気にサスケとサクラとタズナはビクリと怯んだ。が、
――・・・・・・。
ナルトは顔を少し歪めていた。
それに気づいたのはカカシだけだった。
「鬼人・・・再不斬!・・・その昔、“血霧の里”と呼ばれた霧隠れの里には忍者になるための最大の難関があった・・・。」
カカシが再不斬に向かって言う。再不斬はカカシをちらりと見てその続きを話し始める。
「そう、それは」
生徒同士の“殺し合い”だ。
子供たちは驚愕で目を見開く。
「楽しかったなぁ・・・アレは・・・。」
――・・・僕がもし綱手様に会えなかったら、力だけを求めて
再不斬みたいになっていたかもしれない
それは本当に楽しそうに笑っている再不斬。それを見ていたナルトは恐怖を感じた。
押し黙った子供たちに再不斬の水分身が襲い掛かる。
ナルトはサスケの方に向かっていることに気づき、すぐさま数体の影分身を作り、再不斬の行く手を阻む。しかし影分身はすぐに再不斬の水分身に消されてしまう。が、それだけで十分だった。
「サスケー!!」
ナルトは離れたところに置いてあった自分の荷物から、忍具をサスケに投げ渡す。それを受け取ったサスケはその忍具の仕掛けにすぐに気づいた。
「風魔手裏剣・・・」
影風車!!!
サスケは思い切りその手裏剣を投げる。
「手裏剣なぞ、俺には通用せんぞ!」
再不斬の水分身は言う。確かに水分身には手裏剣なんて意味は無い。だから、
「なるほど、今度は本体を狙って来たってわけか・・・。」
そう、サスケの狙いは水上に立っている再不斬本体への直接攻撃だった。が、しかし、
「甘い!」
と言って再不斬は水労に突っ込んでいない左手で手裏剣の穴を上手く掴む。
「!!!」
攻撃を防いだはずの再不斬が目を見開いた。
掴んだ手裏剣の影からもう一枚の手裏剣が現れ、再び再不斬を襲ってきたのだ。がしかし、
「やっぱり甘い!」
それも難なく水の上を跳び上がることによって避けられてしまう。と思った瞬間だった。
「言いましたよね。」
お返しさせてもらうって。
すぐそばから聞こえてきたのは声変わり前の少年の声。
それは再不斬の背後から聞こえてきた。
跳び上がっている再不斬の背後に、突如ボンッという音とともに出現したナルト。
――水の上に立っている・・・!?
すぐそばで再不斬に捕まっていたカカシは、ナルトが水の上に浮いていることに驚愕で目を開いた。サスケやサクラには少し遠くてこちらの状況がよく見えていないようだ。
ナルトの唐突な出現に、まだ着地さえしていなかった再不斬は顔だけを背後に向けようとした瞬間、
メリッ!!!!
「グォッッ!!」
再不斬の短い音が響いた。
その声に驚いたサスケやサクラが目を凝らして水上を見る。が、こちらからではよく見えなかった。しかし、カカシだけはしっかりと見ていた。
それは、再不斬の顔の高さまで跳び上がっていたナルトが振り向いた再不斬の頬を思い切り殴りつけただけだ。
再不斬は防御もできなかったため水牢から腕がはずれ、そのまま水の中へと落ちる。
水労から出られたカカシはパッとナルトを見た。
――さっきのは見間違えか・・・?
