これはまだナルトが6歳だった頃の話。
ある日の甘栗甘を覗いてみると・・・
NARUTO ~大切なこと~ 番外編 『噂のミコトくん』
「おい、カカシ。こんなところで話って何だよ。人生色々じゃダメなのかよ。」
「俺だって聞かれたくない話だってあるんだよ。失礼しちゃうネ。」
「何だよ・・・お前の聞かれたくない話しってぇと、これか?(ニヤニヤと小指を立てる)」
「はぁ?なんでそうなるんだよ。今日はちがーうの。今日はね、少年の話。」
「はぁ!?お前いつ宗旨替えしたんだよ!?」
「何言ってんの、クマ。(ギロリ)」
「うっ・・・、わ、わかったからその殺気抑えろって。それに俺はクマじゃねぇ、アスマだ!!んで、その少年の話とやらを聞こうじゃないですか。」
「もう!今度ふざけたら容赦しないからな。まぁ、そのなんだ。ちょっと前にさ、俺の任務の帰りが遅い日があっただろ?」
「ん?あぁ、確か暗部の任務だったよな?確かにてめぇにしてはちょっくら遅い日があったな。」
「ん。その日、実は俺死に掛けたんだよネ。」
「・・・はぁ!?お前その日ピンピンしてたじゃねぇか!?」
「イヤほんと。油断して見事に毒を塗った刀で腹をスパーッと切られちゃったのよこれが。」
「お前が油断って・・・どんだけ油断してたんだよ・・・。」
「まぁ、その日さ、連続徹夜5日目でもうフラフラだったわけよ。」
「それでスパーッと。そりゃ他のやつらに聞かれたくねーな。」
「そ。で、里まで帰り着けなかった俺は森の中で倒れてしまいました。」
「で、そんなてめぇを助けてくれたのがその少年ってか?にしても帰ってきたてめぇは無傷だったよな?その少年・・・医療忍者か何かか?」
「ピンポーン。そうなんだよネ。」
「おいおい、お前帰ってきたの、いつもよりちょっくら遅いだけだっただろ?何か?そんなに早くお前の傷を治しちまったのか、その少年!?」
「そうなのよ。それはそれは手際よく毒を抜いて傷を塞いじゃったのよ。」
「毒を抜くなんて・・・かなりのチャクラコントロールが求められるぞ。それを短時間で・・・。いったいどんな少年だったんだよ。」
「それがさぁ・・・、先生にそっくりだったんだよね。」
「先生・・・?先生ってぇと、・・・四代目火影かぁ!?寝不足のせいで見間違えたとかじゃねぇのか?」
「いやいや、あの金髪を見間違えることはないでショ。それに目も青かったし・・・。」
「それは何か?四代目の幽霊がお前を助けたのか?」
「なわけないでショ!!それに俺言ったよね。その子、少年なの。先生に似てても歳が全然ちがーうの。」
「あ、そっか。で、俺にその四代目そっくりな少年が誰なのか聞きたいってわけか。」
「そ。」
「う~ん・・・。俺もそんなやつ見たことも聞いたこともねぇなぁ。他に分かることねぇのかよ。どこの忍びのものかとかよ。」
「それがさぁ・・・、木の葉の忍びっぽいんだよね。一応額あてしてたし・・・。」
「はぁ!!?んなやついたらいやでも目立つだろ!?なんたって四代目そっくりなんだろ?」
「そう思ったんだけどねぇ、全然見つからないわけよ。それにそいつ、全く気配がなかったんだよね。もう空気と同化してんの。あんな気配の消し方いったいどうしたら出来るんでしょーネ。」
「なんだかスゲー野郎みたいだな。その少年。」
「ん~、あ、あとチャクラの質が先生と全く一緒だったんだよね、これが。」
「まじかよおい・・・。お前がそう言うんだったら間違えねぇだろーけどよ・・・。いったい何者なんだよそいつ。」
「それは俺が聞きたいの。あ、でも俺らと同じ服着てたよ。その少年。」
