10月10日。僕は3歳になりました。
ずっと待ち遠しくて楽しみにしていた日。
本を読んで気づいたことは九尾が封印された日も10月10日だということ。
時々里に行くようになって知ったことがあります。
僕の誕生日と同じ日に里では“慰霊祭”というものがあっているそうです。
慰霊・・・死者の霊魂を慰めることですよね。九尾によってたくさんの死者が出たのは本を読んで知っています。きっとその人たちのことですよね。
僕は午前中の修行の時に姉に内緒で変化をしてこっそり里に行きました。
もしかしたら九尾について詳しく知るチャンスだと思ったんです。
里を歩いていると、知り合いの人に会いました。
里の噂話を聞かせてもらいました。
・・・あぁ、そうか。
九尾は僕に封印されていたんですね。
水面歩行の修行のとき、始めの頃はすぐに川の中に沈んじゃって、服が濡れちゃうから上着を脱いで練習していた時、チャクラを練ろうとするとお腹に浮いてくるうずまきのような模様は九尾を封印するためのものだったんですね。
でも、僕は僕だよ?九尾なんかじゃない。ねぇ、そうだよね、姉さん。
NARUTO ~大切なこと~ 第2話
里では慰霊祭が行われている、そんな日の午後。
ナルトはいつもの川の上で修行していた。
何か思いつめた表情のまま、その修行は夕飯の前まで続いた。
「ナルト!いつまで川の上で突っ立っているの!今日はあなたの誕生日だから午前中だけで良いって言ったじゃない。もう夕飯の準備できてるわよ。」
「・・・姉さん。」
ナルトはゆっくりと顔を姉の方へ向ける。
「どうしたの?そんな暗い顔をして。」
いつもと違うナルトの雰囲気に華代は首を傾げる。
「ううん。なんでもないです・・・。」
そう?と明るい華代の返事を聞いて、ナルトは迎えに来てくれた姉の後を静かについて歩く。しかし、数歩進むと立ち止まり下に向けていた顔を正面へともどす。
その目には火が灯っていた。
――家に着いたら姉さんに聞いてみよう。
そのまま無言で家へと帰り、いつものように向かい合って食事を済ませたナルトはおもむろに口を開いた。
「姉さん。」
静かな小さい部屋の中、小さな呟きもハッキリと響く。
「ん?」
華代は食器を片付け終え、ナルトの正面へと座る。
ナルトの視線は先ほどから下の方をふらふらとさまよっている。
「ごめんなさい。・・・僕、姉さんの言いつけを破って今日の午前中、里に行ったんです。」
しんと静かな空間に息を飲む音が響いた。
「今日は里の慰霊祭だって聞いて、見に行ったんです。僕が九尾について興味を持っていたことは知っていますよね?九尾について詳しく知るチャンスだと思ったんです・・・。そこで里の噂も聞きました。」
華代は無表情で淡々と話を聞いている。しかし、その紅い目には悲しみが湛えられていた。
「姉さんは知っていたんですよね?だから里に行く時は変化をするように言っていたんですね。・・・僕は・・・僕は九尾なんですか?」
それを最後にナルトは押し黙り、華代の顔をじっと見つめた。
ナルトの顔は辛さや悲しみなど微塵も感じられない、前を見据える凛とした表情だった。
――あぁ、変化をしている時も思ったけれど・・・ナルトは本当によくあの男に似ている・・・。
そっと目を閉じた華代の瞼の裏には3年前、ナルトの横で倒れ伏していた男の顔が見えた。
そして華代は表情を和らげ、ナルトとの約束を果たすために話し始めた。
「ナルトは気づいているでしょう?ナルトは九尾ではないわ。九尾を封印するための器だったのよ。」
ナルトはおもむろにお腹を撫でるような仕種をする。
「そう。ナルトのね、お臍に九尾は封印されているのよ。そして、九尾は・・・私の父上よ。」
「えっ!!」
青い目を真ん丸くして、姉を凝視する。
――九尾がお父さん・・・?
そしてふと疑問に思ったことを口にする。
「僕のお父さんでもあるの・・・?」
ナルトはいままでずっと親のことを気にしたことはなかった。
姉がいるだけで十分幸せだったからだ。里で親子連れを見てもうらやましいとは一度も思わなかった。しかし、どんな親だったのかは何度か疑問に思ったことはある。まだどこかで生きているのか、それとも死んでいるのか。僕のことをどう思っているのか・・・。
「いいえ。ナルトと私は血がつながってないわ。私はね、妖狐なの。でも、ナルトは人間よ。」
「っっ!!!!」
ナルトは驚きを隠せなかった。
自分と姉は、歳は離れているが実の姉だと思っていたのだ。髪の色も多少違うが金色だ。
今まで疑うことが無かった。
しばらくして落ち着きを取り戻し、
「・・・姉さんのお父さんなら、僕のお父さんでもありますよ。」
ナルトはニコリと歳相応の笑顔を浮かべ、続ける。
「僕、いっぱい本を読みましたが、九尾の・・・お父さんの封印場所がやっとわかって嬉しいです。でも、お父さんは何故里を襲ったんですか?本には全然理由なんて記されてなくて・・・一方的にお父さんが悪いという風にしか載っていなかったんです。」
華代はとても驚いた。3歳になったら全てを話そうと決意していたが、やはり、心のどこかではこのまま知らないままで過ごしてほしいと思っていた。しかし、ナルトは華代の話を受け入れ、しかも
――父上をお父さんと呼んでくれるなんて・・・。
自然と目に涙がこみ上げてきそうなのをぐっとこらえ、ナルトに微笑む。
「ナルトはもう本を読んで、この里ができたときのことを知っているわよね。」
ナルトはコックリとうなずき、
「うん!初代火影様がここの土地神様と契約をして、里を作らせてもらったんですよね。」
「そう。その土地神様が父上だったんです。」
ナルトはその言葉に驚いた後、すぐに不思議そうな顔を浮かべる。
「お父さんはそんなにすごい神様だったのに、どうして・・・。」
「父上と初代火影はいろいろな条件で契約を結んだの。だけど、時代が経つにつれてその契約の内容を里の人々は忘れていったわ。
その契約の中に、“森の生き物を荒らすべからず”というものがあるの。
もちろん里の人々も生きていくために森の生き物を狩るわ。それはお互い生きていくために必要なことだもの。殺してしまった命を無駄にしなければいいの。
でも、3年前の今日、里人は契約を破ってしまったの。」
ナルトは姉の気配が徐々に殺気立つのを感じ、ゴクリと唾を飲んだ。
「3年前の今日、里人は私の弟を遊びで殺してしまったの。」
あとがき
短くてすみません。中途半端ですみません。
本当に小説は難しいです。
今まで学校の教科書ぐらいしかまともに読んだことがありません。
本は読んだほうが良いですね。語彙が足りなくて表現が拙いです。