<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

ナルトSS投稿掲示板


[広告]


No.13840の一覧
[0] 【ネタ・完結】NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~[熊雑草](2013/09/21 23:12)
[1] 第1話 八百屋のヤオ子[熊雑草](2013/09/21 21:27)
[2] 第2話 ヤオ子のチャクラ錬成[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[3] 第3話 ヤオ子の成果発表[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[4] 第4話 ヤオ子の投擲修行[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[5] 第5話 ヤオ子と第二の師匠[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[6] 第6話 ヤオ子の自主修行・豪火球編①[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[7] 第7話 ヤオ子の自主修行・豪火球編②[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[8] 第8話 ヤオ子の悲劇・サスケの帰還[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[9] 第9話 ヤオ子とサスケとサクラと[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[10] 第10話 ヤオ子と写輪眼[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[11] 第11話 ヤオ子の自主修行・必殺技編①[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[12] 第12話 ヤオ子の自主修行・必殺技編②[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[13] 第13話 ヤオ子の自主修行・必殺技編③[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[14] 第14話 ヤオ子の自主修行・必殺技編④[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[15] 第15話 ヤオ子の自主修行・必殺技編⑤[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[16] 第16話 ヤオ子とサスケと秘密基地[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[17] 第17話 幕間Ⅰ[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[18] 第18話 ヤオ子のお見舞い①[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[19] 第19話 ヤオ子のお見舞い②[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[20] 第20話 ヤオ子のお見舞い③[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[21] 第21話 ヤオ子の体術修行①[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[22] 第22話 ヤオ子の体術修行②[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[23] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[24] 第24話 ヤオ子の中忍試験本戦・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[25] 第25話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅護衛編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[26] 第26話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅壊滅編[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[27] 第27話 幕間Ⅱ[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[28] 第28話 ヤオ子の新生活①[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[29] 第29話 ヤオ子の新生活②[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[30] 第30話 ヤオ子の新生活③[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[31] 第31話 ヤオ子の下忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[32] 第32話 ヤオ子の下忍試験・実技試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[33] 第33話 ヤオ子の下忍試験・サバイバル試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[34] 第34話 ヤオ子の下忍試験・試験結果編[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[35] 第35話 ヤオ子とヤマトとその後サスケと[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[36] 第36話 ヤオ子の初任務[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[37] 第37話 ヤオ子の任務の傾向[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[38] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[39] 第39話 ヤオ子の初Cランク任務①[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[40] 第40話 ヤオ子の初Cランク任務②[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[41] 第41話 ヤオ子の初Cランク任務③[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[42] 第42話 ヤオ子の初Cランク任務④[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[43] 第43話 ヤオ子の初Cランク任務⑤[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[44] 第44話 ヤオ子の憂鬱とサスケの復活[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[45] 第45話 ヤオ子とサスケの別れ道[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[46] 第46話 幕間Ⅲ[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[47] 第47話 ヤオ子と綱手とシズネと[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[48] 第48話 ヤオ子と、ナルトの旅立ち[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[49] 第49話 ヤオ子と第七班?①[熊雑草](2013/09/21 21:50)
[50] 第50話 ヤオ子と第七班?②[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[51] 第51話 ヤオ子の秘密[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[52] 第52話 ヤオ子とガイ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[53] 第53話 ヤオ子と紅班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[54] 第54話 ヤオ子とネジとテンテンと[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[55] 第55話 ヤオ子とアスマ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[56] 第56話 ヤオ子と綱手の顔岩[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[57] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[58] 第58話 ヤオ子とフリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[59] 第59話 ヤオ子と続・フリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[60] 第60話 ヤオ子と母の親子鷹?[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[61] 第61話 ヤオ子とヒナタ班[熊雑草](2013/09/21 21:56)
[62] 第62話 ヤオ子と一匹狼①[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[63] 第63話 ヤオ子と一匹狼②[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[64] 第64話 幕間Ⅳ[熊雑草](2013/09/21 21:59)
[65] 第65話 ヤオ子とヤマトの再会[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[66] 第66話 ヤオ子とイビキの初任務[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[67] 第67話 ヤオ子の自主修行・予定は未定①[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[68] 第68話 ヤオ子の自主修行・予定は未定②[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[69] 第69話 ヤオ子の自主修行・予定は未定③[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[70] 第70話 ヤオ子と弔いとそれから……[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[71] 第71話 ヤオ子と犬塚家の人々?[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[72] 第72話 ヤオ子とカカシの対決ごっこ?[熊雑草](2013/09/21 22:03)
[73] 第73話 ヤオ子の居場所・日常編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[74] 第74話 ヤオ子の居場所・異変編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[75] 第75話 ヤオ子の居場所・避難編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[76] 第76話 ヤオ子の居場所・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[77] 第77話 ヤオ子の居場所・救助編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[78] 第78話 ヤオ子の居場所・死守編[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[79] 第79話 ヤオ子がいない①[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[80] 第80話 ヤオ子がいない②[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[81] 第81話 幕間Ⅴ[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[82] 第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[83] 第83話 ヤオ子の自主修行・能力向上編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[84] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[85] 第85話 ヤオ子の旅立ち・お供は一匹[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[86] 第86話 ヤオ子とタスケの口寄せ契約[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[87] 第87話 ヤオ子の復活・出入り禁止になった訳[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[88] 第88話 ヤオ子のサスケの足跡調査・天地橋を越えて[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[89] 第89話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ①[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[90] 第90話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ②[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[91] 第91話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ③[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[92] 第92話 ヤオ子のサスケの足跡調査・状況整理[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[93] 第93話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁①[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[94] 第94話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁②[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[95] 第95話 ヤオ子とサスケの新たな目的[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[96] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[97] 第97話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・マダラ接触編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[98] 第98話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[99] 第99話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・深夜の会話編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[100] 第100話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦開始編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[101] 第101話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・奪還編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[102] 第102話 ヤオ子とサスケの向かう先①[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[103] 第103話 ヤオ子とサスケの向かう先②[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[104] 第104話 ヤオ子とサスケの向かう先③[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[105] 第105話 ヤオ子とサスケの向かう先④[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[106] 第106話 ヤオ子の可能性・特殊能力編①[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[107] 第107話 ヤオ子の可能性・特殊能力編②[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[108] 第108話 ヤオ子と砂漠の模擬戦[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[109] 第109話 ヤオ子とイタチの葬儀[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[110] 第110話 ヤオ子とサスケの戦い・修行開始編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[111] 第111話 ヤオ子とサスケの戦い・修行編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[112] 第112話 ヤオ子とサスケの戦い・最後の戦い編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[113] 第113話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[114] 第114話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・サバイバルレース編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[115] 第115話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・本戦編[熊雑草](2013/09/21 22:22)
[116] 第116話 ヤオ子の八百屋[熊雑草](2013/09/22 01:07)
[117] あとがき[熊雑草](2010/07/09 23:40)
[118] 番外編・ヤオ子の???[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[119] 番外編・サスケとナルトの屋台での会話[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[120] 番外編・没ネタ・ヤオ子と秘密兵器[熊雑草](2013/09/21 22:24)
[121] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と①[熊雑草](2013/09/21 22:25)
[122] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と②[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[123] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と③[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[124] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第1話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[125] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第2話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[126] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第3話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[127] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第4話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[128] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第5話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[129] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第6話[熊雑草](2013/09/21 22:29)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[13840] 第64話 幕間Ⅳ
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/21 21:59
 == NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==



