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No.2371の一覧
[0] NARUTO ~大切なこと~[小春日](2007/12/04 23:34)
[1] NARUTO ~大切なこと~ 第1話[小春日](2007/12/06 19:28)
[2] NARUTO ~大切なこと~ 第2話[小春日](2007/12/08 11:57)
[3] NARUTO ~大切なこと~ 第3話[小春日](2007/12/09 13:40)
[4] NARUTO ~大切なこと~ 第4話[小春日](2007/12/10 18:47)
[5] NARUTO ~大切なこと~ 第5話[小春日](2007/12/12 16:44)
[6] NARUTO ~大切なこと~ 第6話[小春日](2007/12/12 16:50)
[7] NARUTO ~大切なこと~ 第7話[小春日](2007/12/13 18:18)
[8] NARUTO ~大切なこと~ 第8話[小春日](2007/12/14 19:29)
[9] NARUTO ~大切なこと~ 第9話[小春日](2007/12/15 19:13)
[10] NARUTO ~大切なこと~ 第10話[小春日](2007/12/16 19:35)
[11] NARUTO ~大切なこと~ 第11話[小春日](2007/12/17 20:32)
[12] NARUTO ~大切なこと~ 第12話[小春日](2007/12/18 19:24)
[13] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2007/12/19 19:38)
[14] NARUTO ~大切なこと~ 第13話[小春日](2007/12/21 18:21)
[15] NARUTO ~大切なこと~ 第14話[小春日](2007/12/23 23:41)
[16] NARUTO ~大切なこと~ 第15話[小春日](2007/12/27 19:27)
[17] NARUTO ~大切なこと~ 第16話[小春日](2007/12/28 19:25)
[18] NARUTO ~大切なこと~ 第17話[小春日](2007/12/28 19:44)
[19] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2007/12/29 20:55)
[20] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2007/12/30 10:32)
[21] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2007/12/30 10:31)
[22] NARUTO ~大切なこと~ 第18話[小春日](2008/01/01 19:42)
[23] NARUTO ~大切なこと~ 第19話[小春日](2008/01/01 19:59)
[24] NARUTO ~大切なこと~ 第20話[小春日](2008/01/02 15:46)
[25] NARUTO ~大切なこと~ 第21話[小春日](2008/01/02 16:15)
[26] NARUTO ~大切なこと~ 第22話[小春日](2008/01/02 17:55)
[27] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/01/03 09:15)
[28] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/01/03 09:21)
[29] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/01/04 23:12)
[30] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/01/05 09:50)
[31] NARUTO ~大切なこと~ 第23話[小春日](2008/01/07 23:00)
[32] NARUTO ~大切なこと~ 第24話[小春日](2008/01/07 23:04)
[33] NARUTO ~大切なこと~ 第25話[小春日](2008/01/11 16:43)
[34] NARUTO ~大切なこと~ 第26話[小春日](2008/01/13 19:48)
[35] NARUTO ~大切なこと~ 第27話[小春日](2008/01/16 19:00)
[36] NARUTO ~大切なこと~ 第28話[小春日](2008/01/16 19:05)
[37] NARUTO ~大切なこと~ 第29話[小春日](2008/01/16 19:17)
[38] NARUTO ~大切なこと~ 第30話[小春日](2008/01/21 18:32)
[39] NARUTO ~大切なこと~ 第31話[小春日](2008/01/26 13:48)
[40] NARUTO ~大切なこと~ 第32話[小春日](2008/02/02 12:34)
[41] NARUTO ~大切なこと~ 番外編[小春日](2008/02/10 23:03)
[42] NARUTO ~大切なこと~ 第33話[小春日](2008/05/16 21:54)
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[2371] NARUTO ~大切なこと~ 第15話
Name: 小春日◆4ff8f9ea ID:6fefa3ec 前を表示する / 次を表示する
Date: 2007/12/27 19:27





姉さん!!


僕はやっとアカデミーを卒業しました!


7歳のころからもう5年が経ちました。


5年が経ってもまだまだ里の人たちとは分かり合えていませんが、


絶対にあきらめません!!


