5.
圧倒的な巨体は死の森全てを陰で覆わんばかりだった。
ナルトとガマケンは巨大な蛙――ガマブン太と相対することを嫌い、猛烈なスピードで森を駆け巡る。しかし、一歩一歩の距離があまりにも違いすぎて、一瞬で追い詰められてしまうのだ。
こなくそ、とナルトは小さく吐き捨てると、【首斬り包丁】にチャクラを伝達、増幅させていく。
九尾と混じり合いつつあるナルトのチャクラは暗褐色の色を帯び始め、澱んだ妖気を孕ませている。それを飲み込む【首斬り包丁】も漆黒の刃も見るもの全てを殺めるような、不気味な様相を呈している。妖刀――という言葉が相応しい。
「ぬ……おぉぉぉぉぉっっ!! でぃやぁぁぁぁっ!!」
急停止。反転し、ナルトは赤黒い暴風を内包する黒刃を思い切り放った。
生き残っていた木々は真空の刃で切り裂かれ、重低音を響かせながら地面へとのたうつ。巻き込まれた大樹も根元から折れ、屍となって横たわるこことなる。
壊滅的な被害をもたらす暴風を一太刀に凝縮した風の刃は、しかし、ブン太の皮膚を切り裂くことすらできはしない。「かゆいのぉ」と舌舐めずりをしながら、余裕の表情で見下ろしてくる。ぎりりとナルトは歯を噛み締めるが、すぐに背を向けて駆け出した。
一歩踏み出すたびに靴裏のしたでチャクラを爆ぜさせ、勢いをつけて疾走する。
修行――これが? あまりに難易度の高い修練に唾を吐きかけたくなる。
蟻vs象。
それくらいの戦闘能力の差があるように思えて仕方なかった。
「あかん! 効いてへんでぇっ!」
隣でそんなことを言うガマケンを細めた目で睨みながら、苦渋の表情を浮かべていた。何だか自分の攻撃が効かない敵ばかりなので苛々しているのだ。
「お前もその刺又で頑張れよ!」
「これで攻撃しても蚊に刺されたようなもんやで……」
「じゃあ、どうしろってんだ!」
「さっきみたいに九尾の力使えやっ!」
日光が遮られ、上から巨大な何かが降ってくるのが視界の端に見えた。
それは木の葉隠れの里で一番大きな建築物であるアカデミーの校舎を軽く超える面積を越える足の裏。
激しく舌打し、肉体活性を最大限まで高め、ナルトは一足飛びで危機から離脱した。
大地が割ける。
まるで空から太陽が落ちてきたかのような衝撃に足が竦み、恐怖が湧きあがる。
あんなのを受ければ、死んでいた。
容赦なく殺す気で攻撃を仕掛けてくるブン太に恐怖し、そんなものをけしかけてくる自来也に激怒し、ちゃっかり攻撃を回避して隣でのんびりしてるガマケンに苛立つ。
ふざけやがって。
右腕が疼く。
腕の中に心臓があるかのように脈動するそれはだんだんと位置を変え、【首斬り包丁】に伝達されていく。
意識しない内に勝手に力が使われているようだ。常にないほどのスムーズなチャクラ操作。莫大な量を扱っているにも拘らず、一切の澱みなくできてしまう事実。戦うための身体に作り替えられているような不気味な感覚に襲われる。気持ち悪い。
躊躇する。
我愛羅、自来也、ガマケン、計三回ほどナルトは【九尾の妖狐】の力を用いた。黒く染まっていく己の魂を知覚できる。力を振るう時、何もかもを壊したくなる破壊衝動が渦巻いてしまう。
落ち着いている今だからこそ言える。「あれは人の持つべき力ではない」と。
それなのに――
「どのみちあんさんは使いこなさなあかんのんや! 恐れてどうすんねん!?」
「使いこなさなきゃいけない……?」