「ってことは中忍以上の忍びってわけじゃねぇか!!まぁ、それだけの技術があったら上忍かもしれねぇが・・・そんな少年の噂なんざ聞いたこともねぇな。」
「でショー。俺も探してるんだけどさ、全くわかんないんだよねぇ。」
「金髪青目の少年・・・か「ちょっと待ったーーーーーー!!!!」っっっ!!??」
「「ア、アンコ!?」」
「その噂、このアンコ様抜きじゃぁ語れないわよ!!」
「「はぁ?」」
「何言ってんの、アンコ。・・・もしかしてずっと聞いてたの?」
「いいや、“金髪青目の少年”って言葉が聞こえたからつい身体が反応したわけよ。」
「「・・・・・・。」」
「何!?その怪しいものを見るような目は・・・!!その少年のこと知りたいんじゃないの?」
「・・・んじゃ、そんなこと言うんなら、知ってるんだよネ。その少年。」
「もちろんじゃない!!その少年はねぇ、“神影ミコト”って言うのよ。」
「神影ミコト・・・聞いたことねぇなぁ。」
「そりゃそうでしょ。まだ特別上忍になって数ヶ月しか経ってないもの。」
「へぇ、特別上忍なんだ、その子。」
「そ。正確に言うとまだ見習いなんだけどね。」
「「見習い?」」
「そうなのよ。んで、特別上忍になったのも火影様の推薦なんですって。」
「火影様の推薦っつーと、よっぽどだよな。まぁ、カカシの話聞いたところでは上忍でも良さそうだけどな。」
「そうだよネ。その子の医療忍術、綱手様並みかそれ以上だもん。」
「ミコトはアカデミーに通ってなかったから忍びでもなかったらしいのよ。全て独学だそうよ。」
「「独学!?」」
「独学っつーと・・・かなりの天才じゃねぇか!?しかも医療忍術だぞ!?」
「でも、そんな子がどうやって火影様と知り合ったんだ・・・?」
「それがなんと!火影様の背後をいとも簡単にとったんですって。」
「「!!!!」」
「・・・・・・お前それどうやって知ったんだよ・・・。」
「え?それはもちろん・・・(満面の笑み)。」
「「あー・・・(二人同時に合掌)」」
「ミコトは16歳、身長は165センチ(アンコの目測)で、IQは200以上!今はまだ任務にはつかないで、ひたすら火影邸にある医療関係の本を読み漁ってるわ。」
「なんだお前・・・やけにそいつのこと詳しすぎねぇか?」
「当たり前でしょう?ミコトはくの一の中では有名なのよ。」
「「は?」」
「綺麗な長い金髪にあの青い目!女のあたしたちの方がうらやましくなるような白い肌!頭が良いのにかなり天然で・・・もうくの一たちがこぞって騒いでるのよ。それなのによく気づかなかったわね。」
「「・・・・・・。」」
「・・・で、お前はその“ミコト”とやらには会ったことがあるのかよ。」
「聞きたい?(怖いくらいの満面の笑顔)」
「「・・・・・・はい。」」
「そう、それは私がこの前の任務で少し怪我をしたときのことよ・・・」
月が綺麗な真夜中。
火影邸の廊下を2人のくの一が医療班の部屋へと向かって歩いている。
やはり、真夜中というだけあってか忍びの数は少ない。
2人は音も立てずに静かにその廊下を歩く。と、前を歩いているくの一が口を開いた。
「あんたもドジったわねぇ。」
まぬけね、その顔。とクスクス笑う。
「うるさいわね!!たまたまよ!た・ま・た・ま!!」
前を歩くくの一ははいはい、と受け流す。
後ろを歩くくの一は、その反応にムスッとする。
後ろを歩くくの一、そう、みたらしアンコだ。
アンコは今日の任務で左頬を敵のクナイに当たって切ってしまったのだ。
前を歩くくの一は、顔に傷が残るといけないと言って、別にいいと言っているアンコを無理やり医療班のところへと連れて行こうとしているのだった。