 峠の団子屋の任務を終えて、ヤオ子は新たなお供と木ノ葉の里に戻る。
 三日では大して変化も分からないが、木ノ葉崩しの時に比べれば、里は見違えるほどの復興を遂げている。


 「問題があるとすれば、中忍以上の忍者の増員ですよね。
  この前の中忍試験で、随分と中忍になったらしいですけど」


 ヤオ子の独り言を忍猫のタスケが黙って聞いている。
 そして、任務報告のために綱手のところへとヤオ子は足を向けた。



  第64話 幕間Ⅳ



 紹介場では、ヤオ子が腕にタスケを抱えて綱手に任務報告の最中である。
 綱手は巻物を広げて、任務の報告を確認する。
 そして、確認は任務完了のサインを見て直ぐに終わる。
 それよりも、綱手も付き人のシズネもヤオ子の抱えているタスケが気になって仕方ない。


 「ヤオ子……。
  何だそれは?」

 「知らないんですか?
  これは猫という生き物です」

 「そうではない」

 「猫の種類ですか?
  毛並みは結構いいのですが、あたしも猫の種類まで詳しくは……。
  多分、色んな掛けあわせで雑種だと思います。
  灰色を基調に黒の毛の縞模様がセクシーです」

 「そうではない」

 「年齢ですか?
  年齢は分かりませんねぇ。
  まだ、子猫だということぐらいしか」

 「そうではない」

 「性別ですか?
  雄です」

 「そうではない」

 「名前ですか?
  タスケさんと言います」

 「…………」


 綱手の沈黙にヤオ子が首を傾げると、綱手が湯飲みを振りかぶり、ヤオ子に投げつけた。
 ヤオ子はスウェーをして湯飲みの慣性を額で無力化すると頭の上に湯飲みを置く。


 「突っ込み返し!」


 綱手がこけた。


 「突っ込みのキレが悪くなりましたね。
  あたしと三日会わないだけで、腕が鈍りましたよ」

 「ああ……。
  お前と会わないうちは突っ込みを一切入れてないからな……」

 「いけませんね~」

 「この三日で常人に戻れた気がしてたのに……。
  突っ込みなんて属性がついて、何の役に立つんだ……」

 「健康的です♪」

 「嘘だ……」


 綱手が項垂れる。
 そして、綱手は質問の途中だったことを思い出す。


 「そういうことを聞きたいんじゃない!」

 「一体、何が聞きたいんですか?」

 「お前が猫を持っている経緯だ!」


 シズネも口を挟む。


 「しかも、おかしな姿の猫を持っているから、余計に気になります」


 タスケがシズネを見ると舌打ちする。


 「何!? この猫!?
  綱手様! 見ましたか!?」

 「ああ……」


 ヤオ子がタスケを撫でる。


 「いい子ですねぇ。
  あの女の人は、どんどん貶していいですよ」

 「ヤオ子ちゃん!?」


 綱手が溜息を吐く。


 「その猫……。
  治療したから、毛がないんだな?」

 「そうです」

 「治療?」


 シズネがタスケの毛のない部分を凝視する。


 「本当だ……。
  縫合の痕がある」

 「タスケさんは手裏剣が刺さって怪我をしてたんで、あたしが治療しました」

 「髭がないのは?」

 「拒絶反応を起こさないように縫合の糸に髭を使いました」

 「気の回し過ぎじゃないか?
  普通の糸でも良かったろうに」

 「ブラックジャックで西表山猫を助けるエピソードで、それっぽいことを言ってたので」

 「また、よく分からないことを……」


 シズネがタスケを指差す。


 「それで拾って来ちゃったの?」

 「いえ。
  治療後のリハビリを兼ねたマッサージをしてあげようと思って」


 綱手が溜息を吐く。


 「そんなもんをせずとも、