それに、「僕」のことを見てくれる大人もまた一人増えました。


理解してもらえることがこんなに嬉しいなんて!


少しずつ、少しずつ、あせらないで。


だから僕はがんばれます。




今日はアカデミー合格者の説明会です。


では、いってきます!!







NARUTO ~大切なこと~ 第15話








ざわざわと騒がしい教室。そこにいる子供たちの額には真新しい額あて。
そんな子供たちの中に、金色の少年はにやけた顔を隠そうともせず机についていた。
その怪しい少年はついには「へへへへ」とまで笑い出す。
すると、一人の少年がその怪しい少年に気づき、なんでここにいるのかと尋ねてきた。
そう、確かに卒業試験でこの怪しい少年、うずまきナルトは落ちていたのだ。合格者だけの説明会に来ていること自体おかしい。
ふとナルトは尋ねてきた少年に顔を向ける。

「この額あてが目に入んねーのかよ。」

ナルトは聞かれたことが嬉しくて額あてを指差し自慢する。それは

――なんていったって、イルカ先生の額あてですから!!

ナルトの中では、卒業したことよりもイルカ先生に認められたことのほうがよっぽど嬉しかったようだ。ナルトはにこにこと笑っている。と、そこへ突然、怒声が飛んできた。

「ナルト!どけ!私はあんたの向こう側に座りたいのよ!」

と、向こうを指差しながら怒るピンク色の長い髪の少女は、くの一の中で一番頭の良い春野サクラだ。
ナルトはその言葉に少し眉間に皺を寄せ、サクラの指差す方向へ顔を向ける。
するとそこには机にひじを乗せ、手を軽く組んで、どこかを見ている黒髪の少年がいた。

――うちはサスケですか・・・

彼は今年のナンバーワンルーキーだ。
成績が良いだけではなく、顔まで良いということでくの一クラスの中でかなりの人気だ。
しかし、彼は人当たりが良いわけではない。むしろ悪いと言っても過言ではない。
くの一たちはサスケのそんなところもクールでかっこよいらしい。

「てめぇーナルト!そんなところにいたらサスケ君の邪魔じゃない!!」

いつの間にかナルトは、サスケの目の前の机の上にしゃがみこみ、じっと見つめている。
それには更に声を荒げて怒るサクラ。その形相はまさに鬼のようだ。それはサクラだけではなく、周りで見ていたくの一たちも同様の反応を見せている。
しかし、ナルトは全く動こうとしない。

――サスケってどこか焦っているように見えて仕方ありません・・・

今年の卒業生では断トツトップのサスケ。
サスケは教師たちにとって期待の星だろう。しかし、サスケがそれだけで満足していないのは見ているだけではっきりとわかる。

――実は僕、サスケに助けられたことがあるんですよ?

知っていますか?



ナルトはアカデミーに入学して、初めて本当の孤独を味わった。
どこにいても自分を見てくれる人はいなくて。
家に帰って「ただいま」と言っても、もう誰もそれに返してくれる人はいなくて。
負けないって覚悟していたのに、負けそうになってしまった。

そんなある日、いつものアカデミーの帰り道で自分を見たんだ。
いや、自分がもう1人いるわけがない。
そう、それがサスケだったんだ。

――・・・彼も独り?

自分と同い年くらいの少年が普通だったらもう帰らないといけない時間だろうに、川辺でポツンと佇んでいる。
ナルトは思わず口角が上がるのを感じた。
独りが、孤独が嬉しいわけじゃない。
ただ、自分の中にとらわれすぎて、周りが見えていなかったんだ。
自分1人ではなかった。
もっと周りを見てみれば、自分と同じような人間はどこにでもいる。
それを教えてくれたのがサスケだった。サスケは自分の心を救ってくれたんだ。



その時のことを思い出し、ナルトは思わずふっと微笑んだ。
サスケは自分の顔を見て笑ったナルトに眉を寄せる。どうやら、からかわれていると勘違いをしたらしい。サスケは眼光鋭くナルトを睨みつけ口を開いた。

「おい。」

どけ、と言った次の瞬間、サスケの机の前に座っていた少年の肘が、机の上でしゃがんでいるナルトの背中をポンッと押した。

――え?