しばらく歩いていくと医療班の部屋の扉の前へとたどり着いた。そしてくの一がノックをして扉を開ける。
扉を開けたその先には本、本、本がズラーッと棚に並んでいる。すべて医療関係の本である。アンコは思わずウゲーっという顔をする。忍術には興味があっても、どうも医療忍術には触手が伸びなかった。
「誰かいませんかぁ?」
扉を開けたくの一が部屋の中へ声をかける。しかし返事は返ってこなかった。
おやっと思ったくの一は中へと勝手に入っていく。その行動に慌てたアンコがとっさにくの一の腕を掴む。
「何勝手に入ってるのよ!」
誰もいないみたいだし、もういいわよこんな傷くらい。
しかし、くの一は
「顔に傷なんて女は残しちゃいけないの!いくらアンコが男勝りだからって、あんたは女なの!アンコがよくても私が許さないわ!」
こう言ってくれる友達のくの一には本当にありがたい。が、誰もいない部屋に無断ではいるのはいかがなものかと考える。
もしかしたら奥にいるかもしれないから私が呼んでくるわ。と言って、くの一は中へと入っていってしまった。アンコはため息をつき仕方なく部屋へと入る。
しかし、アンコはとくに人を探すわけでもなくぶらぶらと中の本棚に並ぶ本の背表紙を眺め歩く。
――うひゃぁ、こんなの読む医療班に尊敬するわ!!
その棚にあるのは全て薬の調合について記したものであった。
それらをただただボーっと眺め歩いていると、ある本棚の一角で金色に光るものが目に入ったような気がした。そのまま通り過ぎようとしていたアンコはふいに立ち止まり、もう一度ある本棚の一角へと顔を向ける。
――・・・人よね?
確かにそこには見事な腰まである長い金髪を頭の下のほうで一つに括った人間が、立ったまま開いた本を左手で持ち、右手をあごにあて本を読んでいる。その人間は木の葉の額あてに中忍以上が着る服を着ている。背格好からすると少年のようだ。
――気配がまるでよめないわ・・・。
そう、その少年にはまったく気配というものが無かった。少年はこちらに気づいているのかいないのか、全く分からないが黙々と左手の上の本を読んでいる。
アンコはおもむろにその少年のすぐそばまで寄り、上から下までじっくり眺める。
――うわぁ、こんなに近くにいるのに全然人がいるなんて実感わかないわ。
と下を見ていた顔を上げると、少年がじっとこちらを見ていた。
その目はとても澄んだ青だった。
――うっわ、きれい・・・
思わず心の中で呟く。
すると少年がすっと右手をアンコの左頬へと寄せた。その瞬間左頬がぽかぽかと温かくなる。
「早く傷は治療しないと化膿しちゃいますよ?」
少年は目を細めにこりと微笑み、右手を頬から離す。
「へ?」
思わず間抜けな声を発する。そして左頬を触ってみるともう傷は無くなっていた。
ほんの一瞬だった。ちょっと温かいと思ったらいつの間にか治っていたのだ。
「あ、ありがとう・・・。」
アンコはなんだか現実感が無くてぼそりと呟くようにお礼を言う。
すると目の前の少年はまたにこりと笑って、
「いえ。せっかく治る傷が化膿して(あなたのように綺麗な)肌に傷跡なんか残してしまっては、女性にはよくありませんからね。」
アンコには何故か括弧内の言葉が聞こえたらしい・・・。
アンコの顔はボボボッと赤くなる。
それを見て少年はリンゴ?と呟きながら首を傾げる。
その瞬間アンコは少年の肩をガシッ!!と掴み、
「あんたの名前は!?」
と叫んだ。きょとんとしていた少年の顔はすぐに笑みに変わり、
「神影ミコトです。」
と答えた。そして続けて
「あの・・・すみません・・・。手を離していただけませんか・・・?」
