== NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
この話から最後の話まで、2010/6/9 に打ち切りエンドという形で公開させていただきました。
よって、修正を入れた本日までのものと、今現在も続いている原作とでは大きく掛け離れた話の内容になっています。
また、この話から完全なIF展開に入ってしまっています。
既に何年も前のSSになってしまっていることを理解した上で、読んでいただけると幸いです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ヤオ子の里の復興をしながらの修行が始まる。
片方だけではなく、両方……というのは明らかに無理があった。
それでもヤオ子は、短期間で二つを成し遂げようと心に決めていた。
復興中でありながらも、修行を行なうには理由がある。
(新しい力を手に入れなければいけない。
サスケさんの帰るところを復興させなければいけない)
今度、同じことがあった時、同じ失敗を繰り返さないために新たな性質を身に付けること。
そして、サスケの帰る場所である木の葉を復興させること。
ヤオ子は強い気持ちに突き動かされていた。
第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編
現在のヤオ子の中の大きな課題。
里の復興と自分以外の誰かを守るための力を手に入れることを同時に行なうには、どうすればいいのか?
数々の雑用任務で蓄積された経験を活かせる復興は、日々の努力の成果がそのまま結果に繋がる。
しかし、新たに手に入れる力はゼロからの開始であり、手段も獲得していない。
復興中でも修行をするため、秘密基地の前で、ヤオ子はヤマトに貰った巻物を広げる。
「まず、力を手に入れなければいけません……」
巻物を前にヤオ子が目を閉じると、今まで出会って来た人々の思い出が過ぎる。
その中でもサスケとサチが心の大部分を占めているのを、ヤオ子は改めて理解した。
「あたしに切っ掛けを与えてくれた二人……。
その二人に恥じないような成果をしっかりと得ないと……」
ヤオ子は自分の築き上げてきた想いのために、今やるべきことをしっかりにしなければと思う。
気持ちを真っ直ぐにして目を空け、ヤオ子はヤマトのくれた巻物に目を通す。
巻物には性質変化とは違う、別のことがいきなり書かれていた。
「影分身による経験値蓄積について?」
ヤオ子が読み進めると、ナルトが風遁・螺旋手裏剣の習得で応用した方法が書いてあった。
しかし、 これはチャクラ量が多いナルトだから出来た方法だと直ぐに理解する。
「それでも書いてあるということは……。
あたしも、それなりのチャクラ量があると認めてくれたんでしょうね。
・
・
最初の影分身の数は二体で試しますか」
ヤオ子のプランはこうなる。
本体は里の復興、影分身の一体が土遁の修行、もう一体が水遁の修行をする。
ヤオ子は無理を承知で、目標を言葉にする。
「目標は、二週間での習得です!
・
・
猛れ! あたしの妄想力!」
いつも以上に時間を掛けて大量にチャクラを練り上げて、ヤオ子は印を結ぶ。
「影分身の術!」
ヤオ子から大量にチャクラを分け与えられた影分身が二体現れると、ヤオ子は影分身達に拳を握って見せる。
「今日から、血反吐を吐いても頑張りますよ!」
影分身は頷くと、各々里の復興と修行を開始した。
…
修行初日の夕暮れ時……。
影分身の二体がチャクラ切れで消滅すると、復興の手伝いをしていたヤオ子に経験値が還元される。
「……っと」
還元された経験値と共に精神的疲労も還元される。
ふらりと倒れ掛けた体をヤオ子は無理に支える。
以前、任務を一緒にした中忍がフラ付いたヤオ子を心配してくれた。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫。
ちょっと、精神的疲労が増えただけです」
「何だそれ?」
一緒に瓦礫を整理していた他の忍達も笑っている。
ヤオ子は合わせて誤魔化し笑いをした。
(精神的疲労も還って来るんだ……。
でも、ちゃんと経験値も還って来た。