ナルトの目の前にだんだんと近づいていくサスケの顔。
その瞬間、くの一たちの文字にできないような悲鳴が上がる。このままではサスケとナルトが・・・!!みなの顔が真っ青になったまさにその時だった。

トスッ

サスケの後ろで軽い音が鳴った。くの一たちはその音でハッと正気を取り戻し、今起きているだろう非常事態に恐る恐る目を向ける。
しかし、そこには予想に反して黒髪の少年しかいなかった。


――今のあいつの動き・・・何なんだ・・・!?

サスケの目前に迫っていた金髪の少年が突然消えた。
それはほんの一瞬の出来事。
こちらに倒れてきていたナルトがとっさに両腕を伸ばし、手をサスケの肩に乗せ、トンッと軽やかにサスケの頭上をバク転し、見事に後ろの机の上に着地したのだった。

くの一たちはホッと安心のため息をつく。
しかし、サスケは今目の前で起こったことに固まっている。
ナルトはあの至近距離をとっさに回避してみせた。
自分には回避することができたか?
あいつ・・・ナルトはこんなことができる奴だったか?
今まで一度も相手にしたこともなかったナルト。こんなたまたまのような出来事だが、ナルトだからこそ、今目の前で起こったことを信じることができないのだ。
後ろの机の上から「ふー、危なかったぁ」という声でサスケは我に返った。
そしてパッと振り返り、

「おい、おま「おまえらー、席に着けー。」・・・チッ。」

サスケが声をかけようとした瞬間、教室にイルカが入ってきた。






「えー、これからは君たちには里からの任務が与えられるわけだが、今後は3人1組の班を作り、各班に一人ずつ上忍の先生方が付く。」

祝いの言葉から始まり、淡々とイルカは説明していく。
ナルトはあの後結局、ナルト、サクラ、サスケの席順で落ち着いたのだった。
イルカの話しにみな嬉々として聞いている。そんな中、

――まずは下忍選抜試験・・・ですね。

分身の術ができただけで任務がもらえるようになるとは思いませんからね。とナルトは頭の中で分析する。
下忍とはいえ、任務となれば生死に係わってくる。
定期的に行われていたテストとなんら変わらない卒業試験。
普通に考えてもそれだけで下忍になれるなんてどう考えても怪しい。
やっと手に入れた下忍への切符を無駄にしてたまるものかとナルトは気合を入れる。

「班は力のバランスが均等になるよう、こっちで決めた。」

イルカの言葉に対して、子供たちの非難が飛び交う。

――僕の成績では間違いなくサスケと一緒ですね・・・

自分の成績はわかりきっている。
スリーマンセルには必ず1人女子が入ることになっている。
誰となるのか・・・考えても自分より成績の悪い者はそうはいないはずだ。
ナルトは自分の名が呼ばれるのを楽しみに待つ。
そしてついに自分の番がきた。

「じゃ、次7班。春野サクラ、・・・うずまきナルト!それと・・・うちはサスケ。」

ナルトはちらりと横を見るとサクラががっかりしたり喜んだりしているのが見えた。
と、その時、サクラが思い切り立ち上がった。

「先生!!何でサスケ君とナルトが一緒なんですか!!」

ナルトじゃ足引っ張っちゃいますよ!

表向きはサスケの心配をしているサクラ。しかし、その言葉の端々にはナルトとだなんてイヤという思いが篭もっている。
ナルトは顔を少し歪めた。
こんなにもはっきりと言われてしまうと、さすがに辛い。
イルカはそんなナルトの様子を視界に納め、ゴホンと咳払いをしてその質問に答える。

