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No.13840の一覧
[0] 【ネタ・完結】NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~[熊雑草](2013/09/21 23:12)
[1] 第1話 八百屋のヤオ子[熊雑草](2013/09/21 21:27)
[2] 第2話 ヤオ子のチャクラ錬成[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[3] 第3話 ヤオ子の成果発表[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[4] 第4話 ヤオ子の投擲修行[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[5] 第5話 ヤオ子と第二の師匠[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[6] 第6話 ヤオ子の自主修行・豪火球編①[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[7] 第7話 ヤオ子の自主修行・豪火球編②[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[8] 第8話 ヤオ子の悲劇・サスケの帰還[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[9] 第9話 ヤオ子とサスケとサクラと[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[10] 第10話 ヤオ子と写輪眼[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[11] 第11話 ヤオ子の自主修行・必殺技編①[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[12] 第12話 ヤオ子の自主修行・必殺技編②[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[13] 第13話 ヤオ子の自主修行・必殺技編③[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[14] 第14話 ヤオ子の自主修行・必殺技編④[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[15] 第15話 ヤオ子の自主修行・必殺技編⑤[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[16] 第16話 ヤオ子とサスケと秘密基地[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[17] 第17話 幕間Ⅰ[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[18] 第18話 ヤオ子のお見舞い①[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[19] 第19話 ヤオ子のお見舞い②[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[20] 第20話 ヤオ子のお見舞い③[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[21] 第21話 ヤオ子の体術修行①[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[22] 第22話 ヤオ子の体術修行②[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[23] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[24] 第24話 ヤオ子の中忍試験本戦・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[25] 第25話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅護衛編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[26] 第26話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅壊滅編[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[27] 第27話 幕間Ⅱ[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[28] 第28話 ヤオ子の新生活①[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[29] 第29話 ヤオ子の新生活②[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[30] 第30話 ヤオ子の新生活③[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[31] 第31話 ヤオ子の下忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[32] 第32話 ヤオ子の下忍試験・実技試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[33] 第33話 ヤオ子の下忍試験・サバイバル試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[34] 第34話 ヤオ子の下忍試験・試験結果編[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[35] 第35話 ヤオ子とヤマトとその後サスケと[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[36] 第36話 ヤオ子の初任務[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[37] 第37話 ヤオ子の任務の傾向[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[38] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[39] 第39話 ヤオ子の初Cランク任務①[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[40] 第40話 ヤオ子の初Cランク任務②[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[41] 第41話 ヤオ子の初Cランク任務③[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[42] 第42話 ヤオ子の初Cランク任務④[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[43] 第43話 ヤオ子の初Cランク任務⑤[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[44] 第44話 ヤオ子の憂鬱とサスケの復活[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[45] 第45話 ヤオ子とサスケの別れ道[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[46] 第46話 幕間Ⅲ[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[47] 第47話 ヤオ子と綱手とシズネと[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[48] 第48話 ヤオ子と、ナルトの旅立ち[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[49] 第49話 ヤオ子と第七班?①[熊雑草](2013/09/21 21:50)
[50] 第50話 ヤオ子と第七班?②[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[51] 第51話 ヤオ子の秘密[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[52] 第52話 ヤオ子とガイ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[53] 第53話 ヤオ子と紅班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[54] 第54話 ヤオ子とネジとテンテンと[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[55] 第55話 ヤオ子とアスマ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[56] 第56話 ヤオ子と綱手の顔岩[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[57] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[58] 第58話 ヤオ子とフリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[59] 第59話 ヤオ子と続・フリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[60] 第60話 ヤオ子と母の親子鷹?[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[61] 第61話 ヤオ子とヒナタ班[熊雑草](2013/09/21 21:56)
[62] 第62話 ヤオ子と一匹狼①[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[63] 第63話 ヤオ子と一匹狼②[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[64] 第64話 幕間Ⅳ[熊雑草](2013/09/21 21:59)
[65] 第65話 ヤオ子とヤマトの再会[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[66] 第66話 ヤオ子とイビキの初任務[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[67] 第67話 ヤオ子の自主修行・予定は未定①[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[68] 第68話 ヤオ子の自主修行・予定は未定②[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[69] 第69話 ヤオ子の自主修行・予定は未定③[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[70] 第70話 ヤオ子と弔いとそれから……[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[71] 第71話 ヤオ子と犬塚家の人々?[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[72] 第72話 ヤオ子とカカシの対決ごっこ?[熊雑草](2013/09/21 22:03)