ハイリスク・ハイリターンですね)
ヤオ子は大きく息を吐き、精神状態を立て直す。
(修行の精神負担と雑務の負担って、こんなに違うんだ……。
・
・
違いますね。
集中している分……。
想いが篭もっていた分……。
疲労が色濃く返ってきたんだ)
ヤオ子は体も頭も疲労に浸されながらも間違っていないという確信を得る。
疲労が濃いほど、返る経験値も大きい。
この疲労を色濃くしていくことが、この修行の効果を最大限に引き出すことになる。
人一倍の疲労を抱え、ヤオ子は他の忍達とその日の復興作業を切り上げて帰宅の途についた。
…
復興中の木の葉の里……。
木の葉のほとんどの者が仮設住宅に暮らすように、ヤオ子も仮設住宅で家族と暮らしている。
何と言うか……妙な懐かしさがあった。
「「おかえり」」
仮設住宅の扉を開けると、両親の声が掛かった。
「ただいま。
ヤクトは?」
「まだ帰ってない。
もう直ぐ帰ると思うぞ」
「そうですか」
ヤオ子は靴を脱ぐと家にあがった。
父親が声を掛ける。
「どんな感じだ?」
「まだ撤去が終わりませんね。
多分、お父さん達とやってることは同じです」
「そうだよな。
まだ下準備ってとこだもんな」
「あと、時々専門知識が必要な時に呼出しですね。
あたし、任務で色んなことをやったから」
「あれか……。
時々、聞くが半分以上が分からない職業なんだよな」
「そうなんですよね。
まさか、その知識が活かせる日が来るとは思いませんでした」
「人生、何が役に立つか分からんな」
「本当に」
ヤオ子はちゃぶ台の前に座る父親の横に座る。
「ねぇ。
少し聞いていい?」
「ん?」
「お父さんは、どうして土遁が使えたの?」
「どういう意味だ?」
「だって、お父さんって細かいことは苦手でしょ?」
「まあな。
オレはコツを聞いても理解できないからな」
「言い切った……」
「ただ、信じてたな」
「信じてた?」
「ああ。
オレには出来るって思い込んでた」
「何を根拠に?」
「アカデミーの忍術を使えたから」
ヤオ子が首を傾げる。
「オレは馬鹿だけど、不安になることもある。
成果が出るのが遅かったから、人一倍自信を持てなかった。
でも、一つでも成功したら信じられるようになったな」
「凄い思い込みですね?」
「でも、大事だと思うんだ。
結局、チャクラを練って、忍術を発動させるのは自分だ。
自分の意志が強くないと出来ないだろう?」
「そうですね」
「それに気持ちが昂ぶっていた時の方が土遁の効力が高かったんだ」
(力任せの勢いだって話ですからね)
「少し見せてやろうか?」
父親がちゃぶ台の上に新聞紙を広げると要らない棒を握る。
そして、ヤオ子にも伝わるほど恐ろしい量のチャクラを練り出した。
「……ありえないって」
「行くぞ」
父親の握る棒の周囲が土遁の性質変化のチャクラが多い始めると、握っていた棒が石化していく。
「非常識な気がして来た……。
これ人間にも有効なの?」
「人間には、あまり効果がないな。
やっぱり、木とか土とかの方が相性が良かった」
「そうなんだ。
人にも試したんだ」
「ああ。
どうしても、母さんが前方のくノ一の服にやれって」
ヤオ子がちゃぶ台に頭を打ちつけた。
「それ、裸にひん剥けってことでしょ!?」
「母さんのチャクラが切れててな。
仕方なくやったんだ」
「お父さん……。
決して『仕方なく』でやるものじゃないと思います」
「そうか?
・
・
ただ、あの時に何か色々と言われて納得したんだが……。
内容が思い出せなくてな」
(悪質な洗脳じゃないの?)
ヤオ子が項垂れていると弟が帰る。
「ただいま!」
「お? ヤクトが帰ったな。
配給を貰いに行くぞ」
「は~い」
この一家は、精神面が打たれ強い。
家をなくすのは二度目だが、誰もがショックを引きずらず、普段と変わらない日々に立ち返っていた。
元々失う『物』というものが少ないせいかもしれない。
ヤオ子達一家は、かつて慣れ親しんだ配給の列へと向かうのだった。
…
修行開始から四日が過ぎる……。
本日も復興作業の任務中。
しかし、ヤオ子の周りの人間は、一緒に働く少女が心配になって来た。
「本っ当に大丈夫なのかっ!?」
「何が……」
「何が……って、クマが出来てるよ!