再不斬に攻撃する前、ナルトは水の上に立っていたはずだ。
今ナルトは、再不斬に一撃を入れた後そのまま水の中に落ちて顔だけ出している。カカシが疑問に思っていたそこに、
「このガキィ!!」
頬を腫らした再不斬がすぐに目覚め、持っていた手裏剣でナルトに襲い掛かる。しかし、それはすぐにカカシによって防がれた。
「・・・ナルト“作戦”見事だったぞ、成長したな、お前ら・・・。」
カカシは本当に感心したように子供たちを誉める。
ナルトもへへっと笑って、岸に向かって泳いでいく。
「へっ、餓鬼の拳なんかで水牢の術をといちまうとはな・・・。」
「術はといたんじゃなく、」
とかされたんだろ。
カカシの言葉に再不斬は顔に怒りを顕わにする。
「言っておくが俺に2度同じ術は通用しない。」
さてどうする。
カカシはさらに再不斬を挑発して冷静さを欠かせる。それに気づかず、再不斬はさらに激昂しカカシと距離をとり、ものすごい量の印を組み始める。
それを透かさずカカシは写輪眼でコピーし、印の組み始めは遅かったものの、再不斬が組み終わると同時にカカシも組み終わった。
そしてその印によって発生した2匹の水竜―水遁水竜弾の術―が宙で激しくぶつかり合う。それによって起こった波がサスケやサクラたちの下まで迫り、水浸しにする。その波に押され、ナルトは無事岸へと上がった。
再不斬が次の術を仕掛けようとするが、カカシは洞察眼で再不斬の動きを真似て動揺を誘い、再不斬の心の声を言うことによって、ますます焦りを煽った。
――俺?
再不斬は目を疑った。
カカシの背後に自分が見えているのだ。
これはカカシの催眠眼による幻術。そして、
――水遁大瀑布の術!!!
再不斬がかけようとした術をカカシが先にかけてしまった。
大きな波のうねりが再不斬に襲い掛かる。
「ぐっ・・・!」
再不斬はその波によって木に思い切り叩きつけられる。カカシはもうその木の上でクナイを持って構えていた。
「なぜだ・・・お前には未来が見えるのか・・・!?」
再不斬がそう言った時だった。
――木の上の気配が動きました!
ナルトはずっと気にしていた気配が動き出したのだ。
「ああ・・・」
お前は死ぬ。
カカシが再不斬の問いに答えた瞬間だった。
ザクッ!!
「「「「!!」」」」
一瞬にして再不斬の首を2本の千本が突き刺さった。
――あれは仮死のツボ!
やはり再不斬の仲間ですね・・・。
刺さった千本の位置をすぐにそう判断し、ナルトは千本を投げたと思われる人物に目を向けた。
「フフ・・・本当だ」
死んじゃった。
楽しそうに話す声はまだナルトたちに近いものを感じる。背格好からしてもあまり変わらないだろう。
カカシは倒れている再不斬の脈を取り、死んでいることを確認する。
「確かそのお面・・・お前は霧隠れの追い忍だな・・・。」
カカシは再不斬を殺した子供のつけている仮面を見てそう判断する。子供はそれを肯定し、再不斬に近づいていく。それを見ていたナルトは、
「せんせ・・・」
カカシに呼びかけようとすると、カカシがナルトの頭の上に手をポンと置いて
「安心しろ、ナルト。敵じゃないよ。」
と微笑む。しかし、
「そうじゃなくて、あの千ぼ「信じられないかもしれないが」・・・」
ナルトの言葉はまたカカシによって遮られる。
「この世界にゃ、お前より年下で、俺より強いガキもいる。」
――そうじゃあなくて!!!!
ナルトは話を聞いてくれないカカシを心の中で怒鳴る。
そんなことを言っている間に、仮面の子供は再不斬を背負って消えてしまった。
「さ!俺たちもタズナさんを家まで連れていかなきゃならない。」
元気よく行くぞ!
とカカシが子供たちに指示を出す。
――・・・もう知りません!!
ナルトは声に出さずに愚痴を呟いた。
直後、カカシが倒れた。
あとがき
波の国編は早く更新していきます。
明日にも更新できればと思います。
戦闘シーンを文章にするのは大変難しいですね・・・。
本当に下手ですみません。中忍試験の話も戦闘があるので、それの練習だと思って書いています。
あと2話でまた番外編です。