「力があるものは尋常ではないほどの重圧が圧し掛かるもんや。みんなの期待も膨らむもんや。あんさんはな。絶対に普通の生き方はでけへん!」
「俺は教師になるんだよ! 中忍になったら教員課程に進むんだよ!」
怒声で返すも、ガマケンは更なる咆哮で応じる。
「絶対に無理や!」
夢を全否定されるということは、生きる目的を馬鹿にされたということ。
ナルトの夢は、自分のように阻害されるであろう存在を守り導くこと。自分を守ってくれたイルカのように、ナルトは自分と同じ境遇の子供を救いたいと思っていた。
あっさりと、思考する素振りすら見せず、断定口調で否定されたわけだが。
「何でだよっ!?」
お前に俺の何がわかる! と暗に込めて、
「あんさんには力がある。その力を里のために振るう義務があるんやっ! それが宿命ってもんやで!」
「ふざけんなっ! 俺の道は俺が作る。誰の言いなりにもなるつもりはないっ!」
「あんさん、人柱力やろ? わかってるんとちゃうんか?」
五日も同じところに詰め込まれ、戦闘をし、昼夜問わずに戦闘したいたからこそ、ガマケンはナルトのことをある程度理解していた。こいつは頭が良く、意志も強く、頑固な男だと。だから、どこかでガマケンの言っていることを納得している自分がいるはずだ。
そうでないと、ここまで怒りを露わにして叫ぶ理由にならない。ナルトは興味のないことに感情を剥き出しにしたりしないのだから。
故にガマケンは反抗するナルトに、諭すような口調で囁いた。
「逃げ道なんてないで。選ぶ道も二つしかないで」
二つって何だよ、とナルトは唾とともに吐き捨てる。
決して目を合わせようとしない幼い仕草は、まるで拗ねた子供のようだ。
ガマケンは嘆息し、呟く。
「逃げるか、戦うかや。まぁ、あんさんの選ぶものくらいなんとなくわかるけどな」
何から逃げる、何と戦う。漠然とした答えを胸の中で反芻する。
宿命――誰かに押しつけられたものをそう言うのか。力があるせいで重責を負わされるなら、そんなものはいらない……ナルトは生憎とそんな思考を持っていない。
力はあればあるほどいい。力がなくて涙するよりも、力があって高笑いするほうがいいに決まっている。そして、自分の中には【九尾の妖狐】の力が宿されている。比肩し得るものがないほどの"最強"と言うに相応しい絶大な力が眠っている。そんなものを持っているのなら、使えるようになったほうがいいこともわかる。
しかし――
「これで終わりじゃけぇのぉ!」
落雷が落ちたかのような衝撃。
抵抗する猶予もなく、ナルトとガマケンは、ガマブン太に踏み潰された。
象に抵抗できる蟻がいるはずもなく……
◆
遠くから見守っていた自来也は少しだけ残念な表情を浮かべた。
「死んだか……」
獅子は千尋の谷に我が息子を突き落とすという。
決して自分の息子ではないが、自来也の心境は獅子と同じ気持ちだった。
愛すべき弟子の血を引いている。
ただそれだけのことなのに、愛情を感じてしまう自分がいる。
けれど、甘い感情はいらない。ナルトにこれから襲い掛かる宿命は、ナルトの弱さを許さない。
強くて当たり前。迫り来る敵は最高峰のものばかり。このままでは一瞬で死んでしまうだろう。だからこそ、できるだけ厳しい修行を課したつもりだったのだが――
「この程度の修行もこなせないようでは、死んだほうが幸せだったのかもしれんのぉ……」