寝てるのか!?」
ヤオ子はガシガシと頭を掻く。
「寝てはいるんですけど。
慣れない精神的疲労が抜けなくて……」
「そんなに里のことを思ってるのか?」
「……ええ、まあ」
ヤオ子は嘘をつく。
この疲労が抜けないのは、復興作業の手伝いのせいではない。
(裏で修行している影分身の経験値の返りは悪くないんです……。
コツを覚える度に修行の効率が良くなりますから……。
・
・
だけど、まだ、やっと砂遊びと水遊び程度です……。
一体、サスケさんは、どうやって千鳥なんて技を二週間で習得したのか……。
やっぱり、天才だったんですね……)
水の性質変化と土の性質変化の修行の成果は、精神的疲労と比例して返って来ていた。
そして、この精神的疲労というものが、やっかい極まりない。
滋養強壮の栄養ドリンクを飲めば疲労が取れる肉体とは違い、精神というものに蓄積される疲労をスッキリ解消する薬がないからだ。
(いや、あることにはあるんですけどね……。
それって幻覚見えたり、変なテンションになる危ない系の薬なんで……。
・
・
エロパワーでどうにかなるかと手当たり次第にエロ本読んでみたけど、効果がないんですよね……)
当たり前である。
エロ本読んで精神的疲労がなくなるなら、この世にうつ病や精神疾患などという言葉はなくなっているだろう。
まあ、全てエロ方面でなんとかなったヤオ子なら、それで疲労回復しないのがおかしいと思っても仕方がないかもしれないが……。
ヤオ子は夢遊病のような状態で復興任務をしていた。
この日から、フラフラのヤオ子は周りから寝ないで働いていると勘違いされる。
そして、こんな状態が一週間以上続いたため、ヤオ子は一週間寝ないで働けるという、こち亀の両さんのような新たな噂が広まってしまうのだった。
…
更に時間は経過し、修行開始から二週間が過ぎる……。
精神的疲労はピーク、肉体的疲労は少し、頭の中は依然として沸騰状態が続いている。
本日は、サスケが雷の性質変化を身に付けた期間を参考の目安として、チャクラの性質変化の成果を確認することにしていた。
ヤオ子の目の前には、器が二つ。
一つは水が入り、一つは土が入っている。
「性質変化の精神的疲労の耐性はついてきたと思うんですけど、
ここらで実戦で使えるかどうかを確認しておきたいんです。
修行をもう一段階上げるかどうかを、今日の成果を確認して再検討です」
多分、ヤオ子は完全なMだろう。
精神疲労に慣れてきたところで、また修行内容を濃くしようと考えていた。
「サスケさんは性質変化だけでなく、千鳥も身に付けていた。
簡単に言えば、あたしはそこまでの資質がないってことです。
・
・
ならば、足し算で足りないものを掛け算で補わないといけません」
ヤオ子は集中してチャクラを練り、性質を変えていく。
「よし!