  今、私の医療忍術で治してやる」

 「本当?
  じゃあ、お願いします」


 ヤオ子が綱手の机の上にタスケと湯飲みを置くと、タスケの背に綱手が手を置く。


 「何だ……。
  ほとんど、完治しているではないか」

 「やっぱり?
  その子、異常な早さで回復したんですよ」

 「野生動物は治りが早いというが、ここまでとはな……」


 綱手が医療忍術を掛ける横で、ヤオ子は腰の後ろの道具入れから携帯用の薬草辞典を取り出し、件の薬草のページを指差す。


 「この薬草を試してみたんです」

 「随分とマイナーな薬草だな……。
  しかし、動物との相性がいいのかもな。
  ・
  ・
  シズネ。
  忍の動物も沢山いるから、試してみてくれ」

 「そうですね。
  今後は、貴重な薬草になるかもしれません。
  調べてみます」

 「頼む」


 綱手がタスケの治療を終えると、タスケはヤオ子の頭に飛び乗った。


 「ありがとうございました。
  じゃあ、あたしは、これで」

 「ご苦労だったな」


 ヤオ子が部屋を後にした。


 「あの猫……。
  ただの猫なんですかね?」

 「どうしてだ?」

 「勘なんですけど……。
  ヤオ子ちゃんが持ってるものって、何か全部怪しく見えて……」

 「さすがに動物までは、そんなことないだろう」

 「そうですよね」


 その後、綱手は仕事の続きを始め、シズネは薬草の調査を開始した。


 …


 任務の報告も終わり、ヤオ子が自分の家に戻る。
 タスケはヤオ子の頭を飛び降りるとソファに飛び乗り、足を組む。


 「猫がそのスタイルで座っていると違和感ありますね」

 「大きなお世話だ」

 「体は、どうですか?」

 「いい感じだ。
  さすが、三忍と呼ばれた綱手様だ」

 「詳しいですね」

 「この世界、情報こそ生命線だ」

 「何かカッコイイ……」


 タスケが部屋を見回す。


 「ガキのくせに、いい部屋に住んでやがるな」

 「それこそ大きなお世話です。
  ・
  ・
  これから、どうするんですか?」

 「ん?」

 「だって、完治したんでしょ?」

 「休暇だって言っただろ?
  宿代勿体ないから、泊めてくれ」

 「まあ、いいですけど」

 「助かる。
  じゃあ、出掛けて来る」

 「どちらへ?」

 「遊びに」

 「あ……そう」

 「そこの小窓は開けといてくれ。
  じゃあな」


 タスケは台所の小窓を指差すと、瞬身の術で煙と共に姿を消した。


 「何か……。
  あたし、猫にパシリにされてる感じがする」


 実際は、そうだった。


 …


 ヤオ子がタスケを連れ帰って、更に一年が過ぎる……。
 ナルトが帰還し、自来也は自分の石像の生首を見ると叫び声をあげた。
 この時、自来也は粉砕した犯人が誰か、長年の勘から一瞬で見極めたという。
 そして、生首の凛々しい自分の顔には満点をつけたらしい。

 また、ナルトが帰還してから、顔を合わせた人間は少ない。
 それはナルトが帰還後、直ぐにカカシとサクラと模擬戦に入ってしまったためと風影奪還のために直ぐに里を離れてしまったためである。
 ヤオ子も例外ではなく、ナルトとの再会を果たせなかった。
 そして、木ノ葉ではナルトが風影奪還に一役買ったとの噂が暫くしてから流れる。

 更に時は過ぎる。
 風影奪還の際にサクラが砂のチヨと暁の蠍を倒して得た情報。

 『十日後に天地橋でスパイとの接触がある』

 この情報を頼りに、ナルト達はスパイの捕獲を目的として行動を起こす。
 そして、天地橋で大蛇丸との接触……。
 更には、サスケとの再会も果たすが里には連れ帰れない。