零れ出そうになる涙を押しとどめながら、自来也は冷然と言い切った。
しかし、異変が起こる。
それは三忍と呼ばれる自来也ですらも、ナルトの持つ器の大きさを見せつけられるものであった。
◆
――力が欲しければいつでも言え。
脳髄の奥深くから聞こえてくる、身体の芯から蕩けそうになるほどの魅惑的な声。
――魂を削る代わりに、
身を包み込むのは優しい包容。
――我が力を貸し与えてやろう。
耳元に吹きかけられる熱い吐息。
誘惑は引力のようで、抗えるものではないらしい。
(力が欲しい。
何ものにも負けない力が欲しい。
自由に生きていけるだけの力が欲しい。
大切なものが零れ落ちないように、守れるだけの力が欲しい。
何よりも――)
◆
ガマブン太は戦慄する。
乗れる体重計がないのでわからないが、ガマブン太の体重を思い切り乗せた踏み潰し攻撃を受けて生き延びた人間は、未だかつて存在しない。
つまり、ナルトは第一号ということになるのだろうか。
「ぐぎ……ぎぎぎっ!!」
足の裏に両腕を伸ばして、血管が千切れそうなほどに浮き上がらせながら、ナルトはガマブン太の足を押し返している。
変貌していた。
黄金の双眸は縦に割け、頬には三本線の傷跡が浮かび、犬歯は鋭く尖っていた。
瞳に宿るのは人が持ち得る感情を越えているとしか思えないほどの激しい怒り。見るもの全てを焼き尽くすかのような紅蓮の業火が浮かび上がっている。
がちがちと歯は噛み鳴らしながら、大地を踏みしめ、天高く腕を振り上げようと試みる。
「ガキがぁっ!!」
更なる重みが加えられる。
ナルトの両足が折れかけるが、それを助けたのはガマケンだった。
「わて――生きてる。生きてるのなら手伝うでぇ!」
一緒に踏み潰されて、それでいて生き延びたガマケンも脅威へと立ち向かう。
額に青筋を浮かばせながら、力を全て振り絞る。
震える足など関係ない。
千切れそうなほどに軋む背骨なども関係ない。
血管がぶち切れて、鮮血を噴き出す両腕も関係ない。
必要なのは意志。
でかいだけが取り柄の蛙に負けてたまるかというド根性。
鬼もかくやというほどの形相を浮かべ、ナルトは――
「どりゃあああああああっっ!!」
「ぬおぉぉっ!?」
ガマブン太を放り投げた。
美しい軌道を描いて飛んでいくガマブン太を、息を乱してはいるものの、実に爽やかな表情でナルトは見送っていた。
激震。
【死の森】はただしく死んだ。
ガマブン太の落下した場所は窪み、そこを基点にして土砂崩れが起こる。
木々は流され、動物たちも悲鳴をあげながら飲み込まれていく。
土石流に巻き込まれないように、ナルトは軋む身体を騙しながら、何とか被害の少ない場所へと移動した。ガマケンも同様だ。
お互いに肩で息をつく。青色吐息といった風体で、しかし、晴れやかな表情だ。
「や、やればできるやないか」
「ッハ! 負けるのは嫌いなもんでね」
不意に、心の増が収縮したかのような抗い難い激痛が襲い掛かる。
視界が焼けるほどの苦痛。
息ができない。
胸を掻き毟りたい衝動に襲われるが、指一本たりとも自由にできない。ただ、のた打ち回る。
『おんしは我が力を十全に使いこなし、その身は妖狐へと堕落する』
脳裏に浮かんだのはそんな言葉。【九尾の妖狐】がとても楽しそうに哄笑している姿が刻み込まれる。
魂が削れていく感覚。右腕の違和感が広がっていく。自分が自分じゃなくなっていくのが理解できる。
(俺は、どうなるんだ?)