[73] 第73話 ヤオ子の居場所・日常編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[74] 第74話 ヤオ子の居場所・異変編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[75] 第75話 ヤオ子の居場所・避難編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[76] 第76話 ヤオ子の居場所・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[77] 第77話 ヤオ子の居場所・救助編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[78] 第78話 ヤオ子の居場所・死守編[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[79] 第79話 ヤオ子がいない①[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[80] 第80話 ヤオ子がいない②[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[81] 第81話 幕間Ⅴ[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[82] 第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[83] 第83話 ヤオ子の自主修行・能力向上編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[84] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[85] 第85話 ヤオ子の旅立ち・お供は一匹[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[86] 第86話 ヤオ子とタスケの口寄せ契約[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[87] 第87話 ヤオ子の復活・出入り禁止になった訳[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[88] 第88話 ヤオ子のサスケの足跡調査・天地橋を越えて[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[89] 第89話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ①[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[90] 第90話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ②[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[91] 第91話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ③[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[92] 第92話 ヤオ子のサスケの足跡調査・状況整理[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[93] 第93話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁①[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[94] 第94話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁②[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[95] 第95話 ヤオ子とサスケの新たな目的[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[96] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[97] 第97話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・マダラ接触編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[98] 第98話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[99] 第99話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・深夜の会話編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[100] 第100話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦開始編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[101] 第101話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・奪還編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[102] 第102話 ヤオ子とサスケの向かう先①[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[103] 第103話 ヤオ子とサスケの向かう先②[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[104] 第104話 ヤオ子とサスケの向かう先③[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[105] 第105話 ヤオ子とサスケの向かう先④[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[106] 第106話 ヤオ子の可能性・特殊能力編①[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[107] 第107話 ヤオ子の可能性・特殊能力編②[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[108] 第108話 ヤオ子と砂漠の模擬戦[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[109] 第109話 ヤオ子とイタチの葬儀[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[110] 第110話 ヤオ子とサスケの戦い・修行開始編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[111] 第111話 ヤオ子とサスケの戦い・修行編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[112] 第112話 ヤオ子とサスケの戦い・最後の戦い編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[113] 第113話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[114] 第114話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・サバイバルレース編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[115] 第115話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・本戦編[熊雑草](2013/09/21 22:22)
[116] 第116話 ヤオ子の八百屋[熊雑草](2013/09/22 01:07)
[117] あとがき[熊雑草](2010/07/09 23:40)
[118] 番外編・ヤオ子の???[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[119] 番外編・サスケとナルトの屋台での会話[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[120] 番外編・没ネタ・ヤオ子と秘密兵器[熊雑草](2013/09/21 22:24)
[121] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と①[熊雑草](2013/09/21 22:25)
[122] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と②[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[123] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と③[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[124] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第1話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[125] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第2話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[126] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第3話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[127] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第4話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[128] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第5話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[129] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第6話[熊雑草](2013/09/21 22:29)
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[13840] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/21 22:14
 == NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==