 この時も、ナルトは里に居た期間はわずかで直ぐに旅立ってしまっていた。
 ヤオ子は、また再会の機会を逃す。
 そして、ヤマトが再び暗部から上忍に戻ったことも知らず、ナルト達がサスケと再会をしたことも知らないままだった。

 ヤオ子は、この一年、何をしていたのか?
 ……雑用任務をこなしながら、日々着々と体力の強化に努めていた。
 周りの成長に焦りながらも、個性の成長よりも体力の強化を優先していた。
 攻撃手段の多さよりも術の発動回数を増やすことを選んだ。
 つまり、この一年、ヤマトの指導は一切行なわれていない。

 では、ヤマトは何をしていたのか?
 本来は付きっ切りでヤオ子の指導をしてあげたいところだったが、出来ない理由としない理由があった。
 まず、半分まで落ちた里の力を取り戻すため、優秀な忍であるヤマトには里のために尽力して貰う必要があったこと。
 そして、ヤオ子の子供でいられる時間を尊重してくれたこと。
 ヤオ子の口から聞いたヤオ子なりの考えを大切にしてくれたのだ。

 本格的な修行は、ヤオ子がサスケ達と同じ下忍になった歳から行なおうと思っていた。
 ヤオ子の基本が出来ていないところ……特に体力面をどうにかしないと先に進めない。
 教えてあげたいことも教えてあげられない。

 しかし、ヤマトは忘れていた……。
 ヤオ子が普通ではないことを……。

 ヤオ子は性格に多大な問題がある。
 エロが絡むと大きく成長し、大きく暴走する。
 そして、ドSと絡んでもサスケのトラウマで成長する。

 まず、確実に変態としての素質が成長していた。
 そして、綱手の任務選択のせいで忍者とかけ離れた能力も向上していた。
 その任務をこなすために、体力がイヤな感じで成長を遂げている。

 では、一体、忍者として技術は、どんな成長を遂げたのか?
 休暇を得たヤマトがヤオ子と再会を果たすところから、次回の話は始まる。


 …

 ※※※※※ 原作第二部に入り、使うタイミングがなくなってしまった没ネタ ※※※※※


 カカシの素顔①

 「ヤオ子。
  オレ達には解き明かさないといけない使命があるってばよ」

 「使命?」

 「そうよ。
  カカシ先生の素顔よ」

 「何を言っているんですか?」

 「「気にならない?」」

 「あたしは、大体わかるもん」

 「嘘!?」
 「マジで!?」

 「はい。
  きっと、Fateのアーチャーみたいな顔をしています」

 「…………」

 「「誰?」」


 カカシの素顔②

 「実際、どんな顔をしてんだろ?」

 「分からないわ。
  以前、聞いたら覆面の下に覆面だったし」

 「人間少しぐらい秘密がある方が、よくありませんか?」

 「どうしてよ?」

 「カカシさんの生態って、
  結構、オープンじゃないですか。
  堂々と自分の性癖が分かる本読んだりして。
  普通しませんよ?」

 「そうかもしれないけど……あんたが言うな。
  ・
  ・
  でも、ヤオ子の言うこともよく分かるわね。
  少しぐらい秘密がある方がいいのかも」

 「そうですよ。
  実際見たら、変装のために顔のパーツを削ぎ落としてたら、どうするんですか?」

 「ろろうに剣心の般若か!」


 カカシの素顔③

 「でもね。
  あたし、カカシさんの素顔を見たことあるんですよ」

 「何で?」

 「よく覗きをするんです」

 「…………」

 「そして、お風呂に入ってるところをバッチリ!」

 「まあ……。
  この際、不問にするわ。
  ・
  ・
  で、どんな素顔なの?」

 「それが……。
  別のところに目が行ってて覚えてないんですよね」

 「このド変態が!」


 カカシの素顔④

 「皆さん、気にし過ぎです!
  あのマスクには、意味があるんです!」

 「何の?」

 「あれは修行の一つです!」

 「「は?」」

 「いいですか?
  マスクをして運動すると酸素が取り入れ難くて、心肺機能が強化されるんです」

 「そうか……」

 「普段から修行をしてたのか!」

 「そうです。
  だから、いざとなったらマスクを外します。
  きっと、その時は凄い動きになります」

 「どんな動きになるんだろう?」

 「奇声をあげて目が血走り、
  相手が気の毒になるぐらいまで追い掛ける?」

 「暴走してんじゃない!」

 「じゃあ、違うかな?」

 「あんたの最後の考察が間違っているのよ!」


 カカシの素顔⑤

 「でも、あのマスクが弱点とも考えられませんか?」

 「弱点?」

 「あれがないと生きていけないんです」

 「どうして?」

 「霊命木で作られたマスクなので、
  あれを外すと植物超人に戻ってしまうんです」

 「モンゴルマンか!」


 即興漫才?