始めましょう!」
水の入る器に性質を変えたチャクラの流れる手を近づけると、器の中の水はヤオ子のチャクラに反応し、形状を変え始める。
器の真ん中で水が渦を巻き、水柱が上へ上へと競り出した。
「水とチャクラのリンク完了。
チャクラが水に作用して、水柱を操作しています」
ヤオ子は流れるチャクラを水の性質から純粋なものへと戻すと、作用しなくなった器の水はポトンと音を立てて波紋を浮かべた。
「次、行きます」
水の入った器を横にずらして置き、今度は土の入る器を手前に持ってくる。
そして、器に手を向け、再びヤオ子が集中してチャクラを練り、性質を変えていく。
さっきと同様に器の土が動き出す。
中心部の隆起と共に周囲の土が雪崩のように流れ落ち、中心付近で土が盛り上がった。
「こちらも操作完了。
ちゃんと、チャクラが土に作用してます」
ヤオ子は土の性質を戻すことなく、チャクラを直に止める。
器の中には、土の山が残った。
その二つの成果にヤオ子は唇の端を吊り上げる。
「ふ…ふふ……。
二週間で二系統……。
無理し過ぎですね」
ヤオ子は大きく息を吐いた。
(だけど、無理した甲斐はありました。
これが出来なければ、いつまでも新しいトラウマを抱えたままでしたから……)
新しいトラウマ……何も出来ない無力な自分を感じた劣等感。
瓦礫の下で動くことも、喉を潤すことも出来なかった……。
忍者なら出来る技術を持っていないがために辛酸を舐めた。
何より、自分の側に居る命をもっと早く助け出したかった。
「これで復興に専念できます」
ヤオ子はチョコチョコと頬を掻く。
「とりあえず、大きな課題の一つは終わったんですけど……。
これを術にどうやって応用するんだろう?」
土遁と水遁を使うのに必要不可欠な性質チャクラの性質。
これが使えるようになっても、エネルギーがあるだけでハードが存在しないことになる。
ヤオ子は、土遁と水遁の別の使い方を思い出す。
「口から吐き出す……」
そう、戦う場所に利用できるものがない時は作り出す。
その大抵のパターンが口から吐き出すことになる。
「そうだった……。
あたし、口から吐くのが嫌で、
火遁も手から出せるように必殺技にしたんだった……」
ヤオ子は額に手を置く。
「でも、今なら理由がよく分かるなぁ。
だって、いっぱいチャクラを溜め込めるのって肺だもん。
そして、放出する大きい穴と考えるなら口ですよね。
・
・
……やってみようかな?」
でも、頭に浮かぶのは土遁の嫌な想像。
口が土だらけになる。
「水遁にしようかな……」
更に嫌な想像。
「口からの水遁って相手の唾液が混ざるんだよなぁ。
汚くない?
・
・
いや、汚いよ。
もし、相手の水遁が歯も磨かない奴だったら……」
ヤオ子がサーッと青くなる。
「嫌だーっ!
口からなんて嫌だーっ!」
ヤオ子……こんなところで女の子らしさ爆発。
「そうだ!
うちのお父さんの馬鹿的忍術!」
ヤオ子の父親は力任せの忍者だ。
強引に手からチャクラを搾り出し、土の性質変化で対象を岩石に変える。
「あ、あれなら!」
ヤオ子が腕を突き出し、チャクラの盾の形態変化を作る。
「これを土に!」
が、土の性質変化を加えた瞬間、向かい風により、土が全て顔面に……。
「が~~~ッ!
目がッ! 目が~~~ッ!」
ヤオ子はバルスの閃光を喰らったムスカのように苦しみ、今度はチャクラを水の性質変化で水に変える。
そして、木の葉壊滅時に覚えた、盾の噴水に顔をつけて目をシパタかせる。
「目がゴロゴロする」
更に涙を流して砂を出すと、目の外に砂を出し終えて落ち着く。
「痛かった……。
でも、変化は出来たみたい。
・
・
これを術にどうやって応用するんだろう?」
振り出しに戻った。
結局、新しい力を手に入れても、どういう風に活用するかの明確なビジョンをヤオ子は持っていなかった。
ただ、新しい力を得ないことには必要な時の手段がないことだけは分かっていた。
故にヤオ子は、今できて未来に繋がることを考えて腕を組む。
「そもそも、印のある術を教えて貰わないと、
試すことも出来ないんですよね」
新しい力を試す方法……ヤオ子はヤマトと戦った時の『土遁・土流槍』の印を思い出す。
思い出すが……。
「途中……思い出せません。
戦闘中で、そこまで記憶する余裕がありませんでした……」
ヤオ子は拳を握る。
「あの時、ヤマト先生が上半身裸っていうシチュエーションだったら、
おいろけ・走馬灯の術で確実に思い出せたのにっ!」
そんな格好で戦う忍者は居ない。
忍んでないし……。
まあ、中には居るかもしれないけど……。
ヤオ子は溜息を吐く。
「仕方ない。
覚えてる範疇で、他はアドリブでやってみるか……」
ヤオ子は両手を組み、人差し指と中指を立てて集中する。
そのままチャクラを練り込むと、チャクラ性質が土に徐々に変化し始める。
「土遁・土流槍!」
記憶している印を途中までは正確に結び、あとは印の傾向を何となくで結ぶ。
そして、地面にチャクラを流し込むと煙が巻き起り、晴れた煙の先にそこにあったのは……。
「モアイ……像?」
槍……ではなく、モアイ像だった。
形態変化の印が、どうも別の物に作用したらしい。
ヤオ子は頭を掻き毟る。
「印を間違えた!