迷走し始めた意識は「大丈夫かいな?」というガマケンの心配で元に戻る。
痛みはいつの間にか消えていた。
「あ、あぁ……」
ふと、地鳴りが聞こえる。
下ろしていた視線をあげると、引き攣った笑みを浮かべるガマブン太がいた。
「ガキィ! よくも土つけてくれたのぉ!?」
烈火の如く怒るガマブン太。
しかし、不思議とそこまで恐怖を覚えなかった。
脳裏に何かが流れ込む。
形容しがたいものは、しかし、ナルトの中で再構築されていき、情報として統合される。
プランが浮かぶ。
ガマブン太を屠るための戦略が浮かんだのだ。
「ガマケン」
「何じゃい?」
「チャクラ全部を攻撃に費やす。お前は俺の足になれ」
一瞬、ガマケンは沈黙する。
瞑目した後、目を開くと、じっとナルトの瞳を見つめた。
「……わてに馬になれって言ってるのんか?」
威圧の混じる眼光に退くことなく、ナルトはこくりと頷いた。
ガマケンも思うところはあるのだろうが――
「……いいやろ。あんさんに乗られるのも悪くない。悪くないでっ!」
すっと背を向ける。乗れ、ということだ。
「行くぞっ!」
「応よっ!」
ガマケンの背に根を生やしたかのようにナルトは直立する。
何重にも掛けられた封印の隙間から漏れ出す【九尾の妖狐】のチャクラ――それはナルトの手によって引き出されていく。奥深くに沈殿していたであろう暗い昏いそれは、ナルトの毛穴全てから流れ出していくかのようだった。
皮膚の表面に纏わりつくチャクラは【九尾の妖狐】の性質が強く、それはまるで妖気のようだった。
妖気は【首斬り包丁】へと纏わりついていく。赤く、黒く、朱金の混じるその色合いは複雑怪奇にして見るもの全てを不安にさせる色彩だ。それらの妖気は――炎へと変じていく。
狐火。
妖気の籠った邪炎はその身を焦がす破壊衝動の塊だ。漆黒の気配が刃を満たし――
「ガキがぁっ!!」
放たれる巨大な鉄槌が傍を通り抜けて、暴風に打ち付けられる。
しかし、ナルトは瞬き一つせず、その身を全てガマケンに委ねていた。
ガマケンのことを信じているわけではない。ただ、この攻撃は当たらないだろうという奇妙な確信だけがあった。
わかるのだ。
自分が経験したことはないはずなのに、流れ込んでくる何かが「大丈夫だ」と囁きかけてくるのだ。それが誰かはわからないし、知りたいとも思わない。興味がないと言えば嘘になるが、今は重要ではない。
襲い掛かる恐怖はなく、妙な安心感だけがある。
まるで誰かに守られているかのような、今まで味わったことのない感覚。
とても不思議だ。
「いけるのんかぁ!?」
「……任せろ」
身を守る抱擁の快楽を振り払い、【首斬り包丁】に意識を向ける。
朱金の混じる漆黒の焔が敵はまだかと言わんばかりに燃え上っている。それは死を幻視させる切っ先だ。
集中する。
瞬間、焔が高まり、咆哮する。
ガマケンはナルトの息を合わせ、跳躍した。
向かい来る攻撃は全て間一髪で避け、そして――世界を焼き尽くすほどの業炎が【首斬り包丁】から放たれた。
砂漠を想わせるほどに広大な眉間に漆黒の炎は襲い掛かり、暴れ狂う。
黒に染まる。
甲高い悲鳴をあげながら、巨体はのたうち回っている。
「どうだ……っ!」
「さすがのオジキもこれは効いたやろ……?」
勝ちを確信した。
悶え苦しむ姿に戦意は感じられず、これはもう終わりだろう、と思わせたのだが――ガマブン太は地面に思い切り頭突きをすると、ごりごりと擦って炎を無理やりかき消した。
口をあんぐりと開き、ナルトは絶望の吐息を漏らす。
「効いたど……むかつくくらいにのぉ!!」
怒りの滲み出る言葉は純粋に恐怖を与えてきた。
さきほどまでの万能感はもうなく、【九尾の妖狐】の力もなりを潜めている。今はだたのうずまきナルトで、実にちっぽけな存在だ。
「オジキッ!」
身動きのとれないナルトをかばうようにガマケンは前に出る。仮にも自分が認めた男を殺されるのは、ガマケンとしても納得がいかないし、それに、だ。