 「カカシです」

 「ヤオ子です」

 「「二人合わせて『イチャイチャ・ファンタジア』です!」」

 「ところで、カカシさん。
  ナルトさんのエロ度について、どう思いますか?」

 「エロ度か?」

 「エロ度です」

 「まあ、努力が欲しいな」

 「ほう。
  と、言いますと?」

 「視覚だけでなく想像力も磨いて欲しい」

 「活字に弱そうですもんね」

 「ああ。
  イチャイチャの楽しみが分かる大人になって欲しいな」

 「いいですよね。
  イチャイチャ」

 「ああ。
  最高だ」

 「でも、活字だとヒロインを想像しないといけないですよね?
  カカシさんは、どんなのを想像します?」

 「ここで言うの?」

 「はい」

 「パス」

 「意気地なしですね」

 「ヤオ子は言えるのか?」

 「言えます!
  あたしは世界のエロを目指す女です!」

 「じゃあ、言ってみて」

 「いいでしょう。
  例えば、『イチャイチャバイオレンス』。
  この本のタイトルから、少し暴力的なシーンが入ると予想できます。
  まず、間違いなくヒロインが虐められます。
  あたしは、この時点で既に2パターンのエロを想像できます」

 「凄いな……」

 「ひとーつ!
  ヒナタさんがヒロイン!」

 『ええっ!?』

 「従順で大人しいヒナタさんをエロ攻めする妄想が堪りません!」

 「君、言ってて恥ずかしくないか?」

 「ひとーつ!
  サクラさんがヒロイン!」

 スコーン

 「観客からの投擲は無視します!
  ただの暴力少女を力で捻じ伏せる快感!
  妄想が止まりません!」

 「タイトルだけなのに……」

 「あたしは、この素晴らしい妄想を掻き立てる自来也さんの作品に尊敬を捧げます!
  『イチャイチャ』こそ!
  混沌とした忍の世界に光を与える本です!」

 「まったくだ」

 「皆でエロになればいいじゃない!
  スケベに悪い奴はいません!」

 『立派な性犯罪者じゃない!』

 「観客からの妄言は無視します!」

 「ヤオ子は清々しいな」

 「ところで、カカシさん」

 「ん?」

 「このコンビ名は、何ですか?」

 「テイルズシリーズみたいでいいだろ?」

 「続くんですか?
  じゃあ、次にコンビを組む時は『イチャイチャ・ディスティニー』ですね」

 「そうだな」

 「ネタは、以上です」

 「そうか」

 「「『イチャイチャ・ファンタジア』でした!」」

 「次回、イチャイチャ・シードで会いましょう!」
 「次回、イチャイチャ・ディスティニーで会いましょう!」

 「ん? シード?
  カカシさんって、ガンダムもいけるんですか?」

 「もちろんだ」

 「何か、運命の人に出会った気がします」

 「任せろ」

 「あたし、ジェリド・メサ好きです」

 「今度、何か奢ってやる」

 「…………」

 「すいません、皆さん。
  即興で打ち合わせなしだったので、
  カカシさんとは、話が噛み合いませんでした」

 「綱手様も無理をおっしゃる」

 (シンクロ率100%越えしてたぞ……)


 駄菓子屋に封印されしもの

 「なんだろう? これ?」

 「それは随分前から売れてないジュースだよ」

 「おばゃん、こういうのは処分しなくていいの?」

 「賞味期限を見てみな?」

 「ん?
  ・
  ・
  あと二十年持ちます。
  凄いですね。
  張られたシールの方が耐え切れなくて変色してるのに。
  機械の印刷ミスじゃないの?」

 「それ一本しかないから、分からないんだよ。
  大蛇丸製菓なんて聞いたことないし。
  いつ紛れたんだか……」

 「いくら?」

 「買うのかい?」

 「はい」

 「十両でいいよ」

 「はい、お金。
  こういう得体の知れない謎の商品には、ついつい手を出したくなるんですよね」

 (この子、摘まみ食いして死ぬタイプだわ)

 「いただきま~す」

 ゴキュ

 「意外と普通の味ですね。
  しかも、炭酸」

 「ラベルに炭酸なんて書いてないけど?」

 「腐って微生物の発酵で炭酸でも出来たのかな?」

 「もう、やめなよ……」

 「そうですね。
  でも、あたしはこの体験二度目なんですよ。
  冷蔵庫に入れてたイチゴミルクが、ある日、炭酸飲料になってたんです。
  あまりに美味しくて弟と飲みまくりましたね。
  ・
  ・
  次の日、弟だけがお腹を壊しましたが……」

 (こち亀の両さんみたいな子だ……)