 サスケに、木ノ葉に居た頃の雰囲気が漂い出していた。
 長年蓄積させた負の感情を直ぐには転換できないものの、ここには強烈に変わらない人間が居る。
 しゃべる言葉も懐かしい仕草も、急速に自分を思い出させる。
 そして、年下の少女の立場が、忘れていた兄との温かい日々も思い出させる。


 (今のオレには、コイツが必要だ……)


 サスケがこの小さな島を訪れた時とは逆に、離れる時にはヤオ子の存在理由は大きく変わっていた。



  第96話 ヤオ子と小隊・鷹



 小さな島を出る影が三つ。
 サスケとヤオ子とお供の忍猫タスケだ。
 そのタスケは島を出ると直ぐにいつものポジション──ヤオ子の軽い頭の上に移動して、影は二つに減る。

 そして、海上ではサスケの小隊・鷹のメンバーが待ち構えていた。
 うち二人の機嫌は悪い。
 それも当然……さっき襲って来た少女とサスケが仲良く歩いているのだから。

 早速、大刀を背負った少年・水月がヤオ子を指差し叫ぶ。


 「どうして、そいつと仲良く帰って来てるのさ!」

 「今回ばかりは、ウチも水月と同意見だ!」


 水月に続いて怒鳴る香燐を見て、サスケは溜息を吐くと答える。


 「仲間にした」

 「「ハァ!?」」


 理由を知らなければ当然そうなる。
 そして、基本、唯我独尊なサスケは、水月と香燐を無視して自分の目的遂行のために勝手に話を進める。


 「もう、小隊はいらなくなった。
  今、解散する」

 「「ハァ!?」」


 さっきから同時に声を発し続ける水月と香燐を見ながら、ヤオ子は懐かしさを感じていた。


 (変わってない……。
  恐ろしいほどの自分主義……。
  あたしは初対面でいきなり宿題出されましたからね……。
  そして、無視したら家を燃やす……。
  ・
  ・
  この二人には、同じ被害者の匂いがします)


 サスケは用件を話し終えると、さっさと歩き出そうとする。
 変わらないことは嬉しいのだが、さすがにこの行動にはヤオ子も少し引いた。


 「あ、あの……サスケさん?
  皆さん、固まってますよ?」

 「気にするな……」

 「へ?」

 「「ちょっと待て!」」


 本日の水月と香燐のシンクロ率は高い。


 「サスケ!
  おかしいだろ!
  理由を言えよ!」

 「そうだ!
  ウチらを強引に仲間に引き込んだクセに!」


 サスケは面倒臭そうに言い返す。


 「水月。
  お前は暇だから付き合ったんだろう。
  香燐。
  お前も仕方なく付いて来ていたはずだ。
  ・
  ・
  オレが頭を下げる理由がある人物が居るとすれば、重吾だけだ」

 「「な!?」」


 サスケの物言いに、ヤオ子は項垂れている。


 (ドSな部分だけが懐かしい……。
  ・
  ・
  この二人の反応を体験した記憶があります。
  サスケさん……ハンパないです)


 水月と香燐を無視して、サスケが重吾に向き直る。


 「オレは別行動に出る。
  どうする?」


 重吾は考える間もなく、答えを返す。


 「着いて行く……。
  オレの殺人衝動を抑えられるのはサスケだけだからな。
  それに最後まで見届けると決めている」

 「そうか……。
  じゃあ、着いて来い」


 サスケが歩き出すと重吾も続く。
 取り残された水月と香燐が哀れで、ヤオ子も動けない。


 「ちょっと!
  サスケさん!」

 「何だ?」

 「『何だ?』じゃないですよ!
  何なんですか!
  そのドSっぷりは!?
  残された二人が可哀そうでしょ!」


 水月と香燐には、この時のヤオ子がまともな人格者に見えた。


 「何でだ?」

 「何でって……。
  あたしが襲った時には仲間だったでしょ!
  何で、捨てるようなことをするんですか!」

 (コイツ……)

 (意外といい奴なんだな……)


 水月と香燐は、ちょっとだけヤオ子に感動していた。
 しかし、サスケはバッサリと切り捨てる。


 「今度の目的には必要ない」

 「「「が……」」」


 水月と香燐とヤオ子が固まる。
 そして、ヤオ子がキレた。


 「少し見ない間にドSのクラスチェンジでも起きたんですか!?
  一緒に生死を懸けた場面もあったんじゃないんですか!?
  そんな言い方はないでしょう!」

 「アァ!?」


 水月と香燐が押し黙る。
 何かおかしい……。
 何故か仲間に引き込んだはずの少女とサスケが揉めている。

 何より、サスケの返し言葉が引っ掛かる。
 こんな雰囲気で『アァ!?』なんて聞き返すはずがない。


 「サスケさん!
  あったま来ました!
  あなたに称号を付けてあげます!
  世間一般のマスコミが、一昔前に視聴者がドン引きしているのに流行ってると勘違いして、
  挙って付けた寒い称号『王子』です!
  今日から、サスケさんは『ドS王子』です!」


 水月と香燐は、強ち間違いではない称号に笑い声をあげた。


 「てめェ! ヤオ子!
  ふざけるな!
  何で、そんな訳の分からない二つ名を付けられなければならないんだ!」

 「自覚がないなら重症ですよ!
  このドS王子!」


 サスケのグーが、ヤオ子に炸裂した。


 「その名前で呼ぶんじゃねー!」

 「呼んで欲しくなければ、ちゃんと理由を説明してください!」

 「だから、何でだ!
  コイツらが着いて来ていた理由も、おかしいだろうが!」

 「理由?
  ・
  ・
  ああ……。
  『暇だから』に『仕方なく』でしたっけ?」


 ヤオ子は、水月と香燐に振り返る。


 「馬鹿じゃないの?」


 水月と香燐のグーが、ヤオ子に炸裂した。


 「お前は、ボク達の味方じゃないのか!?」

 「さっきまでの擁護は、何だったんだ!?」

 「知らないですよ!
  こっちも吃驚ですよ!
  擁護しようと思ったら、
  手持ちの理由が『暇だから』に『仕方なく』で、
  どうやって、サスケさんに一矢報いればいいんですか!?」