がくがくと身体が震えて、血反吐を吐いて、蹲っている。無限にも思えた莫大なチャクラは完全に枯渇しており、全く力を感じさせない――弱者。弱いもの虐めはガマケンが最も嫌うところだ。
「死ねやっ!」
ガマブン太は前足――拳をナルトのいるところへと振り下ろす。躊躇はなく、必殺の意思すら感じられる。
しかし、
「……ブン太ァッ! 熱くなりすぎじゃのぉ!」
自来也がガマケンの前に立ち塞がり、ガマブン太を止めたのだ。
興が殺がれたのか、ガマブン太は鼻息を鳴らす。それだけでナルトは吹っ飛びそうになるが、ガマケンに服を掴まれて何とかこらえることができた。
「……わしゃあ帰るけんのぉ。ほんに痛かったで……! 詫びでも用意しとけやっ!」
「わかってる」
吐き捨てると、ガマブン太は煙とともに姿を消した。
詫びには何がいいかのぉ、と自来也は少しだけ考えるが、後にしようと思い、ガマケンを見た。
瞳の奥に潜む感情を察したガマケンは「では」と言うなり消えた。
残るのは腕を押さえて苦しむナルトと、それを見下ろす自来也のみ。
「右腕が痛むか?」
「……あァ? こんなの痛くも何とも」
不意を突かれ、自来也にぎゅっと右腕を掴まれた。
びくんと身体が跳ねる。
「痛ででででででっっ! 痛えだろ!」
思い切り振り解くと、発火しそうなほどの熱を持つ右腕を忌々しげに見下ろしている。激痛の原因をわかっている、そんな表情を浮かべていて――自来也は嫌な予感がした。
「お前……まさか……九尾と会ったのか?」
「二度ほどな」
自来也は目の前が真っ暗になる思いがした。
(それほどまでに封印が弱っておるのか? それとも……ナルトと九尾の周波数が合っているということなのか?)
最悪の予想が過ぎる。
いや、まさか、そんなはずは――否定の言葉を紡ごうと努力するが、どうしても希望的観測ができない。絶望的なまでに現実主義な自来也は、冷徹な頭脳を持って、現状を客観的に認識してしまい――深く深く溜め息を漏らした。
「何だよ。はっきり言えよ」
気味が悪がってナルトは突っかかるが、自来也はナルトの両肩を握り締めると、視線を合わせた。
「九尾に何と言われた?」
「はァ?」
言う必要があるのか? という馬鹿にした返答。肩を握り手に力が加えられる。
「会ったときに何と言われたのだ!」
「……俺は九尾の力を使いこなして、新たな九尾になるんだってよ。笑えるだろ?」
「それは本当のことか!?」
「あ、あぁ……嘘ついてどうするんだよ」
最悪だ。
どうやら自分の予想が当たったらしいことを自来也は察する。
せめてもの救いはまだ手遅れではないということくらいか……可能性としては雀の涙にすら劣るほどの分量だが。
「……いや、あいつなら……しかし、今ここを離れて大蛇丸の警戒を怠るのも……」
「いったい何なんだよ?」
吐き捨てるナルトを、自来也はキッと睨みつける。ひくり、とナルトの口角が吊りあがった。
男同士で間近で見つめ合う趣味は、ナルトにはない。
「いいか、ナルト。九尾の力は制御できるまでしか使ってはならん。意識が飛ぶほどの力を引き出してはならんぞっ! たとえどんなことがあってもだ」
「もともとそのつもりだが……」
「取り返しのつかないことになるからのぉ」
「取り返しのつかないこと?」
オウム返しに聞いたことを、ナルトは後悔する。
「ナルトという存在は死に、九尾という妖魔に生まれ変わる」
【九尾の妖狐】にも言われたこと。
自分は九尾に生まれ変わってしまうらしいことを確信し、げんなりとした。
「だから、絶対に九尾を完全開放してはならんぞ?」
「心得ておくよ」
本音はどこまでお奥底に。
使わない、とは言ってはいない。
たぶん、使う時が来るのだろう――ふと、ナルトはそんなことを考えた。
嫌な予感は、必ず的中するものである。
――予言しよう。
当たらなければいいな、とナルトは思った。
【アトガキ】
押すなよ。絶対に押すなよ! フリじゃないからな!! 押すなよ!!!!
とまぁ、とりあえず伏線張るだけ張って修行編終了です。
次はサスケとサクラの修行風景かな?