 「あれ?
  何か……体がパチパチする」

 「大丈夫かい!?
  直ぐに病院行きな!」

 「もう、遅いみたい……。
  ・
  ・
  ぐあぁぁぁ!」

 「…………」

 「猫耳と尻尾が生えた……」

 「これであたしも萌えキャラに……。
  って!
  なんじゃこりゃぁぁぁ!」

 「綱手様! 綱手様のところに行きな!」

 「はい!」


 …


 「綱手さん……。
  どうしよう……」

 「この馬鹿が!
  何でもかんでも口に入れるな!」

 「だって、登山家は、そこに山があるから登るんですよ?
  目の前に得体の知れない新商品があったら、
  口に入れたくなるのが消費者心理でしょ?」

 「違うわ!」

 「ううう……」

 「何を飲んだんだ?」

 「これ」

 「…………」

 (大蛇丸の作った何かの新薬じゃないか……)

 「何処で手に入れた?」

 「駄菓子屋」

 (何で、駄菓子屋……)

 「スン……。
  ・
  ・
  この臭いは……。
  安心しろ。
  一時間もすれば戻る。
  それは本物じゃなくて、幻術だ」

 「は?」

 「今、お前の体からは無尽蔵に幻覚を起こす成分が分泌されている。
  それが全ての人間に幻覚を見せているんだ」

 「へ~。
  あたし、五感のうちの味覚で幻術掛かったの初めてです」

 「決して味覚じゃないぞ」

 「しかし、いいものを手に入れました。
  それを飲めば、あたしはいつでも獣系ヒロインに変身です」

 ガチャーン

 「手が滑った」

 「ワザとだ……」


 怖い話

 「ある日、その忍具を敵から奪ってから、おかしなことが起きるようになった。
  朝起きると忍具に血が数滴ついているんだ。
  男は気のせいだと思って血を拭いた。
  でも、次の日も次の日も血は付いている……」

 「…………」

 「忍具は、何もしないのに血に塗れていく。
  ある日、男は忍具を拭くのをやめた。
  忍具も放り出したままだ。
  そうしたら、どうなったか?」

 「…………」

 「一週間目で一人の人間分の血液が染み出した。
  二週間目に一人の人間分の骨が転がった。
  三週間目に一人の人間分の内蔵が揃った。
  四週間目……そこには何もなかった」

 「…………」

 「お、男はどうなったんですか?」

 「残った……」

 「え?」

 「必要のない男の脳だけが、そこに残してあったんだ……」

 「…………」

 「じゃ、じゃあ、男は忍具に……」

 「どうだろうな。
  これが伝え聞く忍具の噂話の一つだ」

 「ねぇ……。
  まだやるの?」

 「ヒナタ。
  何、怖がってんのよ。
  カカシ先生の話は、結構、有名な話じゃない」

 「そうなの?」

 「そうだ」

 「私が話して。
  いのが話して。
  カカシ先生が話したから……次はヒナタね」

 「無理!
  私、もう聞けないし話せない!」

 「またまた……。
  純情ぶっちゃって。
  ・
  ・
  仕方ない。
  ヤオ子、あんた話せる?」

 「怖い話ですか?」

 「ええ」

 「いいですよ。
  では……。
  ・
  ・
  これは崩壊したあたしの店に伝わる話です。
  あたしの店には、開かずの間がありました。
  もともと古い民家を改築して八百屋にしたんで、建物自体が古かったんです。
  そして、物心ついたころから、ここは開けちゃダメって部屋がありました。
  でも、昔から変な気配がしていたんです。
  誰かが居るみたいな……」

 「…………」

 「ある日、弟が言うんです。
  『お姉ちゃん。
   また、あの部屋から聞こえる』って」

 「…………」

 「あたしは、興味なかったので無視していたんですが、
  また、弟が言うんです。
  『何か……引き摺ってるよ』って。
  ・
  ・
  仕方なくあたしも耳を澄ませました。
  そうすると、確かに聞こえるんです。
  扉の中で蠢いているんです。
  ・
  ・
  あたしは言いました。
  『開けて……みようか』って。
  弟は怖がっていましたが、
  あたしと二人だったので、やがて決心しました。
  ・
  ・
  あたしは、扉に手を掛けました。
  扉から僅かに振動が手に伝わります。
  少し力を入れます。
  扉はビクともしません。
  ・
  ・
  弟に振り返ると、分からないという顔をしています。
  仕方なしに両方の手を扉のノブにかけて思いっきり引っ張りました。
  ・
  ・
  すると──」

 「…………」

 「ここでやめますか」

 「ちょっと! 何でよ!」

 「そうよ!」

 「呪われるの?」

 「いいえ。
  ただ……ちょっと、思い出したくないんで」

 「もったいぶるなよ」

 「分かりました。
  続きを言います。
  ・
  ・
  扉を開けると、それはあたしと弟に絡み付いてきたんです。
  扉を掴んだ手だけじゃありません。
  足から腹から首まで全部を多い尽くされたんです。
  どんなにもがいても体中いたるところで動き続け、這いずり回り暴れるんです。
  弟は、既に見えません。
  あたしも視界が多い尽くされて見えません。
  それは家中に広がり、恐怖に支配されました」