ちょっと痛いです。と呟いた少年は顔にうっすらと汗をかいている。
アンコはミコトの肩においていた自分の手に視線を向けると、かなり指がミコトの肩に食い込んでいる。
これはちょっと痛いどころではないだろう。それにやっと気づいたアンコは顔が青ざめ、すぐさま飛びのくように手を離し、ごめん!!!!と叫んで部屋の扉のほうへと走っていった。
「?」
ミコトはそのくの一の一連の行動に少し驚いたが、またすぐに視線を本へと移した。
「アンコどうしたのよ。何かあったの?」
思わずくの一は声をかけた。
医療班の部屋の外にいたアンコは両手を壁につけ、ぶつぶつと何かを呟いている。
それはちょっと不気味だ。
「え、あ、なんでもないのよ、なんでも。」
ははははは、と明らかに動揺を隠しきれていないアンコに疑惑の目を向ける。
その目でアンコの顔をじっと睨むと、先ほどまであった傷がなくなっていることに気づいた。
「あれ?アンコいつ治療してもらったのよ。」
私が部屋の奥に医療班の人探しに行ったけど、誰もいなかったわよ?と不思議そうな顔でアンコを見つめる。するとアンコは突然機嫌が良くなりニコニコと笑って、
「ん、ちょっとねぇ。」
と今にも歌いだしそうである。そしてアンコはここまで来た道をスキップで帰っていく。くの一はアンコの不可思議な行動に疑問符を頭に浮かべながらもその後をついていった。
「ということがあったのよ!!」
「「・・・・・・。」」
「何よ、その哀れむような目は。」
「なんだか途中幻聴が入ってたよネ。」
「あ、あぁ、そうだな。」
「・・・・・・そんなことないわ!!!!」
「「(自覚あるんだなぁ・・・。)」」
「というか、アンコ。そのミコト君はお前の名前知らないんじゃないの?」
「そうだぜ。今の話だと一方的に名前を聞いただけじゃねぇか。」
「うっ・・・。ま、まぁ、それはこれから教えればいいんだし?きっと覚えていてくれてるわ!!」
「「(覚えているとは思うよ・・・。)」」
「それにしても、どうしてこんなにくの一の間にミコトの噂が広がったのかしら!私が治療してもらったことを友達に話しただけなのに!」
「「・・・・・・。」」
「あ、今日はミコトが昼から医療班の部屋にいるらしいのよね!!おばちゃ~ん!ダンゴごじゅ・・・いや100本くださーい!!」
「はいよー。」
「「・・・・・・。」」
「はい、お待ち。」
「ありがとー。ではお二方、お先に失礼します。(スキップをして出て行った)」
「・・・・・・ねぇ、クマ。ダンゴ100本って・・・やっぱりそのミコト君に持っていくのかな。」
「俺はクマじゃねぇ・・・・・・突っ込むところはそこか?」
「「・・・・・・・・・はぁ。」」
二人はなんだかとても疲れた様子で甘栗甘を後にした。
あとがき
読者の皆様に笑っていただけたら第1弾でした。
・・・笑っていただけたでしょうか・・・?
私はよく人の作品を読んで笑ったり泣いたりしてしまうのですが、私の書いている小説ってどうなのかなぁと思い、この番外編は笑いを狙ってみたのですが・・・すみません!!私の文才ではこれくらいしか書けませんでした。
今回は演劇の台本のような書き方をしてみました。
会話だけで話が進んでいく演劇の台本ってすごいですよね!
でも私が書くと・・・本当にすみません・・・。
これは11話のカカシさんのその後でした。
読者の皆様が少しでも笑ってくださったらいいなと祈っております。
これから原作へと入ってまいりますが、少し更新が遅くなってしまうと思います。
でもがんばって書きますのでこれからもよろしかったらお読みください。