 「それを何とかするのが、お前の役目だろ!」

 「っなわけあるか!
  あたしは、サスケさんの態度が気に入らなくて、思わず注意しただけですよ!
  ・
  ・
  な・の・に!
  何で、お二人の小隊在籍理由が、そんな訳の分からない理由なんですか!?」


 水月と香燐が押し黙る。
 そして、仕方なしに言葉が漏れる。


 「「……その場の雰囲気で。
   ……つい」」

 「ふざけるな!
  この馬鹿ヤローどもが!」


 場は荒れる。
 激しく荒れる。
 サスケvsヤオ子の様相が、いつの間にか水月&香燐vsヤオ子に変わっている。
 もう、収拾がつかない。
 既に何が原因で揉めていたのかすら、分からない。


 「いい加減にしろ!」


 サスケがキレた。
 しかし、説得力がない。
 そもそもの原因はサスケにあり、サスケも揉めていた一人だからだ。
 ヤオ子が、サスケをビシッと指差す。


 「黙れ!
  サスケさんも注意される側の人間です!」

 「「そうだ!」」

 「お前ら……!」


 サスケが拳を握る。
 そして、本当に注意出来る者が声を発する。


 「本当にいい加減にしたら、どうだ?」


 ヤオ子の頭の上に視線が集まる。


 「「「「猫がしゃべった……」」」」

 「タスケさん」

 「「「タスケ?」」」


 水月と香燐が大声で笑う。


 「何で、猫とサスケが一字違いなんだ!?」

 「アハハハハハッ!」

 「「お前ら……!」」


 サスケとタスケが、水月と香燐を睨みつける。
 今度は、助け舟を出そうとしたタスケがふてくされる。


 「サスケ……。
  オレは、お前の味方だ。
  コイツらはいらん。
  捨てて行け」

 「分かった」

 「「オイ!」」

 「振り出しに戻った……」


 結局、揉めに揉めたあと、再び小さな島に戻って説明し直すことになった。


 …


 辺りは夕闇に浸かり、すっかりと夜……。
 焚き火を囲んで、鷹のメンバーとヤオ子が倒木を椅子にして座っている。
 そして、水月がサスケに話し掛けた。


 「一体、何があったのさ?
  コイツは、ボク達を襲って来た敵だったんだろ?」

 「その時点から違う」

 「どういうこと?」


 サスケは、どうしたものかと考えたが、隠すことでもないと話し出す。


 「ヤオ子は、オレと話しに来ただけだ。
  そして、あの場面で先に仕掛けたのはオレ達……。
  ヤオ子は、仕方なく戦闘したに過ぎない」


 水月達が昼間の戦闘を思い出す。
 確かにそういう流れだった。


 「それで話し合いに、一人でこの島に来たんだよね。
  それが小隊を解散する理由になるの?
  木ノ葉を潰すんなら、頭数は多い方がいいはずだろ?」

 「もう……。
  木ノ葉は、どうでもいい」

 「ハァ!?
  もしかして、そいつに説得されたわけ!?」

 「それも違うな……。
  今までのオレが少しおかしかったんだ。
  復讐するなら、木ノ葉じゃない」

 「じゃあ、誰なのさ?」


 サスケは、少し視線を落とす。
 正直、そこは結論が出ていない。


 「分からない……」

 「ハァ!?」


 水月の疑問は、今までの流れからすれば当然だ。
 サスケは、イタチに復讐するために小隊を作った。
 そして、マダラから語られたイタチの話に、木ノ葉を次の復讐の対象に選んだばっかりだ。
 そのために暁とも一時的に手を組んで人柱力である八尾の捕獲を実行した。
 この流れを辿っているから、鷹のメンバーは混乱する。
 そして、その中で重吾だけが混乱しないのは、彼の目的がサスケの生き様を見届けることにあるからだった。

 水月の質問だけでは理解できないところを香燐が質問する。


 「ウチが知りたいのは、チャクラの質が変わったところだね。
  サスケのチャクラは少し冷たい感じだった。
  それが生ぬるい感じになっている。
  温かいのか冷たいのか分からない」