 「死んじゃったの?」

 「あたしはここに居ます。
  死んでいません。
  ・
  ・
  その黒い波の正体は……ゴキブリだったんです」

 「「「「え?」」」」

 「想像してください。
  自分の体や服の中を大量のゴキブリが動き回るんです」

 「「「「うぷ……」」」」

 「しかも、何か脂ぎってて気持ち悪いんです。
  当然、動けば何匹か潰れてゴキブリの体液が飛び散ります」

 「「「いぃぃぃやぁぁぁ!」」」

 「怖いでしょ?」

 「怖いの意味が違うわよ!」

 「え?」

 「誰がおぞましいゴキブリの話をしろって言ったのよ!」

 「怖い話って……」

 「幽霊とか怪奇現象の話!」

 「インパクトは、十分だったかと?」

 「そんな気持ちの悪い話は聞きたくないわ!
  不潔よ! 汚い! ゴキブリ大嫌い!」

 「その後、大変だったんですよ。
  直ぐに殺虫剤を撒いたんですけど。
  ゴキブリの素晴らしい生命力のせいで、中々、収まらなくて。
  ・
  ・
  服なんかも潰れたゴキブリがくっついてたりで……」

 「やめてーーーっ!
  もう聞きたくない!」

 「まあ、その一件であたしの店からゴキブリはいなくなったんですが、
  その店も潰れてなくなってしまいました」

 「げ、原因は何だったのよ……」

 「原因?」

 「ゴキブリが大量発生した原因よ!」

 「え~と……。
  家を中古で買った時から、その部屋でゴキブリが大量に繁殖してたのは分かってたんです。
  それで両親は、臭い物に蓋をする感覚で封印しました。
  でも、八百屋をやるようになって、ゴキブリにしてみればエサが増えたことになります。
  封印後も繁殖を続けていたんでしょうね。
  遂には、何かが蠢く音になるほどでしたから。
  家を買った時に、害虫駆除はしっかりしないといけないという教訓ですね」

 「絶対に違うわよ!」  

 「ううう……。
  すいません……。
  ・
  ・
  じゃあ、口直しに違う怖い話を」

 「まともなのを頼むわ」

 「はい。
  ある日のテレビ番組の話です。
  素人がテレビに出て、どれだけ凄いかを競い合うんです」

 (今度は、まともそうね)

 「賞金が出るので出るのは貧乏学生がほとんどでした。
  そして、ある挑戦者が出ます。
  彼は、ゴキブリをおかずにご飯をたべると言うのです」

 ((((え? またゴキブリ?))))

 「彼は、見事完食して賞金を手に入れました」

 ((((また気持ち悪くなってきた……))))

 「しかし、数日後、彼は突然死んでしまいました。
  司法解剖の結果、彼の胃からは大量のゴキブリが……。
  彼は、お腹に卵を持ったメスを食べてしまったんです」

 「だから、ゴキブリネタはやめろ!」

 「ご飯が食べられなくなるでしょ!」

 「ゴキブリこわい……。
  ゴキブリこわい……。
  ゴキブリこわい……」

 (この子、ワザとやってるな……)

 「冗談ですよ。
  普通に怖い話をします」

 「本当でしょうね?」

 「今度、ゴキブリのネタを話したら、四人がかりで叩くからね?」

 (オレも含まれんのか……)

 「えっと、ゴキブリネタはフィクションです。
  あたしの嘘の想像。
  本気にしないでね」

 「もう、遅いわ!
  しっかり、頭に想像しちゃったわよ!」

 「はは……。
  じゃあ、ウォーミングアップも終わったので話します。
  あたしの怖い話は、綱手さんについてです」

 「「「「ん?」」」」

 「綱手さんは、優秀な火影様です。
  里の力を取り戻すために尽力されて、多くの中忍を合格させました。
  聞くところによると
  『ナルトさん以外の同期が全員中忍になっている』
  とのことです」

 「ええ。
  師匠の努力で大分中忍を輩出できたわ」

 「更に一期上のネジさん、テンテンさん、リーさんも……。
  そして、木ノ葉以外も中忍が出ましたね。
  例えば、砂隠れの我愛羅さん、テマリさん、カンクロウさん」

 「それがなんなのよ?」

 「どうやって、この多人数を中忍に?
  確か中忍試験は年二回のはずです」

 「「「「え?」」」」

 「ナルトさんから聞きました。
  かつての中忍試験で予選の時に審判の方がこう言ってました。
  『中忍試験規定にのっとり予選を行い……。
   "第三の試験"進出者を減らす必要があるのです』
  理由として……。
  『たくさんのゲストがいらっしゃいますから……。
   だらだらとした試合はできず時間も限られてくるんですね……』
  これから、何が考えられるか?
  中忍試験には合格者の上限が決まっていることです。
  本戦での棄権者や、サクラさんといのさんのダブルノックアウトを考えると本戦は十人が限度でしょう。
  中忍になったのは、コミック1巻でナルトさんがしょげてた時にワイワイしていた彼等ですよね?
  うじゃうじゃいます。
  どうやって、そんな多人数を合格させたんですか?」

 「それは……」

 「怖いでしょ?」

 (この子は、また変なことを……)