「初めに言っただろう?サスケは卒業生27名中一番、ナルトはドベだ。班の力を均等にすると、自然とこうなる。」

力のバランスを均等にするには確かにこうするしかない。
その説明にサクラはしぶしぶ納得するしかなかった。

「フン・・・せいぜい俺の足引っぱってくれるなよ、ドベ。」

イルカの話を聞いて先ほどの出来事もそこまで深く考える必要はないと判断したサスケはナルトへそう告げる。


――・・・上手くやっていけるでしょうか・・・

ナルトはサクラとサスケの言葉を聞いてこれからのことに不安を抱き始めた。
この班はもう絶対だ。変更などない。
この2人は自分のことを見てくれるだろうか?
・・・いや、なんとしても見てもらうんだ。
そのためにはたぶんあるだろう下忍選抜試験に合格すること。
ナルトの顔にはもう迷いは消えていた。








午後になり、上忍の先生たちが自分の班の子供たちを呼んで教室から出て行く。
ナルトたちの班はかなり待たされたが、やっときた上忍と教室から場所を変える。

「まずは自己紹介をしてもらおう。」

そう言ったのはナルトたちの班の担当上忍だ。
その人物は銀髪の微妙な髪型に、額あてを左目が隠れるように斜めにつけ、目から下をマスクで覆っている怪しげな上忍。
そんな怪しげな上忍は3人の前で遅刻に対して謝ることもなく、勝手に話を進めていく。
上忍の言葉にサクラはどんなことを言えばよいのか尋ねる。

「そりゃぁ、好きなもの嫌いなもの、将来の夢とか趣味とか・・・ま!そんなのだ。」

と、上忍は肩を竦めながら言う。
そんな上忍に、サクラがまずは先生から自己紹介をするように頼んだ。
とにかく目の前の上忍は見た目からして怪しい。

「あ・・・俺か?俺は、はたけカカシって名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はない!将来の夢って言われてもなぁ・・・ま!趣味は色々だ・・・・・・。」

「ねぇ・・・結局分かったの・・・名前だけじゃない?」

「「・・・・・・。」」

確かにカカシの自己紹介は結局名前しか分からない。

――忍びが簡単に情報を言ってはいけませんからね。

ナルトはカカシをじっと見つめながらそんなことを思う。が、

――まぁ、僕たちはしっかり自己紹介しないと信用なんてしてもらえませんからね。

なんて答えましょう。と考え始めたところ、カカシがナルトから順に自己紹介するよう促す。

「俺さ!俺さ!名前はうずまきナルト!好きなものはイルカ先生におごってもらった一楽のラーメン!!嫌いなものはないってばよ。あえて言うなら、無力な自分・・・かな。将来の夢は医療忍者!!いっぱいの人を助けるんだ!んでもって、里の人たちに俺を認めてもらうんだ!趣味は新しい薬を作って実け・・ん・・・・・・いえ、いたずらです、はい。」

――そんなに意外でしたか!?

ナルトは3人の様子を見て思わず趣味を言いなおした。
というのも、みなしんと静まり返り、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているのだ。
ナルトの自己紹介が済んだのに、いまだに沈黙が続いている。
しかし、この沈黙はサクラによって破られた。

「あんたが医療忍者なんてなれるわけないでしょ!!」

アカデミーの勉強さえできないのに!とサクラが笑いだす。サクラに引き続き、サスケも「フン」と言ってナルトを少し馬鹿にしているようだ。やっともとに戻ったみんなに安心したナルトだが、言われたことにプクっと頬を膨らまして、「絶対なってやるんだってばよ!!」と言い返す。
そんな子供たちのやり取りをしている中、カカシ一人は、ナルトの言葉にマスクで見えないがやわらかい笑みを浮かべてナルトを見つめていた。

――こいつ、おもしろい成長をしたな・・・

四代目から自分に託された子、それがナルトだ。
しかし、ナルトは忽然と姿を消し、噂だけの存在になっていた。が、5年前、この里に戻ってきたのは話に聞いていた。
すぐにでも会ってみたかった。
どんな子に育っているのか。
やっぱり先生に似ているのかな。
とても気になっていたんだ。
だけど、自分からは会いにいけなかった。
自分には会いたいと思う気持ちと会いたくないと思う気持ちが存在している。
ナルトがいなくなってしまってから自分は探し続けていたわけではない。
そんな自分がナルトに会っていいものか。
自分をこんなにも悩ませたナルトを前にしてみて、自分が何を迷っていたのかと馬鹿らしく思えてきた。
カカシは思わず苦笑をもらす。が、それはすぐに真剣な表情へと変わる。