 香燐の言葉に、今の自分を表す最もな状態だとサスケは思う。
 温かいのか冷たいのか分からない。
 復讐も中途半端に諦めきれず、兄の意志を継ごうと変わり始めている心。
 きっと、どちらも自分の中に存在している。


 「そうだな……。
  簡単に言えば、自分のためのことを考え出したら、復讐は後回しでもよくなった。
  そして、今の考えの纏まっていないオレの行動に香燐達が付き合う必要もない。
  だから、小隊を解散する」


 ようやく話の流れが分かり始め、水月が溜息を吐く。


 「それならそれでいいさ。
  でもさ。
  ボクらは少なからず命を懸けて戦ったんだ。
  労いの言葉の一つでも掛けて貰いたいね」

 「そうかもしれないな……。
  すまなかった……。
  ありがとう……」

 「……妙に素直で気味悪いな」

 (コイツは……。
  じゃあ、オレは、どういう行動を取ればいいんだ!)


 サスケは不機嫌を内面で押さえ込むと黙り込む。
 しかし、香燐が黙らせてはくれない。


 「サスケ。
  サスケは、これからどうするんだ?」

 「……イタチの体を奪い返す」

 「うちはマダラのところに行くのか?」

 「ああ。
  アイツは、オレ達との信用を得るために、不覚にもアジトの場所を教えている。
  まず、そこでイタチの体を奪い返して、オレの手で弔う。
  ・
  ・
  そこからオレは……オレ自身を始める。
  ・
  ・
  そういう訳だから、お前達にこれ以上、オレに付き合う理由はない」


 しかし、水月がニヤリと笑う。


 「でも、今度はマダラとやり合うんだろ?」

 「ああ」

 「ボクも付き合うよ」

 「ハァ!?
  何でだ!?」


 水月の言葉に反応したのは香燐だった。


 「何で、香燐が怒鳴るんだよ?
  それに当然じゃないか。
  暁には、干柿鬼鮫が居るんだから、七人衆の持つ鮫肌を奪うにはいい機会だろ」

 「ぐ……!」


 香燐が少し押し黙ったあと、眼鏡をクイッとあげて怒鳴る。


 「ウチも残る!
  マダラのアジトに忘れ物をした!
  だから、付き合ってやる!」

 「本当に?」

 「本当だ!
  コノヤロー!」


 鷹のメンバーを見て、ヤオ子は微笑む。
 この雰囲気はナルトやサクラに通じるものがあったからだ。
 何だかんだで、サスケの周りには似たような人物が集まる傾向にあるらしい。


 「えへへ……。
  じゃあ、人数が増えて戦力アップですか?」

 「フォーマンセルじゃないから、もう小隊じゃないね」

 「お前らな……」


 結局、鷹は解散せずにヤオ子が一人加わったことになる。
 今まで、黙っていた重吾が口を開く。


 「どうするんだ? サスケ?」

 「どうもこうもないだろう……。
  勝手に決めちまいやがって……。
  ・
  ・
  また改名するのか?」

 「改名?」


 ヤオ子が首を傾げると、香燐が補足してくれた。


 「ウチらは、最初『蛇』と名乗っていた。
  それから『鷹』に変わったんだ」

 「へ~。
  何かを転機に名前を変えていたんですか。
  動物を隊の名称にしていたんですね。
  蛇から鷹か……。
  ・
  ・
  うん、強くなっている気がします」

 「何も思い付かないな」

 「無理に変えなくてもいいんじゃないの?」

 「あたし、ピッタリの思い付きましたよ」


 全員の視線がヤオ子に集まる。


 「動物の名前を隊に組み込み、昇格させる意味を持たせるんですよね。
  あたしを組み込んだことで進化させた隊の名前……。
  ・
  ・
  小隊・女豹!」


 鷹のメンバー全員が吹いた。


 「「「「却下!」」」」

 「何で?」

 「動物ですらねーだろうが!」

 「女豹なんて弱くなってんじゃないか!」

 「ウチはいいと思うが、サスケにそれを名乗らせられない!」

 「コイツは馬鹿なのか……」


 ヤオ子は溜息を吐くと呟いた。


 「センスの欠片もない人達です」

 「「「「お前だ!」」」」


 こうしてイタチの体を奪還するまで、小隊・鷹での行動は続くことになった。
 ヤオ子という大いなる不安要素を加えて……。


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