 「ここからは、きっと一般の忍が立ち入ってはいけない暗黒面です。
  国の安定を前提に五影達はやりたい放題です。
  五影には、小国にはないある特権があると思われます。
  中忍合格者人数限界突破です」

 「…………」

 (あ~あ……。
  怖い話が現実味をおびて、サクラ達の顔が真剣になっちゃった)

 「何故、そんな勝手が許されるのか?
  仮説です。
  理由としては、忍五大国の強さのバランスを裏で操作するためです。
  黒いです。
  はっきり言って、凄く黒いです。
  故にナルトさん帰還の数年で、火影と風影がこの特権を使ったと思われます。
  ・
  ・
  でも、何で、他の国は許したのでしょうか?
  更に仮説です。
  忍者が大勢死ぬのは、何も戦争だけではありません。
  流行り病や自然災害などが考えられます。
  しかし、忍の国の力関係は極秘なので理由は調べない聞かないが暗黙のルールになります。
  きっと、こうして裏で五影達は、忍のバランスをコントロールしていたのです」

 「…………」

 「背筋が冷えたでしょ?」

 「いや、確かに怖いんだけど……」

 「それを私らが知って、どうなるの?」

 「平和ボケしてんですか?
  カカシさんのような上忍しか知らない秘密をペーペーのあたし達が知ってしまったんですよ?」

 「どうなるの?」

 「カカシさんに犯される」

 「するか!」

 「おお……キレた」

 「当たり前だ。
  そんなことはしない。
  そもそも、その仮説が合っているかどうかも、オレには分からん」

 「隠そうとしているのが怪しいわね?」

 「確かに……」

 「本当なの?」

 「間違いありません!」

 「ヤオ子、仮説って言ってただろう……」

 「じゃあ、どうやったんだろう?」

 「綱手様の色香で惑わしたんじゃないの?」

 「それだ!」

 「「「違う!」」」

 (ヤオ子がエロくてよかった……)


 その頃のダンゾウ

 「ダンゾウ様。
  例の経理の秘密が分かりました」

 「本当か?」

 「はい。
  下忍がつきとめたようです」

 「下忍だと?」

 「はい」

 「…………」


 ダンゾウが考え込む。


 「一体、どんな下忍なのだ?」

 「現火影の懐刀と言ったところでしょうか?」

 「ほう……」

 「火影の失敗のカバー。
  シズネ女史の失敗のカバー。
  他忍者のDランク任務での失敗のカバー。
  ・
  ・

 「ちょっと、待て」

 「は」

 「何だ? その報告は?」

 「例の下忍のものですが?」

 「何故、失敗の摘み取りをしているのだ!」

 「それが……。
  別調査によるととんでもない雑務能力を持っていまして」

 「本当に忍者なのか?」

 「恐らくは……」

 「恐らく?」

 「例の特別召集で呼ばれた忍のようでして……」

 「では、雑務をしているのは当たり前だ。
  ・
  ・
  テストの試験記録は、どうなっている?」

 「……これです」


 ダンゾウが、ヤオ子の試験結果を見る。
 即、吹いた。
 そして、咳き込む。


 「だ、大丈夫ですか?」

 「何だ? これは?」

 「我々も、困っています」

 「他には?」

 「今までの任務です」


 ダンゾウが、ヤオ子の簡易任務結果を見る。
 即、吹いた。
 そして、咳き込む。


 「だ、大丈夫ですか?」

 「コイツは、人間なのか!?」

 「お、恐らく」


 段々、頭が痛くなって来た。


 「と、兎に角、優秀そうだな」

 「え、ええ」

 「では、根にスカウトしてみるか?」

 「火影が許しますか?」

 「どうとでもなる……」

 「あの……本気ですか?」

 「異論でもあるのか?」

 「悪い噂も……」

 「悪い噂?」

 「女性をストーカーしているとか……」


 ダンゾウが吹いた。


 「顔岩に手を入れて……。
  その……現火影の顔岩に胸を作ったとか……」


 ダンゾウは額を押さえている。


 「更に敵が男だと、急所を潰して回る悪鬼だとか……」


 ダンゾウの顔がキュッとなる。


 「変態の女王で、部下に自来也様とはたけカカシを従えているとか……」

 「どんな噂だ……。
  人物像が一向に見えないぞ」

 「調査をした私もです。
  しかも、件の人物……」

 「?」

 「九歳の少女です」


 ダンゾウは、頭が痛かった。


 「もうよい……。
  幾ら優秀でも、変態はいらん。
  この話、聞かなかったことにしておく……」

 「は」


 部下が、ダンゾウの前から姿を消した。


 「…………」

 「綱手も苦労しているのかもしれんな……。
  ・
  ・
  ただ、あの顔岩の胸はよかった……」


 ダンゾウは何かを思い出し、頬を赤くする。


 「いかん! 雑念が!」


 ダンゾウは頭を振ってヤオ子の悪夢を振り払う。
 こうして、ヤオ子の根へのスカウト計画は霧散した。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.034550905227661