・
・
思い出せない部分を補え~っ!
強くて太くてでっかいヤツに~っ!
・
・
確か……こう!
土遁・土流槍!」
再び印を結び、地面にチャクラを流し込む。
確かに強くて太くてでっかかった。
「が~~~!
トーテム・ポール!」
・
・
「が~~~!
だるま!」
・
・
「が~~~!
ドラえもん!」
・
・
「が~~~!
ドラミちゃん!」
・
・
「が~~~!
鉄腕アトム!」
・
・
「裸婦?
・
・
エロ忍術になっちまった~~~っ!
これはこれで……メモしとこ」
ヤオ子は『裸婦』の印だけは、しっかりメモを取った。
ヤオ子は新たなエロ忍術を開発した!
ヤオ子は頭を抱える。
「ちっが~う!
そうじゃない!
槍を出したいんだです! 槍!
・
・
考えろ! あたし!
・
・
いっそのこと、豪火球の印を混ぜてみるか……。
せーの!」
再び印を結んでチャクラを地面に流し込む。
「ん? 何も起きない?」
両手をつけたまま、ヤオ子が首を傾げる。
と、突然地面が口を開けた。
「へ?」
地面はパクリとヤオ子を一飲みにして沈黙した。
ヤオ子が食べられた。
「…………」
地面で爆発が起き、ヤオ子が飛び出した。
ヤオ子は必殺技で脱出すると肩を落とす。
「アホか…あたしは……。
自分の術に食われて、どーする?」
ヤオ子は服の埃を払いながら反省を口にする。
「寅の印なんて混ぜるから、
きっと、こんなことになったに違いありません。
・
・
まあ、いいです。
土遁は間違いなく出来てます。
今度、ヤマト先生に使えそうな術を教えて貰おう。
・
・
しかし、必殺技の改造の時には上手くいったのに、何で上手く印が作用しないんだろう……。
火遁と土遁で形態が違うんですかね?
少し整理しておさらいしないといけませんね。
次は、水遁です」
ヤオ子は土遁の確認を終え、水遁を試せる川へと場所を移した。
…
~ 十分後 ~
ヤオ子は同じ過ちを犯していた。
「だから、印を覚えないと試せないんですよ……」
額に手を置いた目の前には、川が静かに流れている。
それを前に、ヤオ子は土遁の印の失敗を思い返していた。
「一つ、試せそうなのがあるんですけど……カカシさんが使った『水遁・霧隠れの術』。
ただ、これも印がうろ覚えなんですよ……。
・
・
今度は、何が起きるか……。
あんまり、いい予感はしません」
水面歩行で川の真ん中まで歩くと、ヤオ子はチャクラを練り上げ、性質を水に変える。
そして結ぶ、うろ覚えの適当な印……。
「水遁・霧隠れの術!」
水面歩行で足から川に流れ込む水遁の術。
しかし、辺りには発生するはずの霧が発生しない。
その代わりに発生していたのは……。
「スン……。
・
・
舞ってるの……霧じゃない。
くっさ!
臭いです!
何これ!?」
辺りには霧ではなく、何か生ゴミのような臭いが漂っていた。
ヤオ子は瞬身の術を使って、その場を離脱した。
「ぐえ~~~っ!
最悪~~~っ!
キバさんが居たら死んでます!
・
・
水遁は危ないです!
毒霧を発生させたら、命に関わります!
水遁も問題ナッシング!
ヤマト先生に印を教えて貰うまで、基礎修行で封印!」
とりあえず、ヤオ子は土と水の性質変化を習得した。
期間的に言えば、驚くべき早さでの習得になる。
しかし、これからは使える術を覚えないと何にもならない。
ヤオ子は、これからどのように物語に関わっていくのか……。