――無力な自分・・・か。

火影様から話には聞いていた。
ナルトが一人の姉に育てられていたということを。でもそれは3歳まで。
姉が何者かに殺されてしまったからだ。もう大切なものを失くさないように、里のものに自分が「九尾」でないことを証明するために、ナルトは忍びになることを決意し、この里に帰ってきたというのだ。その話を聞いて、とても胸が苦しくなったのを覚えている。
しかし、

――なんだか聞いた話とかなり違うような・・・

そう、火影様から聞いた話では、7歳にしてはとても大人びているが、時々見せる子供らしい表情がかわいらしいとかなんとか・・・。
でも、今はどうだ。
キャンキャンと班の2人に吠えている金色の犬。
大人びているなんてお世辞でも言えないくらい子供らしい。

――ま、元気ならいいか!

と結論を出し子供たちを見ると、まだ金色の犬、ナルトは吠えていた。


「次!」

カカシが無理やり犬を黙らせ、隣の黒髪の少年を見る。するとナルトの隣に座っていた黒髪の少年が口を開いた。

「名はうちはサスケ。嫌いなものならたくさんあるが、好きなものは別にない。」

それから

「夢なんて言葉で終わらす気はないが、野望はある!一族の復興と、ある男を必ず」

殺すことだ。

そう告げたサスケはどこか遠くをきつく睨みつけている。
その場はナルトの時とは違った沈黙が支配し始める。
サクラはサスケのことをポーッとしながら見つめている。カカシは目を細め、何か思い当たることがあるような顔つきをしている。ナルトはというと、

――僕・・・もう1つ夢ができました。

医療忍者になることと、もう1つ成し遂げたいこと。

ナルトはサスケを見て微笑んでいた。
サスケの言っているある男、それはおそらくうちはイタチだ。
7年前からミコトで火影邸を出入りしているため、うちは一族の話は聞いている。
サスケの兄であるイタチが一族を皆殺しにした事件。その後、イタチは里抜けしている。
自分の幸せを奪った者を憎むのは当たり前。
だって自分もそうだったから。
だから気づくことができた。
復讐というものの意味の無さを。
しかし、それを止めるように言って、止められるものならとっくに捨てている。
他人がどうにかできる感情ではない。
自分で気づかなければいけないんだ。
そんな彼に僕ができること。

――サスケを死なせないこと。

自分がサスケに感じた焦り、それは“死”だ。
決して死にたいというわけじゃない。彼の復讐は“命”を懸けているのだ。
サスケは復讐を果たすまで死ぬことはしない。
しかし、復讐が終わった後、待っているのは“死”。
だって自分もそうだったから。
忍者たちを殺した後、自分には何も無いことに気づいた。
独り・・・それは人として生きるにはあまりにも辛いこと。
その時の自分には“死”に対する恐怖がなかった。もう、これでいいと思ったんだ。
だけど、今はどうだ。
ある人に救われて、夢というものまで見つけて。
自分を認めてくれる人まで現れて。
生きるってこういうことなんだ。
生きているってなんて素晴らしいんだろうって、分かったんだ。
それでも時々挫けそうになることだってある。
そんな時、サスケに出会えたことは自分にとってまさに奇跡だったんだ。
自分しか見えていなかった僕に世界を与えてくれた。
大げさかもしれないけれど、それくらいサスケは自分にすごいことをしてくれたんだ。
そんな彼に復讐というもので人生を終わらせてほしくない。

――僕はサスケと友達になりたいんです。

スリーマンセルだからとかそういうのではなくて。
サスケに出会ったあの時からずっと思っていたこと。
孤独は寂しいから、辛いから、今は復讐という気持ちのおかげで生きていけるけれど、その後は?
サスケの言う「一族の復興」など、二の次の話だ。
彼を死なせないためにも、自分は彼の支えになりたい。
サスケはまだ周りを見る余裕はないけれど、どうか独りでないことに気づいてほしい。
死なせてたまるものか。

だって彼は僕の光なのだから。




「よし、じゃあ最後に女の子。」

2回目の沈黙はカカシが破った。
カカシ言葉にポーッとしていたピンク色の髪の女の子はハッとしてすぐに話し始めた。

「私は春野サクラ。好きなものはぁ・・・ってゆーかぁ、好きな人は・・・。」

サクラはチラチラと隣を見ている。その視線の先にはサスケ。

「えーとぉ、将来の夢も言っちゃおうかなぁ・・・」

キャーーーー!!と一人興奮し叫び声を上げる。

――サクラちゃんもサスケの支えになりたいんですね!

僕とはちょっと違うような気もしますが、と心の中で呟くナルト。
カカシは軽くため息をついていた。




「明日から任務やるぞ。」

話は突然変わる。

「まずはこの4人だけであることをやる。サバイバル演習だ。」

「何で任務で演習やるのよ?」

演習なら忍者学校でさんざんやったわよ!とサクラは文句をつける。それに対しカカシは、

「ただの演習じゃぁないさ。これ言ったらお前たち」

引くぞ?とにこやかに言う。
そんなカカシにサスケとサクラはゴクリと唾を飲んだ。

――サスケと友達になるのはかなり大変ですよね・・・
   焦りすぎて周りが見えていませんからね。
   サクラちゃんとも友達になりたいです。
   そのためにもゆっくり自分を分かってもらえればいいですね。

カカシをボーっと見ながらこんなことを考えているナルト。
別にカカシの話を聞いていないわけではない。
1名反応がおかしい奴がいるが、カカシは話を続ける。

「卒業生27名中、下忍になれるのはわずか9名。残りの18名は再び学校に戻される。この演習は」

脱落率66%以上の超難関試験だ。と見えている右目だけで3人を睨みつける。
サスケとサクラは完全に引いている。が、しかし、

――9名だけなんですか。

それは知らなかったです。とずれた思考をして、ふむふむと頷いているナルト。
そんなナルトを見たカカシは

「お前、驚かないの?」

27名中9名だけなんだぞ?と再び言う。思考の世界へ飛んでいたナルトはハッと気づき、今更もう遅いが、驚いた顔をする。

「びっくりしたってばよ!でも、絶対下忍になってみせるってばよ!」

と満面の笑みで答える。

「でもどうして卒業試験なんか・・・。」

サクラが疑問に思っていたことを尋ねる。

「あ、あれか?あれは下忍になる可能性のある者を選抜するだけだ。」

しかしその説明でもサクラはまだ納得していないようだ。

「サクラちゃん。」

そこへナルトが声をかける。

「分身の術ができたくらいで、任務はできないってばよ。」

そりゃぁ、

「下忍じゃ敵の忍びと戦うなんてことは無いだろうけど、いつかはあることなんだってばよ。だからさ、」

その覚悟を見るための試験でもあるんだよ。と、にこりと笑うナルト。
いつかは人を殺す。それは忍びにとって当たり前のこと。
いくら下忍といえども、その覚悟が無ければ切り捨てられる。

3人はナルトを凝視する。

――・・・ナルトはあるんだな。

人を殺したことが。カカシは目を細め、ナルトを見つめる。
サクラとサスケはいつもと雰囲気の違うナルトに驚いただけだ。
ナルトの言葉に納得したサクラと他2名にカカシはその演習について書いてあるプリントを配る。

「とにかく明日は演習場でお前らの合否を判断する。忍び道具一式持って来い。それと、朝飯は抜いて来い、吐くぞ!では、明日遅れて来ないよーに!」


解散後、一旦家へと帰ったナルトは、ミコトに変化して火影邸の医療の本を読みに行くついでに、気になることを調べることにした。













あとがき

サスケさんとナルトさんの話にちょっとだけ触れてみました。
やっと下忍試験ですね。どうなるでしょうね。


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